──新体制初となるアルバム『MADE IN DAMAGE』、どんな作品にしようと考えていましたか?
U「5人の新体制になりましたけど、3人のときのぬくもりみたいなものは自然と残るかな?と思っていたので、コンセプトは少し未来的なものとか、平成感のあるサウンドやリリックにしようと考えていました。アルバムが完成して、かなりその通りになった手応えもありますし、今までは自分が歌詞と曲を書いていたんですけど、“新メンバーのKAIとkowta2からの影響を自分も受けている“というのを感じながら作っていました」
──特に影響を受けている部分というと?
U「2人は“前に前に”というよりは、普段から脱力系というかリラクシブルで、いい意味で肩の力が抜けているんです。3人のときは良くも悪くも生真面目なところがあったんですけど、2人がいい意味でナチュラルなので、そこに感化されているところはあります。例えばメロディーも、あえてピッチが届かないままエディットしたりしていて。そういうものが聴いてくださる方に届いたときに、力を抜いて聴いてもらえる感じもあるのかな?と思いました」
──コンセプトとしてお話しされていた“未来的”や“平成感”は、世間的にトレンドな部分でもありますけど、取り入れてみようとした理由というと?
U「僕たち4人はオンタイムで平成を生きていた人間で、KAIも一応生きてはいたけど、そのファッションは通っていないというか…一周した今オンタイムで着ている人間で。THE BEAT GARDENはその感覚がミックスされているので、そこを表現するの面白いですし、“嘘じゃないな”と。あと、普段の5人の私服もY2Kな感じなので、今なら等身大な感じでやれるんじゃないかな?というところから始まりました」
──新体制として打ち出したというよりは、今の自分たちがやっていて一番自然で嘘のないものでもあると?
藤掛昌斗「新体制1枚目のシングル「Happy Ender」で、5人だからこそ歌える曲を突き詰めることができたので、その延長線というか…もう少し広げたものを制作しようというテーマもあったんです。そこからいろんな曲が集まってきたんですけど、それこそ自分たちのルーツにも向き合いながら、5人で改めて話し合って、見つめ直して、確かめ合って、“こういう曲がいいんじゃないか?”っていうところに辿り着けた感じがあります。途中、右往左往したところもあったんですけど、“ここから先もいろいろとやっていけるだろうな”と、今はすごくワクワクしています」
──最初のタイミングでは候補曲がいろいろあったんですね。
昌斗「最初はかなり自由度高めな感じだったんです。もちろん“宇宙っぽい感じ”というのはあったんですけど、その中でもジャンルレスに作っていたので。そこから“こっちに行こう”ってみんなで矯正しながら進めていきました」
渡部怜「好きなアーティストとかジャンルがみんなバラバラなので、それが合わさった1枚になったのでは?…この5人の新体制になったからこそ作れた曲もあって。たとえば「ラブコメディ」は、3人のときは生まれていなかったと思います。<アイニージュー アイウォンチュチュチュ>って、たぶん出てこなかった表現だと思いますし」
U「恥ずかしくて歌えなかった」
怜「ね?(笑) 今の自分たちの強みを感じられたし、アルバムという自由に新曲をたくさん作れるタイミングだからこそできた曲でもあると思います」
──KAIさんは初のアルバム制作だったわけですが、いかがでしたか?
KAI「曲数も多いので、期間的に長くかかる感じがイメージとしてあったんです。でも、新曲が7曲収録しているんですけど、“あっという間に完成したな!”って、今振り返ってみて感じました(笑)。あと、「Happy Ender」とは違って、自分がメインじゃない曲も何曲かあるので、それが僕にとってはすごく新しくて。“本当にTHE BEAT GARDENに加入したんだな”っていうのを今回のアルバムで実感しました」
──ちなみに、KAIさんが思う平成感ってどんなものだったりします?
KAI「なんだか、ファッション的には髪の毛がツンツンしているイメージです。あと、とにかく今よりもふざけているようなイメージがあって…」
U「自由な感じがあるよね」
KAI「うん。僕、結構ふざけるのが好きなので、そこは自分のパーソナルな部分ともマッチしていて。今もリリースイベントとかをやらせていただいていますけど、すごく楽しく遊ばせてもらってます」
──平成は自由な感じがあって、令和はきっちりしている印象なんでしょうか?
KAI「そうですね」
U「音楽的に、平成から今までの間にいろんなジャンルが生まれてきて、今は“どこかのジャンルに属そう”みたいな感じがありますよね。あと、SNSでバズる曲とか、そういう考え方になっていって…。昔から“ロックかロックじゃないのか論争”みたいなものはありましたけど…でも、平成の音楽っていきなり銅鑼の音がぶち込まれたりとか、さっき昌斗も言っていましたけど、ジャンルレスな感じがあって、いい意味で定まっていなかったんだろうなって思います。今は韓国アーティストが人気だったり、日本のアーティストがUSチャートに入るようになったりもして、しっかりしすぎた部分はあって。そこと比べると、平成はいい意味で自由に感じる…っていうのを言いたかった?」
KAI「あ、そうです。僕が言いたかったことです(笑)」
──(笑)。kowta2さんは、正式メンバーになってからは初のアルバム制作になりますね。
kowta2「僕はDJなので歌っているわけではないんですけど、実は数曲、声を入れてるんです。「フレンズ」の<ララララ>のところとか、それこそさっきKAIが言ったように、“ちょっとふざけてる”じゃないですけど、そういう声も入っていて…」
U「「恋ってスタディ?」だったら、サビ前の“fight!”とか、「世界線〜ラブ☆ピース〜」の<レッツラゴー!>とか」
──ライヴでかなりスポットが当たりそうですね。
U「たぶん当たるつもりでいると思います(笑)。そこはちゃんと会議しないとですね。思っている以上にでしゃばるので」
kowta2「ていうか前に行きます(笑)。そもそも僕としてはレコーディングブースに入ること自体初めてだったので、それも楽しかったです。あと、アルバムのジャケットデザインもさせていただいたので、それぞれの分野でメンバーの個性が出せたかな?と思っています」
──ジャケットのデザインはどう進めていったんです?
kowta2「アルバムタイトルが『MADE IN DAMAGE』に決まって、Uさんが“(宇宙服の)ヘルメットが割れている感じがいいんじゃない?”と言ってくれたりとか、僕は初回限定盤のCDプレイヤーを背負っている案を出したりしました。今ってCDプレイヤーって見ないじゃないですか。でも、レコード収集をするように昔のものが流行ってきたりもしているので、ここに入れてみてもいいんじゃないかな?と思って。そういう感じで関わらさせていただきました」
──そんなアルバムジャケットにも注目していただきつつ、まずはリード曲「恋ってスタディ?」について。印象としてはすごくポップなんですけど、音自体はかなりハードで、ライヴで盛り上がる曲になっていますね。この曲はどういうところから作り始めたんですか?
U「「Happy Ender」がフューチャーロックみたいな感じだったんですけど、そのミディアムバージョンのような曲を最初は作っていました。でも、「Happy Ender」でこの5人がやるロックの形を提示できたので、同じところに行ってもどうなんだろう…と思って。あと、3人のときはSNSというものがよく理解せずに歩んでいたんですけど、KAIは世代的にもTikTokとかそういうSNSをいろいろ教えてくれることも多かったので、この曲をちょっと踊る感じにしても面白いかも?って。それで、メロディはロックなんですけど、逆に歌詞を可愛くしてみようかな?と考えたときに、自分はどっぷりと平成を生きていた人間なのもあって、自然とこういうワードが出てきました」
──歌詞についてもKAIさんに相談したりしたのでしょうか?
U「していました。最初は<リップ>のところを<くちびる>にしていたんですけど、“くちびるっておじさんですか?”とか(笑)」
──ははははは(笑)。
U「“相当おじさんだと思います”って言われて、“じゃあ<リップ>にしよう”とか。“乙女心は?”、“乙女心は平成じゃない?”とか、自分はおじさんかどうなのかを恐る恐る確認しながら(笑)。“いい平成なのか”、“やばい平成なのか”っていう判断はKAIにお願いしていました」
──KAIさんはそれにいろいろと答えていたんですね。
KAI「はい。違うものは違うって」
U「結構はっきり言ってくるのでカチンとは来ましたけど(笑)。でも、伝わらなくてわからないことも多いみたいなんですよね…。“このワードだと伝わらないですよ”とか。この曲、ORANGE RANGEさんをリファレンスにさせていただいているんですけど、僕たちからするとオンタイムなんですけど、“そこってみんな分かるのかな?”とか。そういうのもいろいろヒアリングしながら作っていました」
──ボーカル陣は「恋ってスタディ?」を聴いて、どう楽曲に臨んでいきましたか?
昌斗「僕は、デモの段階から“この曲がアルバム表題曲になるだろうな”っていうくらい最推しでした。歌詞は、僕も平成を生きてきたので、こういうイタズラ心とか、ふざけ具合みたいなものは懐かしいと思って…。ただ、僕たちは楽器も持たないですし、ダンスも踊るわけじゃないので、この5人でパフォーマンスしたときにどう見えるのかな?って、俯瞰したときに不安みたいなものが最初は少しありました。そこからスタジオで合わせていく中で、5人でやるスタイルを少しずつ感じ始めて、答え合わせができていったような感覚がありました。今は“この曲が自分たちの武器になりそうだ”と思えていますし、あの時代を生きていた人間にとって、例えば、昔聴いていた洋楽のようなことをやりたいと思って作るよりも、すごくリアリティがあって。それは作ってみて感じました。あまり嘘をついていない感じがします」
怜「まだ歌詞がついていない段階で聴いたときに、このテンポが夏にぴったりだと思ったことと、一番印象に残ったのは、いい意味での気だるさがあるところでした。レコーディングをしていて、この気だるさがいい意味でいなたくなりすぎないというか…そこのバランスをメロディとか歌い方で取っているんだと思いました。歌詞は“どんな感じになるんだろう?“と思って楽しみにしていたんですけど、笑いもありというか。”恋っていうのは難問だよね“っていうところにうまく落としているところも踏まえて、”聴いていておもしろい”と思いました。出来上がってから何回も聴いていました」
KAI「僕もロックをずっと聴いてきたんですけど、それとはまた違うロックな感じで。歌詞もかなりポップで、自分にハマるかな?って思ったんですけど、さっき昌斗くんが言っていたみたいに、スタジオに入ってリハーサルとかをしていくうちに、自分の中で新しい“好きな感じ”になりました。とにかく踊れるというか、暴れながら楽しく歌えるところは、自分のやりたいことにすごくマッチしているというか…“近いのかな?”って感じました」
──「恋ってスタディ?」と同じく、ポップだけど音はハードという点では「ラブコメディ」もそういった空気感がありますね。
U「実は「恋ってスタディ?」を最初に作って、「ラブコメディ」は最後に作ったんです。他にもロックな感じのミディアムな曲はあったんですけど、アルバムコンセプトに掲げた平成をちゃんとやりきろうと思って、“じゃあ、さらにもっとやるか!?”ってところからの「ラブコメディ」でした。だから「恋ってスタディ?」は平成に寄っていった源流で、「ラブコメディ」はそれを最後におもいっきりやったっていう感じです」
──この2曲を最初と最後に作ったというのはかなり象徴的ですね。
U「SNSで最初にこの2曲を出したんですけど、15秒ぐらいしか出していなかったので“同じ曲なの?”っていうコメントもあって。いい意味で似てもいるんでしょうね」
KAI「ティザーを出したときに、学校の友達からの評判もすごくよくて。<恋に落ちてく3秒前>って、ワードもメロディもキャッチーなので、“耳ざわりがいいものってやっぱりすごく残るんだ“って思いました」
──怜さんは、“3人体制のときにはこの表現は出てこなかった”というお話をされてましたけど、歌ってみていかがでしたか?
怜「僕、この曲のレコーディングが一番楽しかったんです。自分にこういう引き出しがあったんだ?みたいな感覚があって。そういった意味でも“新しい曲だな“って思います」
──昌斗さんも、“3人では歌えなかった感”みたいなものが「ラブコメディ」にはありますか?
昌斗「あります。過去に「ダンシング・マン」とか、コメディ要素のある曲もやったことはあるんですけど、5人のほうがハマる感覚があって。THE BEAT GARDENって、僕たちとしては友達のところから始めたので、音楽をやっていないときもすごく楽しく過ごしていますけど、5人になってもそこは変わっていないですし、より許せるところたくさんあって。そこから生まれるラフな部分が曲にしっかり反映されているのをすごく感じます」
──kowta2さんは「恋ってスタディ?」と「ラブコメディ」を聴いたときの印象というと?
kowta2「デモの段階から両方ともよかったです。プライベートで先輩と飲みに行ったときにカラオケに行くんですけど、カラオケの履歴って平成の曲が多くて…。確かにカラオケって、ひとりで1曲歌うというよりは、例えば「恋ってスタディ?」みたいなみんなで歌う曲って、平成が一周した今のチャンネルにはかなり合っているのかな?と思いました。で、「ラブコメディ」に関しては、ダサいじゃないですか、歌詞が!」
U「うっせえな!(笑) 敢えてのだから!」
kowta2「(笑)。最初は“Uさん大丈夫かな…”って思ったんですけど、確かに昔ってダサい歌詞あったよなって思いましたし、“まぁ、男はこういうことを思っているだろうな”っていう曲なので、正統派じゃないですけど“おもろい曲だな”って思いました」
──そういったアッパーな曲もあれば、「ラベンダー」のような失恋ソングも収録されています。この曲は作詞をKAIさん、作曲をUさんが手掛けていますね。
U「アルバムの制作に入る少し前ぐらいだったかな?…この曲のサビのメロディが生まれて、タイアップを頂いたとき用に取っておいたんです。そこからアルバムを作り始めて、“正統派のバラードもみんなで歌いたい”と思ってこのメロディを聴いてもらったら、“すごくいい!”って言ってくれました。ただ、そのタイミングで僕はもう平成モードに入っていたので、KAIに“歌詞を書いてくれない?”って」
KAI「メロディがもう切なさ全開というか…。「Happy Ender」のカップリング曲「She」の歌詞も書かせていただいたんですけど、ああいうノリがよくて音で聴かせる曲というよりは、切ない雰囲気をちゃんと活かせる歌詞にしようと思っていました」
──ラベンダーというテーマやモチーフはすぐに出てきたんですか?
U「これは僕が考えたんですけど、“love end”でラベンダーっていう意味なんです。それでこのタイトルを付けようと思っているっていう話をKAIにしたら、“いいですね、失恋の曲にしようと思ってたので”って言ってくれて」
──なるほど。「She」も失恋がテーマでしたけど、KAIさん的にはそれ以外の歌詞にもトライしてみたかったりしますか?
KAI「そうですね…そんなに暗い人間って思われなくないっていうか(笑)」
U「ハッピー野郎だもんね?」
KAI「基本的におめでたい系なので」
──次作で是非! 作詞がTHE BEAT GARDEN名義の「フレンズ」は、作曲をKAIさん、編曲を怜さんが手掛けていますね。
怜「最初はメンバーズソングというか、メンバー間のことを歌ったものにしたいと思ったんです。でも、より範囲を広げて、聴いていただく方にも分かりやすい“友達”をテーマにしたほうがいいんじゃないか?ということになって。それで、温かさを意識しながら、何パターンもリフを出したり、完パケくらいまでのものも3、4曲作ったりして、この形に至りました。あと、マネージャーが“TikTokとかも踏まえながらこの曲を作りたい”っていう話をしてくれて。僕は今までそういったことを意識したトラック作りをしたことがなかったので、例えばシャッター音とか学校のチャイムの音を入れたり、構成も自分たちにしか分からないようなエモさも実は入れてたりしているんですけど、そうやって話し合いながら具現化していくのも初めてだったので、制作段階から思い出のある一曲になりました」
──メロディはスムーズに出てきましたか?
KAI「はい。僕が怜くんの家に行って、怜くんが作ってくれたデモを流しながらコライトしていった感じだったんですけど、バースは一発目に出てきたものを使っていますよね?」
怜「うん。KAIは意外とファーストインスピレーションというか、瞬発力があって。あと、サビのフレーズとかを踏まえながらこのビートを作ったので、“こういう温かさが出るんじゃないかな?”っていうのは、なんとなく頭の中にはありました」
KAI「それもあって乗せやすかったです」
──歌詞はTHE BEAT GARDEN名義になっていますが、どういう感じで進めていったのでしょうか?
U「歌詞はみんなでLINEのやり取りしながら案を出し合って…自分のパートを書いて、それをみんなで調整し合うような感じでした」
──昌斗さんも歌詞を書いたりしたのですか?
昌斗「僕は歌詞をあまり書けないので、“友達と何してた?”って聞かれて、それに答えるっていう質疑応答を…(笑)」
U「面接みたいな(笑)」
昌斗「そうそう(笑)。“『ほんとにあった怖い話』をずっと観ていた”とか、“朝まで話していた”とか…」
U「そこは採用されなかったけどね」
──でも、そういう話って改めてすることもあまりないことなので、いいですね。
U「あと、この曲では昌斗の低音がかなり入っていて…HOME MADE 家族さんみたいな感じというか。昌斗は元々SOUL'd OUTさんがすごく好きで、結成当時にラップをしていたのを思い出して、“いいかも!”と思ったんですけど、ちょっとやりすぎちゃった感じもあって…」
──確かに低音は武器になりますけど、どれくらいのラインにするのかが難しいですよね。
昌斗「そうなんですよ。“どこまでやったらいいんだろう?”と思って。たぶんいい塩梅っていうものがありますね!」
──またここから昌斗さんの低音の魅力が増えていきそうな部分もありそうですね。

──アルバムを締め括る「世界線〜ラブ☆ピース〜」は、ユニークな部分も多いですね。
U「この曲、かなり後半で作ったんです。ラスト2曲ぐらいだったかな? ここまで平成で走ってきちゃったので、“平成を入れなきゃ”と思って、それこそさっきkowta2が言ったような“みんなで歌える曲にしよう”と思って。それで、僕たちは世代的にモーニング娘。さんの大ファンで…小学校のときはみんな休み時間に「LOVEマシーン」とかを歌っていた世代なので、ちょっと肩をお借りしようと。今もすごいですけど、やっぱり平成といえばモー娘。さんなので、入れさせていただきました」
──そういうユニークさもありつつ、歌っている根底にあるものはシリアスというか…。<この星のラブ&ピースなんて嘘 だけど目の前で君が笑う世界線は 信じていたい>というラインもあって。ラフでポップなんですけど、しっかりとメッセージを綴っているところが素敵がと思いました。
U「そこは自然とそういう感じになりました。この曲は自分の世界観とか人生みたいなものがテーマになっていますけど、ここまでグループとして歩いてきて、“本当に大丈夫なのかな?”とか、“このままこんな感じで生きていていいのかな?”とか…そういうことを自分も思いますし、ファンの方ともすごく密に関わってきたグループなので、みんながそう思いながら生きていることも知っていて。だから、ライヴハウスとかイヤホンで聴いたときに、泣きで寄り添うのではなくて、“それをラブ&ピースにしようぜ!”って。つらいことも一緒に歌えるときは…!みたいな感じです。ラブ&ピースに騙されることもありますけど、本当にそう思える瞬間もあるよね?っていうことを、僕たちはみんなからもらってきましたし、5人になってもそこは変わらないっていう。だから…『MADE IN DAMAGE』のアルバムタイトルの話もしていいですか?」
──是非是非。むしろお聞きしたかったです。
U「このタイトルは“キズモノ”みたいな意味なんです。KAIの場合は、“進路に悩んでいた時期があった”とか、“どうやって音楽活動をしていいのか分からなかった”みたいな話も聞いていましたし、kowta2はこの5人の中ではエリート街道を歩んできているバックボーンがあるんですけど、そこで挫折した瞬間もあって。だから新体制ですけどキズモノではあるんです。でも、だからこそハッピーなことを歌えるというか。さっき“ふざける”っていう話が出てましたけど、本当に音楽でふざけることって仲良くないとできないと思いますし、人によっては仲が良くなくてもできるのかもしれないですけど、僕たちはできないんです。そういうバックボーンがあるからこそ、「世界線〜ラブ☆ピース〜」にしても、真面目に“人生とは”みたいなことを歌うフェーズではないというか…。“今がすごく楽しい!”っていうのを出した上で、とはいえ、“やっぱりこういうことを思っている部分もある”というのが、滲み出ちゃうみたいな。今のTHE BEAT GARDENはそういう感じなんだと思います」
──そうやって滲み出たものが一番リアルなんでしょうね。本当に思っていることがこぼれ落ちたというか…。
U「はい。“この痛みや辛さを分かってほしいんだ!”みたいなことではなくて、なんか楽しいから元気が出るし、元気を出してもらえたらいいなって。「世界線〜ラブ☆ピース〜」の最後で<いーや〜さーさー!>」って別に沖縄出身でもないのに言ってますけど(笑)、“お前らちゃうやん!”みたいな感じで笑ってもらえるほうが、今のTHE BEAT GARDEN的には嬉しいかもしれないです。もちろん素直に泣いてもらえる曲もこれまで本気でやってきましたし、それを信じているからこそ、今は全然違う角度の世界観や人生観をこの曲で歌っています」
──現在は全国をフリーライヴで廻っていて、9月からはワンマンツアー『OVER,ANDER,AROUND』がスタートします。それこそみんなで歌える曲が多いのもあって、かなり盛り上がりそうですね。
U「今まで歌詞に<イエー>とか書いていなかったんです。そこは“僕と君”というもので走り切りたかった部分があったからなんですけど。ただ、アルバム『MADE IN DAMAGE』の曲はみんなの声があって完成することが分かりきっていたので、歌詞にもちゃんと入れて、“一緒に歌おうぜ!”っていう気持ちで作っています。“今まで以上にみんなが歌わないとダメですよ!”っていう曲を作ったので、“私たちのパートだ!”くらいの気持ちで歌ってもらえたら嬉しいです」
(おわり)
取材・文/山口哲生
写真/野﨑 慧嗣
RELEASE INFROMATION

THE BEAT GARDEN『MADE IN DAMAGE』初回限定盤(CD+DVD)
2025年8月27日(水)発売
UMCK-7278/7,480円(税込)

THE BEAT GARDEN『MADE IN DAMAGE』通常盤(CD only)
2025年8月27日(水)発売
UMCK-1779/3,300円(税込)
LIVE INFORMATION

THE BEAT GARDEN one man live tour 2025『OVER,ANDER,AROUND』
2025年9月6日(土) 神奈川 横浜BayHall
2025年9月13日(土) 熊本 B.9 V2
2025年9月14日(日) 福岡 DRUM Be-1
2025年9月27日(土) 宮城 仙台MACANA
2025年9月28日(日) 福島 郡山 Hip Shot Japan
2025年10月4日(土) 埼玉 HEAVEN'SROCKさいたま新都心
2025年10月18日(土) 香川 高松DIME
2025年10月19日(日) 岡山 岡山YEBISU YA PRO
2025年11月2日(日) 長野 長野ライブハウスJ
2025年11月22日(土) 滋賀 滋賀U☆STONE
2025年11月23日(日) 愛知 Electric Lady Land
2025年12月6日(土) 大阪 BIGCAT