高野麻里佳・高橋李依・長久友紀の3人からなる声優ユニット・イヤホンズ。

2015年に放送されたTVアニメ『それが声優!』をきっかけに結成されたイヤホンズは、アニメの枠を越えて様々な活動を繰り広げ、2025年6月18日にデビュー10周年を迎えた。さらに彼女たちがパーソナリティを務める月1回放送のラジオ番組『イヤホンズの三平方の定理』も、2025年9月の配信で放送100回の大台に到達。そんな記念すべき2つの節目をコマクちゃん(※イヤホンズのファンの総称)と一緒に祝うスペシャルイベントが8月24日に池袋 CLUB MIXAで開催された。

ブルー・イエロー・ピンクのそれぞれのメンバーカラーをあしらった、フリルやレースのついた花束のような衣装に身を包みイヤホンズの3人が登壇。会場に詰め掛けたコマクちゃん、そして配信で視聴しているコマクちゃんへ向けた「みなさん、こんにちイヤー!」の元気な挨拶とともにイベントがスタートする。高橋がイヤホンズを“イヤホン”と紹介するお茶目なハプニングもありつつ、最初から笑いが絶えない賑やかな雰囲気で、まずはそれぞれの節目を振り返るトークコーナーへと突入していく。

最初のトークテーマは“イヤホンズ10周年”。この10年の間にイヤホンズとして多数の楽曲リリースやライブイベントを行っている3人。ユニット結成のきっかけとなった『それが声優!』原作者・浅野真澄にユニット始動当時に色々と教えてもらった話や、新聞に掲載されたエピソード、初期の思い出話など、話題が尽きることなくトークが進む。そしてイヤホンズが10周年ということは、アニメ『それが声優!』も放送から10周年。今回のイベントの1週間前に行われたコミックマーケット106にて、『それが声優!』のアニメ化10周年記念同人誌が頒布されていたこともあり、話題はこの同人誌の内容に。現実のイヤホンズの3人が歩みを進めたことで、作中のイヤホンズたちも10年の月日が経過したことに、3人からエモさ溢れる言葉が次々と発せられた。

次の振り返りトークテーマは“『イヤホンズの三平方の定理』放送100回について”。文化放送で放送されていた前身の番組を経て、2018年1月から放送が始まった同番組は、月に1回イヤホンズの3人が必ず会える場所であり、イヤホンズにとってなくてはならない存在だ。ここからは番組で事前に募集していた、コマクちゃんとイヤホンズとの出会いに関するメッセージ「あなたとイヤホンズはどこから?」では、ユニット結成当初の「Animelo Summer Live 2015 THE GATE」のけやき広場のライブイベントに参加した方から、コロナ禍で聴いたラジオでファンになった方まで、様々な出会いを紹介。それらの話から派生して、けやき広場のイベントでのMYTH & ROIDとの交流からTom-H@ck氏との縁ができ、のちに1stアルバム収録の「私でキマリ☆」が生まれたという高野の初出しエピソードや、2015年に行われたAice⁵との対バンライブ「イヤホンズ vs Aice⁵ ~それがユニット!」の後に「イヤホンズを続けるか否かを聞かれた」というユニット継続のターニングポイントなど、貴重なエピソードも飛び出しながら、様々な思い出話に花を咲かせたのだった。

10周年を振り返るコーナーはまだまだ続く。ここからはイヤホンズの10年間の活動で撮影された10枚の写真を年代順に並べる「イヤホンズ10周年の記憶と記録」のコーナーに突入。ライブ写真からCDジャケ写、高橋も愛用しているライブグッズの耳かきまで、バラエティ豊かな10枚の写真がパネルで登場すると、昔のライブ写真に高橋が思わず「若い!」と叫ぶくらい懐かしいパネル写真たちを、メンバーたちはコマクちゃんたちの力も借りながら並べ替えていく。8周年イベント「Earphones 8th Anniversary Special Party」で同様の企画が行われた際は1箇所だけ間違えるという悔しい結果だったが、今回はなんと全問正解!メンバーもコマクちゃんも大興奮のなか、無事前回のリベンジを果たしたのだった。

『それが声優!』のBD-BOX発売や、『それが声優!』制作会社のGONZOのイベントの告知を挟み、次はイヤホンズのイベントでは最早お馴染みとなったオンラインくじのコーナーへ。8月22日から9月18日までの期間限定販売となっている今回の「イヤホンズ 10周年記念オンラインくじ」は、豪華賞品のほかに今回のイベントで使用した3人の直筆サイン入り小物が当たるWチャンス賞も用意されている。3人もそれぞれオンラインくじを引く流れとなり、高野はC賞ミニサイン色紙、高橋はB賞アクリルおまもり、長久はA賞マグカップを引き当て。そしてこの3つを使って「イヤホンズの三平方の定理」内の大人気コーナー「イヤホンズ&チョコレート」へと突入していく。このコーナーは、日常に溢れるピンチをイヤホンズの3人がファンから募集したアイテムを使って切り抜けるという人気企画。今回は「肝試しにきたら呪われた!」というピンチをアドリブで切り抜けることに。おまもり発動でピンチをすぐに切り抜ける高橋、色紙とおまもりに描かれた『それが声優!』の3人のキャラクターの10年前/10年後の絵柄の違いを元にその成長力から力を得ようと画策する高野、おまもりを溶かしてマグカップで飲むと頑なに提案する長久など、3人でアイディアを閃かせながらなんとか呪いを解こうと奮闘していく。その甲斐あって、無事切り抜けられたのか、会場のコマクちゃんの判定は全員一致で成功。笑いの絶えないコミカルな一幕となった。

突如式典用の音楽が流れ、ここからはイヤホンズ10周年とラジオ放送100回を記念したセレモニーがスタート。『それが声優!』原作者・浅野真澄の音声に沿って恭しく式典が進んでいく。最初に行われたのは、日本の伝統的な式典に欠かせない“鏡開き”。テーブルに乗るサイズの小さな祝い樽が会場に運び込まれ、浅野の「せーの」の掛け声とともに3人が木槌を使って思い切りよく割っていく。そこから長久の「イヤホンズ10周年とラジオ100回、合わせて110、いいお声を届けてまいります」という乾杯の挨拶を終えると、即座にイヤホンズの11年目の幕開けを祝う“テープカットセレモニー”へ。紅白のテープを3人でカットした後は、会場のコマクちゃんに向けてサイン入りボールを投げ入れる“始球式“が行われ、そこから間髪入れずに”だるまの開眼式“へ突入。小芝居を交えながらイヤホンズの3人が両目に目玉を書き入れると、会場からは大きな拍手が巻き起こった。しかしまだまだ式典は続く。

次はデビュー10周年と放送100回の幸せのお裾分けとして”ブーケトス“を敢行。後ろを向いて高らかに投げられた3つのサイン入りブーケは、綺麗な放物線を描いて無事にコマクちゃんの元へと渡されていく。そしてセレモニーの最後を飾るのは会場の中央に設置されたくす玉を割る”くす玉割り“。カウントダウンとともに「11年目もよろしくね!」のメッセージが飛び出し、会場からは「おめでとう!」と大きな拍手が鳴り響いた。「こんなにいっぱいセレモニーってやるの!?」と長久が思わず発してしまうほど、思いつく限りの様々なセレモニーが行われた会場の雰囲気はお祝いムード一色に。イヤホンズらしい賑やかなセレモニーとなった。

あっという間にイベントも終盤となり、最後の挨拶へ。まず高野から、「(『それが声優!』のキャスト)クレジットが3番目にもかかわらずユニットではセンターだったのが重荷だったけど、10周年になるまで挫けずに続けられたのはコマクちゃんやスタッフの皆さんのおかげです。絶対に支えてくれる戦友の2人とともに10周年を迎えられたこと、そんな私たちを見守ってくださったことを嬉しく思っております。」という言葉に続いて、長久からは「10年前の最初のインストアイベントではまったくしゃべれなくて2人に背中を預けていたけど、そこから私も背中を預けてもらいたいと思ってやってきました。こんなに自分を出せるようになったのは2人のおかげだし、コマクちゃん、スタッフさんたちのおかげ。私をここまで引っ張ってくれてありがとうございます。これからも私たちが私たちらしくいられる場所として、末永くよろしくお願いします。」と感動的な言葉が紡がれる。最後に髙橋から、「いろんな地域からコマクちゃんが来てくれて、応援してくれる人がたくさんいるのだと今回のイベントで改めて感じました。今後もいろんなイベントはもちろん、イヤホンズのツアーとか、様々な景色を見せることをリーダーとしてまだ諦めていません。これからも私たちに付いてきてくれたら嬉しいです。」という10周年への感謝と11年目に向けての力強い想いがコマクちゃんへと伝えられた。

「以上!私たちイヤホンズでした!」と締めの挨拶を終えるとステージが突如暗転。そこで流れてきたのは、先日リリースされたばかりの新曲「かかえきれない花束を」のイントロであった。サプライズで歌唱されたこの曲は、「それが声優!」10周年記念同人誌のテーマソングとして書き下ろされたもので、10周年を迎えたイヤホンズの想いがギュッと詰まっている1曲だ。3人の心地良いユニゾンに会場中が浸ったあと、この日一番の盛大な拍手が巻き起こり、3人のサプライズ披露は無事成功。「ありがとうございました!」の言葉と共に、『イヤホンズ 10th Anniversary & 「イヤホンズの三平方の定理」放送100回記念イベント』は幕を閉じたのだった。

本イベントは同時生配信も実施しており、配信チケットを購入すると8月30日23時59分まで何度でもアーカイブ視聴が可能だ。また、同日行われた公開録音の模様は9月2日更新の第100回配信分でも放送される。

10周年の節目を迎えたイヤホンズだが、イベント内で11年目の幕開けを祝ったように、まだまだ彼女たちは走り続ける。今後のイヤホンズからも目が離せない。

Photo by 粂井健太
Text by 河瀬タツヤ

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