メンバーそれぞれが剣やバラ、仮面などを持ちステージに登場すると、割れんばかりの歓声に東京ドームが揺れる。最初の曲となった「Drunk-Dazed[Japanese Ver.]」ではENGENE―ENGENEは、彼らのファンネームである―の掛け声とともに一気に会場の温度が上がる。

妖艶でスリリングなサウンドを体現する彼らの表情がビジョンに映し出されるたびに歓声が上がり、ENGENEもこの日を待ちわびていたことが伝わってくる。オープニングの勢いそのままに、TOMORROW X TOGETHERのYEONJUNとコラボし話題となった「Blockbuster」をアレンジしたENHYPEN Ver.として緩急あるラップで会場中を煽っていく。

一転、「Let Me In(20 CUBE)[Japanese Ver.]」では全員が愛くるしい表情を見せ、HEESENGが振り返りざまにウィンクをすると絶叫にも似た歓声が溢れ、それぞれが真っ直ぐに前を向き、しっかりとメッセージを届けるように歌う「Flicker」、ビジョンに心臓が映し出され、それと同時にドームがすべて真っ赤に染まり始まった「FEVER」は、妖しさをまといながらも、まさに彼らが命を燃やしている姿を表現しているかのようなステージングに胸が熱くなる。

ENGENEの掛け声が突き抜けるかのように響き渡った「Future Perfect(Pass the MIC)」はドーム中が一体感に包まれ、青い光に包まれ、ギターがかき鳴らされるイントロからスタートする「Blessed-Cursed [Japanese Ver.]」では全員が一列になり力強いパフォーマンスで盛り上げた。

続く「Attention,Please!」では「ATTENTION!」の掛け声から始まり、黒をベースとしたカジュアルな衣装に着替えたメンバーが登場。ハンドマイクに持ち替え、全員がメインステージの端から端まで駆け抜ける。少しでもENGENEの近くへ行きたいという気持ちが伝わってくる。

曲の中盤ではJAYがギターをかき鳴らしたかと思えば後方へ放り投げ、ロックスターのようなパフォーマンスを見せた後、せり出したステージで7人がダンスパフォーマンス。そのJAYの「叫べ~!」という声から始まった「ParadoXXX Invasion」では一緒に楽しもうという雰囲気が伝わり、SUNOOのキュートな笑顔に会場中が歓声をあげ、ドーム中で大合唱が起きる。

「Tamed-Dashed[Japanese Ver.]」ではJUNGWONが全員のサイン入りラグビーボール持ち、メンバーそれぞれにパスをした後、フリーキック。幸運なENGENEがボールをゲットした。その後のMCではSUNGHOONが「大事にしてくださいね」と話すと、NI-KIが「もらえなかった方に何か違う形でボールを準備したようですが……」とJAYに話すと、JAYは「今日の犠牲は誰にしようかな(笑)」とステージを練り歩きSUNGHOONと顔をくっつけ、ハートポーズをし、笑顔とハートをプレゼント。またもや割れんばかりの歓声で包まれた。

ユニットステージでは、JAY、JAKE、SUNHHOON、SUNOOが「TFW(That Feeling When)(Acoustic short Ver.)」を制服衣装で披露。ここではJAYによるアコギのギターソロに合わせ、4人がぎゅぎゅっと身体を寄せ合い、爽やかな歌声を聞かせ、JUNGWON、HEESEUNG、NI-KIは「Just A Little Bit(Avoustic short Ver.)」を披露。ENGENEが灯すスマホのライトが満天の星空のように光り輝く中、HEESEUNGがピアノソロを奏で、3人の歌声が美しく煌びやかに重なり合う素敵な空間だった。途中からほかの4人も合流し、歌い上げると、NI-KIの「後ろのENGENE、行くよ!」の声を合図に、ステージの両サイドに用意されたバス型のトロッコに乗車。

このトロッコのナンバーは彼らのデビュー日ともなる1130が描かれ、細部まで凝っている。「10 Months」を歌いながら、スタンド席やアリーナ席のENGENEにファンサービスをし、センターステージに到着。「Polaroid Love」を歌い上げ、広いステージでぎゅっと寄り添う7人がとても愛らしい。そしてNI-KIの「スペシャルなゲストが来ています!」の声を合図に、両サイドからピカチュウが大量発生!

メンバーたちは両手を広げてピカチュウに抱き着く姿はとてもピースフルだ。「One and Only」をパフォーマンスし終え、帰るピカチュウに「またねー!」と言いながら少しさみしそうなメンバーたち。その後すぐにロックテイストの「SHOUT OUT」が始まると、会場はまた一気に力強い雰囲気に包まれていく。

ハンドマイクからヘッドセットマイクに変え、JAKEの「叫べ~!」の声を合図にライブはラストスパートへ。「Go Big or Go Home」では振動でドームが揺れ、ENGENEの掛け声とともにどんどんテンションが上がっていく。ダンスブレイクでは、サウンドをかき消すほどのENGENEの掛け声が溢れ、圧倒されるほどの一体感はさすがの一言。

赤と黒に包まれたシックなスーツに着替えて再登場し、始まる「Chaconne」ではJAKEの歌声からスタート。世界観が強く表れ、黒い羽根が舞い落ちる中でそれぞれがこれまで見せていた表情とは違う、妖しく、耽美な表情を浮かべ、曲の世界へといざなっていく。美しいシャンデリアがビジョンに映され始まった「Bills[Japanese Ver.]」では非現実的な世界観でありながら緩やかで気持ちのいいサウンドに、漂うような彼らのパフォーマンスに見惚れていると「CRIMINAL LOVE」がスタート。強く、美しく、力強く響いていく歌声が沸点ぎりぎりまで上昇していくジリジリとする感覚はとても心地がいい。「Sacrifice(Eat Me Up)」ではストーリー性のあるパフォーマンスでENGENEを惹きつけていく。最後にSUNGHOONが振り返るシーンでさらに大きな歓声が沸いた。

その後息を切らしたメンバーたちが登場するも、JAKEは「全然きつくないです!ENGENEのみなさんのおかげです!」と笑顔で語り、JUNGWONは「自信を持ちながら練習をしました」と話した。その後「Bite Me[Japanese ver.]」をENGENEと共に大合唱し、本編は幕を閉じた。

アンコールではTシャツにデニムとカジュアルな衣装で、マイクスタンドを持ちながら登場。「One In A Billion(Rock Ver.)」を笑顔で披露すると、それぞれが今日への想いを吐露。

JAYは「東京ドームはまだ夢みたい」とデビュー前から東京ドームを夢見ていたことを告げ、「次はもっといいENHYPENとして戻ることを約束します!」とコメント。「昨日と今日のことは、僕の心にずっと残ると思います。愛しています!」とSUNOO。

JUNGWONは「僕はこれ以上の幸せがあるだろうかと考えていました。いつも幸せで嬉しい時にはそばにENGENEの皆さんがいてくださいました。つらい気持ちや疲れたときはENGENEに会いたいと思いました。それくらいENGENEのみなさんに頼っています。皆さんも同じ気持ちですよね?これからもこの幸せなことを一緒にたくさん作っていけたら嬉しいです!本当に愛してる!大好き!」、SUNGHOONは「このツアーで日本語がちょっと上手になった気がします。僕たちは必ず戻ってきますので、どこにも行かずに少しだけ待っていてください!みんな大好きだよ!」と思いの丈を吐露する。

JAKEは「もうすぐ韓国にかえらないといけないのですが、帰ったら皆さんのことが恋しくなると思います。次に会うまで元気で幸せでいてください。いつも愛してる!」と話した後、「実は昨日、NI-KIのパパにご飯をごちそうになったんです。お礼を言えなくて……いまどこかで見てくださっていますよね。ありがとうございます!」とステージ上から感謝しつつ笑いを誘い、「僕がNI-KIを守ります!」と宣言していた。

HEESEUNGは「僕は6歳のころから歌手になるのが夢でした。でも僕は怖がりでした。なので、中学生、高校生の時はその夢を後回しにして生きていたんですが、父が“一度オーディションを受けてみろ”と言ってチャンスをくれて、ここまで来ることが出来たと思います。いつも僕のそばで一番大きな応援を送ってくれて、頼りになる両親と家族のみんながこの場で見てくれています。僕はこんなに大きな歌手になることが出来ました」と家族への感謝を述べると大きな拍手に包まれた。

NI-KIは、最終日のこの日、ずっとここにいたいと思っていたからこそ、いつも通りにできず後悔していることを述べ、「それでも人生において、一番幸せな瞬間でした。いつも大きな愛を下さり、ありがとうございます。次にこの場に戻ってくるときは、もっといいENHYPENになると約束するので、その時まで待っていてください!愛しています!」とコメント。

それぞれの想いが溢れたメッセージを残し「Karma」を披露しこの日の公演が終幕した……と、ここでWアンコールのサプライズが!まるで日本のENGENEとENHYPENの関係を歌ったかのような、美しく、でも切ない「BLOSSOM」に応えるように、東京ドームを埋めたENGENEが「ENHYPENとENGENは永遠に共にする運命だよ」と記されたメッセージボードを一斉に掲げた。NI-KIは涙をこらえきれなくなり、顔を隠そうとすると、メンバーたちがNI-KIを抱きしめるように全員で抱きしめ合い、その瞬間をかみしめていた。連鎖するかのようにメンバーが美しい涙を流すと、ドームを埋めたENGENEから感謝の気持ちを込めた大合唱となり、彼らの涙はなかなか止まることがなかった。

NI-KIは振り絞るように「一生一緒にいましょう!」、JUNGWONは「みなさん、決して忘れません!」と話し、全員がしっかりと手を握り、深くお辞儀をする。その姿を包むかのように、ENEGENEが大合唱をするなか、全員がまぶしそうに、嬉しそうにENEGENEの姿を見て、手を振りながら退場。こんなにもファンの歌声に包まれてステージを後するグループがいただろうか?ENHYPENを愛し、ENEGENEに愛された3時間。愛に満ちたライブだった。

(おわり)

取材・文/吉田可奈




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