文学的・哲学的歌詞の世界観を武器とする7人組ダンスヴォーカルグループ・原因は自分にある。(通称・ゲンジブ)が、最新EP『文藝解体新書』を発表。発売当日の3月11日にリリース記念の生配信をYouTube公式チャンネルにて開催した。前作『テトラヘドロン』以来1年3カ月ぶりのEPとなる今作のコンセプトは“文学”。日本文学の名著にインスパイアされた新曲に、春夏秋冬それぞれの描写や感情を織り交ぜた4曲を収録している。そんな作品内容にちなみ、この生配信は角川武蔵野ミュージアムで実施。高さ約8メートルに及ぶ巨大な書架が壁一面をびっしり埋めつくす空間で、EPについての深堀トークと企画を行ったほか、当日同会場で撮影されたリード曲「ニヒリズムプリズム」のスペシャルパフォーマンス映像も公開して、画面越しに1万人の観測者(ゲンジブファンの呼称)とリリースを祝った。
 
白をベースに金銀、赤を差し込んだ和洋折衷の艶やかな衣装で7人が登場すると、まずは長野凌大が今回のEPに“文学”のコンセプトを掲げた理由を告白。「ツアーやフェス、テレビ出演などで新しい観測者と出会う機会が多かったなかで、ゲンジブといえば言葉遊び、日本語の面白さをデビューのときから表現してきたので、あらためて日本の偉大な作品をゲンジブ流に解釈したときに、現代の音楽としてどういう曲ができるのか?という実験的なことをやってみたかった。そこに4曲入りということで一貫性を持たせようと、それぞれに春夏秋冬という制約をつけた」と明かしてくれた。
 
また、初回限定盤には新曲4曲に加えて、桜木雅哉が出演したABCテレビドラマ『修学旅行で仲良くないグループに入りました』のオープニング曲「トレモロ」と、吉澤要人が主演する読売テレビドラマ『親友の「同棲して」に「うん」て言うまで』オープニング主題歌「NOW」の2曲がボーナストラックとして収録されており、桜木は「感無量」、吉澤は「嬉しい限り」と感慨深げ。武藤潤は「明るくて青春を感じる2曲。ボーナストラックとしてEPにいい味を出してくれている」、大倉空人は「ドラマを通じて、最近、僕らのことを知ってくれた人も手に取りやすいEPになっている」と伝えた。
 
ここからは新曲4曲についてトーク。春をテーマにしたリード曲「ニヒリズムプリズム」は、ゲンジブの代表曲を数多く手掛ける久下真音が梶井基次郎の『蒼穹』を題材に作った曲で、杢代和人は「初めて聴いたとき、虚無が多すぎて驚きました! 転調するDメロがとんでもなくカッコよくて、原因は自分にある。の進化が見せられる楽曲」と自信を見せた。
 
夏がテーマの「疾走」は太宰治の『走れメロス』が元になっており、吉澤は「タイトルの通り、本当に疾走感のある楽曲」とコメント。「楽曲だけ聞いたときに背中を押される応援歌になっているので、心が挫けそうなときや元気出したときに聴いてほしい」(大倉)、「ライブでは観測者と一緒に盛り上がれる曲」(杢代)といった見解も寄せられた。
 
秋がテーマの「愛無常」は夏目漱石の『こころ』がインスパイア元で、小泉光咲は「この作品、すごく深いんですよね。三角関係を描いていたり、三部構成になっていたり。そんな重いストーリーを軽やかな音楽で聞かせるのもゲンジブらしい」と語った。
 
冬がテーマの「Silence」は遠藤周作の『沈黙』をモチーフに、長野が「大好き」だというm-floの☆Taku Takahashiが楽曲を提供。「踏み絵という重いテーマの小説を恋愛に置き換え、トラックもゲンジブに今までにないツーステップで新しい化学反応が生まれた曲」と話した長野は「ラップをやりたい」と名乗り出たものの、最終的にラップは大倉と吉澤が担当することになったという。彼らにはm-floのラッパーであるVERBALっぽいラップの歌い方が☆Taku Takahashiから文章で伝授されたという裏話も披露された。
 
さらに「売れる本に欠かせないものは帯」ということで、『文藝解体新書』を本に見立ててメンバーそれぞれに帯のキャッチコピーを考える企画も。「数字大切なんですよ」と主張する杢代の『1000万部突破 20代男性「人生が変わった」』や、「端的にインパクトあるものを考えました!」という武藤による太字の『ゲンジ文』、思春期の吉澤をモデルにした虚無顔のイラストの横に『きょむ』とひらがなを置いて、視聴する1万人の爆笑をかった小泉など、個性豊かなアイディアが飛び出すなか、優勝したのはリーダーの吉澤。『言わずと知れた名著達は音楽に。本は読むもの。いいや、聴く時代が来たのかもしれない。』という「ガチで勝ちに来た」キャッチコピーで、長野から“オビ澤”の名を付けられた。
 
そして、当日に撮影したという「ニヒリズムプリズム」のスペシャルパフォーマンス映像を特別に公開。360度を書架に囲まれた幻想的な空間で、長野が『文藝解体新書』と表紙に書かれた本を手に取るオープニングから、軽やかでシアトリカルな中にも、緊張感を備えたパフォーマンスを繰り広げていく。黄色から紫、赤と色を変える照明の中、鮮やかな衣装で舞い、一気に光があふれるサビでは一面の書棚を背に艶やかな微笑みを見せる7人に、観測者からは“かっこいい!”、“色気やばい”、“ビジュがよすぎる”といった絶賛コメントの嵐が。まさしく映像美の粋を集めたようなパフォーマンスは、生配信終了後もYouTubeで公開されているので、ぜひ目撃してほしい。
 
ここで「EPリリースと同時にお祝いしたいことがあります」(大倉)と、ここで当日23歳の誕生日を迎えた小泉へのサプライズプレゼントが登場。無類のラーメン好きで知られる小泉だが、この会場は飲食禁止ということで、家系ラーメンの食品サンプルが贈られた。色つやから本物そっくりのサンプルに、小泉は大喜び。「こうやって誕生日にお仕事ができるのは当たり前じゃないですから、とても嬉しく思います。23歳はお兄さん感を出していきたいなと思います」と新たな1年への意気込みを表した。
 
この日、リリースされたEP『文藝解体新車』を引っ提げ、3月17日より全国5都市17公演におよぶツアー『輪廻の箱庭』を行う原因は自分にある。生配信という新しい形でのリリースイベントは観測者からも喜びの声が多かったとのことで「全観測者と一緒にリリースを祝えるのが、すごくいいですね」と、生配信の進行役を務めた大倉は感想を述べた。また、武藤は「EPは何回も聴いてほしい。特に『ニヒリズムプリズム』は『因果応報アンチノミー』から進化したゲンジブが見れる」と断言。最後に「“おかえりエンジョイ”から“アイムソーリー バイバイ”!」と2曲のサビ詞を引用して、記念すべき生配信は終了した。

<レポート:清水素子>
<photo:saito daishi /  takahashi marina>

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