アニソンシンガー・オーイシマサヨシが、活動当初より目標として掲げてきた日本武道館でのワンマンライブ「オーイシ武道館 ~オーイシマサヨシ ワンマンライブ at 日本武道館~」を開催した。

デビュー10周年というメモリアルで、なおかつ男性ソロアニソンシンガーによる初の武道館公演という歴史的な機会に仲間たちも駆けつけ、過去最大規模のライブにして最高の祝祭となった初の武道館ワンマンをレポート。

色とりどりのペンライトが光り、始まる前から賑やかな日本武道館。津田健次郎が遊び心たっぷりにナレーションを務めるスペシャルなオープニングムービーが流れ、期待感が限界まで高まったところで今宵の主役オーイシマサヨシがステージに登場。

スポットライトを浴びながら歌い始めたオープニングナンバーは、初のオリジナルアルバムの表題曲でもある『エンターテイナー』だ。エンターテイナーとして生きる矜持を歌い上げるオリジナルナンバーは開幕にこれ以上なくふさわしく、こみ上げる思いを全て歌声に込めるかのような熱唱で華々しく開演を告げた。

「やっと辿り着いたぞ武道館!」と憧れのステージへ辿り着いた感動を叫べば、そのまま大の字になって贅沢に全身で夢の舞台を味わい尽くす。『オトモダチフィルム』ではオーイシダンサーズと一糸乱れぬフォーメーションも展開して絶好調っぷりをアピールすると、詰めかけたファンたちも大声援で応える。

会場は1万人超のファンで満員。さらに1000円という驚異的な価格で配信している。画面の向こうで見守るファンたちから寄せられるコメントがリアルタイムで映されるシステムを今回も導入し、ステージ両サイドの巨大ディスプレイに怒涛の勢いで流れている。なんと開演前から「#オーイシ武道館」も早々にトレンド入りしており、今回のライブに対する期待の高さがうかがえるが、いつも通りのコメント欄もそれを眺めて楽しそうなオーイシもさすがの通常運転っぷりだ。

次なる『ギフト』は、アニメ『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』のOP主題歌。そしてなんと、舞台の上で一緒に踊る“お隣の天使様”を客席から募るということに。オーイシマサヨシのライブでは観客をステージにあげる光景は恒例ながら、それを武道館でも実行するというから驚きだ。熱烈な志望者たちの中から選ばれたのは、偶然にも会場の前方にいてオーイシが気付いて指名した、ファンの間で話題になった振り完コピオタクの2人だった。

仕込みではなくいきなりステージに上げられたにも関わらず、主役を食いかねない堂々としたパフォーマンスを繰り広げる2人にあてられて、誰より嬉しそうな顔を見せるオーイシ。オーイシマサヨシ節全開のラブソングを賑やかに歌うと、「オーイシ武道館はこうでないとダメやね、お客さんとつくっていこうや」という特別なライブを全員でつくり上げていく宣誓をして次なる曲へ。

『好きになっちゃダメな人』では、愛おしそうに客席を眺めながらムーディーな楽曲をしっとりと歌い上げ、時折しっかりと目を合わせて隅々までファンへ愛を振りまいていく。

一転、武道館にレーザーが飛び交い、きらびやかなダンス空間へと変貌すると、登場が予告されていたREAL AKIBA BOYZ(リアルアキバボーイズ)のメンバーたちが参戦。勢いそのままに『死んだ!』、『なまらめんこいギャル』とダンスチューンを連打し、オーディエンスのボルテージを底上げする。1万人のファンと共に「ギャル!」で声を揃える時間が楽しすぎたが、続く『サインはB』でもはやフロアの熱狂は制御不能に。全開のアイドル仕草とともにオーイシがいつになくキュートな歌声を響かせれば、「うりゃおい!」の声が轟いて武道館が桃色に染め上がる。


今回のライブが男性ソロアニソンシンガーによる初の武道館公演という歴史的な機会になったことを伝え、これまで辿ってきた道程を感慨深そうに振り返るオーイシマサヨシ。

多くのヒーローたちとの出会いが大きな転機であったことを告げると、その手にはオーイシとヒーローの関わりを語る上で欠かせない『ウルトラマンR/B』の変身アイテム・DXルーブジャイロが。全員で声を合わせて「オレ色に染め上げろ!ルーブ!」と叫び、同作の主題歌『Hands』へ。繋いできた絆を確かめるように、熱く熱く熱唱すれば、ウルトラマンロッソとウルトラマンブルも駆けつけて特別なステージをさらに色鮮やかに彩っていく。「決してすべてを諦めない」という歌詞の通り、すべてを諦めずに繋いできた未来の景色を力強く示してみせた。

(C)円谷プロ

めくるめく展開から急転、冷たさすら感じる白い照明の中で歌い始めたのは『英雄の歌』だ。等身大の英雄像を全身全霊で表現する様は、先ほどとは違った迫力を持って見守るファンたちの胸に迫る。そして続く『碧い砲撃』では、会場を深い海のような青色に染めると、魂を燃やすごとく文字通りの絶唱で聴くもの全てを圧倒した。

息もつかせぬ怒涛の展開から、アコギに持ち替えると今度は穏やかな雰囲気で『枕男子』へ。満天の夜空をバックにして楽しそうに歌っていると、「電気消して」のフレーズとともに本当に照明が落ちてしまう。スポットライトがついたと思ったらオーイシマサヨシにそっくりなスタッフのタカザワがアコギを構えているというライブではお馴染みの一幕も挟みつつ、オーディエンスを夢の世界へと誘っていく。

2度目の「電気消して」で再び会場が暗闇に包まれると、一筋の光を浴びて満員の武道館の中央に現れたのはなんと、オーイシマサヨシの親戚にして稀代のシンガーソングライター・大石昌良だ。ロックバンド・Sound Scheduleのボーカルとしてデビューするも、バンドの解散を経験し、ソロデビューや作家活動など決して平坦ではない道を歩んできた男。その大石昌良がアコースティックギターひとつ抱えて武道館に立つという感動的な景色にこみ上げるものがある。そして大舞台もなんのそので踊るような指さばきでギターを奏でると、『トライアングル』を熱唱する。卓越したギタースキルを見せつければ、大シンガロングも巻き起こして一瞬で武道館を自らのものにしてみせ、惜しまれながらステージを後にした。

再びスポットライトを取り戻したオーイシマサヨシが「たしかに似てるけども、親戚の方の大石昌良さんやないかーーーい!」とツッコミながら『枕男子』を再開させると、一層の幸福感に満ちた会場に『楽園都市』をドロップ。メロウな楽曲で表現者としての幅の広さも証明してみせ、今度はエレキギターに持ち替えて2月にリリースされたばかりの2ndアルバム『ユニバース』収録の『エレクトリックパレード』へ。まばゆいほどにカラフルなレーザーに照らされる中、どこまでも伸びゆく歌声を響かせて新たなライブアンセムを完成させた。

「本当にみんなで紡ぎあげた一日だと思います。ありがとうございます」と改めてファンへの感謝を述べていると、なにやら不穏なBGMが鳴り響く。祝福ムード溢れる中に襲来したのはTVアニメ『SSSS.DYNAZENON』のラスボス・怪獣ガギュラだ。突然の危機に救いのヒーローが駆けつけることを信じ、全員で「ダイナゼノン! バトルゴー!」の声を揃えると、大声援に応えてダイナゼノンが登場! ガギュラとダイナゼノンが大立ち回りを繰り広げる中始まったのは、もちろんオープニング主題歌『インパーフェクト』。

「立ち上がれ 世界の憂鬱をひっくり返すのは僕ら次第さ」

押しも押されもせぬ代表曲となったアッパーチューンを力いっぱい歌い上げると、ステージにはグリッドナイトも駆けつける。ヒーローが戦う横で主題歌を熱唱するという、オーイシ武道館でしかあり得ない夢の光景を実現させた。

(C)円谷プロ (C)2023 TRIGGER・雨宮哲/「劇場版グリッドマンユニバース」製作委員会

危機が去ったのも束の間、「これできっと誰にも邪魔されることなく、上手くいくことでしょう」と丁寧な振りをしていると、舞台袖からTVアニメ『SSSS.GRIDMAN』の黒幕であるアレクシス・ケリヴが! 2度目の危機に瀕したオーイシ武道館だったが、満を持してあのヒーローが駆けつける。鋭いギターサウンドを響かせて登場したのは相棒のTom-H@ckだ。オーイシマサヨシをアニソン界に引き込んだ張本人が、絶体絶命のピンチに駆け付けるアツすぎる展開に、会場のテンションは最高潮へ。

オーイシマサヨシとTom-H@ckによるユニット・OxTの2人が揃ってOP主題歌『UNION』を繰り出す。背中を預け合いながらパフォーマンスを展開する姿が反則級に感動的で、加速する全能感に任せてギアを上げていく2人をもう誰にも止められない。

グリッドマンも駆けつけてアレクシス・ケリヴを撃退すると、壮大なサーガの仕上げは、劇場版『グリッドマンユニバース』の主題歌『uni-verse』で飾る。大舞台で披露されることによってその迫力を何倍にも増した楽曲を全力全開で歌い上げる様子は、まるで今ライブが始まったかのようにエネルギッシュだ。最後は1万人の大合唱で武道館を揺らし、一生忘れられない感動的な光景を顕現させた。

目を合わせると泣いてしまうからとTom-H@ckに背中を向けながらも「トムちゃん、とりあえず武道館まで来たわ」と報告すると、温かな祝福の拍手に包まれる。出会った当初から思い描いてきた夢の景色を成就してみせながら、「まだまだ大きくなると思う」とさらなる進化を誓い、2人の歴史の始まりであるOxT結成前のコラボ曲『Go EXCEED!!』を披露。

全ての始まりたる一曲が武道館で演奏されるのはあまりにエモーショナルな展開で、重ねてきた月日と紡いできた絆を全力のパフォーマンスに変換して届けるその姿は無敵そのものだ。見守る全員にとって、そしてなにより2人にとって待ちわびた瞬間の到来に、万雷の拍手が送られるといよいよクライマックスへ。

アコースティックギターを構えると、かつてなく冴えわたるスラップ奏法であの名曲のイントロが響き渡る。うねりを上げる弦の音から始まったのは、オーイシマサヨシ名義で発表した初のナンバー、満を持しての『君じゃなきゃダメみたい』だ。期待も祝福も一身に受け止めて、渾身のパフォーマンスを繰り広げれば、楽曲の持つ幸せなフィールが何千倍にも増幅されていく。「武道館じゃなきゃダメみたい!」と直球ストレートな愛を叫ぶと、限界突破のファルセットで祝宴に華を添え、晴れやかに本編は幕を閉じた。

すぐさま巻き起こるアンコールに応えてステージへ飛び出ると、最新アルバムから『僕らの箱庭』を披露。武道館中にまだまだ溢れる多幸感を抱きしめるように軽やかに歌い上げると、まだまだ物足りない様子のオーディエンスに対し「ちょうどいい曲あんねん」と告げて始まったのは『ドラゴンエネルギー』!

切っても切れないオーイシマサヨシとインターネットとの物語を語る上で欠かすことのできない、盟友・加藤純一との名曲によって、天井を突き破らんばかりのエネルギーがほとばしる。オーイシも「ヒーロー」「Fuー」というかけ声の書かれた看板を掲げてコールを煽り、ファンと一体となって最後まで武道館を楽しみ尽くす姿勢を示す。

デビュー10周年、男性ソロアニソンシンガー初、そして本人としても初の武道館ワンマンという特別な夜のフィナーレに披露されたのは、アニソン界にその名を刻む名曲中の名曲、『けものフレンズ』のOP主題歌『ようこそジャパリパークへ』。大人数で歌うのが楽しいことはこれまでのライブも証明されてきたが、かつてない大空間でかつてない大人数での大合唱はもうドッタンバッタンどころではない大騒ぎで、語り尽くせないほどの興奮と幸福を全員の胸にもたらした。

巻き起こる大大大シンガロングの中心で誰より満開の笑顔を見せるオーイシ。曲が終わった後も終わらない大合唱を愛おしそうに受け止めながら、最後の最後までファンたちとともに声を合わせてライブを満喫し、次なる夢へ向かって軽やかな足取りでステージを去った。

余韻に浸る間もなく、1年後の2025年3月29日、なんと「オーイシ武道館 Vol.2」の開催も発表された。いつまでも続いてほしかった夢の夜はいったんピリオドを打ったが、スーパーなエンターテイナー・オーイシマサヨシと歩むグレイトなジャーニーはまだまだ終わることはないようだ。

「オーイシ武道館」セットリスト

01.エンターテイナー
02.オトモダチフィルム
03.ギフト
04.好きになっちゃダメな人
05.死んだ!
06.なまらめんこいギャル
07.サインはB (TV size) ※cover
08.Hands
09.英雄の歌
10.碧い砲撃
11.枕男子~トライアングル/大石昌良~
12.楽園都市
13.エレクトリックパレード
14.インパーフェクト
15.UNION
16.uni-verse
17.Go EXCEED!!
18.君じゃなきゃダメみたい
ENCORE1.僕らの箱庭
ENCORE2.ドラゴンエネルギー
ENCORE3.ようこそジャパリパークへ

■ダイジェスト映像■
[Digest]オーイシ武道館 ~オーイシマサヨシ ワンマンライブ at 日本武道館~


オーイシ武道館 Vol.2 ~オーイシマサヨシ ワンマンライブ at 日本武道館~

日時:2025年3月29日(土) 開場17:00/開演18:00
会場:日本武道館
チケット料金:指定席 \9,500(税込)
FC先行受付期間 2024年3月2日(土) ~ 2024年4月2日(火) 23:59

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