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特集
2020.12.26
「DOUBLE FANTASY – John & Yoko」東京展レビュー

後編 ジョンの魂、ヨーコの愛

ソニーミュージック六本木ミュージアムで開催中の『DOUBLE FANTASY - John & Yoko』東京展。2回に渡ってお届けするレポートの後編は、「失われた週末」以降の展示内容をレビューする。

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10月9日からソニーミュージック六本木ミュージアムにて開催中の『DOUBLE FANTASY – John & Yoko』東京展。このほどヨーコのバースデーである2021年2月18日までの会期延長が伝えられた展示会だが、本稿ではそのレポートの後編をお届けする。

1971年にアメリカに移住したジョンとヨーコ。しかしベトナム戦争下のアメリカは二人の平和運動を疎ましく思い、ジョンは二度に渡って国外退去を求められる。展示ではその際に移民局が発行した書簡や入国嘆願書、そして1975年にニューヨーク最高裁での裁判を経てようやく勝ち取ったグリーンカードの実物が展示されている。




余談だが、当時のアメリカの政権が“セックスとスキャンダル”のイメージが強かったザ・ローリング・ストーンズの存在よりも、“愛と平和”を訴えたジョンとヨーコを恐れていたことは興味深い史実と言えよう。

一心同体に見えた二人だが、しかし互いの心は抑圧に捉われていた。二人は1973年の秋からヨーコの提案によって別居生活に入る。いわゆる「失われた週末(Lost Weekend)」である。

ジョンはジョンとヨーコの個人秘書メイ・パンを伴いロスのマンションで生活を始めたジョンはアルバム『心の壁、愛の橋』、『ロックン・ロール』を制作する。さらにビル・ワイマン、リンゴ・スターやハリー・ニルソン、キース・ムーン、ミック・ジャガー、エルトン・ジョンらと交流し、幾つもの制作活動やライブ参加を行った。一方のヨーコも、プラスティック・オノ・バンド with エレファンツ・メモリーを従えたシングル『女性上位万歳』をリリースするなど自由なスタンスで表現活動に励んでいた。

この間の1974年2月18日、ジョンがヨーコの誕生日のために特注したプレゼントの手鏡が展示されている。政治的なテーマから離れたことで創作意欲を取り戻したジョンは、1975年の1月、ヨーコの元へと戻る。




再び共に歩み始めた二人は1975年、愛息ショーンの誕生を機に、家族で暮らす時間を尊重するため公の場に姿を見せなくなる。この頃の彼らの思いはその5年後の1980年にリリースされたアルバム『ダブル・ファンタジー』収録曲の「ビューティフル・ボーイ」、「ウーマン」などの手書きの歌詞から読み解くことができる。

ヨーコはビジネス全般を取り仕切り、ジョンは育児と制作に精を出した。この頃の家族の団欒、リラックスしたジョンの様子も、写真や絵画、ジョンが描いたイラストなどの展示物が物語っている。

音楽ファン・楽器ファンの目を引くのは『ダブル・ファンタジー』のレコーディングで使われたサードニクスのギターかもしれない。20本しか製造されなかったうちの一本だ。無論、ジョンが使ったオリジナルである。雪山で使う橇(そり)のような形状をしたボディのコアはスタインバーガーっぽくもあるが、何とも奇妙なルックスのギターだ。




何よりこのパートの展示でいちばん驚かされたのは、ハウス・ハズバンド時代のジョンがショーンを抱くために使っていた、日本初公開の “抱っこひも”。これがちょっとミリタリーなテイストでやたらとカッコいい!そう、ジョンは当世で言うところ“イクメン”の元祖でもあったのだ。

この家族生活の期間、彼らが長野県軽井沢町に滞在していたのは有名な話だ。ジョンはが初めて軽井沢を訪れたのは1970年。グリーンカードの所得によってアメリカ国外への旅行が可能になった1976年から、一家は毎夏を軽井沢で過ごした。この間の記録として、東京展エクスクルーシブのさまざまな展示物が出展されている点は見逃せないトピックスだ。

ジョンが日本語を学ぼうとしていた「ジョンの日本語練習スケッチ・ブックの原画」からの9枚の原画のうち、「SABI(寂び)」、「AMAI(甘い)」、「1976」、「YOBI(曜日)」「KOKUBIN(航空便)」、「SUKOSHIZUTSU(少しづつ)」の6枚はこの東京展で本邦初公開だ。これがまあハイセンスな遊び心に溢れていて、しかもむちゃくちゃかわいいのだ!さらには軽井沢滞在時の写真、リラックスしたジョンとヨーコのふだん着も飾られている。




1980年12月8日、ジョンとヨーコは自宅アパートのダコタ・ハウスで写真家アニー・リーボヴィッツとのフォトセッションに臨んだ。この時の写真が、翌1981年、「ローリング・ストーン」誌のカバーを飾った、ジョンが裸でヨーコに抱きついている有名な一枚だ。

――そしてこの日の夜、ジョンは帰らぬ人となってしまう。

10万人を超える人々がセントラル・パークでジョンを悼んだ記録写真。ジョンが最期にかけていた眼鏡を用いたアートワーク「シーズン・オブ・グラス」を撮影するヨーコの姿。そして1985年、セントラル・パーク内に設置され、今もなお多くの人々に愛されているストロベリーフィールズの再現をもって本展は幕を閉じる。




ジョンの魂と精神性はヨーコによって継承され、“IMAGINE PEACE(イマジン・ピース)”キャンペーンとして今日も続いている。

『DOUBLE FANTASY -John & Yoko』東京展は、運命的な出会いで結ばれたジョンとヨーコが、時には迷い、苦しみながら、極めてアーティストらしく、また人間らしく、時代を駆け抜けた軌跡の集約と言えるだろう。そしてコロナ禍の今だからこそ、愛と平和を訴える意志も家族の肖像も、強く心に響く。

ゆっくり鑑賞していたらあっという間に数時間が経っていた。encore読者にもきっと多くの気付きや学びをもたらすことを約束する。




展覧会の最新情報はオフィシャルサイトに随時アップされている。ミュージアムショップの品揃えも充実していて、アパレル、ステーショナリー、インテリア類などのオフィシャルグッズすべてがとてもスタイリッシュなので2021年2月18日までの会期中に是非とも足を運んでいただきたい。

A very merry Christmas
and a happy new year,

(おわり)

取材・文/内田正樹
文中写真/山中慎太郎(Qsyum!)



■『DOUBLE FANTASY – John & Yoko』
会期:2020年10⽉9⽇(⾦)から2021年2⽉18⽇(木)まで
        ※2020年12月31日(木)、2021年1月1日(金)は休館
会場:ソニーミュージック六本⽊ミュージアム(東京都港区六本⽊5-6-20)
主催:株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント/株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ





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