柴咲コウが、8月10日(土)に東京・ビルボードライブ東京にて、バースデーライブ『KO SHIBASAKI BIRTHDAY PARTY 2024『~幸~SAKIWAI』』を開催した。
音楽活動20周年の節目を迎えた2022年から毎年、誕生日を迎える8月にメンバーシップ「KO CLASS」会員限定のバースデーライブを行っている柴咲コウ。3年連続3回目の開催となる今年は大阪、横浜、東京のビルボードライブで全6公演を実施。「自分の誕生日を祝うのではなく、長年支えてくれているファンの方々に直接、感謝の気持ちを伝えたい」という意図で始まったバースデーライブだが、今回は「もうちょっとみんなと絆を深めたい。一対大勢という溝がどんどんなくなっていくといいな」という思いから、ライブパフォーマンスはもちろん、トークコーナーやお悩み相談、クイズ形式のゲームコーナーの時間をたっぷりと設けるなど、より観客との距離を近づけるスペシャルな企画が用意されていた。
開演時間を迎えると、場内が暗転し、宮川純(Pf)、 菰口雄矢(Gt)、モノンクルの 角田隆太(Ba)、Shu(Chor) という普段のライブツアーとは一味違う編成のバンドメンバーが登場。続いて、藤色の着物に眩く光り輝く振袖風ドレスを纏った柴咲コウが客席後方に姿を現し、そのままステージに向かわず、観客の一人一人と目を合わせるかのように、笑顔で手を振りながら客席を周回してステージに上がった。温かく大きな拍手に迎えられた彼女は、「今日はみんなで最後まで楽しんで、幸せな気持ちをシェアできたらいいなと思います」と挨拶し、2003年に公開された映画『黄泉がえり』の主題歌で、劇中で彼女が演じた歌姫・RUI名義でリリースして大ヒットしたバラード「月のしずく」でライブをスタートさせた。楽曲の情感を凛々しく引き立てる歌声で観客の胸をぎゅっと締め付けた彼女は、ライブのタイトル「“幸”SAKIWAI」について、神社を参拝する際の“唱えことば”である<祓(はら)え給(たま)い、清め給(たま)え、神(かむ)ながら守り給(たま)い、幸(さきわ)え給(たま)え>からの引用であると説明。「私を応援してくれるみなさんにも、幸があって欲しい」という願いを込めたことに加え、2007年8月に行われた「1st invitation LIVE」から<幸せの木>をモチーフにしたグッズを製作したことにも触れ、「去年、芸能活動25周年を迎えたので、初心に立ち返って、初めて皆さんの前で歌を歌った時と同じような気持ちで幸せな気持ちを届けられたらいいなと思って、このタイトルにしました」と丁寧に思いを語った。
「みんなとの絆をもっと深められるといいなと思っていますので、今日はいろんなコーナーを用意しています」という言葉から、早速、司会進行役としてラジオパーソナリティーのシャウラ・ヴォーグを呼び込み、昨年のバースデーライブからの1年間を振り返るトークコーナーに突入。芸能活動25周年のアニバーサリーイヤーを「駆け抜けたなという感じでしたね。あっという間でした」と話し始めた柴咲は、昨年末のツアーについて、「今まで私自身がお芝居をして、さらに歌を歌って、ライブツアーをしてきたのは奇跡だなと思うので、それがちゃんと融合するような場所を作りたかった。総まとめのようなものですね」と語った。また、スクリーンに投影された写真を見ながら、京都の上賀茂神社で行われた「葉加瀬太郎音楽祭2024」への参加や自身が主演した黒沢清監督によるフランス映画『蛇の道』の裏話などを繰り広げ、最北端の地である北海道の礼文島のスコトン岬に立った記念写真も公開。近々オフィシャルYouTubeチャンネルでアップ予定の動画を撮影したことも明かした。
さらに、「2024 KO’S CHOICE」と題し、柴咲の意外な一面を探る全員参加のクイズを展開。「数年ぶりにハマり直してるものは?」や「性格が自分と似てる役は?」といった問題を二択で答えていき、最後まで残った5名がプレゼントをもらえるという企画だったが、東京公演の1stセットでは3名しか残らず、急遽、再び全員が起立しての大じゃんけん大会が行われるという嬉しいハプニングも起きた。
続いては、バンドを再び呼びこみ、ファンに募ったリクエスト曲を2曲続けて歌唱。2012年にリリースされた6枚目のアルバム『リリカル*ワンダー』の収録曲「you & me」については、「ゆっくりなテンポだけど、リズム感があって、夢中で歌詞を書いたことを覚えてる」と語り、追憶の中に散りばめれた喪失感と変わらぬ愛を繊細な声で歌いあげ、<私、貴方を幸せにする>というフレーズを観客と共有。そして、2010年リリースの4枚目のベストアルバムに新曲として収録されていた「with you」でやるせなく、もどかしい歌声を届けると、「しっとりした2曲でアンニュイな気持ちになりましたでしょうか」と観客に向かって穏やかに語りかけた。
その後、事前に募集していたお悩みにアドバイスをもらう「コウさんからあなたへ〜ちょっと幸せになれるヒント〜」というタイトルのQ&Aコーナーでは、1つ1つの悩みに対して真摯に向き合う中で、「お互いに照れ屋だ」と言う彼女と観客の親密な対話ができた手応えを感じた彼女は、「お悩み相談に特化したイベントもやりたい」と新たな目標を口にした。
そして、最近、頻発している地震や防災の大切さについて静かに話し始めた柴咲は、東日本大震災の直後にリリースされた23枚目のシングル「wish」が当時、予定していたミュージックビデオの撮影が中止になったことに触れ、「ほんとだったらもっと多くの人に届けたかったという歯痒さが残っている」と吐露。「地震の前と後では自分の気持ちや環境は大きく変化しているし、大切なものにもっともっと目を向けて、愛情をちゃんと伝えていかないといけないなと思わせてくれる事象でもあった」と続け、地震が起こる前に書いた歌詞ではあるが、「そういったことを経験した自分にとっても慰めになる歌詞になっていた」と振り返り、揺蕩う弓弾きのベースに乗せて、まさにたゆまぬ愛を存分に注ぎ込んだような美しく力強い歌声を響かせた。
最後の楽曲を前に、「コロナ禍でみんなのお声やお顔が見られない時に、私自身が不安になりすぎちゃった時に作った曲があります。私は音楽を届ける側で、みんなはそれを受け止めて、楽しんでいただく側なんだけど、ライブという空間を一緒にできるのは幸せなことだし、稀なことだし、その1つ1つが一期一会の大切な場所で私とみなさんの心が一つになれないかなと思って作った曲です。これをどんどん温めて、ふくよかに育てていきたい」と思いを述べた。そして、「みなさんの声をいただいて、この曲を仕上げていきます」と言う言葉に導かれた「TRUST」で大合唱が起こり、ステージとフロアの距離をグッと縮まったところで柴咲はこの日1番の笑顔を見せ、「またぜひ会いましょう。ライブツアーにお越しください」と再会を誓って、バースデーライブを締めくくった。
なお、柴咲コウは12月7日(土)の埼玉公演を皮切りに全国11都市をめぐるツアー「KO SHIBASAKI LIVE TOUR 2024 ACTOR'S THE BEST ~響宴~」を開催する。この日のMCでは、昨年12月に行われた全国ツアー「KO SHIBASAKI CONCERT TOUR 2023 ACTOR'S THE BEST」を引き継いだ内容になるそうで、「音楽とお芝居の融合点は継承して磨きをかける。オリジナルの演出も用意してます」と宣言。また、昨年よりも規模を拡大したツアーに向けた作品のリリースに関しては、「鋭意制作中です。期待していただけたら嬉しい」とだけ語り、名残惜しそうにステージを後にした。
-KO CLASS会員限定- KO SHIBASAKI BIRTHDAY PARTY 2024『~幸~SAKIWAI』 8月10日(土) @Billboard Live TOKYO
【SETLIST】
[1st Stage]
M1 月のしずく
M2 you&me / [2nd Stage] invitation
M3 with you / [2nd Stage] 眠レナイ夜ハ眠ラナイ夢ヲ
M4 wish
M5 TRUST