魔暦27年(’25)11月2日、長崎ハピネスアリーナにて行われた『地球魔界化計画 第Ⅱ章』。聖飢魔Ⅱ、そして地獄の大魔王ダミアン浜田陛下率いるDamian Hamada’s Creatures(D.H.C.)が登場したその夜、会場はまるで現実と異界の境界が溶け出すような熱気に包まれていた。

 

暗転した瞬間、観客の中から沸き起こった「D!H!C!」の大合唱がアリーナ全体を突き抜け、誰もがその声のうねりに呑み込まれていく。荘厳な『聖詠』(SE)に“地球魔界化計画特別ヴァージョン”としてデーモン閣下のナレーション入りが流れはじめると、否応なしに会場は今まさに始まる魔界史の一大イヴェントへの興奮で湧き上がる。闇の奥から光が滲み、改臟人間たちが次々と姿を現し、そしてダミアン浜田陛下が登場。

ステージ中央奥高くにある玉座に鎮座されている陛下に改臟人間たちが跪く。やがてヴォーカルのシエルが、陛下ご愛用のアニマル柄の武器(ギター)を陛下へ・・・、そしてメンバーがそれぞれ立ち位置に着く、その表情は自信に満ち溢れている。

 

KAZAMIクロウリー(Drums)の合図が響いた瞬間、会場の空気が一変する。鋭く切り裂く一撃とともに始まった「審判の日」そしてダミアン陛下も加わって演奏されたD.H.C.地球デビュー曲「Babel」は、“序章の嵐”だった。

ヴォーカル&演奏力共にダミアン陛下に選ばれ改藏人間となったメンバーの重厚な鋼鉄サウンドは、初めてD.H.C.を体験した聖飢魔Ⅱ信奉者やファンに実力を見せ付け、そのエネルギーがアリーナの隅々にまで行き渡り、観客の身体を、五感を直接震わせる。

中盤ダミアン陛下が、聖飢魔Ⅱのサポートとしても知られるKAMISORI SYUTOを呼び込むと、次に放たれたのは6月6日に先行配信されたばかりの「666」。陛下が語るには、この曲は神に失望した人間たちの苦悩と反逆の象徴であり、その「666」という数字には“Rock Rock Rock”という叫びをも掛け合わせたという。イントロが鳴った瞬間、観客が沸騰する。怒号のような「Rock! Rock! Rock!」のコールが巻き起こり、音と声と光が渾然一体となってアリーナを呑み込んでいく。誰もが拳を突き上げ、叫び、誰もがこの瞬間に生きていた。

 

続いて披露されたKAMISORI SYUTOのドラマティックなピアノソロから始まる「Eternal Sinner」でD.H.C.の音楽性の奥深さを見せ、次に披露した「天空の放浪神」では、純度100%の様式美ヘヴィメタルで襲う美しき音の洪水が聴く者の意識を奪っていく。まるでステージ全体が一つの生命体となって脈動しているようで、観客の歓声がそれに応える。そしてクライマックス、「嵐が丘」が始まった瞬間、アリーナの空気がさらに張り詰めた。RENOファウストとアックスKAZUMAが左右のお立ち台へと飛び乗り、二人のギターが交錯し、そしてダミアン陛下もお立ち台に上がりトリプルギターによる雷鳴のようなフレーズが空間を切り裂くと、リリス一ノ瀬のベースが唸りを上げ、KAZAMIクロウリーが用いるチタン製のドラムが、重厚なドラミングとともに地鳴りのような低音となり床を伝う。観客の歓声が再び爆発し、会場中央へ伸びる花道をメンバーたちが悠々と歩き、こうしてD.H.C.のライヴは大熱狂の中終焉を迎えた。

 

D.H.C.は11月19日(水)に第VI大聖典(アルバムのようなもの)『新世界黙示録』を発表する。11月12日(水)『愛と殺戮の輪舞曲(ロンド)』の先行配信そして同日21時からミュージックビデオのプレミア公開も行うので必ずチェックしてほしい。

 

暗転したアリーナに再び地鳴りのような歓声が。間髪を入れず、もはや聖飢魔IIの登場曲ともいうべき、映画「ゴジラ」から“三大怪獣地球最大の決戦のテーマ”のSEが流れる中、いよいよ聖飢魔IIが長崎に27年ぶりに姿を表したのだ。「創世紀」で始まる音の一つ一つは、もはやレジェンドバンドとして無敵の説得力を醸し出す。地を揺るがす緻密なサウンドとともに棺が運び込まれデーモン閣下が登場!この一連の流れだけでアリーナの空気を掌握してしまう、まさに『生きる伝説』・聖飢魔IIここにありという展開。

歌唱1曲目の「LOVE LETTER FROM A DEAD END」からアリーナの熱が一気に爆発する。切り裂くようなギターの音が胸を撃ち、デーモン閣下の声がまるで竜巻のごとく会場を支配する。観客は両腕を掲げ、全身でその音を受け止める。長崎の夜が瞬く間に、近未来的な重厚さと疾走感をまとう世界に包まれてゆく。 続く「Masquerade」ではインダストリアルな音色と人の心をノックする言葉が幻想的な照明とともに妖艶な空気をかきたて、続いて放たれた「老害ロック」では、ロックの力を見せつけるかのように、熟練ならではの激しくも痛快な演奏が炸裂。閣下のユーモアを交えた歌によるインプロヴィゼーションも冴えわたり、長崎の信奉者たちを笑いと喝采で鷲づかみにした。

名曲「アダムの林檎」ではいまや伝説となった“紅玉”のイニシエーションが長崎の夜にこだまし、サウンドはあくまでも弾けるように観客の背を押し続けた。

すると今度はここでKAMISORI SYUTOの短いピアノ・ソロ、曲は何と名曲「Teenage Dream」。観衆は一気に郷愁の世界へと引きずり込まれた!そして続いて美しきピアノの旋律から始まる「BAD Again ~美しき反逆~」、筆者も息を飲む。デーモン閣下の声が繊細に、やがて昂揚し、天へと昇っていくように響き渡ると、信奉者ならずとも心が震え、目頭を押さえる者の姿も見られた。激しさとたおやかさ、この背反する景色をも操る『多様式』もまた聖飢魔Ⅱの強力な武器である。

続く最新EP小教典でもある「Kiss U Dead or Alive」ではゼノン石川和尚のベースとジェイル大橋代官のドライヴ感溢れるギターが強烈に響きうねり、地を這う様なグルーヴを奏でていく。この古今無双のグルーヴとポップなのに哲学的な歌の融合こそ、現役・聖飢魔IIの真骨頂、音楽性の振り幅を感じずにはいられない。

うねりに漂う観衆に、最新大教典の明快なメッセージソング「Next Is The Best!」が急襲、本年の全国ツアーでも披露していない曲にコアな信奉者たちがたちまち熱狂の悲鳴をあげた。平均年齢10万61歳を超えていることが信じられないパワーの塊に驚愕していると追い打ちが来た。聖飢魔Ⅱのゼッタイ看板曲「Fire After Fire」。エナジーと貫録はその名の通り炎のようなど肝を抜くステージングで嵐のような本編フィナーレを迎えた。

 

アンコールが始まると、あのイントロが鳴り響く——「蠟人形の館」だ。もはや伝統芸能とまで評される口上と共にデーモン閣下が登場する、そこへダミアン浜田陛下も続いて登場!陛下が聖飢魔Ⅱの黒ミサに合流されるのはなななな何と今世紀初! 魔暦元(1999)年の聖飢魔Ⅱ本解散時以来26年ぶりだという!

「蠟人形の館」の作詞作曲者であるダミアン浜田陛下が、自身が創設した聖飢魔IIの奏でる「蠟人形の館」をDamian Hamada’s Creaturesのダミアン浜田陛下として演奏するという奇跡のコラボレーションがここに実現したのだ!ダミアン浜田陛下は聖飢魔II創始者でありながら地球デビュー直前に魔界に帰還し、その後世を忍ぶ仮の姿で高校の数学教師として聖飢魔IIの地球征服を見守っていた。

 

そして何と今回は、この曲伝統的『前口上』をデーモン閣下とダミアン陛下の両名で語るではないか! これは聖飢魔Ⅱ史上初のことだという。恐ろしくも何故かコミカルに展開していってしまう「蠟人形の館」の前口上。これを陛下が引き戻し、陛下自らによる「お前も蠟人形にしてやろうか〜ぁあ!」の叫び、からの日本で最も有名であろうギターリフ・イントロも自ら奏でられて「蠟人形の館」が披露される! 会場に居合わせた全ての者が有難く拝聴した特別な「蠟人形の館」だった。

もっと客の声が聴きたいという陛下のご所望により、「悪魔組曲より 序曲~心の叫び~」を観衆にアカペラで大合唱させる。これも今回は作曲者のダミアン陛下直々の指導の下に行われるという貴重な機会であった。

 

そしてここからがクライマックス、デーモン閣下がD.H.C.の改臟人間たちを次々に呼び込み、ダミアン陛下が生み出したこの、聖飢魔ⅡとD.H.C.の両バンドがステージ上に並び立つ。そして聖飢魔II史上壱弐を争う凶悪曲の一つでもある、ダミアン陛下の作曲による「Jack The Ripper」が始まる、と思いきや歌詞が違う。これは大教典に収録されるまで歌われてきた「衝動殺人者RAY」ヴァージョンの歌詞、つまり全編陛下作詞による原曲の歌詞、教典化の際悪魔教会(レコード会社のようなもの)が放送禁止になることを恐れ変更に踏み切ったヤバいヴァージョンだ!それが40年の時を超え、ジョイント・ギグで披露された。恐るべし、地球魔界化計画!

ダミアン陛下〜RENOファウスト〜アックスKAZUMA〜ルーク篁参謀〜ジェイル大橋代官という5名による圧巻の豪華ギターソロが炸裂し、咆哮のようなデーモン閣下とシエル伊舎堂のツインヴォーカルが、2ドラムス、2ベースの巨岩と一体になり、アリーナは完全に「ハピネス魔界」化されていた。

 

満場興奮の坩堝の中、歴史的なコラボレーション合奏が終わった。すると突然『Is Everything In Reverse?~♪』のメロディーが始まりデーモン閣下のご発生日(誕生日)のサプライズが行われ、割れんばかりの拍手が起こった。その後D.H.C.の改臟人間たちを送り出したのち、聖飢魔Ⅱ創始者のダミアン陛下を称えるかのように、陛下が作曲された「聖飢魔Ⅱミサ曲第Ⅰ番 魔王凱旋」を聖飢魔Ⅱの現役構成員が奏で、その中、ダミアン陛下が厳かに舞台を後にした。それは最早コンサートではなく、筆者は歴史の1シーンを目撃しているのだった。

ラストを飾ったのは「EL DOLAD」。ダミアン陛下脱退後、長く聖飢魔Ⅱ信奉者たちの心の拠り所となって来た曲だ。この特別な夜を彩るように特別な曲の渾身のサウンドが会場を貫き、観客の心を感動と共に強烈な光で輝かせるように響き渡った。

 

長崎国際放送35周年記念として、長崎ハピネスアリーナという大会場で人類にとってハピネスの真逆に位置する悪魔と魔界の使者たちを招き開催されるという「地球魔界化計画 第Ⅱ章」は、発表された時に、いったいどういうことなのだ?と感じたのは筆者だけではあるまい。しかしこの日のステージは、人類では表現できない、聖飢魔IIとD.H.C.にしかできない音楽とエンタテインメントの力で、現場で体感した観客や、配信で視聴していた方々も含めて、皆を非日常に連れていってくれる擬似魔界体験だったのではないか? 結果的にハピネス感溢れる「地球魔界化計画 第Ⅱ章」を開催し実現してくれた長崎国際放送は、35周年を迎え一足早く魔界化されていたのかも知れない。またこの模様はニコニコ生放送で独占配信されていたが、11月16日までアーカイヴ配信されるので見逃したロックファンや信者の方々はまだ歴史の立ち合いに間に合うということだ。

この後聖飢魔IIは魔暦27年(’25)11月15日(土)「氣志團万博2025」に出演し、11月24日(月) 大阪城ホール、11月30日(日) さいたまスーパーアリーナにて地球デビュー40周年 期間限定再集結 大黒ミサツアー「THE END OF SEASON ONE」 FINALを迎える。

 

【『地球魔界化計画 第Ⅱ章』セットリスト】

■Damian Hamada's Creatures■

M0.聖詠(SE)

M1.審判の日

M2.Babel

M3.666

M4.Eternal Sinner

M5.天空の放浪神

M6.嵐が丘

 

■聖飢魔Ⅱ■

M0.三大怪獣地球最大の決戦のテーマ(SE)

M1.聖飢魔Ⅱミサ曲第Ⅱ番 創世紀

M2.LOVE LETTER FROM A DEAD END

M3.Masquerade

M4.⽼害ロック

M5.アダムの林檎

M6.Teenage Dream(KAMISORI SYUTO solo)

M7.BAD AGAIN ~美しき反逆〜

M8.Kiss U Dead Or Alive

M9.Next Is The Best!

M10.Fire After Fire

 

ENCORE

EC1.蠟⼈形の館 (c/w ダミアン浜田陛下)

EC2.悪魔組曲より 序曲~心の叫び~(同上) 

EC3.衝動殺人者 RAY (c/w D.H.C.)

EC4.聖飢魔Ⅱミサ曲第Ⅰ番 魔王凱旋

EC5.EL DORADO

【聖飢魔II PROFILE】
 
悪魔の集団。
悪魔教の布教のためにハードロック(HR)バンドの様式を用いて魔暦前14(‘85)年9月地球デビュー。
黒ミサ(コンサートのような形式で行われる集会)では、そのエンターテインメント性を規格外に発揮、老若男女や民族を問わず、信者・信奉者(ファンのようなもの)を解散後の現在も増やし続けている。
※再集結における活動は「布教」ではなく「啓蒙活動」
魔暦27年(‘25)年地球デビュー40周年を記念し期間限定で再集結し7月2日CD新譜大教典『Season II』を発布。更に「THE END OF SEASON ONE」と題し大黒ミサツアーを開催し全会場SOLD OUT!8月19日ホールでの大黒ミサ終了。8月30日、31日の2日間「聖飢魔II vs BABYMETAL 悪魔が来りてべビメタる」をKアリーナ横浜で開催、両日SOLD OUT。11月24日(月・祝)大阪・大阪城ホール、11月30日(日)埼玉・さいたまスーパーアリーナでの「THE END OF SEASON ONE」ツアーFINAL大黒ミサを控える。
 
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【Damian Hamada’s Creatures プロフィール】
 聖飢魔IIの創始者であり、代表曲でもある「蠟人形の館」をはじめ初期収録の楽曲の殆どを手掛けている、地球デビュー前に魔界に帰還した 伝説の悪魔、地獄の大魔王・ダミアン浜田陛下。
 ダミアン浜田陛下が35年ぶりに顕現し、地球魔界化のため全曲作詞作曲した楽曲を世に送り出すため、沖縄出身で X-Factor のファイナリストとなったヴォーカル伊舎堂さくら、演奏陣には実力派プログレッシヴ・ロック・バンド『金属恵比須』のメンバーを僕(シモベ)として“改臟人間”にし、ヘヴィメタルバンド『Damian Hamada's Creatures』を結成。魔暦2022(2020)年(株)ソニー・ミュージックレーベルズ アリオラジャパンより地球デビューを果たした(メジャーデビューのようなもの)。
 現在は第一期演奏陣を経て、第二期演奏陣 RENOファウスト(ギター)、アックスKAZUMA(ギター)、リリス一ノ瀬(ベース)、KAZAMIクロウリー(ドラム)で活動をしている。
 D.H.C.は大聖典(アルバムのようなもの)『旧約魔界聖書 第I章』、大聖典『旧約魔界聖書 第II章』、大聖典『魔界美術館』を次々に発表し、国内メタル配信チャートで軒並み 1 位を記録するなど、全世界のヘヴィメタルファンから熱い注目を集めている。
 そして魔暦23(’21)年11年月28日(日) KT Zepp Yokohama でDamian Hamada's Creatures 1st Live 魔界小学校入学式典 〜 Devilish Hell Ceremony 〜、魔暦 24(’22)年7月にはDamian Hamada's Creatures 魔界小学校 魔王参観日 〜Devilish Hell Ceremony TOUR〜を開催。魔暦25年(’23)年10月にはデーモン閣下とのカップリングツアー、デーモン閣下 c/w Damian Hamada's Creatures TOUR『地球魔界化計画』を開催し大成功を収めた。
 魔暦27(’25)年6月6日初の配信小聖典(シングル)「666」を発表。この楽曲を含む大聖典『新世界黙示録』を同年11月19日に発表。翌魔暦28(’26)年1月11日福岡県:DRUM Be-1を皮切りに「Damian Hamada’s Creatures~Neo Apocalypse Tour~」開催。
 
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D.H.C.公式ファンクラブ「魔会」:https://fanicon.net/fancommuniies/5139

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