2015年に解散したViViDが2025年3月22日、23日と2日間に渡って東京・ガーデンシアターで開催した公演<ViViD ONEMAN LIVE 2025-Dear-at TOKYO GARDEN THEATER>で電撃復活。一夜限りの復活を経て、ここから1年間、期間限定でViViDとしてライブ活動していくことをファンに表明した公演初日の模様をレポートする。
ViViDが一夜限りの復活ライブを行なうーー。そんな衝撃的なニュースが世の中を駆け巡ってから約4カ月。解散から10年、奇跡的にステージに戻ってきた彼らは、10年前よりもさらに最強で、さらにきらめきを増していた。
2025年3月22日、ついにViViD復活の日がやってきた。当日のチケットはもちろん即完売。5階席まで彼らの復活を待ちわびていた約7000人のファンで埋め尽くされた場内。客電が消えると、歴代のMV、ライブをつないだオープニングムービーが流れだす。その映像がメンバーのソロショットに変わると、上半身裸のイヴ(Ba)に続いてRYOGA(Gt),RENO(Gt)、SHIN(Vo)が次々と目の前に姿を表わし、センターのお立ち台に集結。その瞬間、客席に張り詰めていた息苦しいほどの緊張感が解き放たれ、壮絶な悲鳴に変わった。
10年ぶりのViViDとしてのステージ,10年ぶりに再会したファンに、サポートメンバーの前田遊野(Dr)とともにまず最初に彼らが届けたのは「「夢」~ムゲンノカナタ~」だった。いわずとしれた彼らのメジャーデビュー曲だ。ViViD復活を祝福するように会場には鮮やかなレーザービームが閃光のように激しく飛び交い、合いの手のコーラスを歌っていた観客たちは、2番が始まると親指と人差し指を丸め、おなじみのガラス玉の振り付けを繰り出し、ステージに立つメンバーと一緒になってViViDのライブ空間を作り始める。ステージと客席で、止まっていたViViDの時間が動き出したあとは、間髪入れずにバンドはアグレッシブな「Across The Border」、RENOのギターが炸裂する「W.B.A.」を連続投下。RYOGAのギターが重なり、いまの熟練したバンドアンサンブルとSHINの歌の表現力でパフォーマンスすると、当時彼らが掲げていた“Melodic Mixter Rock”というコンセプトがより際立って伝わってきて、その独創性を改めて実感。再会してまだ数分しか経っていないにも関わらず、彼らはリスナーの記憶に刻まれた昔の姿を、さらにカッコよさと説得力を増したいまのViViDサウンドでどんどん上書し、更新していく。
「ようこそ!」と挨拶を告げたSHINが「今日は1番ViViDが、みんなが輝いていた頃を思い出して、それを超えようぜ!」と伝えたあとは、キャッチーなViViDで客席を楽しませていく。ライブでは欠かせない、バンドの始まりとなった曲「Take-off」が放たれると、ファンは解き放たれたように“Take-off”と歌いながら頭上で手を広げて楽しそうにジャンプ。それを見つめるメンバーの表情も、自然と笑顔になっていく。続いてアニメ『マギ』第2期のOPテーマとなったメロディックな「光―HIKARI-」が始まると、ここではSHINが僕らの生きる世界はここなんだと示すように想いを込めて歌詞を丁寧に歌いあげ、格段にスケールアップした歌声で、客席に希望の光を与えていった。その光をレーザーがブルー一色に染め上げたあとは『BLEACH』のOPテーマ曲「BLUE」へと突入。ここでは、観客たちがタオルを振ったり回したりしながら大はしゃぎ。そうして、ドラム台の前にメンバー全員が集まっただけで客席から悲鳴があがった人気曲「キミコイ」では、曲の後半イヴが突然ステージを降りてアリーナ席へ突入。フロントを練り歩きながら観客とハイタッチを交わしていくとあちこちから歓声が上がり、場内はさらにきらめきを増していった。
こうして代表曲を惜しげもなく次々と披露していったあとは、SHINが解散してからの10年間について想いを馳せ、それでもこの10年間に「1つだけ変わらなかったことがある」と客席に静かに語りかけていく。「それは、ここにいるみんながViViDのことを愛してくれたこと、ViViDの音楽を愛してくれたことです。これから贈る曲はViViDからみなさんへのかけがえのない愛の歌です。どうか届きますように」と思いを伝え、始まったのは「message」だった。当時、バンド結成から史上最速で日本武道館までのぼりつめた彼らが、ファンに感謝の気持ちを伝えるために作ったこのナンバー。バラードでもいけるこの曲をイヴが骨太な男気あるプレイでグイグイ引っ張り、そのなかで、RENOが弾くメインフレーズにRYOGAがハモりを重ねていくと、切なさが倍増。そのなかで、柔らかなタッチのハイトーンの美声を使い、出会えた奇跡を讃えるようしっとりと歌い上げていくSHINのヴォーカル。当時とは比べものにならない各々の表現力に、心をわし掴みにされた観客たちは、演奏が終わると「本当にいい曲」という感動の気持ちを盛大な拍手に変えて、ステージに届けていった。下手のRYOGAが椅子に座り、エレキをアコギに持ち替えて弦をつま弾くと、会場全体に澄んだ空気が拡がっていく。それと掛け合うように上手にいたRENOがエレキでノスタルジックなフレーズを重ね、2人のセッションがスタート。2本のハーモニーが響き渡り、場内に夏の涼しい風がそよぎだした頃、RYOGAがアコギのボディを叩いてカウントを入れ、曲は「夏花」へ。ViViDらしい広がりのある多彩なサウンドでバラードを表現してみせたあとは、アニメ『機動戦士ガンダムAGE』のOPテーマ曲「REAL」をプレイ。そうして、ライブはメンバー全員のトークコーナーへと展開していった。
SHINはさっそく客席に向かって「みんな、10年ぶりのViViDはカッコよくなってますか?」とフランクに問いかける。「なってる!」と大きな声援が即座に戻ってくると「よかった~」とつぶやきながらキラキラの笑顔を浮かべてみせた。イヴはこの日初めて来た人がいることを挙手で確認した上で「イヴです。顔いいです。マッチョです。お金あります。パフォーマンスもカッコいいです」と彼らしい自己紹介を届けた。RENOは「お久しぶりの方も初めましての方もViViDを全力で楽しんで! 明日への希望となるライブにしていきたいと思います」と熱く語り、RYOGAは「なんか、いいっすね。ViViDって」といまの自分の気持ちを包み隠さず伝えた後、「引き続き楽しんで下さい」とファン思いの言葉を付け加えた。メンバーたちの個性全開の挨拶を聞いていたSHINは「10年経ちましたけど、なに一つ変わってません。そんなところもViViDらしいのかなと思ってます」と伝え、このあと「夏風~endless love~」からライブは再開。輝く日差しの下、夏の澄み切った青空に抜けていくような透明感ある歌声を会場内に響かせたあとは、エレクトロなイントロから始まった「天音」でロックモードへと再びシフト。「ガーデンシアター、まだまだ上げてくぞー! もっと声聴かせてくれー! 拳上げろー!」とSHINが客席を激しく煽り、その勢いのまま曲は「THEATER」へ突入。イントロからギターがユニゾンで嵐を巻き起こしたあとは、SHINがこれまでと歌い方を変え、英詞をシャウト。変拍子が吹き荒れるアウトロまで、緊張感が途切れない強靭な演奏力と圧巻のパフォーマンスで場内を大いに沸かせた彼ら。
本来はこの後「FAKE」を演奏する予定で、楽器隊が「FAKE」へつなぐ準備をしているなか「今日、この“奇跡の日”を迎えるまで、1日1日ツラい日もあったよね? 目一杯幸せな日もあったよね?」とSHINが熱く語りだし、その話を「一人ひとりの人生の笑顔、その一つの欠片にこの日がなりますように」といって「FAKE」の後に演奏する「カケラ」へと繋いでしまうという大事件が発生! そんなハプニングなどなかったかのように楽器隊、スタッフはすぐさま対応し、見事な連携プレイで「カケラ」の演奏を始めたところは素晴らしかった! 10年ぶりとは思えないメンバー、スタッフワークで、ステージ上でまさに奇跡が起きた瞬間だった。そのテンションのまま「Winding Road」へ。まぶしいほどの逆光を背に、エモーショナルな演奏で場内の盛り上がりをクライマックスへと導いていったあと、イヴがお立ち台に1人で立ち、スポットを浴びながらベースを頭の後ろに構える。そのまま、地響きがするような音でイントロを弾くアクトで客席を沸かせ、始まったのは「RIDE on time」だった。「叫べー」とSHINが渾身のシャウトを轟かせ、激しく拳を振り上げる客席を限界まで熱狂させていったところで、本編はあっという間に終了。
メンバーが去り、場内が暗転するとすぐにムービーが始まった。映像のなかにはステージを後にした(体の)メンバーが衣装のまま楽屋でくつろぎながら「RYOGAのアレよかったよ」と今日のライブを振り返っている。そのなかで「ここだけだともったいない」、「東京以外でもやろうよ」という会話が飛び出し、1日限りの復活だと思っていたファンは悲鳴を上げて驚愕! そうしてすぐさま夏のツアー、さらにはそれ以降のライブスケジュールが映し出されていくと、観客たちは予想のかなり上をいくサプライズ発表に狂乱し、大興奮!
映像が終わり、迎えたアンコール。まだ興奮状態のなかにいるファンに向かって、SHINが「先ほどのVTRでお伝えした通り、ViViDは1年間限定で復活することを決めました」と改めて伝え、続けてRENOが「10年前に解散したバンドですけど、再びViViDという命が生まれたのは奇跡。ViViDの音楽をしっかり届けていきたいと思います。新しく知った方、当時後悔がある方、この1年間を無駄にしないで下さい」と客席に語り掛けた。そうして、アンコールはそのRENOの提案で、本編で演奏できなかった「FAKE」からスタート。予定通りRYOGAがお立ち台に立ち、ピンスポットを浴びてギターを奏でる演出を実演し、会場はたちまち熱狂が広がる。「PRECIOUS」、「Good Morning World」と歌詞が胸に突き刺さる楽曲で、さらなる感動を呼び起こしたあと、SHINが「最後にみんなに贈りたい曲があります。今日の、この奇跡の日のタイトルです」と告げる。10年前の4月29日、解散ライブでプレイしたときは、お別れを告げる、涙でいっぱいの「Dear」だったことを振り返り「この1年間を通して、そんな悲しい“Dear”を幸せの笑顔“Dear”に変えていきます」と宣言したあと「Dear」をパフォーマンス。アリーナ席に銀テープが舞い降りるなか、約束通り、とびきりキラキラした「Dear」を届けて、集まったオーディエンスをどこまでも多幸感に浸らせ、幸せな笑顔にしてこの奇跡の復活の日を締めくくってみせた。
解散から10年。突如ファンの目の前に姿を現し、衝撃的に奇跡の復活を遂げたViViD。10年前よりも明らかに“最強”になって戻ってきた彼らが、ここから1年間をかけ、ViViDの物語をどこまで更新していくのか。期待を込めて、彼らを追いかけて欲しい。
文/東條祥恵
撮影/山内洋枝(PROGRESS-M)
TOUR INFORMATION
ViViD 2025 SUMMER TOUR~hedonist~
2025年08月11日㈪ 〈東 京〉 恵比寿LIQUIDROOM
2025年08月23日㈯ 〈北海道〉 SPiCE SAPPORO
2025年08月24日㈰ 〈北海道〉 SPiCE SAPPORO
2025年09月07日㈰ 〈神奈川〉 SUPERNOVA KAWASAKI
2025年09月13日㈯ 〈福 岡〉 DRUM LOGOS
2025年09月15日㈪ 〈愛 知〉 NAGOYA ReNY limited
2025年09月28日㈰ 〈大 阪〉 心斎橋BIGCAT
2025年10月04日㈯ 〈兵 庫〉 神戸VARIT.
2025年10月05日㈰ 〈京 都〉 KYOTO MUSE
2025年10月11日㈯ 〈長 野〉 NAGANO CLUB JUNK BOX
2025年10月12日㈰ 〈宮 城〉 仙台Rensa
2025年10月18日㈯ 〈千 葉〉 柏PALOOZA
2025年10月19日㈰ 〈埼 玉〉 HEAVEN'S ROCKさいたま新都心 VJ-3
〈一般 1次先行販売〉
【受付期間】2025年4月25日㈮ 12:00 - 5月9日㈮ 23:59
>ツアー詳細 https://www.vivid2025.com/summertour