ハナレグミが101日に日比谷公園大音楽堂でワンマンライブ「Faraway so close in 日比谷野外大音楽堂」を行った。今年で100周年の節目を迎え、老朽化のため2024年度以降の建て替えが発表されている日比谷野音。ワンマンライブやイベントなど、ハナレグミ・永積 崇はこれまでに幾度となくこの会場でライブを行っており、永積本人はもとより、ファンにとっても野音は大変思い入れの深い場所でもある(ちなみに永積がかつて所属していたバンド、SUPER BUTTER DOGの解散ライブも20089月に同会場で行われている)。この日のライブは、ハナレグミが20222月から行っている弾き語りツアー「Faraway so close」の特別公演にあたり、ツアータイトルには「遠くにいるからこそ、近くなれる」「近くにいるからこそ、遠い」という彼自身が大事にしているメッセージが込められている。

ライブのオープニングを飾ったのは堀込泰行が作曲を手がけた「ブルーベリーガム」。タイトルさながらの甘酸っぱい歌声が夕暮れ時の野音に響き渡る。2曲目の「マドベーゼ」を歌い終えると、永積は「何を演ろうかな?」と、ひと思案したのち「ハンキーパンキー」をチョイス。哀切を帯びたボーカルで場内をセンチメンタルなムードに染め上げた。続く「あいまいにあまい愛のまにまに」では一転、小気味いいギターと陽気な歌声に先導されて観客がサビのフレーズを大合唱。興が乗った永積がアドリブで琉球民謡の「てぃんさぐぬ花」を歌い上げるなど、序盤から自由度の高いステージが繰り広げられていった。ライブの定番曲「明日天気になれ」で観客とのコール&レスポンスをひとしきり楽しんだ永積は「やっぱり野音は格別ですね!」と満面の笑みで喜びの声を挙げた。

リリー・フランキーから譲り受けたという1963年製のマーティンのアコースティックギター、通称 “リリーちゃん”に持ち変えると、永積は真心ブラザーズ・YO-KING作詞作曲の「祝福」、くるりのカバー「男の子と女の子」を繊細なタッチで演奏。MCでは、SUPER BUTTER DOGのメンバーとして初めて野音のステージに立ったフィッシュマンズの主催イベント「闘魂'97」を回想し、緊張する永積にフィッシュマンズのドラマー茂木欣一が優しく声を掛けてくれたことなどレアなエピソードを披露して観客を楽しませた。続けて永積は、野音で初めて観たバンドだというBO GUMBOSの楽曲「夢の中」をカバー。歌唱を終えると空に向けて、敬愛するBO GUMBOSのボーカリスト・どんとの名を力いっぱいに叫んだ。

ステージ中盤では徳澤青弦カルテットがステージに登場。「音タイム」「独自のLIFE」に続けて届けられた「サヨナラCOLOR」では、ストリングスの音色が楽曲をドラマティックに盛り上げた。「秋ってノスタルジックな気分になっちゃいますよね」とポツリと呟いた永積が演奏したのは、初めてカバーした洋楽曲だという「No Woman, No Cry」。自らのルーツであるボブ・マーレイの名曲を力強く伸びやかに歌い上げる。続けて永積は、「演奏する予定がなかった」というカルロス・トシキ&オメガトライブ「アクアマリンのままでいて」を突発的に演奏。動画サイトで観直したという80年代のトレンディドラマ「抱きしめたい!」のオープニングナンバーにして、シティポップの隠れた名曲をライトメロウなタッチで鮮やかにカバーした。「家族の風景」の演奏がスタートするとノスタルジックで温かなムードが場内を包み込む。本編ラストは「発光帯」。80歳を超えてもなお、雨の日も風の日も、そしてコロナ禍においても変わることなく日々の営みを続ける父の背中に感銘を受けてタイトルをつけたこの曲を情感たっぷりに歌い届けた。

熱烈なアンコールに応えてステージに登場した永積は、この日のために作ったという新曲「ビッグスマイルズ」を初披露する。再び徳澤青弦カルテットをステージに呼び込むと複数の照明が交差する中、「光と影」をソウルフルに熱唱。最後に、「どんなワクチンよりも一番効き目があるのは、やっぱりスマイルなんじゃないかな」という言葉に続けてチャールズ・チャップリン作のスタンダード「Smile」を歌い上げ、心地よい余韻を残してステージを後にした。

<セットリスト>
M1.
ブルベリガム
M2.マドベ
M3.ハンキーパンキー
M4.あいまいにあまいのまにまに
M5.明日天気になれ
M6.祝福
M7.
M8.夢の中
M9.タイム
M10.LIFE
M11.サヨナラCOLOR
M12.No Woman, No Cry
M13.アクアマリンのままでいて
M14.家族
M15.発光帯
<アンコール>
M16.ビッグスマイルズ
M17.光と影
M18.Smile

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