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「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」by SMART USEN
エディターの久保さんから本件のメールをいただいた夜は渋谷PARCO劇場オープニングシリーズ、三谷幸喜さん作・演出の『大地』を鑑賞した帰路だった。
自粛の日々から初となった生のエンタメ。感染予防対策の厳重な緊張感と扉の先の舞台から直接伝わってくる体温と振動との大きなギャップ。自粛期間中、音楽のライブ配信やSNSなどに助けられたと感じていたが、この夜の振動から波動に変化するパワー、胸が熱くなり込み上げる感動は比にならず、スペイン坂を下りながら「エンタメ最高!」と心から叫びたくなる気分だった。人が作り出すこと。さまざまでひとつひとつ。素敵で楽しみたい。それを仕事にしたい。そんな思いで日々いるけれども、人そのものが表現者となる創造物の素晴らしさはどんな時も絶やしてはいけない。改めて切に。
そう思って振り返り思い浮かんだ一枚がChiyoTiaの『Hello』。友人でもあるChiyoはハワイ育ち。芯を持ち底抜けに明るい。けれど、弱さをきちんと持った優しい女性。そんな彼女の詞や歌声は正直で真っ直ぐ刺さり、ライブでは毎回泣けてくる。その体感があって、このアルバムには何度励まされたことか。特に繰り返し聴いた「負けちゃだめなんです」「あなた」「ねむの木」。
子供の頃感じた季節の匂い、ドライブで繰り返し聴いていた音楽。数年たってもふっと蘇る当時の記憶。
ChiyoTiaのこれらの曲で蘇るのはちょっと苦い仕事の日々(笑)。でも、確実にその経験があっての今。
毎年恒例ChiyoTiaの江の島でのライブ。友人たちと集い、密になって語っちゃう。熱が伝わる。そんな日の再来が楽しみ。
(おわり)
文/福元千洋(ふくもとちひろ)