<PR>
「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」by SMART USEN
90年代、フレンチ被れの渋谷原宿系を謳歌していた私にとって、渋谷は、その当時のカルチャーを大いに吸収し、お洒落な大人に憧れる場所であった。
なかでもスクランブル交差点からセンター街を抜け、スペイン坂辺りは、特に思い出深き道のりで、カフェバー「人間関係」には週何日かで通っていた。今となれば料理が特別美味しい訳でも、特別お洒落でもないかもしれないが、当時は、朝行けば焼きたてスコーンの列に並び、日夜関わらずの人気スポットというような流行りの場所と居心地の良さが魅力的だった。
その先の映画館「シネマライズ」では、お洒落映画に浸るのがお決まりで、「トレインスポッティング」「ロスト・イン・トランスレーション」などを一人浸りながら観た記憶がある。
パルコのFMスペイン坂スタジオには、いつも人だかりが出来ていたし、パルコ内のいくつかのお店と本屋を堪能しては、界隈のレコード屋に行く事も。「アニエス・ベー」の世界観も、シネマライズ隣にあった「アダム エ ロペ」の女性スタッフのとびきり格好良いハットスタイルも、その当時は全てが刺激的で脳裏に焼き付いている。
その先オルガン坂にあるナイトクラブ「Organ bar」もアンダーグラウンドな雰囲気ながら当時の渋谷系Free Soulを始め、旬で格好いい音楽の場として通い詰めるスポットであり、そこから吸収した音楽の趣味嗜好は私の原点でもある。
まだまだ走馬灯のように渋谷界隈のルーツを思い出せばキリがないが、その当時のシーンや印象が色濃く思い出せるのは、好奇心と体験と感動だと思える。今のようなSNSも情報も溢れてはなく、ただ街を歩き体感する事で自分の身体に記憶させていったような感覚で、ストリートには一見何もない様で全てがあった様な気持ちにさえなる。
今、渋谷駅から始まり次々と新たな商業施設が渋谷に誕生し、原宿方面にかけても開発と新たなスポット情報も目白押しである。清々しい程に都会的でエンターテイメント溢れるスポットとアナログ的に文化やライフスタイルを体感出来るショップが混在し、大人も若者も楽しめる、これからの新たな発信エリアとして、また今、渋谷という街にワクワクしている。
(おわり)
文/髙本千晶(トゥモローランド)