──Soalaさんのキャッチコピーは“α世代の人生に寄り添うカリスマギャルシンガー”。ご自身ではどう感じていますか?
「私自身はギャルだと思っていないんです。ただ、見た目でそう思ってくださる方もたくさんいらっしゃるので、それに相応しいような音楽やファッションを意識するようになって、マインドの部分もそうありたいと思うようになりました」
──もともと小さい頃はどんな女の子でしたか?
「お兄ちゃんが2人いて、私が一番下の妹だったので、お兄ちゃんの服をお下がりでもらうことも多くて。髪の毛もショートカットでしたし、男の子と外でドッジボールで遊ぶようなわんぱくな女の子でした。どちらかというと、スカートを履いたら笑われるくらいボーイッシュだったんです」
──音楽との出会いは?
「家族でカラオケが大好きだったので、頻繁にカラオケには行っていましたし、町内のお祭りのカラオケ大会にお兄ちゃんと一緒に出場して歌ったりしていました。音楽が身近にありましたし、歌うことは大好きだったんです。でも、小さい頃は歌手になりたいっていうわけではなくて…。小学生の頃になんとなく意識するようになって、本格的に目指すようになったのは中高生になってからです。そこから音楽とちゃんと向き合うようになりました」
──何かきっかけがあったんですか?
「小学生の時に親友の子と言い合いになったことがあるんです。“私の方が絵が上手い!”とか、“私の方が足が速い!”、“私の方が頭がいい!”とか…とても可愛いらしい子だったので、何においても負けてる気がしちゃっていて。母親に、その子に勝てるものが欲しいって相談をしたときに、“じゃあ、歌をやってみたら?”って勧めてもらいました。それから、母親の知り合いが講師をしているボーカルレッスンに通うようになったんです。発表会などに出させてもらった時に、歌で人を感動させられたり、笑顔になってもらえたりすることって、すごく素敵なことだなって思いました。そこから“将来は音楽でやっていきたいのかも?”ってふんわり浮かんできたのが最初のきっかけだったと思います」

──当時はどんな歌を練習していたんですか?
「AAAさんが大好きだったので、“歌って踊るアーティストってすごく素敵だな”って思っていました。動画を見て、歌いながら踊っていました。ダンスは全然上手じゃなかったので、母には“お笑い芸人みたいだよ(笑)。踊り方がどすんどすんしてる(笑)”って言われましたけど(笑)」
──あはははは。今はしっかりと踊っていますけどね。
「そうなんですけど、当時は本当に全然踊れなくて。“踊りがちょっとダサい!(笑)”って言われながらも、私は好きだから踊っていました。AAAさんの楽曲を歌いながら踊るのが日常の楽しみでもありました」
──そのふんわりした想いが目標や夢になっていったのはどうしてですか?
「中学生の時に人間関係で不登校になってしまった時期があって。その時に母親に連れられて、ロックバンドおかんさんとシンガーソングライターの森源太さんのライブに行ったんです。小学生の頃から知ってはいたんですけど、まだちゃんと音楽を聴くようにはなってなくて…。でも、中学生になってライブに行ったら、魂から滲み出るような歌い方にすごく惹かれて、自然と涙が溢れてしまいました。その時に大きな転換があって。歌って踊れるだけじゃなくて、心が震えるような音楽を届けたいと思ったんです。私がロックバンドおかんさんや森源太さんに救ってもらったように、私も音楽で人を救えるアーティストになりたいって。不登校時に感じたことが私の音楽の出発点ですし、ルーツにもなっています。今は、いろんな曲を歌えるようになって、やっとダンスにも挑戦できるようになってきて…小さい頃に思い描いていた、“歌って踊りたい”という夢が、少しずつ実現できているんじゃないかな?って思っています」
──そして、地元の愛知からアーティストを目指して上京したのが17歳の時ですね?
「高校3年生になると同時に上京してきました。もともと私も“高校を卒業したら上京する”って考えていたので、挑戦したい気持ちがあって。高校3年生に上がると同時に編入という形で行かせていただいたんです」
──上京したときはどんな心境でした?
「友達もいないですし、最後の1年にいきなり名古屋から転入してきたので、とにかく孤独でした。母に毎日電話していたりしていましたがなんとか乗り越えられて今があります」
──2020年4月に上京して、同じ年の10月からSoalaとしてアーティスト活動を始めています。東京には2年弱くらいいたのでしょうか?
「そうですね。東京での活動で辛い経験もしましたし、自分の中で環境を変えたいというか、誰も私のことを知らない土地に行って、再スタートを切りたくて、20歳になる直前に大阪に拠点を移しました。地元の愛知県に帰るのはすごく嫌だったんです。“1年、2年で帰ってきたんだ”って思われることが悔しかったので。そんな想いもあって、一人で大阪でまた新たに活動し始めようと思って。そこからがむしゃらにやってきました」
──すごい決断ですよね。19歳でなかなかできることじゃないですよね。
「行動力だけはあったのかもしれないです。メンタルはやられつつも、どこかではまだ諦めきれてなかったんだと思います。もしかすると、その当時の自分は逃げたかっただけなのかもしれないですけど、心の中どこかではまだ諦めきれていませんでした。今振り返ってみると、そこでまた新たに頑張ろうって思えた自分自身が誇らしいです。当時はまさに下積みという感じで、地道な努力を続けていました。苦しくなって逃げ出したい時もあったんですけど、月10回以上は路上ライブをして、オリジナル曲を作り続けて…。大阪に行った最初の1年で22曲リリースしました」
──そんなに!? すごい曲数ですね。
「とにかく知ってもらわなきゃいけないという一心でした。路上ライブだけをしていると、“カバー曲を歌ってるだけ”って思われてしまうことも多いんです。私は何より“アーティスト Soalaとして活動している“ってことを認識していただきたかったので、楽曲を作り続けることを止めずに、SNS投稿も止めずに、オリジナル曲を発信し続けました。あくまでもオリジナル曲で活動しているということを皆さんに認識していただきたかったので。それは第一に”自分の音楽で誰かを救いたい“という想いが変わらずにあったから出来たことだと思います」
──その大阪に拠点を移した2023年7月にリリースしたR&B系の失恋バラード「すれ違い」がSNS上で5,000万回再生のヒットとなりました。MVだけで、871万回再生を超えていますが、バズを起こした時はどう感じましたか?
「「すれ違い」は“5カ月連続シングルリリースをしよう“と決めて作り始めた最初の楽曲だったんですけど、そこから「恋花火」とか、他にもたくさん再生してもらえる楽曲が増えてきて。大阪に来た当初はとにかく必死に楽曲を作っていたので、”この曲は絶対にたくさんの人に聴いてもらえるだろう“という認識はあまりなかったです。だから、私も「すれ違い」の反応には驚きました。数字を見るとすごいんですけど、自分の中では大きくバズった感覚は…実感としてはなくて。でも、コレクションとかイベントで「すれ違い」を歌うと、みんな、知ってくださっているのかカメラを向けてくれるんです」
──サブスクで曲は聴いてるけど、誰が歌ってるのかまでは知らない人もいたんですね。
「曲は知っているけど、名前や顔は知らないということがたくさんありました。だから、悔しい思いもあったんですけど、たくさんの方に私の音楽っていうものが届いているという嬉しい気持ちもあって。だから、“Soalaというアーティストとしていろんな楽曲を歌っている“っていうことをもっとたくさんの方に知っていただきたいと思いましたし、”もっと頑張らないといけないな“と思いました」
──「すれ違い」は同世代の共感を呼んでSNSで大きな話題となりました。
「実体験をもとに書いている楽曲なんです。自分自身、謝ることが当たり前になっていて、“ごめんね”っていう気持ちが伝わらなくなってしまったり、本当に言いたいことが言えなくなってしまって。正直、その当時は、自分の想いを書いた楽曲がたくさんの方に共感していただけるとは思っていなかったんですけど、皆さんに共感していただけたことによって、自分が救われることが多かったです。“同じ想いをもっている子がたくさんいるんだな“って思えたので」
──それはリスナーも同じ気持ちですよね。“私と同じ悩みだ”っていう共感が一人じゃないっていう孤独を埋めてくれることにもつながりますし。そして、翌年の2024年には「CINDERELLA」がリアリティショー『ハイティーン・バイブル』のEDテーマソングに起用されました。
「2nd ONE-MAN-LIVEと同じタイトルの曲なんですけど、心のどこかにある憂鬱を解き放って、明るい未来に希望をさすような楽曲になっています。“若い世代の方や新しい一歩を踏み出す方に光や勇気を与えられるような楽曲になるといいな“という願いを込めて制作させていただきました」

──続く「エンドロール」はショートドラマ『星屑の約束』の主題歌として書き下ろした曲でした。
「私もドラマを全部、見させていただきました。エンドロールだけじゃなく、ドラマの中でもいいタイミングで使っていただいていたことがすごく嬉しかったです。台本を読ませていただいた時からウルウルしていたんですけど、実際に完成したドラマを見てまた泣いてしまって…。やっぱり、大切な人がいることって当たり前じゃないですし、その人が明日もいるかどうかは分からない。この楽曲を通して、“大切な人が隣にいることは当たり前じゃないよ”ということが皆さんに伝わっていたら、すごく嬉しいです」
──この楽曲の中の二人はどんな結末を迎えるんでしょうか?
「“付き合う”っていう行為は、別れか、結婚かのいずれかになってしまうと思うんですけど、別れに行くのか、結婚に行くのかは、その2人にしか分からないですし、友達に相談したとしても、結局、最後に決めるのは自分自身だと思うんです。だからこそ、周りの人の意見に流されないで、大切な人を想って欲しいです。でも、この二人がどうなるかは聴いてる方、それぞれの捉え方でいいかな?って思っています。<花束とリング>というフレーズも、聴く方によっては、“用意はしたけど別れちゃった”と想像する方もいるでしょうし、“そのままハッピーエンド”を想像している方もいると思います。楽曲の中ではそこが最後まであやふやなまま終わっています。相手を想う<幸せになってね>なのか、2人で幸せになるのか…。受け取り方によって変わってくると思います。それぞれで楽しんでほしいですね」
──ドラマ主題歌に続いて、2025年4月にはTVアニメ『この恋で鼻血を止めて』ED主題歌「Dead or Love」をリリースしました。
「小さい頃から家でアニメが流れていて、エンディングやオープニングに憧れがあったので、この話をいただけた時はとても嬉しかったですし、全力で取り組んで制作しました。TVアニメの書き下ろしということで、非現実的な世界観のラブコメディの要素を練り込みつつ、女の子だからこそわかる、ヒロインの女の子の気持ちを入れたくて」
──どんな心情と言えばいいですか?
「TVアニメ『この恋で鼻血を止めて』のヒロインの女の子はヒーローに助けられたんです。でも、女の子の中に心原虫が寄生しちゃって、寄生された者は退屈すると死んじゃうんです。女の子は平凡な毎日を過ごしていたけど、死を防ぐためにはドキドキさせなきゃいけない。そんなところから始まるラブコメディなんですけど、二人はやっぱり惹かれていくんですよね。でも、特殊な出会い方をしているから、普通の恋愛じゃないですし、相手はどう思ってるのか聞けないという気持ちもあって。そういう複雑な気持ちを「Dead or Live」にかけて、「Dead or Love」=“死か恋か”という曲にしました」
──そして、2カ月連続となる新曲「Message Bluem」が5月21日にリリースされました。この曲は、「エンドロール」も収録されているEP『Bluem』(2025年1月24日リリース)のリード曲「Bluem」のアンサーソングになっているんですよね。
「そうです。「Bluem」はファンのみんなからもらった愛を受けて、私の決意や覚悟、自分自身の夢が叶いますようにって想いを込めた楽曲です。そこで、今度は皆さんに向けての応援歌というか、私が経験したことや私にしか答えられない言葉でメッセーをお届けしたいという想いで制作させていただきました」
──改めて、「Bluem」にはSoalaさんのどんな決意を込めましたか?
「いろんなことを経験させていただいて、大阪ではたくさんの方にライブに足を運んでもらえるようになりました。そこで、私の一番芯の部分にある“音楽で誰かの心を救いたい”という想いを忘れずにいたくて。そして、いつかは大きいステージに立って、ソアラブの皆さんに囲まれて歌いたいですし、みんなにいろんな景色を見せたいです。“将来、大きな花を咲かせられるように頑張るよ”っていう決意表明の楽曲です」
──そのアンサーソングである「Message Bluem」で届けたいメッセージというのは?
「若い子も大人の方も学校や職場で“お前の代わりはいくらでもいるよ”って言われたことがあると思うんです。私も“お前には無理だ”とか、“お前よりも歌がうまい人なんていくらでもいるよ”ってたくさん言われてきました。そういうことを経験して歌にしている私だからこそ、肯定してあげれることがあると思ったんです。今、苦しんでいる子、不登校になっている子、心が折れてしまってる子もいると思います。そんな子達に“君の代わりはいないんだよ”っていうことを力強く届けたいんです。この曲を通して、少しでも心が軽くなったら嬉しいですし、“Soalaちゃんが言ってるから”って思ってもらえるようなアーティストになりたいです。「すれ違い」や「恋花火」で私を知ってくれた子も、もう一歩踏み込まないと、私の過去まではわからないと思うんです。だからこそ、ラブソングではないこの曲を多くの人にも聴いて欲しくて。学校や会社、もしくは家庭でもそう。いろんなところで苦しい思いをしている人はたくさんいると思うので、とにかく“あなたの代わりはいない”ということを忘れないで欲しいという願いを込めて書きました」
──歌詞の冒頭に屋上から飛び降りそうな景色が描かれています。
「辛いニュースを見ることも多いんですけど、とにかく生きてて欲しいんです。“生きてたらなんとかなる”っていう言葉は軽く聞こえるかもしれないですけど、勇気を持って生きて欲しいです。私は自分の経験やライブを通して、自分と戦って、自分に勝って、楽しい未来を作っていこうということを伝えたいんです。ファンの方からも“この世を去ろうとしてたけど、Soalaちゃんの曲で、もう少しだけ頑張ってみようと思いました”っていうメッセージをもらうことがあって。それこそ本当に「Message Bluem」の通りというか…。戦うことって勇気のいることだと思いますけど、自分自身に勝たないとその先の未来を作っていけないと思うので、この曲が少しの後押しになったらいいなって思っています」
──歌声もエモーショナルですね。まさに“魂がにじむ”ような歌い方になっています。
「キーも高いんですけど、このキーだからこそ魂が伝わる楽曲になっていると思っています。レコーディングだから、うまく歌わなきゃいけないというのはあるんですけども、それよりもライブで歌っている気持ちで。その人に向かって歌うように心を込めて、全力で魂を込めて歌わせていただきました。「Message Bluem」をライブで、生で、みんなに向けて直接歌うのが楽しみです」
──7月9日には東京・Spotify O-EASTで『Soala ONE MAN LIVE 2025 〜To my 17〜』が控えています。
「大阪ではなんばHachでワンマンライブを経験させていただいたんですけど、東京でこんなに広い会場でワンマンライブをするのは初めてなので、私の中では大きな挑戦でもあります。前回の東名阪ONE-MAN LIVEツアー『Bluem』で東京(青山 RizM)でライブをした時に感じたプレッシャーを今でも覚えているんです。そこを乗り越えなきゃいけないというのも1つの試練でもあるんですけど、“17歳の頃の自分へ”というタイトルをつけた通り、17歳からの5年間で経験したことを全部詰め込んだ、今までの私の足跡が伝わるようなライブにしたいです。そして、皆さんが“また明日からも頑張ろう!”って思える、“もうちょっと生きてみよう”って思えるきっかけになるステージにしたいと思っています」
──上京して辛い経験をした17歳の自分を迎えに行くんですね。
「その時の自分って、すごく孤独だったと思うんです。だからこそ、この「Message Bluem」を17歳の頃の自分に聴かせたいです。当時の自分がこの曲を聴いたらもうちょっと踏ん張れるんじゃないかな?って、今の自分だからこそ思うんです。外に行くのも怖くて、何もかもが受け付けられない自分になってしまっていたので。今、当時の私と同じような悩みを抱えている方もたくさんいらっしゃると思います。私自身、すごく嫌なこともあったけど、私以上に苦しい思いをしている子ってたくさんいると思うので。だから、いろんな苦しさを共有して、涙にして浄化したいです。涙や笑顔を共有できるような場にしたいですし、“そこに17歳の頃の自分がいる”と思って私も歌を届けたいです」

(おわり)
取材・文/永堀アツオ
写真/中村功
RELEASE INFORMATION
LIVE INFORMATION
Soala ONE MAN LIVE 2025 〜To my 17〜
2025年7月9日(水) 東京 Spotify O-EAST
OPEN/18:00 START/19:00
入場チケット料金:
スタンディング(グッズ付き) ¥7,700(税込)ドリンク代別 グッズ(ちびぬい)当日会場でお渡し
スタンディング ¥4,400(税込)ドリンク代別
一般発売中
●ローソンチケット:https://l-tike.com/soala/
●イープラス:https://eplus.jp/soala/
●楽天チケット:https://r-t.jp/soala_tomy17/
●U-CONNECT:https://www.uconnect-ticket.jp/artist/soala