横⼭裕と渋⾕すばるのツーマンでの対バンイベント「横⼭裕×渋⾕すばる」の最終公演が5日、東京ガーデンシアターで行われた。

9月20日、21日の神戸・ワールド記念ホール、10月3日~5日の東京ガーデンシアターと開催された本イベントのチケットは即完。全5公演で、計35,000人を動員した。
 
ファンのコールが響く中、最初にステージに姿を現したのは横山裕。6月にソロアルバムをリリースし、15年ぶりとなった全国11都市を巡るソロツアー『ROCK TO YOU LIVE TOUR』を9月に終えたばかりだ。“武者修行”と銘打ったソロプロジェクトでつけた勢いのままに、渋谷すばるに戦いを挑みにきた。
 
「今日が一番幸せってライブやるからさ。全力でかかってこいよ!」と声を上げ、横山のかき鳴らすギターで『ロックスター』が始まると、観客は力強く拳を突き上げ会場のボルテージが一気に高まる。

「俺、ロックをあなたに届けたいんすよ!届けるんすよ!それが俺の存在意義」との言葉で始まった『存在意義』では、「あなたと俺でやるんすよ」と熱く会場に呼びかけ、「もっと もっと届け…あなたへ!」という歌詞に合わせて、会場にいる一人一人のあなたへ訴えかける。
 
MCでは、「多分、今日いろんな感情がうごめくと思います。でも、それが生きてる証拠やから。今日という日を脳裏に焼き付けて、これからもやっていこうと思う。帰るときに、幸せやったなって思わせるから大丈夫。絶対。悔いが残らんように出し切るから、あなたも本気でぶつかってきて」と語りかけると、会場から大きな歓声と拍手が巻き起こった。さらに、『黄金期』や『プライド』といったストレートなロックを力の限り歌い上げる。

そして、ライブ終盤。「あいつの強い覚悟がなかったら、ずっと歌い続けてくれてなかったら…俺はギターを持ってないし、今、あなたの前で歌ってないと思う」と話し始めた横山。「何が正解かわからないこの時代。失敗なんて絶対するから、あとはどう正解にするかだけ。だから、俺は自分を信じるようにしてんねん。自分を信じないと人を信じれないから。人を信じられへんかったら、人に優しくしてもらえへんから。だから、あなたも自分を信じて。自分を信じて、自分がいいと思うものを信じて、俺はそんなカッコいい人生を歩みたいと思ってんねん、あなたと共に」。そう静かに語ると、『ど真ん中』を最後に届けた。

「ど真ん中に生きて 失敗があるから成功   物理、理屈だけで測れないぜ人生。ど真ん中に生きて 感情で動くから感動 そんな人生でいい。人生の主役であれ」。横山の真っすぐでウソのない思いが詰まった一曲は、確実にあなたに届いたはずだろう。
 
全9曲を歌い終えると、「このあと、俺の友達がカッコいいステージ見せてくれるから!」と渋谷にタスキを渡し、鳴りやまない拍手に包まれながらステージをあとにした。

続いて友達からのタスキを受け取った渋谷すばるが登場。ステージのど真ん中でピンスポットに照らされ、アカペラで力強く歌い出す。

1曲目はトイズファクトリー契約後第一弾リリースの楽曲で、この対バンのきっかけにもなった『人間讃歌』。ありったけの思いを込めて歌い上げる、その圧倒的な歌声を会場は息をのんで聞き入った。
 
一転、ステージにはダンサーが現れ、『Lov U』『アオ』のポップなナンバーで盛り上げる。会場のクラップに合わせて渋谷も体を揺らし、ときにジャンプしながら笑顔を見せた。

そして、「最高のバトンを受け取ったので、自分も自分のベストを尽くそうと思います」とやわらかな表情に。さらに、「毎日、誰もが一生懸命戦って生きてる。どんなときも、ありのままのあなたで生きていてください」と語ると、『さらば』を披露。その力強くも優しい歌声に、涙を流すファンの姿もあった。

「今日の日にピッタリな今日がニューアルバムにあるんです。ぜひ初披露させてもらえないでしょうか」とサプライズで、新曲『Final Note』を。バンドメンバーと楽しそうな掛け合いをみせ、客席は歓喜で満たされた。

そして、『ストライクゾーン』のイントロが始まると、「次の曲は、全員でタオルをぶん回す曲です!準備はよろしいでしょうか~!」と歌うように節をつけて語りかける。アップビートな楽曲に合わせて会場中がタオルを回し、ガーデンシアターが一体感に包まれた。
 
ライブ後半に入ると「暴れちゃってよろしいでしょうか! 全部、ぶつけてこい! 俺がひとつ残らず全部受け取るから」と、熱の伝わる言葉で客席のボルテージを上げる渋谷。歌うように、ときに激しくブルースハープを吹きながら、『爆音』『ワレワレハニンゲンダ』など、ロックのメドレーで畳みかけた。
 
渋谷は「今回の対バンができたのは、横山裕っていう一人の人間の熱い想い、覚悟…そういうヨコの想いが伝わって、心動かされた人がたくさんいたから。俺も、その一人です」とゆっくりと言葉を紡ぐ。「たくさん動いてくれたスタッフのみなさん、そして、すべてのきっかけを作ってくれた横山裕に心から感謝を伝えたいです。僕と横山裕とでしかできないライブを届けられたんじゃないかと思っています。(客席に向けて)いろんな思いがあったと思うけど…今、ここにいてくれて、このライブに来てくれてありがとうございます」と真摯な言葉を伝えた。
 
そして、ラストの『Sing』へ。「歌が必要だ この世界に  歌が必要だ どんな時でも 」というシンプルだが力強い歌詞を、ガーデンシアターにいる全員で熱唱し、心をひとつに合わせた。

笑顔があふれる会場を渋谷は幸せそうに見渡し、何度も「ありがとう」を伝えながらステージを去って行った。

アンコールの声に導かれ、再びステージに舞い戻った二人は、息の合ったトークで笑わせたあと、横山がゲストボーカリストとして参加した『Su』を披露。ここで、モニターに突如、1枚の写真が映し出された。

それは二人が久しぶりに会い想いを伝え合った日の写真だった。そこに記されたのは、図らずも一年前の今日と同じ日付「10月5日」。あまりの偶然に、会場からは「え~!!」という驚きの声が上がった。

最後は、『ROCK TO YOU』の収録曲『繋がる』を魂を震わせるように熱く歌い上げ、最高潮の盛り上がりの中、ステージは幕を閉じた

彼らが、この対バンでやりたかったのは、懐かしさに浸ることでもなく、ただただ純粋に、アーティスト同士として対峙すること。そして、それぞれの覚悟を持ち寄って、このステージでぶつけ合うことだった。奇しくも「あなたに届け」「あなたと共に」という近しいテーマで、目の前にいるあなたと向き合うことを決めた二人。

そんな想いが音楽を通じて呼応し合う。そして、繋がった、横山裕と渋谷すばる、目の前にいる”あなた”の絆と音がーー。

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