10月29日(水)に、 ACIDMANの4年ぶり13作目のオリジナルアルバム『光学』 と、初のトリビュートアルバム『ACIDMAN Tribute Works』が2作同時発売を迎える。そして発売に先駆け、10月27日(月)よりオリジナルアルバム『光学』 の先行配信が開始された。
▼ニューアルバム『光学』先行配信開始
▼アルバムリード曲「feel every love」Music Video公開中
そんなACIDMANが、 7か月で10か所を巡るACIDMANの全国ツアー「This is ACIDMAN」が、10月26日にファイナルを迎えた。 企画ライブ「This is ACIDMAN」は2021年から毎年開催、 選曲はシングル曲と代表曲中心で、ロックバンドには珍しい「 セットリスト事前告知型ライブ」として高評価を受け、 単発公演から全国ツアーへとスケールアップ。 今年のファイナルの地は、 ACIDMANにとって7年振り7度目となる聖地・ 日本武道館だ。
セトリがわかっていてもライブは楽しめるのか? 超満員の観客の放つ熱気がその答えだ。バンドは1曲目「 world symphony」から猛スピードで加速、 背後の巨大スクリーンに光の結晶が流れ、レーザーが飛び交い、 MV演出を現実に再現する様にキャノン砲が発射した紙吹雪が宙高 く舞い上がる。「日本武道館へようこそ。最高の1日にしよう!」 と大木伸夫(Vo&G)が叫ぶ。「夜のために」 は刺激的なタイポグラフィの歌詞がスクリーンで踊り、「FREE STAR」はミラーボールと、 素粒子の流れや宇宙の形成を思わせるイメージ豊かな映像が劇的効 果を生み出す。音響が良いのも特筆ものだ。
「7年も時間が経って、 またこの最高の場所でやれるなんて思ってもみなかったので、 すごく嬉しいし、壮観です。ありがとう」
7年振り、7度目、令和7年のトリプル7。「縁起がいい」 と言う大木を筆頭に、 シックな黒の衣装で決めた3人の表情がスクリーンに大写しになる 。浦山一悟(Dr)、佐藤雅俊(B)も、 気合が入って引き締まったいい顔だ。 柔らかな桜色の光が広い空間を満たす「式日」から「 スロウレイン」へ、ゆったりと体揺らす曲調のあとに、 近年のACIDMANに増えつつある、 ジャズやファンクの要素を感じる強靭なグルーヴの「白と黒」 を置くセンスが冴えている。「リピート」 では緑鮮やかな森林の映像が流れ、 大木の声が森の中で響くように見える。 序盤の激しさから徐々に穏やかさと心地よさへ、 音の流れに身を任せ、 ACIDMANの色に染められてゆく日本武道館。
「今日は一番後ろまでよく見えます。それぐらいしっかりと、 いつも以上に届けようと思っています」
8,000人の観客をしっかりと見渡しながら大木が言う。
「This is ACIDMAN」シリーズは初めてライブに来る観客も想定し、 楽曲解説や大木の内面の思いをより丁寧に語る印象がある。 バタフライ・エフェクトをモチーフにした「sonet」 を歌う前のMCもそうだ。「 地球地峡の反対側で蝶がはばたくエネルギーが、 こちら側では台風になる。すべては繋がっている。 あなたが流したその涙は、蒸発し、雲になり、 遠くの国の雨になり、綺麗な花を咲かす。「それは奇跡なんです」 と語り、「ただ生きているだけで僕たちは宇宙を動かしている」 というメッセージをまっすぐに伝える。 演奏の後半で突如背後のスクリーンが上昇し、 8人編成のストリングスが登場するドラマチックな演出に息を呑む 。ACIDMANのライブではお馴染みの四家卯大ストリングス、 バンドとの相性は抜群だ。
ここから3曲は、 ストリングスの豊かで荘重な調べと共におくるバラードのセクショ ンへ。誰もがいつか死ぬ、だから今を生きることを大切に。 アコースティックギターを爪弾きながら、 大木の思考の中核にある思いを伝える「季節の灯」から、 終わることの悲しみを見据えた「愛を両手に」へ。 厳かにスタートした四家卯大によるチェロ独奏は、 息をのむ美しさだ。 曲中は大木の歌唱シーンと歌詞のみがスクリーンに映し出され、 それが楽曲のメッセージをより感動的に伝えていた。 そして終わりの向こうを歌う「世界が終わる夜」へ。 バラードシンガー・ 大木の巧さと迫力を雄弁に伝える壮麗な音と光の波動を、 観客は全身のすべてで感じている。
「ここからもっと深く行ってもいいですか。 座ってじっくり聴いてもらうのも有りかなと思います。 僕はそういう音楽にも魅了されています」
ストリングスを送り出した後、 ゆったりと聴く音楽の楽しみ方に触れ、「変わったね、僕らも」 と笑う大木。そういえば、 アリーナに座席があるのは7度目の武道館公演にして初めてらしい 。年と共にライブの形を変えながらバンドは成長する。 観客もまた、年を重ねながら同じ思いを共有する。 今回のツアーは、 各地で待つファンのために各会場でセットリストが異なるのが特徴 だが、このツアー全公演で演奏された数少ない楽曲の一つ、 坂本龍一がピアノで参加したインストゥルメンタル「風追い人( 前編)」は、故人をしのびながら深いエモーションたっぷりに。 そしてACIDMANの武道館公演には欠かせない大曲「廻る、 巡る、その核へ」は、 何度見ても心震える傑作ミュージックビデオをスクリーンに流しな がら、静寂から轟音へと10分を超える演奏で観客を圧倒。 スリーピースの限界点を超える壮大な音像、 ここがACIDMANの世界の最深部だ。
「曲を作る時に、 聴いてくれる人のことを考えないわけじゃないけれど、 結局自分の理想を目指してしまいます。媚びを売れないんです。 媚びを売れたら、もっと有名になっていたかもしれないけど、 どうしても嫌なんです。だから突っ走る時があると思うけど、 これからもついてきてください」
大木の言葉に応えるあたたかい拍手は、「それでいいんだよ」 という観客からの返答だ。 そして今回のツアーではファンからの投票を募り、 各地で1位となった楽曲を披露するお楽しみがある。ここ東京・ 日本武道館で1位に選ばれたのは、大木も「意外だった」と言う「 ファンファーレ」だ。 コロナ禍の2021年に発売された前作アルバム『 INNOCENCE』収録の掉尾を飾る、 祝祭感溢れる楽曲を生で一緒に歌いたい。ファンの熱い思いに、 バンドは気迫満点の演奏で応える。ライブはいよいよ後半だ。
「武道館、もう一歩上へ行けますか!」
大木の叫びと観客の大歓声を合図に、 フィナーレへ向けての猛ダッシュが始まった。昨年公開の映画『 ゴールデンカムイ』主題歌に抜擢され、 新しいファンを増やすきっかけになった「輝けるもの」から、 デビュー当時からのファンが狂喜乱舞の「造花が笑う」、 そしてライブでの絶対のキラーチューン「ある証明」へ。 流星雨のような光の流れ、水晶のような造花の美しい造形など、 一つ一つの映像も素晴らしい。
「想像していた何倍も凄い景色です。音楽って凄いな、 という以上の言葉がありません。 みんなが一つになった気がします」
子供の頃から、星に手を伸ばすような少年でした。 僕たちはなぜ生まれてなぜ死んでいくのか、 死んでいくのならなぜ生まれたのか、ずっと考えていました。「 今も明確な答えはないけど、一つ言えるのは、 生きているだけで意味があるということ、 そして死は決して悲しいことだけではないということです」―― 138億年の宇宙の歴史と、小さな命の積み重ねを対比させる、 大木の真摯なMCに続く「ALMA」の心震わす絶唱は圧巻だ。 生まれては消える命の連なりを象徴するタイポグラフィの歌詞がせ つない。ミラーボールの放つ星の光と、 天井から降る無数の光の矢とゆらゆらと舞い落ちる星型の紙片が美 しい。 客席のところどころで打ち振られる白と緑のペンライトにまたたき が愛しい。武道館があたたかな光に包まれる、 それはとても美しいフィナーレ。
いや、まだ伝えたいことがある。アンコール1曲目に披露した「 feel every love」は、 10月29日にリリースされる4年振り13作目のアルバム『 光学』の先行トラックで、 レコーディングにも参加したコーラスの植松陽介と、Olivia Burrell、そしてMusic Videoに参加したTokyo Embassy Choirを迎え入れ、トラックと生のリズムの融合、 総勢20名を超えるゴスペルクワイヤの迫力ある歌声と共に、 ACIDMANの新たなフィールドを切り開く鮮烈な1曲だ。 世界平和を願って作られた楽曲を体現するように、 会場の皆がひとつになりハッピーな空気に包まれた。『光学』 について、「最高のアルバムができました」と胸を張る大木。 デビュー20年を超えてなお、 飽くなき音楽的進化を続けるバンド。それがACIDMAN。
「20何年も、僕のわがままに、 文句も言わずについてきてくれた二人に感謝します。 このツアーで僕らを支えてくれたスタッフ、ありがとう。 そして何よりも来てくれたお客さん、本当にありがとう」
大木がこんなに素直な言葉ですべての人に感謝を伝えるのは珍しい 、と言うと語弊があるが、溢れ出すピュアな思いに飾りがない。 もう1曲、アンコール曲としてお馴染みの「Your Song」が、今日はより親密な一体感を増して聴こえる。「 今日はたっぷりやります」という宣言の通り、 優に2時間半を超える圧巻のパフォーマンス。 ACIDMANの日本武道館公演に、 また新たな金字塔が刻まれた。
終演後には2026年の全国ツアー「ACIDMAN LIVE TOUR “光学”」開催も発表された。 ファイナルはおよそ18年振りとなる、6月27日、 幕張メッセ国際展示場展示ホール9・10だ。 新たな目標を掲げてバンドは走り続ける。命ある限り生き抜こう。 ACIDMANがいる限り聴き続けよう
文:宮本英夫
文:宮本英夫
写真:ニシムラカツキ
Instagram:@nsmrktk
写真:Taka"nekoze photo"
Instagram:@nekoze_photo
写真:Victor Nomoto - Metacraft
Twitter:@victornomoto
Instagram:@victornomoto
【リリース情報】
◆ACIDMAN ニューアルバム「光学」
発売日:2025年10月29日(水)
先行配信開始日:2025年10月27日(月)
初回限定盤 CD+Blu-ray(TYCT-69356 / 税込¥7,040)
通常盤 CD only(TYCT-60252 / 税込¥3,520)
※「光学」ご予約はこちらから https://acidman.lnk.to/ kougakuWE
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