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――最新作『ディス・ハウス・イズ・ノット・フォー・セール』、聴かせてもらいました。まずは日本のファンを代弁して、素晴らしいアルバムをありがとう!と言わせてください。
「どうもありがとう」
――ここから新たな章をスタートさせるんだという、バンドの熱く屈強な意志が伝わってきます。ご自身は、どんな作品になったと実感していますか?
「ひと言でいうと、インテグリティー(=真摯さ、誠実さ)だね。ここ3年くらいの間に、いろいろな出来事があった。そして、そんな状況から抜け出て、言葉でまとめることができるまで時間がかかった。1年前、『バーニング・ブリッジズ』をリリースした時には、曲を何度も書き直したり。当時は、レコード会社とのいざこざもあって、イライラしていた時期だった。ほかにも、リッチーが辞めたり、いろいろなことを乗り越えてきた。そうした状況下で、このアルバムを制作したわけで、とても苦しい時期だったと言える。それでも、こうしてイメージを描くことができた。やっと見えてきたんだ。インテグリティーというのは自分にとってもすごく重要で、初期のころからずっと大切にしてきたものだったんだよ」
――どうしても避けては通れない質問なので、あえてお聞きします。前作リリース前に脱退したリッチー・サンボラとは、完全に別の道を歩むことになったということなのでしょうか?
「僕にもわからないんだ。誰にもわからない。突然来なくなった。この3年半、バンドメンバーの誰も彼と会っていないんだよ。彼がいなくなったことは、とてもショックだった。ただ、ロックンロール・バンドのメンバーは終身雇用じゃない。それは事実なんだ。やりたくなくなったら、いつでも辞めていい。それは彼の権利でもあるし、自由だと思う」
――何か兆候みたいなものは? 音楽性の違いとか、不満を抱えていたとか……。
「いずれ何かわかるかもしれないけど、僕の知る限り、何もない。本当のところ、議論をしたこともないし、お金でモメたりしたわけでもないし、まったく理由が見当たらないんだ。ある日突然いなくなって、それっきり帰ってこなかった(苦笑)」
――ジョン&リッチーを、レノン&マッカートニー、ジャガー&キースのように捉えていたファンも少なくなかったと思います。
「うわっ! その比較はちょっと大胆だな。嬉しいけど、僕たちは彼らのようなレベルには達していないよ。もちろん、パートナーという意味では、彼らのように僕とリッチーはタイトな仲だったことは確かだけど。素晴らしい曲をいっしょに作ったし……ありがとう。でも僕たちはずっと仲違いとかしなかったし、やっぱり違うよ」
――今あるべきボン・ジョヴィの姿とは?
「このアルバムが、その答えだよ。説明なんか必要ない。僕たちの音楽を聴いてもらえれば、わかるはずさ」
――なるほど、そのとおりですね。今作を1stアルバム『Bon Jovi』(邦題は『夜明けのランナウェイ』)をレコーディングした、このアヴァター・スタジオでレコーディングした理由を教えてください。
「理由は、僕が今ニューヨークに住んでいるから。ニュージャージーに立派なレコーディングスタジオを持っていたんだけど、だんだん設備も古くなってきたし、僕は現在マンハッタンに住んでいるから、大金をはたいてスタジオを新しくしても使わないかもしれない。それじゃあ意味がないから、機材をスタジオの若い連中に譲って、マンハッタンのスタジオを使うことにしたんだ。そのほうが、近くて便利だからね。マンハッタンの素晴らしい、ふたつのスタジオでレコーディングしたんだけど、ここアヴァターで大部分をやった。〈Runaway〉(邦題は〈夜明けのランナウェイ〉)を録音したのも、1stアルバムもここでやった。僕が初めて使い走りをしたスタジオだよ」
――でも、昔とは違うんですよね?
「まったく同じ。変わっていないんだ。ここにある機材の一つひとつが、36年前の僕がこの部屋に入ってきた時と、まったく同じだよ。ここにあるボード(調整室のコンソール)にしたってね」
――確かに古いですね。
「僕と同じで、古いんだよ(笑)」
――(笑)。今回、ソングライティングに関して、何か変化したことなどはありましたか?
「そうだな……3年前だったら、どんなテーマになるかわからなかったと思う。前回のアルバムで、“選挙のことを扱ってみよう”とか、“今の世界のことを語ろう”みたいなことをやったし、自分の中ですべてやり尽くした感じがあった。でも、神様はありがたいよね。ソングライターっていうのは、見たり、聞いたりして、毎日の生活から曲のテーマを見つけることができるんだ。材料にはこと欠かないよ。新聞を読んだり、ニュースを見たり、いろいろ情報を得られるし。もちろん、それは自分の選択だし、やるやらないは個人の自由なんだけどね」
(つづく)
取材・文/鈴木宏和
後編は11月15日(火)にアップします。お楽しみに。
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