2024 年10月に、【50th ANNIVERSARY TOUR】 と冠された 7 年ぶりの来日公演ツアーを開催。バンド結成 50周年を祝う特別なツアーで、追加公演も開催されるほどの盛況ぶりで多くのファンに感動のステージを届けてくれたアメリカの国民的人気ロック・バンド、ジャーニー。フェアウェル・ツアーとなる 【FINAL FRONTIERTOUR】 を北米 60 公演からスタートさせ、26 年から 27 年にかけて行っていくことを2025 年 11 月に発表していたが、そのツアーがいよいよこの夏日本に到達。長年に亘り活躍を続け数多の人々に愛されているバンドの、日本での旅路の終わりとなるであろうフルコンサートが9月1日(火)、東京・有明アリーナにて開催された。
以下は、【FINAL FRONTIERTOUR】 発表時のメンバーのコメント。
「このツアーは、すべての曲、すべての時代、そしてどんな浮き沈みも共に歩んでくれたファンの皆さんに心からの感謝を表すものです。
最新のプロダクションで、ヒット曲や隠れた名曲、エネルギー、そしてスペクタクルを余すことなくお届けします。私たち全員を一つに結び付けてくれた音楽への大団円になるでしょう。」 ―――ニール・ショーン
「信じられないほど素晴らしい道のりでした。我々は、何百万人もの人々と音楽を共有してきました。
このツアーは皆様への感謝と、繋がり、そしてあの魔法を一緒に感じられる最後のチャンスになります。この方法以外は考えられません」 ―――ジョナサン・ケイン
9/1 (火) 東京・有明アリーナ公演ライヴレポート Text:安川達也
ジャーニーの2年ぶり、通算13回目のジャパン・ツアー<FINAL FRONTIER TOUR 2026>。8月27日、みずほPayPayドーム福岡で開催されたロック・フェス<THE GREATEST ROCK FUKUOKA>のヘッドライナーを経て、9月1日、来日中の唯一の単独公演となった東京・有明アリーナで行われた。アンコールなしのノンストップ全24曲、2時間20分の圧巻のライヴに、およそ8,000名(満員)のファンが酔いしれた。
18時59分。期待と熱気で包まれた会場にザ・フ―の 「ババ・オライリィ」(’71)が響き渡る。音楽の理想地を目指し旅立つための自己主張の賛歌として永きに亘って愛されるロック古典。そのまま客電が落ち定刻19時ジャストとともに、ニール・ショーンのグリッサンドギターで号砲を鳴らす 「Be Good To Yourself(トゥ・ユアセルフ)」(’86)のオープニングになだれ込むと客席は総立ち、大歓声でジャーニーを迎える。アーネル・ピネダの第一声は「コンバンワ」。♪Oh, Be Good To Yourself(自分を大切にね!)の大合唱にジョナサン・ケインは笑顔を浮かべてダイナミックなコードを叩き会場の盛り上がりを加速させる。
興奮冷めやらぬなか 「Stone in Love(ストーン・イン・ラヴ)」(’81)、「Ask the Lonely(アスク・ザ・ロンリー)」(’83)「Only the Young(オンリー・ザ・ヤング)」(’85)の前半のたたみかけでは、巧みな技術に裏打ちされる圧倒的な演奏と見事なコーラスでジャーニー・サウンドの在り方を証明。巨大なスカラベ(甲虫)・ジャーニー・ロゴをあしらう、ステージ一面に張られた幕を背中に誇らし気に奏でる主役たちの顔ぶれはニール・ショーン(ギター)、ジョナサン・ケイン(キーボード)、アーネル・ピネダ(ヴォーカル)、ディーン・カストロノヴォ(ドラムス)、トッド・ジェンセン(ベース)、ジェイソン・ダーラトカ(キーボード)。前回来日ツアーと同じく過去最多の6人編成だ。
そんななかステージのアクセントとしての演出的な要素が強かった観のある “歌える最強の演奏者たち” がこれまで以上のインパクトを残した。「Just the Same Way(ジャスト・ザ・セイム・ウェイ)」(’79)、「Anytime(エニィタイム)」(’78)はジョナサン&ディーンがヴォーカルを務め、ディーンは「Lights(ライツ)」(’78)、「After the Fall(愛の終りに)」(’83)でもタイトなドラムを叩きながら熱唱。ジェイソンはキーボードを弾きながら「Girl Can't Help It(ガール・キャント・ヘルプ・イット)」「Suzanne(スザンヌ)」 を歌い上げ、収録アルバム 『Raised On Radio~時を駆けて』(’86)と相性が良いことを今夜も証明した。そんな現メンバー最年少のジェイソン(53歳)の歌声がさらに時を超えたのが「Of a Lifetime(時の彼方へ)」(’75)だ。実験的なプログレッシブ・ロック要素の高いデビュー・アルバム『宇宙への旅立ち』 のオープニング曲。この夜、ニールがもっともエモーショナルなギターを響かせた瞬間でもあった。
先述の「After the Fall(愛の終りに)」(’83)では 「この曲を初めて演奏したのはフロンティア―ズ・ツアーの最初の場所、ここ日本」(ジョナサン)とアナウンスしたときにはひときわ大きな歓声が巻き起こったが、周知、ジャーニー史上最も成功した大規模な〈フロンティアーズ・ツアー〉は’83年2月のジャパン・ツアーから始まった。世界で最初に 『フロンティアーズ』の生演奏を聴いた事実は日本の往年のファンにとっては不変のプライド。その時の来日公演の1曲目だった 「Chain Reaction(チェイン・リアクション)」(’83)には今夜も会場のあちらこちらから拳が上がる好反応。そのことを熟知するニールも客席に近づいてギター・プレイで呼応する微笑ましい一体感はライヴ・アンセム「Dead or Alive(デッド・オア・アライヴ)」(’81)まで続き中盤のハイライトとなった。今夜もまた名演が生まれたようだ。
名演の瞬間を目に焼き付けたい理由がある。昨秋、メディアを通じてツアー開催を発表の際にジョナサンが “このツアー終了と共にバンドに別れを告げる” と公言したことで、事実上のフェアウェル・ツアーとなることが余儀なくされた。衝撃を裏付けるかのように、グループの双璧ニールとジョナサンの金銭に纏わる法廷論争や信条や思想に起因する確執が露呈。さらに追い打ちをかけるかのようにジャーニー史上最も長い時間フロントを務めるアーネルによる脱退示唆。現行ジャーニーの日本公演はやはり今夜が見納めとなるのか。様々な想いが充溢していると『エスケイプ』(’81年)からあのメロディが聴こえてくる――。
「Who's Crying Now(クライング・ナウ)」(’81)の鳴り止まない歓声を静止するかのようにジョナサンの流麗なピアノ・ソロから 「OPEN ARMS(オープン・アームズ)」(’81)のイントロ演奏に流れ出すと、ため息と歓声が交わる会場のあちこちからスマホのライトが点灯される。ジャーニー加入から19年、日本でのお披露目からすでに17年の月日が経つヴォーカルのアーネル。代名詞のハイトーンだけに頼らない抑揚を付け、さらにヴォーカルに磨きがかかったようだ。両手を拡げてマイクに向かうアーネルの歌声が会場を響かせ、その震えが空気となってレポートのメモを執る自分の指先に伝わってきたとき、心からこの言葉を(ファンを代表して)贈りたいと思った。「ジャーニーの歌を受け継いでくれて本当にありがとう」。
「Faithfully(時への誓い)」(’83)でヴォーカル・ゲストに招かれたのは(福岡公演に続き)ヒューゴ・ヴァレンティだった。熱心なファンのなかではよく知られた最もジャーニーに近い存在のアーティストだが、一般的には容姿も含め最もスティーヴ・ペリーに似ているヴォーカリストとして今回の来日中に話題となった。アーネルのジャーニー加入の決め手となったのがYouTubeに投稿された同曲だっただけに複雑な感情を抱いたファンも少なくなかったはずだ。それでもライヴには欠かせない重要ナンバー「Keep On Runnin'(キープ・オン・ランニン)」 (’81)でもヒューゴにヴォーカルを任したことは、この先のジャーニーも未来を示唆したのかもしれない。ニールとジョナサンが背中で支え合うWギターの無邪気さはどこか儚くも、このまま時間が止まってくれればと切に願う場面でもあった。
迎えた 「Don’t Stop Believin’(ドント・ストップ・ビリーヴィン)」(’81)は、1800万枚という数字に裏打ちされるアメリカン・ロック史上最大のヒット曲 。抱いた夢を性別や世代をも超越した誰もが主人公になれる4分間のドラマだ。サビまで到達するのに3分以上を費やすドラマティックな構成で、タイトルの♪Don't Stop Believin' というフレーズは3回しか歌わないクライマックスは、ライヴではより感動的な時間を演出してきた。まさにアメリカン・ドリームそのものなのだが、そのことを体現するフィリピン人のヴォーカル、アーネルの存在がこの曲を色褪せることのない永遠のロック・アンセムにしたことは間違い。このアンセムをパファーマンスしている時のアーネルを存在感は圧倒的で、この夜も全身全霊で歌い終えたあと会場を見渡す彼の眼差しと笑みは達成感さえ抱いているように見受けられた。
「Lovin', Touchin', Squeezin'(ラヴィン、タッチン、スクウィージン)」(’79)では会場がひとつとなって身体を揺らす。「Separate Ways(セパレイト・ウェイズ)」(’83)はイントロが流れ出した瞬間、この日一番の大歓声となりジョナサンは笑顔だ。ディーンの強烈なドラムのビートに会場全体が身体を預け、サビではこの先もおそらく脳裏に焼き付くほどの大合唱となった。ノンアンコールで一気に駆け抜けた2時間超えのステージは 誰も知る由のない次のジャーニーとの出会いを期待し、新しいDepature(出発)を祝うかのような拍手喝采、大興奮の「Any Way You Want It(お気に召すまま)」(’80)で大団円となった。ジャーニーの一行は、このあとハワイを含む全米ツアーを続け、11月の最終日にはバンドの出発地、サンフランシスコに到達する――。
<セットリスト>
Be Good To Yourself(トゥ・ユアセルフ)(’86)
Stone in Love(ストーン・イン・ラヴ)(’81)
Ask the Lonely(アスク・ザ・ロンリー)(’83)
Only the Young(オンリー・ザ・ヤング)(’85)
Just the Same Way(ジャスト・ザ・セイム・ウェイ)(’79)
Lights(ライツ)(’78)
Of a Lifetime(時の彼方へ)(’75)
La Do Da(’78)
Escape(エスケイプ)(’81)
Girl Can't Help It(ガール・キャント・ヘルプ・イット)(’86)
After the Fall(愛の終りに)(’83)
Chain Reaction(チェイン・リアクション)(’83)
Dead or Alive(デッド・オア・アライヴ)(’81)
Anytime(エニィタイム)(’78)
[Piano Seg]
Who's Crying Now(クライング・ナウ)(’81)
Open Arms(オープン・アームズ)(’81)
Suzanne(スザンヌ)(’86)
Wheel In The Sky(ホイール・イン・ザ・スカイ)(’78)
Faithfully(時への誓い)(’83)
Keep On Runnin'(キープ・オン・ランニン)(’81)
Don’t Stop Believin’(ドント・ストップ・ビリーヴィン)(’81)
Lovin', Touchin', Squeezin'(ラヴィン、タッチン、スクウィージン)(’79)
Separate Ways(セパレイト・ウェイズ)(’83)
Any Way You Want It(お気に召すまま)(’80)
【来日公演詳細】
単独公演スケジュール
【東京】 9/1(火)[FINAL ERONTIER] 有明アリーナ

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