9月27日に結成8周年を迎える9人組ミクスチャーユニット・SUPER★DRAGON(通称・スパドラ)が、主催ライブイベント『DRA FES 2023』を9月24日に東京・豊洲PITで開催した。
ゲームコーナー等の企画に暴露トークなど、普段のライブとは異なる趣向を交え、ファン感謝祭的なイベントとして毎年秋に実施されてきた『DRA FES』だが、今回は2年ぶりの実施ということでさらにパワーアップ。
“龍崎高校学園祭”としてバラエティ色の強い企画で攻めまくり、場内の爆笑をかっさらった1部、“8th Anniversary Live”のタイトルでスパドラの歴史を振り返り、挑戦を交えた新旧の楽曲で成長を見せつけた2部と、まったくタイプの異なるステージでスパドラの華麗なる表と裏を見せつけた。
2部のアンコールでは、12月22日に同じ豊洲PITで結成9周年突入のスペシャルイベントを行うことも発表。メンバー“9”名での“9”周年ということで、なんとチケット代は999円というサプライズな告知に、フロアを埋めつくしたBLUE(スパドラファンの呼称)も沸き立ち、久々の“祭り”をメンバーと共に楽しみつくした。
メンバー9人が龍崎高校のヤンキー学生として登場した1部では、学園祭のためのホームルームという名目で、この日だけのお楽しみ企画が多数展開された。詰襟の学ランを着崩して学校机の上に乗りあがり、ワイルドなラップが吹き荒れる「BADASS」で幕開けからアウトローなムードを全開にすると、まずは学園祭での披露曲を争い3チームに分かれてバトル。
BLUEが選んだメンバーのイメージランキングを3組それぞれに予想するが、“プレゼントのセンスがありそうなメンバーは?”というお題で、「電車のものしかあげないから」と全組が鉄オタの伊藤壮吾を9位に指名したのに反し、最年長の志村玲於が最下位に入る結果に場は騒然となる。「嘘でしょ?」「おかしい!」とメンバーは動揺し、志村自身も「俺、壮吾より下……!?」と泣きそうになって、見かねた田中洸希が「もう、この企画やめよう!」とストップをかける一幕も。結果、続く大縄跳びでも勝利した飯島颯、伊藤壮吾、柴崎楽のチームが「NICHIYOUBI」を爽やかに贈り、他メンバーの乱入も受けて飯島は「気持ちよかったね!」と満足そうに微笑んだ。
ランダムでスポットライトを当てられたメンバーが、瞬時に胸キュン台詞をひねり出すスパドラ名物の“キュンキュン大喜利”も、今回は学園祭仕様のお題で行われ、続いて場内を爆笑の渦に叩き込んだのがアイマスク&ボイスチェンジャーで身バレを防いでの匿名トーク。我こそがスパドラで一番オシャレだ、いや、頼りになると主張し合った末、「衣装を脱いだらベルトを片付けて」や「人が買ったお菓子を勝手に食べないで」等、ここぞとばかり発せられるメンバーへのクレームも愛らしく、彼らの人柄がうかがえる。
さらに、学園祭の練習として予想外のカラオケも行われ、各メンバーによる驚きの選曲とパフォーマンスにBLUEは熱狂。まずは飯島、田中、池田彪馬が、ジャン海渡と松村和哉のラップを加えてNiziUの「Make you happy」を見事に歌い踊り、スパドラでは歌う機会の少ない伊藤は「POP STAR」(平井堅)のソロ歌唱で野外フェス並みの盛り上がりを呼んで、メンバーから「歌い慣れてない?」と突っ込まれる。先輩であるM!LKの「奇跡が空に恋を響かせた」を歌った田中は、各メンバーの歌まねも交えて客席の爆笑をかっさらい、負けじと志村は「新世界」(Ado)の歌い出しを凄まじいハイトーンで叩きつけ、最後は全員で湘南乃風の「睡蓮花」でブチ上がり。こんな豪華すぎるカラオケが見られるのも『DRA FES』ならではだ。
そして「メッチャ緊張してるんですけど、よろしくお願いします!」(ジャン)とスタートした学園祭本番では、初期曲「The Survivor」を皮切りに、倍速ダンスを誘う「ゲットレジャーニー」、久々の披露に歓声が沸いた「ワチャ-ガチャ!」と、一緒に踊れるナンバーで会場を席捲。最後は超鉄板ミクスチャーロック「Untouchable MAX」でBLUEの大合唱を巻き起こし、アンコールでは「ららぽーとでお買い物しましょう!」と、これまで幾度となくインストイベントを行ってきた会場近くのショッピングセンターの名を挙げ、「SHOPPING TIME」で笑顔のフィナーレを迎える。女子には知られざる、男子校のはっちゃけ感を丸ごと盛り込んだようなステージは、年に一度の龍崎高校学園祭だけ。「来年も龍崎高校学園祭、来てくれますか!?」という古川毅の問いかけに、満場の「はい!」の声が応えた。
対照的に“8th Anniversary Live”として行われた2部では、パフォーマーたるメンバー9人の幅と実力が存分に発揮。歴代のMVと代表曲をつないだヒストリカルなオープニング映像から、マリオネットめいた動きでミステリアスに迫る「Welcome to my hell」、ローからハイ、ポップからドープのギャップが目くるめく「Are U Ready?」と、直近のアルバム2枚で幕開けを飾る曲を並べて、奥深きスパドラの世界へと誘っていく。
「2023年の俺らを見てほしい。懐かしい曲には頼らない」(古川)と予告しながら、鮮やかな法被を羽織った古川とジャンがライトセーバーを打ち交わしてのスパドラ初リリース曲「BIG DIPPER/feat.UDANJI ICHIKAWA」に「ZEN-SHIN-ZEN-REI」と、CDデビュー以前の超初期曲を畳みかける裏切りっぷりも痛快。
ライフセーバーの演出で「BIG DIPPER/feat.UDANJI ICHIKAWA」が始まるのは2015年以来なんと8年ぶりな上、「ZEN-SHIN-ZEN-REI」の間奏では、モニター上に当時のテレビ番組で行われたダンスオーディションの映像も流れて、その初々しい姿でBLUEの悲鳴を呼んだ。そこで勝ち抜いたジャン&柴崎楽が、実際にステージ上でソロダンスを披露したりと、いわば“原点”に回帰した構成は、まさしくアニバーサリーならではのスペシャルなもの。続く「Ooh! Ooh!」も2017年に発表された1stアルバムの楽曲ながら、古川&ジャンのみがマイクを握っていた先の2曲とは異なり、松村がラップ、池田が歌唱パートに参加して、田中はヒューマンビートボックスでジャンと掛け合い。スパドラの進化スピードがいかに凄まじいものだったのかが、そこからもわかるだろう。
ここでジャンがエレキギターをつま弾き、客席をざわつかせると、ミラーボールの光を浴びたステージにラップのジャンと松村、ボーカルの古川と田中、池田の5人が腰掛け、昨年リリースされた「Honey Baby」をフロウ。セクシーに大人びたダンスチューンを、自在なフェイクも交えながら声だけで艶めかしく表現していく様に、ついに最新のスパドラを目撃できた!と思いきや、続いて、まったく違う形での最新形「SAWAGE!!!!」が襲来する。志村、飯島、伊藤、柴崎のダンサー4人のみで歌を含むパフォーマンスすべてを務めるスパドラ史上初のナンバーに、客席は大音量のコールを入れて沸騰。この夏に初披露されたばかりにもかかわらず、すでにBLUEに浸透して切っている楽曲のお祭りパワーは絶大だ。
過去から未来への軌跡をクッキリと描きだし、スケール感のある「Bad Day」で場をゆるめると、SNS上で募集したBLUEの聞きたい曲アンケートから「WILD BEAT~HACK MY CHOICE」を撮影許可付きで披露するという『DRA FES』らしいメニューも。ソロアクトを交えた躍動的なダンストラックから快活なロックチューンへとつながる流れは、1stアルバムのオープニングを飾っていたもので、その懐かしくも力強さの増したパフォーマンスに、BLUEもスマホを構えながら熱いコールと「最高!」の声で喜びを伝える。
MCでは結成からの年月を振り返り、ジャンが「一番大きかったのが、年長組のファイヤードラゴンに、年少組のサンダードラゴンが生まれたこと」と語っての後半戦では、2016年に始まったグループ内ユニットが登場。まずはファイヤードラゴンの4人が残り、きらびやかなネオンとミラーボールの光が似合うオシャレな最新曲「Aim So High」で、ハードなパフォーマンスを繰り広げたかと思いきや、なんとサンダードラゴンの「GETSUYOUBI」を元気いっぱいにカバーしてBLUEを驚かせる。そこに合流したサンダードラゴンの5人は、逆にファイヤードラゴンのラブソング「ARIGATO」を歌唱するというサプライズで、おなじみの楽曲に新鮮な表情を描き加えていくことに。
注目すべきは古川と池田のボーカル同士、ジャンと田中・松村のラッパー同士での歌割り交換のみならず、それぞれ普段は歌うことの少ない志村と飯島、伊藤と柴崎のダンサー陣もしっかりとソロを取っていたことで、そこにも新たな可能性を垣間見ることができた。さらにサンダードラゴンの5人は、ダンス、ボーカル、ラップが緻密に絡み合う自身の最新曲「Bad Bitter Honey」で、スキルとタフネスが求められるパフォーマンスを見事に体現。初期曲と最新曲を並べて確かな進化を記すのみならず、曲交換で秘めたるポテンシャルを感じさせてくれたのが嬉しい。
成熟しきった世界観が漂うなか、自身の覚悟を改めてクールに昇華した「X」に、新たなキラーチューンとして今年誕生したミクスチャーロック曲「Tap tap tap!」と畳みかければ、BLUEもグループカラーである青に光るライトスティックを振り上げて熱狂。楽曲のタイプは異なるものの、いずれも限りなくメンバー発信で作られたナンバーであり、彼らの豊かなクリエイティビティには驚嘆するばかりだ。一方、最新配信曲「Reach the sky」では一心にタオルを振り、生身のパワーで問答無用にオーディエンスの心を動かすリアリティも彼らの大きな魅力。この日は、そこに8年の歴史と物語が加わることで、さらなる感動を呼ぶことになり、アンコールではステージで1人スポットを浴びた池田から、古川へと朗々たるアカペラをつないで始まった「KITTO→ZETTAI」に、フロアから悲鳴のような歓声があがる。サンダードラゴンの田中、池田、松村がボーカル&ラップに加わり始めた、いわば現在のSUPER★DRAGONの“原点”とも言えるナンバーに、今持てるスキルを注ぎ込む9人の姿からは、さらに上へのステージへと向かう彼らの熱い覚悟がにじんでいた。
結成から8周年となり、
「2023年、まだまだ思い出を作っていきたい」