京都の四人組バンド水平線が12月15日(日)に京都GROWLYにてワンマンライブ『Dawning』を開催した。

田嶋太一(Vo/Gt)、安東瑞登(Vo/Gt)のツインボーカルが織り成す、豊かなハーモニー。川島無限(Dr)の力強いビートに水野龍之介(Ba)のしっかりと支えるベースライン。ブリットポップからの影響を感じさせるシンプルながらも、耳馴染みのいいメロディーラインは彼らの持ち味であり、武器でもある。くるり、キセル、 おとぼけビ~バ~などを生んだ京都の音楽シーンにおいて、今や最も注目すべきバンドといっても過言ではないくらいの存在だ。

2024年は1stアルバム『NEW HORIZON』をリリースし、関西の音楽フェスである『MINAMI WHEEL』『ボロフェスタ』にも出演。共に入場規制がかかるくらいの人気ぶりを見せている。そんな彼らがワンマンの舞台に選んだのは、2024年いっぱいで閉店するライブハウス京都GROWLY。彼らも何度も出演した、思い入れのあるライブハウスだ。

演奏前から、会場は超満員。順風満帆で望むワンマンライブ、その一曲目に演奏したナンバーは「颱」。うねるグルーヴとみずみずしいユニゾンが会場内を包み込む。以降「SUPERSTAR'82」「モザイク」「夕立ち」と畳みかけるように次々と楽曲を披露。推進力のあるサウンドが会場を駆け抜けていく。

さらに「かすみ草」では陽だまりのような暖かさのある安東のボーカル、「stove」では冷え冷えとした質量を感じるサウンドが展開。一筋縄ではいかない、さまざまな顔をもつ音楽はまるで車窓から見える彩りある風景のようだ。彼らは“旅するロックンロールバンド”と自称するが、ライブを観ればそう言いたくなるのも納得である。

特にその真骨頂というべきは中盤で披露した「潮の目 (interlude)」からの「Throwback」。「潮の目 (interlude)」では厚みのあるギターサウンドで大海原を思い起こさせるような、壮大な音景をフロアに作り上げていく。その勢いを引き継ぐ形で「Throwback」を演奏。雄大に広がる海を一隻の船が水平線へと向かうかのような、田嶋の力強いボーカルとビートがフロアに充満していく。

また今回は新曲を2曲披露。安東ボーカルの楽曲は思わず口ずさみたくなるような良質なメロディと、堂々とした歌が印象的だ。対して、田嶋ボーカルの楽曲はメロウなサウンドと胸を締め付けるような歌声が特徴的である。どちらも水平線の新たなる名曲といっても差し支えのないナンバーだ。

ライブもいよいよ終盤戦。「盛り上がっていきましょう!」と安東が言い、演奏されたのは「アンノウン」。クリーンで爽快なギターサウンドが会場を駆け巡る。「ありがとうございました、水平線でした」と田嶋が言い披露された、本編ラストナンバーは「ロールオーヴァー」。パワフルに邁進していくその音楽に会場からは手を挙げて一緒に「Let's go ロックンロール!」と歌う観客の姿も見られた。

名残惜しいのか演奏後も観客の拍手は鳴りやまず、再びステージに戻ってきた彼らは「岬まで」「Downtown」を披露。それでも満足できない観客の拍手に押されダブルアンコールでは「トーチソング」を演奏。田嶋のエモーショナルな歌声がフロアを掌握していく姿は、この日のハイライトであった。

2025年3月には東名阪、そして地元京都で『旅するロックンロールツアー2025』も開催。来年もその勢いは止まらないであろう。終盤で田嶋が「俺たちが、日本のNEW HORIZONになる」と宣言したが、それも納得のライブであった。

取材・文:マーガレット安井
写真:美海

水平線

メンバー(左から):
川島無限(Dr) / 安東瑞登(Vo/Gt) / 田嶋太一(Vo/Gt) / 水野龍之介(Ba)
2018年結成、京都発の4人組ロックバンド。
タイトなバンドサウンドからエヴァーグリーンでスケール感のあるアンサンブルまで、充実した演奏とコーラスワークが光る新世代バンド。
古くははっぴいえんどから脈々と受け継がれてきた日本語ロックのDNAを今に継承しながら、UKオルタナティブ、そしてトラッドなフォークポップスへと昇華していくソングライティング。
次のシーンの“台風の目”にして大本命。新たな日本語ロックの金字塔がここに誕生。2024年3月にリリースした1stアルバム『NEW HORIZON』は早耳リスナーの間でも話題を呼び、収録楽曲はライブでも好評。
2000年代のJ-ロックの系譜をUKサウンドと繋ぐ絶妙なパフォーマンスが魅力。
“旅するロックンロール”はあなたの元でも青々と鳴り響く...
※2025年1月に新曲のリリースを控えており、本タイミングからバンドの情報発信をしておりますが、Polydor Records及びユニバーサルミュージックからのリリースであることは伏せる形となりますので、情報発信の際はご注意いただけますと幸いです。

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