「HY SKY Fes 2025 & 前夜祭」が、2025年3月14日(金)より3日間にわたり、沖縄県総合運動公園多目的広場で開催された。6回目の開催となる今回は2日間で延べ2万5000人ほどが来場し、HY含む14組の豪華アーティストが舞台を盛り上げた。本レポートでは、DAY2の様子をお届けする。

連日の雨と強風で沖縄とは思えない寒さのなか、1万人を超える来場者たちが雨のなか会場に集まった。頭にSKY Fesのタオルをのせ、カッパを着たり長靴を履いたりと、雨対策をしっかりとり準備万端の来場者たち。

DAY1と同様、メインステージとは別に設けられたグリーンステージでは、MASA MAGICによるマジックパフォーマンスと、沖縄出身のお笑い芸人ありんくりんによるステージが行われ、キャンプサイトエリアで楽しむお客さんから多くの歓声と笑い声であふれる時間となった。

世界一クリーンなフェスをめざしたSKY Fesでは、HYが自ら手がけた廃材アートの装飾や、廃材を使用した楽器作りワークショップも行われ、今年はさらに古着回収をスタートさせた。「地球と子どもたちの未来のために」をテーマに、今年も子どもたちが楽しめるコンテンツが満載に用意され、2023年よりスタートした「With Children 企画」も行われた。「映画制作」「こども新聞」「こどもカフェ」の3つのプロジェクトが用意され、子どもたちが夢を見つけるきっかけが散りばめられているのもこのSKY Fesの大きな魅力の一つだ。

<DAY2ステージレポート>

メインステージの出演アーティストは、HY含め7組。雨がしとしと降り続けるなか、12時に「HY SKY Fes 2025 &前夜祭」最終日がスタートした。

1組目のアーティストは、キマグレン。舞台に用意されたひとつのベンチにふたりで腰をかけ、「ボーダーグランド」を歌い出した。続いて失恋ソングの「あえないウタ」を披露。ISEKI(Vo/G)の爪弾くギターの音色が雨音とあいまって、加えて"シャラ、シャラランラ"のコーラスが切なさを生み出す。そして「月光浴」でさらにしっとりとした雰囲気に。ISEKIの優しく透きとおった歌声と、KUREI(Vo)のハスキーなラップが響き渡り、オーディエンスがどんどん引き込まれていく。代表曲でもある「LIFE」では、サビの“泣きたくて 笑いたくて”をみんなで大合唱し、コール&レスでオーディエンスを大いに喜ばせた。MCでは15歳の結成当時から再結成までの道のりを、ギターの音色にのせてしっとりと語った。その雰囲気がまたよく、まるで彼らの出身地である逗子海岸でこのMCを聞いているようだった。「最後は、自分たちが1番最初に作った曲をみなさんにお届けできればなと思っております。」と「君を忘れない」を披露。自然と手拍子がはじまり、体を横に揺らしながら静かに音楽を感じ、気持ちよい空気のなか最初のステージが終わった。


2組目「肝高の阿麻和利」は、HYの地元でもある、沖縄県うるま市の中高校生が出演する現代版組踊。「肝高の阿麻和利」とは、沖縄に古くから伝わる伝統芸能「組踊」をベースに、現代音楽とダンスを取り入れて、勝連城10代目城主「阿麻和利」の半生を描く、いわば「沖縄版ミュージカル」だ。本編2時間の演舞をショートバージョンにして、沖縄の伝統芸能を届けた。沖縄ならではのパフォーマンスに、特に県外からの来場者が喜んでくれたのは、彼らにもしっかりと伝わっただろう。子どもたちにとって、ビッグアーティストと同じ舞台に立つ経験は、唯一無二のものとなったに違いない。


多くの観客がスタンディングエリアに詰め込み大歓声と指笛があちらこちらで起こるなか、3組目に新世代アーティストimaseが登場。「初沖縄!」と高らかに叫び、「ユートピア」「Nagisa」を続けて披露。おしゃれなサウンドと、裏声と地声を自由に操る独特な世界観で会場をポップな色に包んだ。初めて聞く指笛に喜び、「最高な沖縄、今日は盛り上げていきたいと思います。いきますか?」と「メトロシティ」へつないだ。そして新曲「FRIENDS!!!」を歌い出す。卒業シーズンの若者へのエールが溢れた、ハートフルな時間となった。世界で活躍するアーティストたちがカバーした「NIGHT DANCER」はもちろんみんなで踊って歌い、続けて新曲「EGOIST」そして「Happy Order?」でimaseのステージはあっという間に終了。雨が続き気温がグッと下がったなかだったか、そんなのは全く感じさせず、音を操る天才を前に音楽を存分に楽しむ30分だった。

4組目のアーティストは大塚 愛。登場してそのまま「ロケットスニーカー」をアップテンポに歌い、続けて熱い気持ちをぶつけた楽曲「GO」を披露。「ここにきてすごく沖縄に似合う曲ができるのがうれしいな。だって見て」と三線をゆびさし、「桃ノ花ビラ」へとつなげた。放たれた音が空に向かって泳いでいくように、会場中に響く美しい歌声だった。そしてピアノを静かに弾きはじめ、スタートしたのはあの名曲「金魚花火」だ。その世界観にオーディエンスはすっかり引き込まれ、誰もが聴き入っていた。続けて「プラネタリウム」を、静寂に包まれたまま心を込めて歌いあげた。最後はガラッと雰囲気を変えて「PEACH」「さくらんぼ」を披露。いつの間にかスタンディングエリアは後方まで人で埋め尽くされていた。“笑顔咲ク 君と 抱き合ってたい”からはじまるサビは、もちろん大合唱。「愛してるよ沖縄!」の叫びに、拍手と指笛と歓声で応え、会場がひとつになってパフォーマンスを終えた。

5組目に登場したのは、若者を中心に幅広い世代に支持されるスリーピースロックバンドSaucy Dog。「シンデレラボーイ」「シーグラス」と、切ない恋の物語を続けて歌いあげた。MCでは、「あいにくの曇り空で、思ってたより寒かったんですけど、みんなが迎えてくれるピュー(指笛)とか、そういうのがあったかくてめっちゃうれしいです」とせと ゆいか(Dr/Cho)が話すと、各所から指笛が鳴りだした。続けて歌う「馬鹿みたい。」では石原の歌唱力の高さと声の美しさを魅せつける1曲となった。そして「ここにいるみんなの、この時間だけはあなたのヒーローでありたい!」と高らかに叫び、「夢みるスーパーマン」へとつなぐ。明るくアップテンポに歌い、続く「現在を生きるのだ。」では“さぁ 自分らしく 走り出して行け”と、オーディエンスに応援メッセージを送った。「イーヤーサーサー」と叫ぶ石原に「ハーイヤ」で返す会場。そんな掛け合いを楽しみ、最後の2曲へ。“坂道を登った先の暗がり 星が綺麗に見えるってさ”のフレーズを静かに歌い出し、オーディエンスを「いつか」の世界に引き込んでいく。ざわついていた会場が石原の歌声と歌詞に耳を傾け、多くの人がエモーショナルな気持ちになっただろう。最後は「優しさに溢れた世界で」を披露。メッセージを込めて展開していく「Saucy Dog」のライブに、多くの人が魅了された40分となった。


6組目は4人組ロックバンドSUPER BEAVER。「名前を呼ぶよ」「突破口」を続けて披露し、序盤から20周年を迎える流石のパフォーマンス力に会場は大盛り上がり。“今をやめない やめない やめない やめてしまえば 叶わないから”の歌詞は、心にどしんと響くものがある。MCでは「HY好きなんで 今日はSKY Fesのための最高のステージを、あなたと一緒に作ろうかなと思ってきました。」「あなたと最高の音楽やりに来たんでお願いします」と叫び、まるでライブハウスのような一体感を生んだ。“愛してる”の歌い出しからスタートした「アイラヴユー」では、“愛してる 愛してる”の大きなバンドコールを起こす。続く楽曲は「切望」と「小さな革命」。会場はジャンプし歌い踊り、盛り上がりの最高潮を迎える。最後は新曲「片想い」と「青い春」の2曲を歌いあげ、圧巻のパフォーマンスを終了。愛のあるメッセージがいっぱい込められた、ロックな40分だった。

大トリを務めるのは、もちろんHY!三線の音色にのせて「イーヤーサーサー」「ハーイヤ」の大合唱のなか登場し、1曲目「Street Story」がスタート。エイサーを呼び込みカチャーシーを踊り、手拍子して、ジャンプして、歌って踊って、一瞬にして会場をあたためた。

そして代表曲「AM11:00」へとつなげると、20年が経っても色褪せない名曲に、オーディエンスも大合唱となった。続いてアニメ『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』のオープニングテーマにもなっている新曲「大大大好き」を、ダンサーとともに披露。

「42年間のすべての人生の、いろんな人との出会いや別れを描いた曲になっています」と仲宗根泉(キーボード・ボーカル)の語り出しで紹介されたのは、映画『366日』の主題歌であり、ストリーミング再生数が1500万回を超えたHYの新たな大ヒット曲「恋をして」だ。卒業式などで別れがあるこの季節とあいまって、大きな感動を生むシーンとなった。

最後は人気曲「隆福丸」と「ホワイトビーチ」を続けて披露。HYの代表曲とはいえ、沖縄県民はなぜこんなにもみんな、HYの曲を歌えるのか不思議だ。本当にみんながみんな、サビ以外もしっかりと歌えるのだ。おそらくこの光景を初めて目にした人は、沖縄の学校ではHYの歌が教科書に載っているのかな?と思ってしまうだろう。それほど、子どもから大人までみんながHYの歌を口ずさめるのだ。HYが沖縄県民にいかに愛されているかがよく分かる。

アンコールは「366日」をOfficial Duet ver.で。タイトルコールをすると会場が沸き立ち、仲宗根の奏でる美しい音色に耳を傾ける。そして徐々にスマホのライトをつけて横に振る人たちが増え、舞台から見た会場は幻想的な灯りに包まれた。“それでもいい それでもいいと思えた恋だった”からはじまるサビをみんなで大合唱し、感動の渦に巻き込まれたラストとなった。そうして全員がひとつとなって「HY SKY Fes 2025 &前夜祭」は幕を閉じた。

SKY FesはHYメンバーが地元沖縄で、「地球と子どもたちと未来のために」できることはないかと考え、生み出された。子どもたちの大きな夢やチャンス、家族みんなて゛つなか゛っていく大切な時間になれは゛というHYの思いのとおり、多くの人にとって大切な場面となったことだろう。

SKY Fesは参加する出演者とHYメンバーの仲の良さも垣間見られ、アーティストとしてだけでなく人間的な部分が存分に伝わるフェスだ。参加するたびに好きなアーティストが増えていく。いままで知らなかったアーティストを探りに、一度遊びにきてはいかがだろうか。

来年7回目となる「HY SKY Fes 2026 & 前夜祭」の開催も発表され、2026年3月20日(金)21日(土)22日(日)に開催が決定。

なおこの3日間の模様は、2025年5月3日(金・祝))19時から23時30分、CSチャンネルフジテレビNEXTにて独占放送されることが決定している。

文:五十嵐梨花
カメラマンクレジット:G-KEN / 根原奉也 / 仲本潤

「HY SKY Fes 2025 & 前夜祭」 

会場:沖縄県総合運動公園 多目的広場 
主催:SKY Fes実行委員会

【前夜祭】 2025年3月14日(金)
出演者:HY、Anly

【DAY1】 2025年3月15日(土)
10:00開場/11:15開演
出演者:HY、THE安里1丁目ミラクルボーイズ(オープニングアクト)、BURNOUT SYNDROMES、スターダスト☆レビュー、CHEMISTRY、LiSA、GENERATIONS、かりゆし58(※HY以外出演順 ※敬称略、全8組)

【DAY2】 2025年3月16日(日)
10:00開場/11:15開演
出演者:HY、キマグレン、肝高の阿麻和利、imase、大塚 愛、Saucy Dog、SUPER BEAVER(※HY以外出演順 ※敬称略、全7組)

【GREEN STAGE】 2025年3月15日(土)16日(日)
14:40~ ありんくりん
17:20~ MASA MAGIC

―SKY Fesオフィシャルサイトー 

<3月16日(日)「HY SKY Fes 2025 & 前夜祭」セットリスト>
■キマグレン
M1 ボーダーグランド
M2 あえないウタ
M3 月光浴
M4 LIFE
M5 君を忘れない

■肝高の阿麻和利
M1 ダイナミック琉球 short ver.
M2 伝令
M3 安波節
M4 伊計離島
M5 棒術
M6 あまわり誕生~歓喜~肝高の詩
M7 肝高の詩

■imase
M1 ユートピア
M2 Nagisa
M3 メトロシティ
M4 FRIENDS!!!
M5 NIGHT DANCER
M6 EGOIST
M7 Happy Order?

■大塚 愛
M1 ロケットスニーカー
M2 GO
M3 桃ノ花ビラ
M4 金魚花火
M5 プラネタリウム
M6 PEACH
M7 さくらんぼ

 ■Saucy Dog
M1 シンデレラボーイ
M2 シーグラス
M3 馬鹿みたい。
M4 夢みるスーパーマン
M5 現在を生きるのだ。
M6 いつか
M7 優しさに溢れた世界で

 ■SUPER BEAVER
M1 名前を呼ぶよ
M2 突破口
M3 アイラヴユー
M4 切望
M5 小さな革命
M6 片想い
M7 青い春

 ■HY
M1 Street Story
M2 AM11:00
M3 大大大好き
M4 恋をして
M5 隆福丸
M6 ホワイトビーチ
En 366日(Official Duet ver.)

<放送情報>

番組タイトル:『HY SKY Fes 2025 &前夜祭』
放送日時:5月1日(木) 19時~23時30分
放送チャンネル:フジテレビNEXT ライブ・プレミアム
放送内容:DAY1、DAY2ライブの模様を中心にフェスの舞台裏を追加してお届け! 
番組公式URL:https://otn.fujitv.co.jp/SKY25/
※放送時間は予告なく変更になる場合があります。

HY オフィシャルサイト“HY ROAD”

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