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「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」by SMART USEN



銀座のさまざまなショップの中でも、ひときわウインドーディスプレイで目を引くのがバーニーズ ニューヨーク銀座本店だ。言わずもがな、銀座のホリデーシーズンの風物詩となっている。

特に正面入り口に向かって左右にふたつ、巨大なショーウインドーがあり、ビジュアルがさらに引き立つ。

そんなバーニーズ ニューヨークのビジュアルについて「基軸は"テイスト、ラグジュアリー、ユーモア"です」と方針について答えたのは、取締役 クリエイティブディレクターの谷口勝彦さん。

「この言葉は94年くらいから使っていますが、当然ディスプレイ表現だけではなく、店内のインテリアデザイン、あるいはストアデザインそのものに深く反映されています」と続ける。

「テイストとラグジュアリーは読んで字の如し。ユーモアについては面白おかしいという意味もありますが、ヒューマンという意味も持たせて人間臭さの部分ですね。バーニーズ ニューヨークの場合は、ディスプレイのどこかにハンドメイド感を持たせてミックスしつつ、モダンな内装や商品とコーディネイトする事でユーモアを表現しています。それが綿々と続いているひとつの大きなスタイルなんですよ」とユーモアのビジュアル表現について語った。

2020年のイメージビジュアルでは、Jean-Philippe Delhomme(ジャン=フィリップ・デローム)の作品を使用したディスプレイを展開。

「"バーニーズとは?"という部分を見直そうと考えていまして、もちろん"昔は良かった"という振り返りでなく。今までもイラストレーションはよく使用してきたのですが、そういうハンドメイド感がある表現にしようという事で、今回は27年ぶりにデローム氏に依頼しました」と今回のディスプレイの表現について話す。

「春夏シーズンは店の中の一場面の写真を元に4点、"ユーモアを入れて描いて欲しい"とお願いしたら、スケッチが12~13点くらい送られてきたんです。ホリデーシーズンは93年に使用した彼の広告ビジュアルのアーカイブとともに、新しくパーティーとホームのふたつをテーマに依頼しています。そうしたら今度はスケッチが5点送られてきて。スケッチは表現としてそれ自体が本物になっていく前のものだし、さらに生々しいんですよね。だから、"スケッチも使わせて欲しい"と(笑)」。

アーカイブに関しては、ニューヨークの方でも情報は保管されていなかったそう。

「デジタルのデータなんてもちろんなく、こちらで保管していた当時の広告が40点近くあったので、それらをスキャンしてデータ化させて、さらにすべてコルトンにしました。イメージ的にはファインダーを覗いて何かを見ているみたいな感じ。だから、正面から覗かないと見えない。それにコルトンだからひとつひとつに光源が必要だったのですが、コードはどさっとある感じにして、良く言えば(クリスチャン・)ボルタンスキー的な雰囲気にしています(笑)」。

今回の音楽に関しては「ビジュアルディスプレイチームリーダーの本村雅之が音楽を担当しているのですが、店内に関しては新譜を流さないというのがバーニーズ ニューヨークの昔からのスタイルで、あとはカテゴリーに合わせて選曲しています。今回のウインドーディスプレイに関しては、ウインドーの外に音楽が流れるように工夫してデローム氏の選曲リストに基づいて、その雰囲気に近い著作権フリーな音源を本村が選曲しました」との事。

2021年春夏シーズンは、基本に立ち返ると谷口氏。

「"テイスト、ラグジュアリー、ユーモア"のユーモアの部分をもっと積極的にやっていきたいと考えています」。

ウインドードレッサーの第一人者であり、谷口氏の師でもあるサイモン・ドゥーナン氏がバーニーズ ニューヨークの精神だと語る。

「彼はイギリス人で、シニカルなユーモアの持ち主なんです。笑いという行為ひとつとってもクオリティーが高い。ハイセンスで、しかもチープシックな笑いも表現できるんですよ」。こういう状況だからこそ、余計にユーモアが必要だと話す。

「2018年に"HAVE A MUSIC HOLIDAY"という事で、音楽をテーマにソリマチアキラさんのイラストを3D化させて、ジャズとロックのジャンルを切り口に、削り出しで動くマネキンを100体以上作ったんですね。その時に、5歳のお子さんが、ウインドーを毎日観に来て、ある日、箱にジオラマでそっくりな物を作って持ってきてくれたんです。その完成度が高く、あまりにも素晴らしかったので、ケースに入れて、しばらく六本木店の一番いい場所に飾ったんですよ。それがバーニーズのスタイルなんです。こういう事が出来るのも、リアル店舗の良さなのだと思います」と、ひとつのビジュアルから、人と人が繋がっていくリアル店舗の醍醐味について語った。

コロナ禍で暗いニュースが多い中、こんな時勢だからこそ、一番必要なものは人の心を少しだけ豊かにしてくれるちょっとした笑い、つまりユーモアではないだろうか。

今後も、バーニーズ ニューヨークがどのようなユーモアを提案してくれるのかが楽しみだ。

[section heading="バーニーズ ニューヨーク銀座本店"]

住所:東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル
バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター:0120-137-007(受付時間 11:00~20:00)
営業時間:11:00~20:00
※新型コロナウイルス感染拡大防止ならびに、お客様・従業員の健康と安全確保の観点から、バーニーズ ニューヨーク銀座本店・新宿店・六本木店・横浜店・神戸店・福岡店及びカスタマーセンターの営業時間を当面の間11:00~19:00までに短縮させていただきます。状況により変更となる可能性がございます。予めご了承ください。



ジャン=フィリップ・デローム氏が手がけた93年の広告ビジュアルのアーカイブディスプレイ。

谷口氏曰く、40以上のアーカイブとメイキングムービーが流れるウインドーディスプレイ。ニューヨークの摩天楼を上から見た雰囲気をイメージしている。

イメージがファインダーを覗いている感じとの事で、横からではビジュアルが見づらい。

左がパーティーで、右がホームのテーマのビジュアル。後ろに飾ってあるイラストはジャン=フィリップ・デローム氏による作品。

こちらは店内のディスプレイ。ホリデーギフトとともに。

店内1Fのホームをテーマにしたアイテムとともに。

店内の所々にもデローム氏の作品が展示されている。

最初に送られてきたスケッチ案もビジュアルとして展示。

様々な形でデローム氏のイラストを展示している。

2018年、『HAVE A MUSIC HOLIDAY』のウインドーディスプレイ。(写真提供:株式会社バーニーズ ジャパン)

こちらが5歳の少年がウインドーディスプレイを見て作ったというジオラマ。(写真提供:株式会社バーニーズ ジャパン)

「THIS DIORAMA OF A HOLIDAY WINDOW CREATED BY OUR LITTLE CUSTOMER!(このホリデーウインドーのジオラマは私たちの小さなお客様が作りました!)」。ジオラマはバーニーズ ニューヨーク六本木店にしばらく展示された。(写真提供:株式会社バーニーズ ジャパン)

「こんな状況だからこそユーモアが必要!」と語る取締役 クリエイティブディレクターの谷口勝彦さん。

(おわり)

写真/遠藤純
取材/久保雅裕
取材・文/カネコヒデシ



久保雅裕(くぼ まさひろ)
(encoremodeコントリビューティングエディター)

ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(センケン アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。2019年、encoremodeコントリビューティングエディターに就任。

カネコヒデシ
メディアディレクター、エディター&ライター、ジャーナリスト、DJ。編集プロダクション「BonVoyage」主宰。WEBマガジン「TYO magazine」編集長&発行人。ニッポンのいい音楽を紹介するプロジェクト「Japanese Soul」主宰。そのほか、紙&ネットをふくめるさまざまな媒体での編集やライター、音楽を中心とするイベント企画、アパレルブランドのコンサルタント&アドバイザー、モノづくり、ラジオ番組製作&司会、イベントなどの司会、選曲、クラブやバー、カフェなどでのDJなどなど、活動は多岐にわたる。さまざまなメディアを使用した楽しいモノゴトを提案中。バーチャルとリアル、あらゆるメディアを縦横無尽に掛けめぐる仕掛人。





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