昨年、12月20日にデビュー50周年のファイナルとして「ユーミン乾杯!!~松任谷由実50周年コラボベストアルバム~」をリリースしたユーミンこと松任谷由実。同アルバムには、日本ポップス界のトップランナー・桑田佳祐とのスペシャルコラボをはじめ、岡村靖幸、くるり、GLIM SPANKY、小室哲哉、乃木坂46、YOASOBI、YONCE(Suchmos・Hedigan’s)、RHYMESTER、小田和正、財津和夫と錚々たるアーティストの参加が話題になった中、異色ともいえよう、テクノ界のトップDJ・ニーナ・クラヴィッツ(*以下、ニーナと表記)の「春よ、来い (Nina Kraviz Remix)」の参加は、多方面から大きな注目が寄せられた。
このコラボの発端は、松任谷由実が2018年にプライベートでベルリンを訪れた際に立ち寄った現地のクラブで、ハード・テクノを体感したことから始まる。その時、知り合った共通の関係者を介してニーナの存在を知り、ユーミン自身も1999年・2003年・2007年に行ったコンサートツアー「シャングリラ」で、ロシア人のパフォーマーたちと共演していたことから、ロシア出身である彼女に親近感を感じたという。
そして、昨年開催された、アリーナツアー「The Journey」の6月の札幌公演に、DJギグのために札幌滞在中だったニーナが、スケジュールの合間を縫って来場。終演後のバックステージで初対面を果たし、2人は即、意気投合。その後、ニーナの札幌・プレシャスホールでのギグにもユーミンが自ら足を運び、その場でコラボアルバムへの参加をオファー。
選曲はユーミンとニーナで話し合い、ニーナ自身が観たツアー「The Journey」のセットリストで最も印象に残った「春よ、来い」に決定した。
その翌日、ニーナに東京で会ったDOMMUNEの宇川直宏も、「春よ、来い」の文化的価値や、四季の彩り豊かな日本におけるリリックの文学性などを彼女に語ったという。ニーナはこの曲に90年代のAphex Twin、Autechreを彷彿とさせる浮遊感漂うエレガントなテイストを加え、同じく90年代を代表するJ-POPとアンビエントテクノそして、ディープ・ミニマルやIDMを見事“今”に接続した。
そんなユーミンとニーナが、PARCOの55周年を祝うこのプログラムの一環として、SUPERDOMMUNEで再会を果たす。奇しくもユーミンと同じく50周年を去年迎えたばかりの渋谷PARCO 9Fでのこのプログラムは、テクノが取り持った国際文化交流であり、番組後半はニーナ自身が「春よ、来い(Nina Kraviz Remix)」を取り入れたDJ SETを披露。国境を超えたダンスサミットと化すであろう。
3月5日(火)20:00-23:00
PARCO 55TH ANNIVERSARY PROGRAM
「YUMI MATSUTOYA x NINA KRAVIZ」
出演:松任谷由実、NINA KRAVIZ
司会:宇川直宏(DOMMUNE)
通訳:門井隆盛
DJ:NINA KRAVIZ plays「春よ、来い」(Nina Kraviz Remix)|BROADJ#3267
●NINA KRAVIZ(ニーナ・クラヴィッツ)
世界のダンスミュージックシーンを牽引するスーパースターDJ/プロデューサー、NINA KRAVIZ(ニーナ・クラヴィッツ)。レーベル〈трип〉〈Galaxiid〉主宰。
2006年に世界各地から選ばれたプロデューサー/ヴォーカリスト/DJ/演奏家などが独自に音楽を追究する音楽学校「Red Bull Music Academy」に参加。
2009年から〈Naïf〉〈Underground Quality〉〈Rekids〉といった著名レーベルよりシングルリリースを重ね、2012年にデビューアルバム『Nina Kraviz』を発表。同作は、DJ Magの「ALBUMS OF THE YEAR」で第2位にランクインするなど、世界中のメディアで絶賛された。
2014年に、エレクトロニックミュージックのトリッピーでアシッディな面にフォーカスした自身のレーベル〈трип〉(トリップ)をローンチして、Mixmagの「THE BEST RECORD LABEL」を受賞。プロデューサー、そしてレーベルオーナーとして確固たる地位を築いた。2017年には、エクスペリメンタル、アンビエント、サイケデリック・ミュージックに特化したオフシュートレーベル〈Galaxiid〉も始動。名門ミックスCDシリーズ『Fabric』『DJ-Kicks』も担当して高い評価を得た。
2021年から2023年にかけては、skyscrapers、this time、all his decisions、hace ejercicios、tarde、bailandoなどのオリジナルトラックをリリースし、Solomun、Four Tet、Moodymann、Ricardo Villalobosら世界のトッププロデューサーたちをリミキサーに起用。また、Indira Paganottoとのコラボサイトランストラック「white horse」もスマッシュヒットを記録した。さらに2023年には、Jポップクイーン松任谷由実の名曲「春よ、来い」をリミックスして、松任谷由実50周年コラボベストアルバム『ユーミン乾杯!!』に海外アーティストとして唯一参加している。
DJとしては、テクノ、ハウス、トランスなどをひとつのグルーヴで仕立て上げる唯一無二のプレイで、Coachella、Glastonbury、Tomorrowland、Ultra、Sónar、Mutek、Awakenings、Time Warp、Dekmantel、Dimensionsなど、世界中のビッグフェスティバルを総ナメにして、Mixmagの「DJ OF THE YEAR」を獲得。ここ日本でも、2017年にAphex Twin、Björk、The xxらとFuji Rock Festivalに、2018年にはUltra Japanにも出演。また、中国の万里の長城やパリのエッフェル塔、アイスランドの火山口や洞窟など、地球上の様々なユニークなロケーションでもDJをして話題を呼んでいる。
■宇川直宏(DOMMUNE)
1968年香川県生まれ。現“在”美術家。映像作 家、グラフィックデザイナー、VJ、文筆家、大 学教授など、80年代末より、極めて多岐に渡る活動を行う全方位的アーティスト。既成のファインアートと大衆文化の枠組みを抹消し、現在の日本にあって最も自由な表現活動を行っている。
2001 年「Buzz Club: News from Japan」(MoMA PS1・ニューヨーク)、「JAM: Tokyo-London」(Barbican Art Gallery・ロンドン)に参加して以来、国内外の多くの展覧会で作品を発表。2010年には、日本初のライブストリーミングスタジオ兼チャンネル「DOMMUNE」を個人で開局。記録的なビューワー数で国内外にて話題を呼び、2011年文化庁メディア芸術祭推薦作品に選出される。
宇川はDOMMUNEスタジ オで日々産み出される番組の、撮影行為、配信行為、記録行為を、自らの"現在美術作品"と位置づける。2016年アルスエレクトロニカ(オーストリア/リンツ)のトレインホールにステージ幅500Mのサテライトスタジオ「DOMMUNE LINZ!」を開設、2019年、瀬戸内国際芸術祭にてサテライトスタジオ「DOMMUNE SETOUCHI」を開設。どちらも大きな話題となった。他、これまで DOMMUNEは数々の現代美術の国際展に参加し、ロンドン、ドルトムント、ス トックホルム、パリ、ムンバイ、リンツ、福島、山口、大阪、香川、金沢、秋田、札幌、佐渡島と、全世界にサテライトスタジオをつくり、偏在(いま、ここ)と、遍在(いつでも、どこでも)の意味を同時に探求し続けている。
10年間に渡って配信した番組は約5000番組/約1万時間/150テラを越え、トータル視聴者数1億人を超える。2019年、リニューアルした渋谷PARCO9Fにスタジオを移転。「SUPER DOMMUNE」に進化し、5G以降の最前衛テクノロ ジーと共に未来を見据えたアップデートを図る。2023年練馬区立美術館で行った「宇川直宏展|FINAL MEDIA THERAPIST @DOMMUNE」は、生成AI時代の創作において一体作家は作品のどこに存在しているのか?を自らに問い、オリジナルチューニングの生成AIや、人口知能搭載のロボットアームによる空間絵画を創出し“描く”という行為の歴史的なアップデートを図り、話題となった。 2021年、第71回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
■リリース情報
ユーミン乾杯!!~松任谷由実50周年記念コラボベストアルバム~
Now on sale
初回限定盤A【CD+Blu-ray】\4,500(+税) UPCH-29465
初回限定盤B【CD+DVD】\4,000(+税) UPCH-29466
通常盤【CD】\3,000(+税) UPCH-20663
ブックレット:参加アーティストへのユーミン直筆の手紙をブックレットに掲載。(32P)
特典映像:“ユーミン返杯”参加アーティストへ~ユーミンからのメッセージ~