本書は、2009年に夭逝した加藤和彦の追悼の本であるとともに、音楽シーンのトップを走り続けた加藤和彦と精神医学の道に進んだきたやまおさむの、ふたりのヒューマン物語でもある。

ザ・フォーク・クルセダーズ(フォークル)が脚光を浴びたのは、1967年のデビューシングル「帰って来たヨッパライ」。“♪おらは死んじまっただ……”で始まる歌詞。交通事故で亡くなって、天国に行って、またこの世にもどって来る……という奇抜な発想。“遊び”を散りばめた曲作りとテープの早回しを採用したユニークな音作り。発売後瞬く間に、日本音楽史上初のミリオンセラーを記録した。その中心メンバーが加藤和彦ときたやまおさむであった。
フォークルは、デビューの翌年1968年10月にオリジナルアルバム1枚とライヴアルバムを2枚、シングル7枚を残して解散。加藤ときたやまはそれぞれの道を歩むことになる。

フォークルはそのデビューが鮮烈だっただけに、当時どのように受け止められていたのだろうか。そして、その後の音楽シーンにどのような影響を与えたのだろうか。加藤和彦ときたやまおさむが歩んだ道のりはどうだったのだろうか……。

そして――
加藤和彦は2009年に「私のやってきた音楽なんてちっぽけなものだった」と書き残して夭逝した。1968年にフォークル解散後は、ソロ活動に加え、伝説のバンド「サディスティック・ミカ・バンド」の結成、坂崎幸之助との「和幸(かずこう)」の活動、最後のバンドとなった「VITAMIN-Q」と常にトップランナーとして走り続けた加藤和彦の心境に、何が起こっていたのだろうか。部屋に残された一葉の写真は、フォークルがプロデビュー前に演奏したアマチュア時代最後のコンサートのものであった。その写真に託されたのは……。

語り継ぐのは、きたやまおさむ自身と坂崎幸之助、松山猛、小原礼、尾崎亜美、高橋幸宏、杉田二郎、泉谷しげる。そして、スペシャルインタビューに森川欣信(オフィス オーガスタ代表)が登場する。

田家秀樹『永遠のザ・フォーク・クルセダーズ~若い加藤和彦のように~』
田家秀樹著
『永遠のザ・フォーク・クルセダーズ~若い加藤和彦のように~』
2,315円(税別)
ヤマハミュージックメディア

FM COCOLOで放送され、2013年日本民間放送連盟賞で優秀賞を受賞した「永遠のザ・フォーク・クルセダーズ~若い加藤和彦のように~」を書籍化

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