Ave Mujicaのドロリス/三角初華役をはじめ、数々の作品で役者・シンガーとして活躍するアーティストの佐々木李子が、この夏、大阪・東京の2都市にてワンマンライブ『RI PATHOS LIVE in OSAKA/TOKYO』を開催。その東京公演が8月20日、Zepp Shinjukuにて行われた。
今年6月にリリースしたフルアルバム『RI PATHOS』を携えた今回のワンマンライブでは、全曲書き下ろしの新曲で構成された同アルバムの楽曲を軸に、近年の代表曲から懐かしい楽曲、本邦初公開となった最新曲まで全20曲を披露。自らの生き様“李子道”を様々な曲に込めて表現すると同時に、これまでの歩みと未来へ続く“道”を示す一夜となった。
会場には大勢のトリコ(佐々木李子のファンネーム)が集い、期待の熱気が充満するなか、照明が暗転するとオープニングSEに導かれて本日の主役・佐々木李子がステージに登場。アルバム『RI PATHOS』の1曲目を飾ったアグレッシブなロックチューン「桃李成蹊」でライブの幕を開ける。この日のライブをサポートするのは、栗原陸人(Gt)、乘冨 鼓(Dr)、かーすけ(Ba)、ジョー(Key/バンドマスター)から成るバックバンド。そのパトス溢れる演奏に身を委ねながら、自身の名前に由来する“李(すもも)”になぞらえた楽曲を力強くも優美な歌声で紡ぎ、夢の花を咲かせる。
そこからポストロック的なアンサンブルと気高く揺れる歌唱表現が鮮烈な景色を描く「花邑 -Hanamura-」、奔放なロックの衝動が詰め込まれた「オランジェット」と攻め感のあるナンバーを立て続け、会場は早くも凄まじい熱気に包まれる。MCで「こんりこちー!」と元気いっぱいに挨拶した佐々木は、「私の人生をみんなにも一緒に歩んでもらいます」「佐々木李子の人生を歩む覚悟はありますか!」と呼びかけると、7弦ギターを手にしてゴリゴリのメタルコア「まるでマトリョーシカ」に突入。重厚なサウンドとそれを突き破るほどのハイトーンでオーディエンスを扇動し、フロアのあちこちでヘッドバンギングが巻き起こる。
ギターを置いた佐々木は続いてスケール感のあるアンセミックなナンバー「極超新星」へ。トリコたちも“Oh~♪”と声を上げながら佐々木の紡ぎ出す日常の向こう側のライブ空間へとダイブする。ここまでの5曲はアルバム『RI PATHOS』の楽曲を収録曲順に届けてきたが、次に披露したのはアーティスト活動の原点にあたる佐々木李子名義の初シングル曲「カサブタ」。ステージが真っ赤に染まるなか、彼女は自身のルーツにロックが息づいていることを証明するかのように激しい歌を響き渡らせる。さらにピアノによる優雅なイントロから、ゴシック&ヘヴィネスな世界観を纏ったLantisレーベルからのシングル曲「Majestic Catastrophe」へと急転直下。光と闇が交差するような苛烈極まりないパフォーマンスで会場を圧倒する。かと思えば、スウィンギーな「Knock Out!」では冒頭からパンチの効いた歌声でソウルフルな一面をアピール。ステップやターンも交えた華麗なステージからはミュージカルの素養も垣間見える。「“りこ祭り”で一緒にお祭り騒ぎするぜ!」と歌い始めた「豪華絢爛祭」では、バンドメンバーの紹介を兼ねたソロ回しパートを挿みつつ、観客に向けて「一緒に回ってみよう!」と呼びかけると、フロアはクルクルと回転しながら大騒ぎ。まさにお祭りのごとき様相だ。
「ロックは自分を解放できるジャンルなので一番好き」と語る彼女は、だからこそ最新アルバム『RI PATHOS』は全曲ロックにしたと説明。誰でもなく自分自身の「好き」という気持ちに正直に生きることを心がけており、最近はたまごっち、スクイーズ、シール帳がお気に入りだと語る。その流れで客席に向けて「私の好きな食べ物、なんですか?」と聞くと、トリコたちは一斉に「麻辣湯!」と回答。ということで「一緒に伝説の麻辣湯を探しに行きましょう!」と、この日も4日連続で食べ続けているという彼女の大好物をテーマにした楽曲「魂の麻辣湯」へ。ステージに運び込まれた銅鑼をジャーンと鳴らすと、麻辣湯ばりに刺激的で中毒性の高い中華ロックがスタートし、トリコたちは曲中で佐々木が提示する数字に合わせてクラップを鳴らし、「ウー!ハー!」とこぶしを突き出して盛り上がる。そんな賑やかな宴に続いてはエネルギッシュな「レクイエムボンファイヤー」で音楽の歓びを会場のみんなで分かち合い、タオル曲「カミガカリ」では冒頭みんなで“Wow wow”と歌って一体感を作り上げると、そのまま一気呵成にアッパーなメロコアへと雪崩れ込み、会場中がタオルを振ってハイな状態に。佐々木もバンドもトリコたちも自分自身を解放するようなブロックとなった。
「みんなの顔を見てると無限に元気が湧いてくる」と嬉しそうに語る佐々木。ここからは自分の中にある“闇りこち”と“光(ひかり)こち”の要素のどちらとも取れない、灰色だった頃の気持ちを描いた曲を歌うと宣言する。それはアルバム『RI PATHOS』収録の佐々木自身が作詞・作曲したナンバー「ひとひら」。彼女が上京したての頃、自分を知ってもらうためにチラシ配りをしていた時の気持ちをチラシ目線で綴った曲だ。アコースティックギターを弾きながら、どこか不安に揺れながらもひたむきに前を見て進むような歌声が心に沁みる。そこからアコギの情熱的なストロークと共にスタートした自身の作詞曲「詩をまく者」に繋ぎ、“咲きたい”という想いを真っ直ぐに届けると、ギターを置いて「寄り道」を歌唱。オレンジのライトが夕焼けのように彼女を包み込むなか、トリコたちが大きく上げた手を横に揺らして温かく迎える。
「ひとひら」から「寄り道」までの3曲で、「灰色からまた新たな色を見つけて進んで行く」自身の道のりを表現したと語った佐々木は、続いて先ほどとは異なる赤いボディのアコギを手にする。それは彼女が中学3年生の時に初めて購入したギターで、名前は「アニーくん」というらしい。きっといろんな思い出が詰まっているであろう、そのギターを弾きながら歌い始めたのは「てづくりのうた」。佐々木が初めて自分で作詞・作曲した曲だ。バンドの演奏も合わさって、より太く上向きになった音に乗せて届けられるのは、“聴いてくれてありがとう”という感謝の気持ち。曲間で佐々木は手拍子を呼びかけ、会場のみんなと一緒にこの日だけの「てづくりのうた」を作り上げた。
会場が温かな空気で満たされるなか、佐々木は「私の道はまだまだ続いていきます。つまずいても、転んでも、進んで行きます。一緒にどこまでもいこう」と告げると、次曲「Walkin' Walkin'」へ。不器用でも臆病でも前に進んで歩き出せば、その先には未来が待っている。そんな歌詞の内容が、先ほどの佐々木の言葉と重なって、トリコたちの背中を押すメッセージとなって伝わる。サビの手を横と縦に振る、この楽曲特有の動きが、お互いにエールを送り合っているようで、自然と元気になれる。そして「ラストスパートいくぞ!」と威勢よく煽って、Lantisからの再出発を飾ったナンバー「Windshifter」を披露。テンション高くクラップやコールで盛り立てるトリコたちの応援が追い風となって、佐々木の歌声はどこまでも爽快に吹き抜けていく。あまりにも眩しく美しい景色だ。
「みんな一緒に駆け抜けてくれて嬉しいです!」と喜びをあらわにする佐々木から、ここでとっておきのプレゼントが。それは新たなアニメタイアップのお知らせ。新曲「Still Water」が、今秋より放送されるTVアニメ『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる 第3期』のオープニング主題歌に決定し、11月11日(水)にニューシングルとしてリリースされることが彼女の口から告知され、会場は喜びに沸く。さらにその新曲が初披露されることに。佐々木曰く“純粋・純水”をテーマにしたという本楽曲は、透明感と力強いエモーションを併せ持ったオルタナティブロックナンバー。美麗なファルセットボイスを交えつつ、時にその世界に入り込んで陶酔するように歌う姿が印象的で、凛としたポージングでの締め括りを含め、アーティスト・佐々木李子の新たな“道”を示す1曲となりそうだ。
そして「次の曲がラストです!」と告げられると、会場からは別れを惜しむ声が。佐々木曰く今回のライブは「一本道で締め括りたい」とのことで、アンコールはなし。彼女は、この日、最後のタイミングでみんなに伝えるために言わないようにしていたという言葉「ありがとう」をしっかりと伝えてトリコたちに改めて感謝の気持ちを示す。「でも、まだまだ何かを成し遂げたなんて思ってないですし、旅の途中です。これから先、もっともっと長いです。いろんなことが起こると思うけど、いいことも悪いことも全部力にして、これからも進んでいきます。そして誰かの、みんなの人生に残る歌とライブを届けていきます。これからも一緒の道を歩んでください」。そんな決意と約束を胸に、彼女が最後に歌ったのは、アルバム『RI PATHOS』のラストに置かれていた「道」。ドラマチックなサウンドが山並みのように広がるなか、これまでのすべての軌跡を背負うかのように、想いを込めて滔々と歌い上げる姿が心に迫る。間奏を経ての落ちサビのパートで、バンドの演奏がストップして静寂に包まれるなか、ピンスポットを浴びながらアカペラで歌唱する場面は本公演のハイライト。そこから山頂のクライマックスに向けての力強く歩むような歌唱も感動的で、最後に深くお辞儀すると会場からは万雷の拍手と喝采の声が上がった。
本公演やアルバム『RI PATHOS』で描き出された内容から察するに、アーティスト・佐々木李子の辿ってきた“道”は、決してすべてが順風満帆だったとは言えなかったかもしれない。だが、寄り道や回り道を含め様々なルートを歩んできた彼女の軌跡こそが、卓越した表現力や陰影に富んだ歌声を育んだことは間違いない。この日に告知された新曲「Still Water」から続く新たな“道”もまた、佐々木李子という表現者の深みをさらに増してくれることだろう。
TEXT BY 北野 創
PHOTO BY Takashi Konuma、石原汰一
セットリスト(8月20日 東京公演)
M1.桃李成蹊
M2.花邑 -Hanamura-
M3.オランジェット
M4.まるでマトリョーシカ
M5.極超新星
M6.カサブタ
M7.Majestic Catastrophe
M8.Knock Out!
M9.豪華絢爛祭
M10.魂の麻辣湯
M11.レクイエムボンファイヤー
M12.カミガカリ
M13.ひとひら
M14.詩をまく者
M15.寄り道
M16.てづくりのうた
M17.Walkin‘Walkin
M18.Windshifter
M19.Still Water ※初披露曲
M20.道
≪『RI PATHOS LIVE in OSAKA/TOKYO』セットリスト&プレイリスト公開!≫
https://pylonport.bandainamcomusiclive.co.jp/report/797
佐々木李子 「Still Water」11月11日(水)発売
TVアニメ『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる 第3期』オープニング主題歌
【アーティスト盤】
品番:LACM-24728 (CD+BD)
価格:3,300円(10%税込)/3,000円(税抜)
【アニメ盤】
品番:LACM-24729 (CDのみ)
価格:1,650円(10%税込)/1,500円(税抜)
●特典情報:https://sasakirico.lantis.jp/news/844/
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