開演を待つ手拍子が鳴り響く満員の有明アリーナ。その期待に応え、ライブの開幕を告げるオープニングムービーが始まった。美しい漆黒の羽を広げたようなコスチュームに身を包んだ水樹は、歌で世界に夢と希望を伝えに来た飛空艇の船長…という設定だ。人々は空を見上げ、その時を待つ。映像と連動するようにゆっくりと扉が開いた。そこには飛空艇の船長をイメージしたゴシックコートドレスに身を包んだ水樹の姿が。「気合い入れていくぞ、有明!」という掛け声を合図に『Red Breeze』の激しいイントロが流れると、12,000人のオーディエンスが一斉に雄叫びを上げた。ついに声出しが解禁された今回のライブ。4年間、胸の奥にしまいこんでいた“声”を解放した観客も、1曲目から全力でステージに歓声やコールをぶつけていく。水樹は“まだまだ足りない!”とばかりに客席近くへと走り出し、キラキラにデコレーションされた拡声器を片手に『Bring it on!』を歌い、「ありったけの力と声を私に届けて!」とさらに煽る。『Poison Lily』ではキレのあるボーカルで、ロックの渦に巻き込んでいった。

怒涛の3曲が終わり、4年ぶりとなるファンからの「奈々ちゃーん!」というラブコールに、満面の笑顔を見せた水樹。「ついにやってきたぜ、ファイナル! 無事にここまで辿り着いたよ~!」と7月2日、青森から始まった2か月のツアー、そして今夜の激アツなオープニングを振り返った。「久しぶりにみんなで絶唱し合える場所になったということで、すごいセットリストがこの後も鎮座しております(笑)。最後まで変わらぬテンションでついてこられますか?」という問いかけに、歓声が上がる。そのままダンスゾーンへと突入だ。パンツスタイルに着替え、ヘッドセットマイクを装着した水樹は、『still in the groove』『Faith』をパフォーマンス。ダンサーのteam YO-DAと一緒にセンターステージでポーズを決めると「まだまだ飛ばして行きますよ。みんな思いっきり来てね!」と『Gimmick Game』を歌い、3曲ノンストップのダンスチューンで会場の熱気をさらに上げていった。

バンドメンバー・Cherry Boysの紹介コーナーをはさみ、水樹はステージを自由に飛び回る妖精をイメージした衣装にチェンジ。『Get up! Shout!』『MASSIVE WONDERS』と疾走感あふれるナンバーが続き、身体が心地よい熱気に包まれていく。ここで水樹ライブ定番曲のひとつ『ETERNAL BLAZE』のイントロが流れると、一際大きな歓声が。いつまでも変わらない強くひたむきなボーカルに、観客の熱いコールが重なる。水樹の「みんなで行くよ!」の合図で「ETERNAL BLAZE!」と声が上がり、“これぞ水樹奈々のライブだ!”という実感が、誰の心にも宿ったに違いない。

日替わりコーナーでは、夏やパレードをテーマに選曲した楽曲を、Cherry Boys選抜メンバーとともにアコースティックアレンジで披露。この日は『哀愁トワイライト』を、夏の夜にぴったりなジャズバラードにリアレンジ。艶めく水樹のボーカルが、ジャジーなサックスに絡みつく。しっとりとした空気の中、色香が漂うミディアムナンバー『Sweet Dealer』、そして恋の終わりの切なさを歌い、背景のLEDに綺麗な花火が舞った『恋想花火』と、カラーの違う鮮やかなナンバーでサマーナイトを彩った。

ここで人々の頭上に暗雲が立ち込め、雷鳴に打たれた飛空艇が墜落してしまう……というショッキングなショートムービーが流れた。暗闇に包まれた世界に降り立った水樹。だが彼女の歌は光となり、再び世界を照らし出す…。その光のシンボルとして登場したのが、全高7m、幅約4.5mにもなるステージ一体型衣装、その名も“お奈々の塔”だ。全身から光を放ちながら『サーチライト』を歌う水樹。歌詞に合わせ観客もスマートフォンの光をかざし、会場中が希望に満ちた温かな光であふれた。新しい世界の始まりにピッタリな『STARTING NOW!』でロイヤルプリンセス風なドレスに早替えした水樹がステージに飛び出せば、会場は一気にポジティブなパワーで満ちていく。パレードはますます彩り豊かなものとなり、『Higher Dimension』では飛空艇をイメージしたゴンドラに乗って、メインステージからセンターステージまでフライングで移動。上空7mの位置で、その美声を轟かせた。

MCでは、LIVE PARADEに込めた想いをファンに直接伝えた水樹。今回のムービーや黒から白へと変化した衣装には、コロナによって失われかけたエンターテイメントが、見事復活を遂げた…というメッセージが込められている。「みんなの声をエネルギーにして“シン・ミズキナナ”となり(笑)、皆様の前に大復活いたしました!」と高らかに宣言すれば、大歓声と拍手が。「ここからが真のパレードの始まりです!」と、『Astrogation』『VIRGIN CODE』を歌いながら、飛空艇型フロートに乗ってアリーナエリアを移動。ファンとの密なコミュニケーションを楽しんだ後の『残光のガイア』では、この日一番のコール&レスポンスが巻き起こった。そして『NEXT ARCADIA』でCherry Boysとともにステージを走り回り、パレードのフィナーレを飾ったのだが、ファンからのエネルギーをたっぷりと受け取った水樹は、まだまだ歌い足りない様子。「また1曲目からいけます。明日は有明アリーナ、空いてないかな?」と余裕の微笑み。もちろん観客もまだまだ帰りたくないと、“ナナコール”が止まらない。その声に応えたアンコールでは、猫耳キャップに、ショート丈にカットされたツアーTシャツの裾から美腹筋がチラリと、キュート&セクシーなスタイルでステージに再登場。このツアーの愛知公演で初披露した、10月から放送のTVアニメ「でこぼこ魔女の親子事情」のOPテーマで、デジタルリリースが決定している新曲『Sugar Doughnuts』や『DISCOTHEQUE』をラブリーなダンスで歌い上げ、最後まで観客を魅了した。

Wアンコールでは、「やっぱり声出し解禁ライブには、この曲しかない!」と『POWER GATE』を全員で熱唱。ライブのラストを飾る定番コール&レスポンス「これからも水樹奈々にかかってこーーい!」も4年ぶりに大復活だ。水樹と観客が、お互いに「ありがとう!」と声を掛け合いながら、最高の笑顔で幕を閉じたライブツアー。エンターテイメントの力、そして“声”の持つ力を信じ続けた水樹。その祈りが結晶となった、輝きに満ちたライブだった。

写真提供:キングレコード

「NANA MIZUKI LIVE PARADE 2023」
9月3日(日) 東京・有明アリーナ

M1.Red Breeze
M2.Bring it on!
M3.Poison Lily
M4.still in the groove
M5.Faith
M6.Gimmick Game
M7.Get up! Shout!
M8.MASSIVE WONDERS
M9.ETERNAL BLAZE
M10.哀愁トワイライト
M11.Sweet Dealer
M12.恋想花火
M13.サーチライト
M14.STARTING NOW!
M15.Higher Dimension
M16.Astrogation
M17.VIRGIN CODE
M18.残光のガイア
M19.NEXT ARCADIA

【ENCORE】
EN1.PARTY! PARTY!
EN2.Happy☆Go-Round!
EN3.Sugar Doughnuts
EN4.DISCOTHEQUE

【DOUBLE ENCORE】
WE.POWER GATE

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