<ライブレポート>
阿部真央、15周年Zeppツアー完走「みんなの存在が私を奮い立たせ続けてくれた」

阿部真央の全国Zeppツアー『15th Anniversary Abe Mao Zepp Live Tour 2024』最終公演が、10月25日に大阪・Zepp Namba(OSAKA)で開催された。

2024年1月21日にデビュー記念日を迎え、15周年イヤーに突入。8月にニューアルバム『NOW』をリリースし、弾き語りツアー『15th Anniversary Abe Mao Solo Live Tour 2024』に続いて行われたZeppツアーは、東京、北海道、福岡、愛知を巡りファイナルの大阪へ。1曲目の「Hands and Dance」から、深紅の照明を背に徐々に躍動感を増していったドラマチックな幕開けで、「ただいま大阪~!」とあいさつし届けたのは、彼女がまだ19歳だった2009年にリリースした、デビューアルバムのタイトル曲「ふりぃ」。みずみずしい疾走感は変わらずに、この15年で培ったタフネスが加わった堂々たるパフォーマンスには大きな歓声が上がる。髪を振り乱しギターをかき鳴らす姿は文句なしのカッコ良さで、キレと重みのある演奏をバックに立て続けに魅せた「まだいけます」「19歳の唄」、シアトリカルで艶やかな「マージナルマン」や壮大なスケールで響かせた「貴方が好きな私」しかり、どの曲も重ねた時間の分だけ磨き上げられ、今が最上で最高だと思わせる充実のセットリストだ。

「キャリアを止めることなく15周年を迎えられたことをとても幸せに思います。本当に奇跡みたいな時間をくださってありがとうございます! 今日はファイナルなので、みんなにありがとうの気持ちをしっかりと伝えられるように、楽しく精いっぱい演奏して帰りたいと思いますので、存分に楽しんでいってください」

そんな感謝の気持ちを伝えた後は、ぬくもりと切なさが共存する「天使はいたんだ」、赤裸々な心情を英詞でつづった新境地の「Go Away From You」とつなげ、続いても英語詞曲の「Maybe」を弾き語りで披露。つま弾くアコースティックギターの音色と歌声が静かに広がっていく神々しさは圧巻で、サポートのミトカツユキ(Key)と2人だけでいざなったAimerへの楽曲提供曲「words」のセルフカバーも、体調を崩した観客を気遣い中断したにも関わらず、再び歌い出せばあっという間に引き込まれる表現の引力に思わず息をのむ。伸びやかなスライドギターが印象的な「Keep Your Fire Burning」も抜群の心地良さで、シンガーとして、そしてソングライターとして、非凡な才を改めて感じさせた。

MCでは昨年、事務所を独立以降、バンドでツアーを回ること、ワンマンライブができること、多くのスタッフと一本のライブを作る難しさと尊さを痛感したと語りつつ、「それぐらい去年は大変だったんだよね……逆に言うと、独立して1年半でZeppツアーを回れたのはすごいことなのかもしれない。でも、それもみんなのおかげなんです。みんなの存在が私を奮い立たせ続けてくれた。だから、次はありったけの気持ちを込めて歌いたいと思います」と、熱い思いと覚悟を込めて「I've Got the Power」を歌い上げた阿部。どくどくと脈打つリズムが導いた高揚感は、「Somebody Else Now」で巻き起こったシンガロングにも波及し、さらには、あべま流ダンスビート「immorality」や、真骨頂のエッジィなロックチューン「進むために」でも沸かせるなど、最新アルバム『NOW』からの楽曲も多数織り交ぜ見せ場をつくった。

クライマックスはタンバリン片手に軽やかに送った「プレイボーイ」を皮切りに、代表曲の「モットー。」や「優しい言葉」で大盛り上がり。トドメの「ロンリー」では、見渡す限りの手が上がる絶景がZepp Namba(OSAKA)を包み込んだ。

鳴り止まない手拍子に応えたアンコールでは、エレキギターで奏でたレアな「這い上がれMY WAY」、「みんなの笑顔がいっぱい見たい!」と叫んだ「I wanna see you」と畳み掛け、ラストは一人で深々と頭を下げて、「これからもみんなにパワーを届けられるように頑張りますので。最後に、マイペースに15年やってこれたきっかけを作ってくれた曲をやりたいと思います。ライブでしかやっていない曲なんですけど、良かったら聴いてください」と「母の唄」を熱唱。アーティストとしての原点と現在地を見る者の脳裏に刻み付けたツアーファイナルとなった。

なお、今後の阿部真央は、年内はアイナ・ジ・エンド、山本彩とのツーマンライブや、象眠舎、akkinの主催ライブに出演。2025年1月26日(日)には東京・東京ガーデンシアターで、アニバーサリーイヤーを締めくくるワンマンライブ『阿部真央らいぶ2025 -15th ANNIVERSARY- at 東京ガーデンシアター』を開催する。


取材・文:奥“ボウイ”昌史 撮影:ハヤシマコ

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