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――いろんな意味で予想に反して平井さんから届いたデモテープ。最初、耳にした印象は?

「衝撃作でした。ものすごく生々しい感情だし、ある意味自分の闇を白日の元に晒す曲だったので、私も一瞬、これを歌うのはものすごく勇気のいることかもしれないという想いが頭をよぎりました。でも、こんな曲にはそうそう出会えないし、こういう曲を書いてくださいっていうのも思い付かないだろうし、例えあったとしても、こういう曲は絶対に上がってこないだろうなって。それに、今回のアルバムが『I』っていう、“私”というものと向き合うアルバムだとしたら、この曲は絶対に歌いたいと思ったんです。それで、デモを聴いた直後に平井さんに“これはすごい曲です!”ってメールして。平井さんは“本当?いいんだよ、イヤだったらイヤって言ってくれて”とおっしゃったんですけど、“全然イヤじゃないし、早く2番が知りたいです”と伝えて、書いていただくことになりました」

――JUJUさんが衝撃作っておっしゃるとおり、スピーカーからこの曲の<「あの子ってかわいそうだよね」 いつも陰で笑ってた>という歌い出しが流れたときの衝撃ったらなかったです。

「本当、平井さんってすごいなって思いました。情景の切り取り方だったり、感情を言葉にする表現の仕方だったり……圧倒されました。<越えられない夜にひとりきり 床のホコリを見てた>って歌詞があるんですけど、平井さんといっしょに飲んだ夜、やさぐれてた私が床を見てたこととかも覚えてたんだろうなあ、“あーあ、越えられない夜に、ひとり床を見てるわ”って思ってのかなって(笑)」

――観察されてたんですね(笑)。

「さすがにこの歳になって誰かと自分を比較することってなかなかないですけど、子供の頃や学生時代とかって、誰かのことを言っては安心するみたいな風潮ってあったじゃないですか。そういうのって、きっと誰もが経験してると思うんですよね。で、今だと、口に出しては言わないけど、誰かのSNSの投稿を見て何か思うところがあったりして……」

――ドキッ!

「今の時代“あるある”ですよね。なんか、そういうのもこの曲には入っているような気がして。あと、これはすべての人に言えると思うんですけど、“いいね!”が欲しいばかりに、自分じゃない自分を演出していたり。SNSでは高価なものや華やかな写真をアップしていても、家に帰ったら絶対この曲にあるような状態の人って多いと思う。だって、そんなにキラキラした毎日ばかりが続くわけじゃないから」

――<クローゼットの中には2年前のワンピース>もあるし、<クローゼットにはあたしを飾る布切れだらけ>だったりするっていう?

「そう。SNSでキラキラしてるように見せたり、誰かのSNSを見て羨んだりしながら、本当に空っぽなのは自分だってことに気づくのがご時世なんじゃないかなって。アルバムが出来上がるまでに自分のクローゼットの整理をしようと思いました(笑)」

――そんな影響力が!

「平井さんにも言いましたもん。“布切れたちをどうにかします”って。平井さん、私が洋服を好きなこともご存知なんですよ。お会いするといつも私服チェックをされるんです。なので、そういうことも思い浮かべて、“あいつのクローゼットは布切れだらけだ”と思いながら、この曲を書いたところもあると思います」

――JUJUさんの新しい一面を引き出すものにもなっていますよね。こんな歌声のJUJUさんは、これまでの印象にないような気がします。

「それは平井さんの意図するところでもあったみたいです。最初にいただいたお手紙にも書いてあったんですけど、“美メロで切ない、きれいな曲っていうのはJUJUちゃんいっぱい持ってるから、敢えて泥臭くて、やさぐれてる恨み節にしました”って(笑)。平井さんは、私が欧陽菲菲さんの「ラヴ・イズ・オーヴァー」をカバーさせてもらったときの、あの感じの曲にしたかったともおっしゃっていて」

――レコーディングはいかがでしたか?

「本番の前に3回くらいテストで歌うんですけど、途中で泣きそうになって歌えないっていう」

――感情移入してしまって?

「そうですね。一番辛いのが、<あたしにしか出来ないことなど 何ひとつなかった>っていうところ。自分は特別だって思いたい、だけど、私にしかできないことって何一つなかったということを認めてしまうのが、あまりにも辛くて。辛い!と思って、もう泣きそうになりました(苦笑)。で、最後の<あたしって かわいそうだよね>まで歌い終えたとき、コントロールルームにいるみんなを見たら、本当にかわいそうって目で見られてた(笑)」

――そういう想いはみんな共通して持っているものだと思いますけどね。

「私もそう思います。だから、この曲を聴いて楽になる人がいればいいなって」

――それにしても、男女の歌ではないのに、こんなに惨めで哀しい歌ってできるものなんですね。

「本当に。でも、結局は自分の心の闇と向き合うことが一番苦しいことだし、それを認めることってなかなかできないことだし。自分が特別じゃないと言い切ることって、誰かにフラれることよりも辛いんですよね」

――心なしかこの部屋の空気が重くなったような気がします(笑)。

「あははは!しんみりしちゃった。こんな空気にさせるなんて、なんて人だ、平井さん!平井さんの曲はどんな曲ですか?って訊かれることも多いんですけど、史上最大の衝撃曲だと思います。こんなパンチ力のある曲、他にないですよね」

――小田さんや平井さんの楽曲もそうなんですが、『I』には、大人の女性が持つ強さや余裕、憂い、切なさなど、すべてが詰まっているような気がしました。その上で、女性として歳を重ねていくことを肯定してくれるアルバムだなって。

「そうですね。今まで自分に起きたことって、決して楽しいことばかりではなかったし、もしかしたらしんどいことのほうが多かったかもしれない。もちろん、過去を振り返って、あんなことしなければよかったなって思うこともあります。でも、今の自分になるには、そういうのも全部含めて必要なことだったんだろうなって。自分に起こることっていうのは、全部理由があって起こるものだし、必要なことしか起こってない。そう思ったら、過去の自分のすべてを肯定してあげたほうがいいなって思ったんですよね。その上で、今のこの情報過多な世の中で、ときには振り回されたりもするけれど、最終的にものごとを自分で決めて、自分で選び取りたい。そうしないと、どんどん生きづらくなっていくんじゃないかという危機感もあって。なので、今このタイミングで、過去の自分の肯定と、今の自分の再構築をしたいと思って、この『I』というアルバムを作ったんです。“アイ”という言葉を聞いたとき、“愛”や“哀”、出会いの“会い”、私自身の“I”など、思い浮かべるものは人によって違うと思うんですよ。でも、そのぶんだけたくさんの“アイ”の歌があるから。私はこれからもいろんな“アイ”の歌を歌っていきたいという気持ちが、改めて強くなりました」

――JUJUさんの現在地が確立されると同時に、今作での新しい出会いがJUJUさんの未来も作り出していくという。

「そうですね。私としては、デビューして最初のシングル2枚が思うように行かなくて、3枚目も同じだったら契約終了ってところから、3枚目の「奇跡を望むなら...」がたくさんの方に聴いていただけたことで、そこからちょっとずつ事態が好転して、この7枚目のアルバムまで辿り着けたのは、本当に応援してくださるみなさんのおかげだなと思うんです。だからこそ、今、きちんと自分のことを見つめ直して、大切に歌っていきたいって思うんですよね。なので、今回のアルバムには、“みなさんが作ってくださった私はこうです”っていう気持ちがすごく込められています」

――そんなスペシャルなアルバムを持って、4月からは全国ツアーが始まります。2年ぶりのホールツアー、全44公演というのはJUJUさん史上最大規模ですね。

「超楽しいツアーになると思います。ツアーはいつも楽しいんですけど、今回はとくに自分でもめちゃくちゃ楽しみなんですよ。すごくやりがいのあるツアーになるんだろうなって思うし、今回、ツアートラックが――だいたいいつもジャケット写真が施されたトラックが走るんですけど――走ると思うとちょっとドキドキ(笑)。田舎町のサービスエリアにこれが停まってたらシュールですよね。そんなことを想像しながら、楽しんで全国を回っていきたいと思ってます」

(おわり)

取材・文/片貝久美子
写真/Hiroshi Nirei





JUJU『I』
2017年2月21日(水)発売
初回生産限定盤/AICL-3489/3490/3,800円(税別)
onenation


JUJU『I』
2017年2月21日(水)発売
通常盤/AICL-3491X/3,000円(税別)
onenation




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