INTERVIEW

この1年半、アーティストは自分がやってることをみんな考えたと思うんですけど、THE FOREVER YOUNGはどうでした?

「THE FOREVER YOUNGというバンドのあり方だったり、クニタケヒロキという人間のあり方をリバイバルして、改めて考え直す機会になったんじゃないかなとは思いますね」

主にどういうところを考え直しました?

「一番大きかったことはライブがなくなってですね、月に出っぱなしで家に帰らなかったりすることが僕らの日常だったんですけど、それが去年の3月ぐらいからぱたんとなくなりまして。で、スタジオに入ることも、練習もあんまりできなくなってきて。最初は家でゆっくりしてることが多かったりして、中学・高校の頃に好きだったバンドの深夜のインディーズのロックとかパンクのバンドの録画してる映像を引っ張り出して観たりとか、”あ、こういう時間もとれていいな”と思ってたんですけど、だんだんそれが続くにつれて、自分の存在意義があるのかどうか、曲も全然作れてなかったですし、”人前で胸張って音出して歌う”っていうのが僕の生きがいだったんだなぁと思って。それがなくなった時に、”要るのか?俺たち”みたいな感覚になってきて……。でもまたその中でだんだん奮起できたというか。ライブができなかったら曲を作る、できるときは一本のライブに気持ち込めてやれるようになったのが、地元で応援してくれてる先輩だったり友達だったり家族が、ゆっくりしてるときは距離的には近くにいたんですけど、応援してくれたりとか、SNSとかを見ると”こういう毎日だけど、THE FOREVER YOUNGを聴いて頑張ってます”って言ってくれてる奴らがいて。そんなふうに言ってくれるのが僕の生きがいだったなと思って、また見つめ直して、原点回帰じゃないですけど、聴いてくれてるとか、フォロワーの人のためにやってたんだなと思って、それで奮起できましたね。そういう意味では」

具体的にじゃあ何ができるだろう?って考えたことが新曲に?

「そうですね。その時の僕の気持ちを曲にするしかないなと思ったんですね。ま、サウンドもそうなんですけど。だからそれで、曲を作っては”こんなんじゃダメだ”って思って一回ぶっ壊して、曲を作っては”こんなんじゃ応援してくれてる人の気持ちは報われない”とか、”誰にも伝わらないな”と思って、どんどん磨きがかかっていったというか」

すごい絞り出してるなと。アルバムタイトル曲の「証」は歌も演奏も引きちぎるような感じで。クニタケさんの中でどういう曲なら、今出せるなと思いました?

「2つありまして、一番は制作する時にメンバーで話したのは俺らがいちばんヤバいと思うもの、そのヤバいっていうのでみんな共通してあったのは自分が高校生とか中学生とかいちばん多感な時期に……たぶん皆さん、影響受けた音楽って心の中に残ると思うんですけど、なんていうんですかね、純粋だった自分たちが好きになるような曲を作ろうというのが、ひとつ念頭にありまして。で、もうひとつあったのが、僕も自分の曲でこの気持が浄化されたいというか、このもやもやした気持ちを抱きしめてもらいたい、だから自分が聴いて、泣けたり、曲に助けてもらえる曲じゃないと誰にも伝わらないんで、全曲そういう曲を作ろうかなと思って。はい」

10代のときの自分にそのまま戻れるわけじゃないし、難しいですよね。

「もちろん、サウンドとかもあると思うんですよ。例えば、僕が10代の頃とか多感な時期に影響受けてきた音楽って、もうハードコアとか”ギャー!”って叫ぶやつもあれば、夜中に一人で聴いてたら、例えばむちゃくちゃ嫌なことあって友達と喧嘩して、家に帰る途中にウォークマンで聴いてた曲とか、そういうのは結構、僕を抱きしめてくれる曲だったんで、そういう曲を作りたいなっていうのはありましたね」

しかし「証」はすごい曲ですね(笑)。録音物として大丈夫?っていうぐらいノイジーなギターだし。

「レコーディングしたときに、最後にぐちゃぐちゃに歪ませたいみたいな感じでやったら、エンジニアさんには”これでいいの?”って(笑)言われたんですけど、”いや、これでいいんです”みたいな感じで」

逆に歌詞と演奏がこの音じゃないと伝わらないんじゃないか?と思って。

「ああ、そうですね。ま、気持ちが全然きれいじゃなかったというか、クリアな気持ちじゃなかったので」

きれいじゃないというか、荒ぶってますよね。

「僕たちの用語じゃないですけど、バンド内の言葉で”ギャー!”みたいなのにしようみたいな。例えばギターも”ギャー!”、もう”ギャー!”しか言ってないんですけど、長嶋監督の擬音みたいな(笑)。でもなんか僕らが好きだった曲、もちろんサウンドだったり歌詞もあるんですけど、心臓を鷲掴みにされるというか、胸を叩かれるサウンドっていうのはこういうのが念頭にあって、それを再現できたというか」

結局この曲は問いかけてるんだけど、その様子が死にかけてる人を揺さぶるみたいな。

「はい。そうですね、ほんとに」

それぐらいの気持ちだったんですかね。

「最初の言葉とかは<ずっと独りで寂しかったかい?>って言ってるんですけど、自分に言ってるのもありまして。僕が寂しかったんで、ま、ほんとにそこまで直で自分が感動しない、自分が胸を打たれない曲は作りたくないなと思うんですけど、そこまで直に自分に言葉を発せれたのが初めてだったんで、出来上がったとき、ひとりで聴いてめちゃめちゃ泣きましたね(笑)」

どの曲も何があっても歌いたいという印象があって、「FELLOWS」は他者の存在、例えば親友とかがいれば、消えない火種を持ち続けられるかなと思いました。

「そうなんですよね。地元の友達の曲で、むちゃくちゃ詳しく言うと、もう10何年前とかなんですけど、僕らがバンドやってる久留米ってとこに同級生のバンドがいて、今は仕事をしていて、子どもが生まれたし、バンド全然やってないんですけど、やめる最後ぐらいに”THE FOREVER YOUNGの曲、つくったけ”みたいな話をしてたんですよ。で、ライブで観たらマジで良くって。演奏とかほんとに下手くそなんですけど、それを自主制作のデモCDに録ってて。で、コロナ期間中とかに、家は近所なんですけどリモート飲みやってて、僕がなんかいろいろあって、心が折れそうになってる時に、”ああ、そう言えばあの曲あったな”と思って、”まだ家にデモCD-Rあるならください”って言って、もらって聴いたら、吐くほど泣いてしまって。もう10何年前の曲だし、今はやれてない友達なんですけど、10何年越しにその曲に背中を押されたというか、抱きしめられて。なので、今は別々の道を歩いてますけど、そのときは”一緒にやろうぜ”って言ってたから、いつかアンサーソングみたいなものを書きたいなと思って、それが「FELLOWS」になったというか」

リモート飲みで吐くほど泣けるって素直になってるんでしょうね。

「そうですね。僕がやっぱり大事にしてることとか、念頭に置いてることじゃないと感情がそんなに出てこないんですよ、フェイクが書けなくて。もちろん”ドラマチックにしたいな”とかで、創作のストーリーみたいな曲もあったりはするんですけど、なんか実体験というか、的が狭いんですよ。地元の友だちが、”じゃあ、これを聴いてまた頑張ってくれるならそれでいい”とか、「証」だったら、”同じ気持ちのやつがグッときてくれたらそれでいい”って思うんですよ。だから、的は狭いんですけど、当たればホームラン打つっていうか(笑)、そんなタイプの人なんで。「FELLOWS」とか「証」は”そのままのことを書けたな”って、気持ちがめちゃめちゃ入ってる曲ですね」

曲にするかどうかのボーダーを超えていくのがTHE FOREVER YOUNGなのかなと。サウンドで言うと「HEY YOU!」はガレージや70年代のパンクみたいなニュアンスもあって珍しいなと思いました。

「これ、チャレンジというか、最初にオケというかバンドサウンドだけできてたんですけど、僕もいい人ぶるのやめようと思って(笑)。コロナ期間中に、”人に気に入られよう”とかそういうことではなくて、”むかつくこと、俺らもいっぱいあるよ”みたいな、そういう一つのアウトプットというか」

この曲は歌いたいことがあったからこういうアレンジに?

「歌いたいことというか、歌詞の最後の最後に出てくることがすべてというか、”どいつもこいつもマジ、嘘くせえな”と思ったりですね。例えばこういう状況になったからとかじゃないんですけど、具体的に言うと、音楽業界というかバンド界隈で、すり寄ってくる人とかいるんですけど(笑)。僕の友達の基準とか、人と付き合う基準って、一緒にご飯を食べに行ったり、飲みに行ったりとかそういう基準で接してるんですけど、あっちが踏み込んできたのに、こっちが踏み込もうとしたらもういないとか、”嘘くせえな”って思ったり。この期間中に連絡取ろうとしても……バンドじゃなくても、いろんな人、そうなんですけど、”ああ、あのときはああやって言い寄ってきたのに、なんで俺からいくとそんな感じなのかな?”みたいな、”そういう人間、嫌だな”と思って、ですね」

今回のアルバムのいいところはちょっとギョッとする部分が以前より出てるところで。

「ありがとうございます(笑)。新しいアウトプットじゃないですけど、こういう曲も今からいっぱい作っていきたいなっていうのが、この「HEY YOU!」って曲が第一歩になったんじゃないかなと思って」

そして語りで始まる「本当の私になりたい」は自分の本心を確かめたい気持ちと怖さが同居していて。歌詞は歌詞カードに載せていないですね。

「載せてないですね。”優しくなりたいな”っていうのは僕はずーっと思ってたんですよ。でも”優しくなりたい”っていうのは”不特定多数に気に入ってもらいたい”とかじゃなくて、僕の好きな人が”僕といて幸せだな”とか、”楽しいな”って思ってくれる、優しくなりたいっていう意味で。バンドとは別の僕の人生の念頭にあるんですけど、これもライブがない時期というか、コロナ期間に考えたことなんですけど、じゃ例えば好きな人とか家族、友だちといる時に話してる言葉だったりとか、気使ってたりする自分を”これ本当なのかな?”と思う部分があるんです。でも例えば相手が”こいつ優しいな”とか”こいつといて楽しいな”と思うことって、自分は覚えてなかったりして、それは自然とやってることだからだと思うんです。それはたぶん、本当のことだと思うんですよ。そういうのもありつつ、今の自分も”じゃあ、バンドをやって曲作る姿が本当の自分なのかな?”って思う時期もあって。で、いろいろ考えていくうちに、これを録ったときにレコーディングブースで泣きながらやったんですけど、なんかそれで浄化されたのが僕だったというか、この泣きながら歌ってる俺が本当の俺だなと思って。愛してる人だったり、友達だったり、いろんな人の顔を思い浮かべながらだったんですけど、なんかゴールが見えたというか、”あ、俺はこれだな”っていうのが見えて。歌うまではよくわからなかったんですけど」

そういう状態を記録するところまで持っていかないとできないアルバムだったんですかね。

「そうですね。精神状態とかは結構ギリギリだったんじゃないかなと思って。作り上げるまでが。はい」

ギリギリの時に作ったからそういう記録になってる?

「何年後かに聴いた時に”気持ち悪!”って笑えるかもしれないですし、その時の情景が蘇ってきて涙が出るかもしれないですし。一つの記録というか、僕、今年35なんですけど、35歳のクニタケヒロキがレコーディングの時に泣きながら歌った本当の気持ちっていうのが、この「本当の私になりたい」は表現できたかなと思います」

このアルバムを聴いてると良くも悪しくも感情が動くことに一回立ち返りたくなるんですよね。まぁ弱ってもいいけど、最終的には弱ってる場合じゃないなと思えるアルバムで。

「そう思ってくれる人がいることは嬉しいなと思いますね。でも”おまえ弱ってる場合じゃないぜ”みたいな気持ちはなくて。そうなることで、その人もだし、その人の周りも結構、連鎖していくと思うんで、ポジティブな流れになっていくと思うんですけど、僕は”弱ってても全然恥ずかしくないよ”という形で語りかけたい、自分自身そうだから、なんかそういう気持ちっすね」

確かに時にエネルギーにもなるし、時に布団みたいにもなってくれる。

「ああ(笑)、布団、なりたいですね」

”ゆっくり寝なよ”みたいな。そういう時により実効性を発揮するバンドなんだなと。

「ああ。布団の話じゃないですけど、僕、昔から対、人に歌ってたりするんですけど、例えば”頑張れ”って背中押す場合でも、別に”行って来い!”みたいな感じじゃなくて、”今日まで頑張ってきたね”みたいな、”おつかれ”みたいな感じなんですよ。それは例えば友だちに向けて書いたり、それをライブで見てくれる人たちとか、いろんなところで聴いてくれる人がいるじゃないですか。で、俺らに関わってくれた人全てに”ありがとう”と思ってるんで。それで俺たちを聴いてくれて、なんか気持ちがぐってなったり、気持ちが重なってくれたやつに対して、そういう布団みたいな存在でいたい。僕の感謝の返し方というか。そういう曲は作り続けたいなというか。さっきの「本当の私になりたい」じゃないですけど、本当の僕はそう思ってるんで。それがより一層、今作で研ぎ澄まされたというか。前までは”不特定多数に届けばいいな”っていう気持ちがやっぱりあったんです。たくさんの人に聴いてもらって、いつか絶対売れてやるみたいなのはずっとあるんですけど、でも、ひとりひとりですね。的を絞って、その人にとっての布団みたいな存在になりたいなっていうのは(笑)思いますね」「そうですね。一番最後の「人間合格」って曲があるんですけど、結構、集約されてるというか、結構これ、感情を吐き出したというか、”俺、苦しかったー”みたいのを書いたんです。歌詞を読んだらわかると思うんですけど、最初出てくるのは”僕”だけなんですけど、最後は”俺たち”って言ってて。歌っていく中で、この『証』ってアルバムもそうですけど、僕たちが歌ってきたこと、活動してきたことに自分の心情が重なった人を引き連れて、”俺たち”って言ってるんですよね。なんで、それが不特定多数じゃなくて、そういうやつらを引き連れてやってるというか、そういうやつらに向けて、”俺たち”っていう言葉を使いましたね」

なにかわかってもらえてるなって感じられれば、聴き手も安心できるし。

「そうですね。一番最後の「人間合格」って曲があるんですけど、結構、集約されてるというか、結構これ、感情を吐き出したというか、”俺、苦しかったー”みたいのを書いたんです。歌詞を読んだらわかると思うんですけど、最初出てくるのは”僕”だけなんですけど、最後は”俺たち”って言ってて。歌っていく中で、この『証』ってアルバムもそうですけど、僕たちが歌ってきたこと、活動してきたことに自分の心情が重なった人を引き連れて、”俺たち”って言ってるんですよね。なんで、それが不特定多数じゃなくて、そういうやつらを引き連れてやってるというか、そういうやつらに向けて、”俺たち”っていう言葉を使いましたね」

この曲も楽観論は述べてないし、どうにもならないこともいっぱいありますからね。

「肯定してあげたいなって思ったんですよ。僕は僕自身を。僕らを聴いてくれたり、関わってくれる人が、今この時期で……ま、僕もそうだったんですけど、落ち込んだりうまくいかなかったりして、”僕なんて”、”俺なんて”、”私なんて”って思ってる時期、絶対あったと思うんで。涙流して、足が震えても、”とりあえず一日生きる、それが全然間違いじゃねえよ、それが一番人間らしいよ”っていうのを肯定してあげたかったというか」

今、偶然にでもTHE FOREVER YOUNGの音楽に出会えた人はすごく響くと思います。そしてツアーも始まるんですね。

「はい、10月から。緊急事態宣言もまた9月末までとかいいよるけど、どうなるか?ですね。僕らのライブはステージの上に人がいるとか、僕が人の上を転がってるとか(笑)が日常だったんですね。でも、その当時も着席ライブを地元の久留米で開催されて、それはおじいちゃんおばあちゃんも観てくれる、ホールで着席でやるライブだったんです。お客さんがぐちゃぐちゃになってるからやる気になるバンドとかでは僕らはないんで、今でもライブのやり方とかは実はそんなに変わってないんですよ。でも気持ち的に前と違うのはきてくれるお客さんは人数制限で少なくなったりしてますけど、ただならぬ思いできてると思うんですよ。”早めにワクチン打っとこう”とか、”居酒屋とか行きたいけど我慢してライブに行こう”とか。医療関係の人とかはライブ来れてないですし。ひょっとしたら親にライブハウスとか言ったら怒られるから内緒で行ったりしてるかもしれないですけど、そこは多分、気持ちが違うと思うので、僕らもただならぬ想いで来てくれたやつらに対して、僕らも一箇所一箇所、ただならぬ想いで、この状況下で観れる最高の思い出に残るようなツアーにしたいなというのはありますね」

取材・文/石角友香

LIVE INFORMATION

”証を見つける旅”

10月9日(土) 福島県 いわきclub SONIC iwaki
10月10日(日) 栃木県 宇都宮HEAVEN'S ROCK VJ 2
10月12日(火) 京都府 京都KYOTO MUSE
10月13日(水) 兵庫県 神戸太陽と虎
10月14日(木) 山口県 周南RISING HALL
10月21日(木) 長崎県 長崎studioDo!
10月24日(日) 北海道 札幌BESSIE HALL
10月30日(土) 愛媛県 松山Double-u Studio
11月12日(金) 東京都 渋谷WWW
11月14日(日) 神奈川県 横浜F.A.D
11月15日(月) 千葉県 千葉LOOK
11月16日(火) 宮城県 仙台enn2nd
11月18日(木) 愛知県 名古屋RADHALL
11月19日(金) 大阪府 大阪ANIMA
11月26日(金) 福岡県 久留米座
12月12日(日) 青森県 八戸FOR ME

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