乃木坂46五期生、櫻坂46三期生、日向坂46四期生の坂道グループの新メンバー(新参者)が2023113日(金)から123日(日)まで、1か月にわたり実施するロングラン公演『新参者 Live at THEATER MILANO-Za』。1130日(木)に日向坂46四期生が、そして122日(土)に櫻坂46三期生がそれぞれの千秋楽公演を行ってきたが、このロングラン公演の大千穐楽となる乃木坂46五期生の最終公演が123日(日)、東急歌舞伎町タワーにある劇場・THEATER MILANO-Zaにて開催された。

各グループ10公演ずつ、計30公演が行われるこのライブ、チケットは全公演即完売。これを受けて、各グループの最終公演ではネット生配信や映画館のライブビューイングも実施され、この日も乃木坂46五期生の勇姿を目撃しようと、多くのファンがモニターやスクリーンの前に集結した。

Overture」に続いてメンバーが続々と舞台に登場すると、最後に井上和がステージ後方から姿を現す。そして、彼女が五期生はじまりの1曲「絶望の一秒前」の一節をアカペラで歌い、メンバー1人ひとりにスポットライトが当たっていき、パフォーマンスが本格的にスタート。躍動感に満ち溢れた楽曲に乗せて、11人のメンバーたちは時に笑顔を振りまきながら渾身の歌とダンスで観る者を惹きつける。曲を終えると、井上が「五期生11人で作る乃木坂46のライブ、見届けてください」と宣言。ここからは「制服のマネキン」「ガールズルール」「裸足でSummer」といったグループのヒットシングルが連発され、会場のボルテージが爆発的に急上昇する。各曲で中西アルノ、一ノ瀬美空、五百城茉央がセンターを務めることで、先輩たちが築き上げたオリジナルバージョンの魅力を踏襲しつつも五期生らしいオリジナリティも伝わり、10数年におよぶ乃木坂46の歴史が今も更新され続けていることが見て取れた。

MCパートで場が和んだあとは、日替わりで披露される楽曲が異なるユニットコーナーへ突入する。最終公演ではカラフルな衣装が可愛らしい「銭湯ラプソディー」(池田瑛紗、岡本姫奈、川﨑桜、菅原咲月、冨里奈央)、椅子を使った艶やかなダンスが見どころの「革命の馬」(五百城、井上、奥田いろは、中西)、オリジナルの“からあげ姉妹”にも負けず劣らずのシュールさを発揮する「無表情」(一ノ瀬、小川彩)といった、ユニット組み合わせの妙がきらりと光る選曲で大いに楽しませてくれた。

続いて、この『新参者』のために五期生が用意した企画「五期生 おひとりさま天国」パートへ。「乃木坂46の歴史を受け継ぎ、乃木坂46に新たな道を切り拓く」をテーマに、公演ごとに異なる“新参者=五期生”がたったひとりでステージに臨むこの企画では、自身が歌う楽曲に込めた思いが伝わるだけでなく、「自分が乃木坂46のために何ができるのか」と考えた上で1人ひとりが異なる演出にチャレンジすることで11通りの個性をたっぷり楽しむことができた。

最終公演では五百城が「羽根の記憶」を、自身や同期メンバーの10年後に思いを馳せながら堂々と歌い上げ、中西は「マシンガンレイン」を乃木坂46加入前に習っていたというドラム演奏を交えて披露。それぞれの思いが強く伝わる好演に、客席からは惜しみない拍手が送られた。

「五期生 おひとりさま天国」企画のあとには、小川の「この曲が私たち五期生とともに成長していけるように、そして先輩たちが築き上げてきた乃木坂46の歴史をつないでいけるように、これからも私たちにできることに挑戦し続けていきます」という決意表明に続いて、彼女が初センターを務める最新五期生楽曲「いつの日にか、あの歌を…」を披露。過去の乃木坂46の振り付けが随所に散りばめられたダンスからも、彼女たちが長いグループの歴史を背負い、大切にしながら前進していこうとする思いが伝わってきた。

その後は、冠番組『新・乃木坂スター誕生!』から生まれたユニット“カフェオーレ”の2人(五百城、奥田)のギター伴奏による「初恋の人を今でも」、先の『33rdSG アンダーライブ』や「五期生 おひとりさま天国」でもその腕前を発揮してきた小川のピアノ伴奏による「君の名は希望」を立て続けに披露。1人ひとりが多才な五期生らしい演出であると同時に、かつて先輩メンバーたちもステージで披露してきた生演奏による歌唱を踏襲するものでもあり、五期生が乃木坂46を背負っていく覚悟をいろいろな側面から、改めて感じ取れたのではないだろうか。

感動的な歌とメッセージの余韻に浸っていると、ライブも終盤戦に突入する。池田がセンターを務める「心にもないこと」に続いては、この『新参者』で初めて11人揃ってのパフォーマンスが実現した「考えないようにする」で客席はセンチメンタルながらもピースフルな空気に包まれていく。そこからクールなダンストラックを挟むことで、場の雰囲気も徐々に変化すると、井上&一ノ瀬のダブルセンターによる「インフルエンサー」、中西が中央に立つ「Actually…」で会場をドラマチックに彩る。さらに、川﨑センターの「17分間」では可愛らしさをアピールしたかと思えば、「バンドエイド剥がすような別れ方」ではセンター菅原の煽りに応えるように観客のボルテージも最高潮に到達。そして、井上の「この曲で会場ひとつになりましょう!」を合図に始まった「おひとりさま天国」でクライマックスを迎え、ライブ本編は終了した。

ライブ本編の熱気を引き継ぐように「乃木坂46」コールが続く中、アンコールは「ロマンスのスタート」からスタート。観客のボルテージが再加熱すると、「Sing Out!」ではクラップとで会場の一体感は最高潮に達し、その温かな空気の中「人は夢を二度見る」では奥田&岡本が見事にダブルセンターを務め上げた。

最後のMCでは全10公演を振り返り、小川が「『新参者』、終わりたくない! 始まる前とか始まったときは、こんな短期間で10公演って大変だろうなと思っていたんですけど、ここまですごく楽しめているのはファンの皆さんのおかげです。『新参者』を通して、ライブって皆さんと一緒に作っているんだなと感じられたし、五期生11人揃って最終日のアンコールまで来られて本当に嬉しいし。同期の大切さを改めて感じられた期間でした」と感慨深げに語る。

また、菅原は「この10公演で『Sing Out!』を5回披露したんですけど、今日が今までで一番緊張したかも。自分がやりたかったこと、今までやってきたものが出せたかどうかわからないけど、楽しかったからOKかな(笑)」と笑みを浮かべつつ、「私、泣かないようにしていたのに、一番泣いているかもしれない。リハーサル期間を含めて、五期っていいなって改めて思った。おばあちゃんになっても一緒にいたい!」と口にすると、隣にいた冨里が「じゃあ、一緒に住もうか!(笑)」と相槌を打つ一幕も。

そして、井上の「最後の最後に、私たちと一緒に歌って踊って、最高の時間を過ごしていきましょう!」を合図にラストナンバー「乃木坂の詩」で最終公演を締め括った。

しかし、メンバーがステージを去っても客席からの「乃木坂46」コールは止むことがなく、さらに大きくなっていく。この思いに応えるように、ステージに再度姿を現した11人は「最後にみんなで盛り上がって楽しく終わりたいねと思って、五期生で1曲選ばせてもらいました」と告げて、四期生の期別楽曲「I see…」をサプライズで披露。声が枯れんばかりの歌声と満面の笑みとともに、乃木坂46五期生として全10公演、3グループ合計30公演にわたる『新参者 Live at THEATER MILANO-Za』を完遂した。

アンコール終了時、井上は「私たち五期生は『未完成は美しい』というフレーズのもと、この11人が集まりました。未完成は美しい、でも、未完成が進んでいくともっと美しいんだ!とこの11人と過ごして、この『新参者』の期間でより強く感じました。そして、それは同期からだけではく、櫻坂46三期生さん、日向坂46四期生さんからも感じました。これからもみんなで手を取り合って、坂を登っていきます!」と力強く語ったが、ここから各グループの“新参者”たちが切磋琢磨し合い、いずれグループを引っ張っていく存在になる日が楽しみになる30公演だったのではないだろうか。

乃木坂46、櫻坂46、日向坂46の未来がさらに輝かしいものになることを願っている。

文/西廣智一

セットリスト

00. Overture
01. 絶望の一秒前
02. 制服のマネキン
03. ガールズルール
04. 裸足でSummer
05. 銭湯ラプソディー
06. 革命の馬
07. 無表情
08. 羽根の記憶
09. マシンガンレイン
10. いつの日にか、あの歌を…
11. 初恋の人を今でも
12. 君の名は希望
13. 心にもないこと
14. 考えないようにする
15. インフルエンサー
16. Actually…
17. 17分間
18. バンドエイド剥がすような別れ方
19. おひとりさま天国

<アンコール>
20. ロマンスのスタート
21. Sing Out!
22. 人は夢を二度見る
23. 乃木坂の詩

<ダブルアンコール>
24. I see…

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