ツユが、6月12日(日)に5度目のワンマンライブ、ツユ 3rdアニバーサリーワンマンLive『雨模様』を、東京・日比谷野外大音楽堂で開催した。

当日は、文字通り梅雨到来の真っ只中。事前の天気予報は雨。当日も、ゲリラ豪雨な雨雲が垣間見えた日中から、夕方には雨が上がり、打って変わって太陽の光が射したライブ日和となった。

1曲目は代表曲である「やっぱり雨は降るんだね」。逆さに吊るされたカラフルな傘と、本物の花がいろとりどりなステージセット。疾走感溢れる、ビートの効いたツユらしいナンバーからスタートしていく。

せつなポップかつメロディアスな感情直撃ナンバーにウルっとくる会場。天気は晴れたけど、オーディエンスの心には感動のエモい涙がキラリと流れていたのではないだろうか。

続く「風薫る空の下」では、日比谷野外大音楽堂にぴったりの、突き抜けた野外空間を堪能させてくれるナンバーをプレイ。本日は、ツユのメンバーであるぷす (ギター)、礼衣(ボーカル)、miro(キーボード)、そしてサポート・ライブ・メンバーであるKei Nakamura(ベース)、樋口幸佑(ドラム)、あすきー(マニピュレーター)という鉄壁の布陣。

ツユのライブでは、生ライブ演奏とともにバックでリリックが流れるミュージックビデオがシンクロしていく。気持ちの良い青空。演奏が綺麗に空に向かって響き渡る、音楽の無限の可能性を感じさせてくれる野音で、新たな伝説を予感させてくれる高揚感にオーディエンスの期待感も最高潮へ。

MCで、礼衣が「今日、予報は雨だったんですよ。なので、うちわを買えって言ったのに、みんなビチョビチョになっちゃったらどうしようと(苦笑)。でも晴れてますね(笑)」。そして、ぷす が「晴れてますね。存分に降ってくれ!」と返すと、礼衣が「“やっぱり雨は降らないね”なんですよ、我々は。今までライブで雨だったことがないんです。野音が大好きなので、みなさんも楽しんでいってください!」と語り、盛り上がるオーディエンスたち。会場に一体感が生まれ、テンションが高まっていく。

ツユの曲は、雨を想起させるナンバーが多い。雨は、人の負の感情を表すメタファーとして、古今東西様々な言葉や物語で紡がれてきた。ツユは、インターネットによる音楽表現がメインとなった過渡期の音楽シーンにおいて、“雨”というキーワードに特化したポップミュージックを、様々なジャンルを駆使した音楽表現で繰り広げていく。

名曲は続き、ジメジメした空気感を絶妙なアンサンブルで表現するアッパーな「雨を浴びる」。雨と対になるであろう“太陽”との関係性を描いた「太陽になれるかな」では、エモーショナルなメロディーで突き抜けていくロックセンスを披露。

日が長くなり、18時過ぎでも明るい緑に囲まれた野音。繰り返すが、まさに最高のライブ日和である。そよぐ空気が気持ちよく感じられる。

スポットライトがキーボーディストmiroに照らされ、流麗なピアノソロが展開。続いてツユのコンポーザーであるぷすが、ボカロPじっぷす名義で発表した「梅雨明けの」をたゆたうように奏で、礼衣による、人の気持ちに寄り添った優しくも儚げな歌声が心に響いていく。ツユのプロトタイプな作品だ。

空を見上げれば鳥が飛び交い、夕焼けに照らされた雲がグラデーションする。

ここからは、ツユがストリーミング・シーンでさらに注目されていくきっかけにもなったアッパーなキラキラ・ポップチューン「過去に囚われている」、そしてイントロから一気に没入感高い世界観へダイブする熱量高めな「ルーザーガール」。礼衣による歌声の感情表現の深みが伝わる「かくれんぼっち」を、立て続けにプレイ。

MCで「きっつい、筋トレです!」とライブ演奏の激しさを言い表すぷす。「まだまだ曲がある。今日は、龍角散ダイレクト飲みますから、あたし!」と礼衣。今の気持ちをポップかつ赤裸々に伝えていく。

自由なMCコーナーでは「今日はMCを多めに設定しています。けっこう、これまで礼衣が謎のキャラだったんだよ。だからインスタを始めて。みんな、礼衣のキャラクターわかります? いままでの3年よりは僕ら露出多めにいきます。」とぷす。礼衣は「そうだ、髪のキラキラが見えるかな? 見えない方はインスタで!」と語る。鳥の鳴き声がときおり混ざるのが、野外ならではの一期一会なサウンドミックスだ。

ここからはロックフィーリング全開の「奴隷じゃないなら何ですか?」、「デモーニッシュ」、「テリトリーバトル」、そして突如新曲「雨模様」を挟み、「シャーベット」、「忠犬ハチ」、ゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ』で人気な、三線フレーズと蝉の鳴き声が印象的な「アサガオの散る頃に」など、ライブバンドであるツユらしさを爆裂させていく扇状的なセットリストが続いていく。ツユが、フェス文脈にも入り込めるアグレッシブな骨太さを証明したライブ・パートだ。

再びMCで、楽曲が放つ文学的な世界観とメンバーのはっちゃけたキャラとのギャップについてぷすが語る「誰がこの曲書いてるんだよ? ・・・おれなんだよ!!!おかしいんだよ!!!(笑)」。礼衣が「今回はMCがあるからね。MCは大事!」。ここでmiroが「客席が近いよね」と発言。途中、突然新曲を披露していたツユ。「新曲のタイトル『雨模様』は、雨が降りそうな様子の意味で、今日のテーマにぴったりで素晴らしい!」とぷす。

ラストスパートへ向かうツユ。まずは「あの世行きのバスに乗ってさらば。」、「終点の先が在るとするならば。」で、ギター鳴りまくりなロックチューンをプレイ。徐々に薄暗くなってきた野音。色とりどりな照明が輝きをみせはじめた。

勢いそのままに、先日YouTube1000万回再生を突破した「ナミカレ」ではフラッシュする照明が輝きながら、そして「泥の分際で私だけの大切を奪おうだなんて」へと立て続けに披露。

野音へ集まったオーディエンスの雰囲気もよく、短めなピアノソロを経て、ツユという存在を世に知らしめた初期代表曲「くらべられっ子」を演奏。

大団円を迎えていくステージ。

ツユの曲には、人の抱えるダークサイドの感情、葛藤を具現化したナンバーが多い。そんな作品をポップなメロディー、きらびやかなアレンジで見事にキャッチーなテイストで表現していく。明日へのパワーとなる音楽のチカラ。まだまだ、どんどん広がっていくツユの可能性を感じた瞬間だ。

気がついたらステージを去るツユのメンバー。本編終了だ。まさに一気に駆け抜けた90分。

ここで、アンコールを挟み、ぷすと礼衣の2人がステージにあらわれ、インターネット文化が生んだ自嘲センスを情報量過多に畳み掛ける最新アッパーチューン「いつかオトナになれるといいね。」を、これでもかとストロングに繰り広げていく。

礼衣が、歌い終わると「この曲、大変すぎます! 大変すぎますです!」と、ただいま歌った曲の感想を伝えていく。「高低差えぐくない? 生で歌ってますからね、この人(礼衣)なんでもできるなって思って。アンコールありがとうございます。ツユってダークな曲が多いし、カウンターパンチを打とうとして、(この新曲を)投稿しました!」と、ぷす が独白。

そして、バンドメンバーをステージに呼ぶ。「あのですね、鍵盤にコガネムシが挟まっていて・・・」語りはじめるmiroの独特なトーク。続いて、セッション形式のバンドメンバー紹介へ。続いてアグレッシブなビートロック・チューン「謎の新曲」とセットリスト上では題されたナンバーを奏でていく。

夜の野音のステージは台形なピラミッド状態で輝きを増していく。そんな、熱量高い演奏に手を掲げて応えていく満員のオーディエンス。

ぷすが「どうですか、新曲は!」と煽れば、早々に「難しいです!」と礼衣(笑)。そして、ぷす が「この曲はたぶん投稿します」とオーディエンスへ伝え、ステージ上での記念撮影を「おつゆ〜」の定番挨拶でパシャリ!

さらにMCで、時間のない中伝えたい重大発表として「今年頭ぐらいから活動ができてなかった。なかにはリスナーさんから“ツユの活動止まってんな”みたいなのがあって。(時間がないから)早口で喋るんだけど、いろいろ裏では大変なことがあったんですよ。一番大きなこととして、ツユは3月から4月の間でメジャーレーベルに所属しました。みんなにとってメジャーと言ってもピンとこないと思うんだよね。俺も、2年間以上メジャーの話を断ってきた、個人でやりたかったから。事務所もレーベルも何も入っていなかったんだけど。もっとここからはツユの曲を、これまで届いていないところ、街とかで音楽が流れて聴いてほしいなと思って。なので僕はひたすら曲を作ります。でも、メジャーレーベルには入ったんだけど事務所には入っていないから、つまり活動の仕方は変わらない。全部僕らで考えていくので。なので、みんなにとってマイナスは無いから。メジャーに入ったということでツユの公式STAFFカウントもできました。今後、ライブもガンガンやっていきます。あ、もっと熱いことを語りたかったなあ・・・」とオーディエンスへ自らの考えを丁寧に伝える、ぷす。

そして、礼衣も一言「アンコールでしたが、本当に最後の曲をやらせていただきたいと思います」。

ラストは赤い照明が映えるロックチューン「ロックな君とはお別れだ」をエモーショナルにプレイ。「ありがとうございました!」と、ステージからはけていくメンバー。

ロックバンド、ツユのパワフルなエネルギーを体感させてくれた初の屋外公演。数年後、伝説化しそうな“雨模様”を吹き飛ばした、ツユによる熱い夜だった。


text by ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
Photo by 森好弘
Illustration:KICO

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