──池田さんとKAWASAKIさん、おふたりの関係のはじまりは?
ROOT SOUL「まさにTHE ROOMのスタッフで先輩後輩の関係です」
DJ KAWASAKI「僕が副店長の時に、いっしょにバーテンやっていました(笑)」
R「THE ROOMで働く最大の魅力って、良い曲が掛かった時に、その場で“この曲、何ですか?”って聞けることですよね」
K「池田くんはミュージシャンですが、DJが流す曲に興味があって、僕も教えてあげていたり。曲作りの参考になったみたいです」
──池田さん自身、DJは?
R「ほとんどやらないです。周りにすごいDJがいっぱいいるから恐れ多くて(笑)。企画ものとして、自分の曲だったり、僕が演奏で参加した曲だけとかそういうのはやったりはしますけど(笑)」
K「関わった音源がたくさんあるから、それだけで一晩中DJ出来ちゃうよね(笑)」
──ちなみに楽器を始めようと思ったきっかけは何ですか?
R「楽器を始めたのは中学生のバンドブームの時ですね。お約束な感じでギターを最初にやっていました。最初は、ロックが好きでそういう音楽をやっていましたが、ある時、ベースがループしているダンスクラシックスを聞いた時にカッコイイ!って。それで高校時代に軽音楽部に入ってベースを始めました」
K「それから音楽系の学校に行ったんだよね?」
R「音楽系専門学校に行っていました」
──THE ROOMにスタッフで入ったのはその時代ですか?
R「卒業してからですね。当時、ちょうどアシッドジャズ・ムーブメントというかクラブムーブメントの時代で、いろいろなクラブに行っていたんですが、いちばん遊びに行っていたのはTHE ROOMですね」
──それは90年代中盤くらい?
R「そうですね。DJ KAWASAKIさんのイベントにも行っていましたよ」
K「実は僕もよく覚えているんですよ。1994年か95年くらいに瀧見憲司さんが毎週火曜日にDJをやられていて、そこで早い時間に僕もやらせてもらっていたんです。たぶんそれくらいの時期だよね」
R「はい、その時に曲を教えてもらった記憶があります」
K「ベースを担いだファンキーな奴が来た!という印象があります(笑)」
R「当時は、リハの帰りに遊びに行ってましたから。THE ROOMですごく楽器を大事に預かってくれた印象が強くて、ミュージシャンに優しいクラブだなって(笑)」
K「当時からミュージシャンの出入りが多かったので、入り口で楽器を預かっていたんですよ」
R「そういう意味では、いちばん最初の出会いはDJとお客さんという関係ですね」
──池田さんはその時からミュージシャンとしての活動はされていた?
R「音楽活動はしていましたが、ソロプロジェクトはやっていませんでした。当時、毎週木曜日に石塚チカシさんがDJをやっていて」
K「Su-Paka-Poohね!」
R「そうです。チカシさんとパーカッシブなハウス的なユニットSu-Paka-PoohをやったのがDJとの音楽制作では最初かな。いまもあの頃のミュージシャンとは繋がっていますね」
──池田さんもDJ KAWASAKI BANDに参加されていますよね?
K「きちんと音楽を学んでいる人なので、当時から僕のアルバム制作の際にいろいろ手伝ってもらっていて、実際、曲作り自体は彼から学びました」
R「いやいや(笑)」
K「僕はDJとして彼に曲を紹介して、逆に彼は曲作りを教えてくれて、そういうやりとりをずっとしているよね」
R「そうですね」
──この関係性がなかったら、おふたりともここまで来れなかったかも?
K「僕は、サウンドプロダクションのノウハウは池田くんと、ドラムンベース・プロデューサーのMAKOTOくんのふたりから教わったと思っています」
R「最近のDJ KAWASAKIさんの作品においては、ご自身でミックスやマスタリングもされているのですが、それがすごく音が良いんですよ」
K「池田くんとは、音楽ソフトのLogicに関してやりとりしているのですが、何を聞いてもきちんと戻ってくるんですよ。やっぱりちゃんと勉強している人は違うな……って」
R「勉強なんてしてないです(笑)。お互い得意な部分を補っている感じですよね。僕自身、DJに憧れがあって、その感覚ってDJをやっている人でないとわからない。KAWASAKIさんは、DJのなかではかなり生の音楽をしていて、しかもメロディやコードも作ったり、ミックスもマスタリングもする。すごくミュージシャン寄りなんですよ。だからこそ、そんなDJにいろいろ聞きたいという思いがあります」
K「僕はミュージシャンではないので楽器は弾けませんが、デモを作るレベルのコードを弾いたり、メロディを書いたり、曲の元となる部分まではひとりで出来るようになりました」
R「それがすごい!」
K「今ってプラグインで良いものがたくさんあるので、プラグインさえ揃えば自宅でも出来てしまう。プラグインに関しては?MAKOTOくんに教わっていて、彼はいまロンドンにいるんですが、そこで得る情報を池田くんにも紹介しています」
R「KAWASAKIさんに教えてもらったプラグイン、全部買いました(笑)」
K「ミックスやマスタリングに関して言えば、DJなので現場での音のイメージが頭の中にあるんですね。ミックスエンジニアの方とのやりとりは勉強になりますけど、やはり理想の音に近づけるのにはとてつもない時間が掛かるのと、最終的に少しでもイメージが違う部分があると後悔しちゃうので、できる限り自分でやろうと」
──なかなか自分でやりたくても出来ないことの方が多いですよね。
K「その決断を決定的にしたのは、池田くんの「That Good Feeling」という曲なんです。ミックス、レコーディングから全部自分でやっていて、あの音がすごく良かった。こんな身近にいる彼が一人で出来るなら自分も絶対できるはずだって」
──お互いとても良い影響を与え合っているんですね。
R「その「That Good Feeling」に関して、そもそも生でドラムを録ろうと思ったのは、いまのTHE ROOMの店長、冨永陽介くんが自分の楽曲をTHE ROOMで生ドラムを録って、自身のレーベルCHAMP RECORDSからリリースして大成功させたからなんですよ。そのドラムがすごく良くて、自分でもやってみたいってなって。THE ROOMのメンバーそれぞれが刺激し合っている、そういう環境は貴重ですよね」
──そういうクラブってなかなかないですよね。
R「そこはやはりミュージシャンに開かれているクラブというのがあると思います」
K「吉澤はじめさんが中心となってSOFAという、ミュージシャンが集まって、一日中セッションするイベントを開催していたんです。そこで出会ったミュージシャン同士で、バンドが生まれたり。そういう流れもあって、ミュージシャンに対しては、つねにウェルカムな姿勢ですね」
──さて、今回ROOT SOULとしては約13年ぶりにアルバム『FREAKY POWER』をリリースされます。
R「13年の間に、ソロで7インチはリリースしていましたし、他の人のプロデュースをしたりしてましたから。あとは、沖野修也さんのアルバム『DESTINY』のブギー・カヴァー・アルバム『DESTINY replayed by ROOT SOUL』は、自分のアルバムくらい気合いを入れたというのはありますね。僕は、きっちり設計図として完成系に近いデモを作るタイプで、作品を作るのに時間がかかる方なんです。まあ言い訳なんですけれどね(笑)」
K「彼、こだわりがすごいんですよ!」
──ブレないファンキー感が素晴らしいですよね。
R「結局、自分の核となっているのはそこかな。13年前の1stアルバム『ROOT SOUL』よりも、よりジャズファンクにフォーカスを当てた感じの作品にしました。CHAMP RECORDSからリリースした「Amplification Pt.1&Pt.2」という、ジャズファンク、ジャズロックな7インチがあって、それをフジロックで演奏した際のお客さんの反応をフィードバックさせて、今作ではインスト色を強くした、自然な流れだったのかなと思っています」
──「Star Haze」は60年代のサイケデリック・ファンクというか、ファンクだけれどロックの要素が強かったですね。
R「ミクスチャーな音が好きで、70年代のファンクやソウル、ラテン、ジャズが混ざって混沌としていて、人種や文化がごちゃ混ぜになっている感じ。そこに躍動感というか、パワーがあると思うんですよ」
──KAWASAKIさんは『FREAKY POWER』にどんな感想を持ちましたか?
K「ブレてないなって(笑)。でも、このジャンルの中でもズバ抜けてすごいところまで行っていると思うんですよ。1stアルバムも凄かったので期待していたんですが、期待を超えてハイレベルな領域に今作で辿り着いたなと感じました。オリジナルアルバムとしては13年ぶりですが、他のアーティストの作品をプロデュースしたり、作品に携わってきたのは必要な時間だったと思いますね」
R「褒めていただいてありがとうございます(笑)」
──今回のボーカリストのチョイスは?
R「エリック・リコは、Jazzy Sportからスティービー・ワンダーの「TOO HIGH」とジェームス・ブラウンの「MAKE IT FUNKY」をカヴァーした12インチシングルをリリースしていて、それが素晴らしくてかっこよかったので、彼に頼めたらいいなと。Jazzy Sportの気仙太郎さんに紹介していただき、あっという間にレコーディングまで進みました。ネオソウルな作品の中に、70年代のファンクとかソウル、ルーツミュージックへのリスペクトを感じられて間違いないだろうと。それはAndrea Clarke(アンドレア・クラーク)も同じです。技術的な部分よりも温度感とか感覚が大事で、そのあたりの感覚が僕と近いとも勝手に思ってました。おそらく世代も近い。ふたりとも想像以上に良いものを返してくれました」
──KAWASAKIさんは、制作中の池田さんの近くにいて、どう感じました?
K「めちゃくちゃ時間かけてるなと(笑)」
R「かかりましたね(笑)」
K「でも、それくらいこだわったんだろうなと」
R「自分の作品になると、どうしても余計にこだわりが出ますよね。ほぼ自分でやっていると気に入らない曲は白紙からいくらでも作り直せてしまいます。人の作品の方が締め切りもあるし、良い意味で距離を置けるのかな」
K「お互い職人っぽいところがあるんですよ、作り込む作業が好き。そういう部分は僕も似ているかな」
R「僕は職人という人種が好きみたいで、音楽に限らず自分の腕で物事を作り上げる人って尊敬します!」
──ファンキー職人ですよね(笑)。
K「ファンキー職人ですよ(笑)」
R「影響を受けたミュージシャンからもらった感動を、作品の中に入れたいという思いがあって、そうすると好きなものしか出来ないですよね」
K「池田くんは、ミュージシャンなのにプロデューサー的な一面――第三者的にものごとを見る能力――があるんですよ。ベーシストとしてだけの目線だと自身の演奏が最も大切な部分になることもあるかもしてませんが、曲全体として“THE ROOMのフロアで流れたらどんな感じになるのか”まで想像をしてイメージしているところがすごいんです」
──やはりTHE ROOMという居場所があったことは大きい?
R「それは大きいですね!」
K「よく“DJだとこうするんだ!”って言っていて、DJのこともリスペクトしているその考え方が、ただのミュージシャンではなくプロデューサー的だなと」
R「とあるDJの方のプレイで“この曲で踊らせられるんだ!”みたいな経験があって、それは選曲の順番とか見せ方や構成力、引き出しの多さかもしれない。DJにはそういう部分がありますよね。プロデューサーに必要な部分って、そういう何にいちばんフォーカスするかという見せ方だと思うんですよ」
K「DJは曲の完成形をイメージしていて、ソロの演奏よりかは全体的な形の方が大事なんです。池田くんはミュージシャンですけれど、そういう部分をプロデューサー的に理解している」
R「ベーシストという立場が、プロデューサー的な立場を取らざるを得ない音のパーツなので、それもあると思いますね」
──DJはフロアを考えて作る……おそらくミュージシャンとは曲を作る感覚がまったく違いますよね。
K「曲として良いものはもちろん素晴らしいんですが、フロアで機能するかは全然違うイメージですからね」
──ROOT SOULというアーティストの作品は、フロアを意識して作っている感じはしますね。
R「踊って欲しいという思いはあります。もちろん演奏が上手いとも言われたいですが(笑)。とにかく、インパクトとか、躍動感とか、説得力みたいなものを重視しています」
──池田さんが影響を受けたアーティストは?
R「ファンクバンドのManzelとか、4HEROのミュージシャンサイドのマーク・マック、アース・ウィンド・アンド・ファイアーやロータリー・コネクションのプロデューサー、チャールズ・ステップニー、シックのバーナード・エドワーズ、ブーツィーコリンズ、ロイエアーズですね」
──ファンキーラインですね(笑)。
R「結局、そうなっちゃうんですよね(笑)」
──アルバムのアートワークに関しては?
R「衣装のスタイリングは沖野修也さんで、ジャケットアートは青山トキオさんです。言うまでもなくブラックミュージックやブラックカルチャーの大好きな方なので、打ち合わせの段階から意気投合して最高な一枚を描いていただきました。」
K「この感じのアニメでミュージックビデオにしたらいいですよね!」
R「それはやりたいですね!」
──KAWASAKIさん的に“やられた!”という曲はありますか?
K「「She's Got It」です。こういうスモッグジャズっぽい曲を自分でもやりたかったのですが、まさしく先にやられたなと(笑)」
──では池田さん的に今回の推し曲は?
R「身を削って作ったのでどれも捨てがたいんですよ(笑)。強いて言えば、「Searchers」ですね。この曲はこれからのROOT SOULも表現できているかな。フューチャーファンクな僕の中で新しい要素があり、技術的にもネクストレベルに行けていて、大切な音楽の同志達を思って作った曲で思い入れがあります」
──曲順はご自身で決めたんですか?
R「最終的には沖野さんに決めていただきました。そこはやはり選曲家でプロデューサーである沖野さんに並べていただいてこそ作品が完成すると思っていたので。」
K「DJとして順番を考えると何度も飽きずに繰り返して聴けるよう順番を考えます。一本の映画を観たような物語や起承転結があったり、ミックスCDのようにオープニングとエンディングを意識したり。そういう流れを作れる曲順って、すごく大切だと思います」
R「アルバム全曲ジャズファンクだけど、13年間かけてバリエーションを各種取り揃えました(笑)」
K「時間かけすぎだろ!(笑)でも僕のアルバムも11年ぶりですし、Kyoto Jazz Massiveも19年ぶりでしたからね。同じタイミングでリリースしたというのは……」
R「何かありますよね!」
K「やっぱりあるよね!機というか、“来たな!”という感じ。いろいろなものが一周回った感ですね。次はまた13年後?(笑)」
R「もうちょっと早くします(笑)」
K「でも、いまこの内容のアルバムを作れる日本人って、池田くんしかいないんじゃないかな」
R「ありがとうございます」
K「今日は、池田くんが言わないといけないことを僕が全部言ってます(笑)」
R「自分で“僕しか作れないアルバムです”なんて言えない(笑)。でもすごく自分らしいアルバムになったとは思ってます!」
──2021年11月に開催された「Tokyo Crossover/Jazz Festival 2021」では、同じステージに立たれていましたね。
K「コロナ禍の影響もあり、ROOT SOULとしてもライブ自体がしばらく出来ていなかったですしね。僕自身は昨年5月に代官山UNITでリリースパーティをやったのですが、あの時もいろいろな人たちが来てくれて、その後、TCJFのステージに立てる日が来たことは感慨深いものがありました。来年、2023年にはTHE ROOMが30周年を迎えるので、年内か、年明けにスペシャルゲストを呼んで30周年記念のライブやイベントをやる予定です。でも、経験も技術もいろんなことがちょうど良い感じに熟したというのは、僕ら自身が感じていて、そういう意味ではいまがいちばん働き盛り、制作盛りなのかも」
R「コロナ禍で時間でき、なんとかアルバムが完成できたのは良かったです。モチベーションを強く維持し続けるのは難しいけれど、それはTHE ROOMに行ったり、周りから刺激をもらったり、お客さんからもらうことももちろんありました。イベントでは大きなパワーをもらえますね。コロナでライブが出来ない状態が続いた時は、やっぱり不安だったんですよ。そんななかKAWASAKIさんがリリースパーティを大成功させ、あれで僕は救われましたね。“音楽はまだ大丈夫だ”って。他の出演者からも同じようなことを聞きました。」
K「あの時は、もちろん自分自身もそう救われたと思いましたし。でも結果、いろんな人が遊びに来てくれて、良かったと言ってくれる人がいて。コロナの期間はいまが準備期間と思って、僕は制作ばかりしていましたから。池田くんともお互い励ましあったりもしたしね」
R「いま、まさにそのタイミングなんじゃないですかね。THE ROOMの30周年というのもありますし」
K「いちばん下のスタッフは21歳でDJもやっていてって、いま20代くらいのDJたちも僕達といっしょにTHE ROOMを盛り上げているんです。なかには同世代のお子さんくらいの子もいて、“親が聴いてました!”って。そんな方に“この曲好きです”と言われるって嬉しいじゃないですか。それに、そういう世代といっしょのステージに立てたり、いっしょの現場にいられる時代になっているというのも、制作意欲の理由のひとつになっているかもしれないです。沖野さんを中心に、僕らの周りで良いヴァイヴスが渦巻いているのは感じていますよね。そう思えることが大切じゃないですか」
──どうやってモチベーションを上げていくか?ということですよね。
R「何かに感動した時に一番モチベーションが上がりますよね。僕は音楽を作るのって、正直いうと若い頃の感動のまま作りたいんですよ。特に自分の作品は自分の一部分だから、その感動、その感覚をどうしても入れたい。でも、年齢を重ねていくと感動することも減り、そのモチベーションをどう保つかの方が大事になってきますね。他の人をプロデュースすることは、そのアーティストの役に立ちたいというのと、あきらかに客観的な視点で仕事ができたりします。でも自分の作品場合、若い頃の熱量とさらに冷静な客観性の両方を入れたいとなると、その矛盾にはなかなか体力使いますね(笑)」
K「池田くんは分析するのが上手なんですよ」
R「考え過ぎてしまう部分はありますね」
K「スイッチが入っちゃう?でもそれが天才だからね」
R「スイッチが入っている時間が、ある程度定期的にないとモチベーションが保ていないですよね」
K「スイッチの入れ方を忘れちゃうよね。DJも一週間以上空いてしまうと感覚が鈍る。だからやり続けるしかない」
──この2年間は、おふたりにとってもかなり過酷な時間だったのでは?
K「経験と年齢を重ねていくと、自分が前に出るより若いアーティストをプロデュースすることも重要に考えています。この何年かは僕らもそういったプロジェクトを積極的にやっていますが、このコロナ禍で自分の作品を作る使命感みたいなものが急に出てきて、それでリリースしたというのはあります。しかも、沖野さんとROOT SOULと僕、なぜか同じタイミング……たぶん、マインドセットがいっしょだったんですよ。それに仲間が盛り上がってくると嬉しいじゃないですか。そういう相乗効果もあって、どんどん曲が生まれる」
R「刺激を受け合っていますよね」
──最後に、おふたりの近々のご自身の目標を教えてください。
R「とにかくライブがしたいです。もちろんリリースパーティは企画していますし、ツアーも行けるところは全国どこでも回りたい!作品としては、今作がジャズファンク・サウンドの僕の中での集大成になったと思っているので、次はより未来に向かっているイメージのものを作りたいです。ちなみに収録曲「Searchers」はその布石になっていて次の制作へのモチベーションがあります!」
──KAWASAKIさんはいかがでしょうか?
K「6月に7インチを中心にリリースを続けているKAWASAKI RECORDSから新作を発売します。ニューヨークのレーベル、King Street Soundsとのコラボで、Ananda Projectと、Blazeの代表曲のひとつでもある作品を僕が生演奏でアレンジした曲と、KJMのニューアルバム『MESSAGE FROM A NEW DAWN』から、ロイ・エアーズをフィーチャリングした「GET UP」のエディットバージョン、プロデュースを手掛けたNAYUTAHのシングルが流線形のクニモンド瀧口さんによるリミックスバージョンで出ます。あとはQ.A.S.B.のアルバム『Candy Dream』から「VIVALAVA」を僕がリエディットしたバージョンも。そしてアナログですでにリリースしていたリミックスとエディットバージョンをまとめて、さらに沖野さんのエクスクルーシブなリミックスを収録して、リミックスアルバムとしてデジタル配信も予定しています」
──リリースラッシュですね!ちなみに、この段階でデジタル配信を開始したきっかけは?
K「Bandcampを始めたというのもありますし、アナログだけでなくデジタルDJもけっこういるので。僕自身もまた海外ツアーに行きたいので、世界中の人に聴いてもらいたいんです。今後はアナログと並行してデジタルでのリリースもしていく予定です」
R「KAWASAKIさんのブレイズ「We Are One」は、やられたなという感じがありましたね。実は、僕もああいう感じの曲をアルバム用に作りたかった。素晴らしいですよ」
K「褒めあってます(笑)。でもいいよね!だって13年ぶりですから。みんなで総出でお祝いしますよ。でも、池田くんのこの手のエッセンスを欲しい人ってたくさんいるから、これを機にプロデュースとか、いろいろ活動して欲しいと思います」
R「オファーお待ちしております(笑)」
(おわり)
取材・文/カネコヒデシ
写真/いのうえようへい
DISC INFO Ananda Project / Blaze「Cascades Of Colour(DJ KAWASAKI Slow Disco Mix)/ We Are One(DJ KAWASAKI Fusion Funk Re-Groove Mix)」
2022年6月18日(土)発売
7inch/HR7S-255/1,980円(税込)
KAWASAKI RECORDS
COMING SOON!DJ KAWSAKAKI『ONE WORLD-RELATED WORKS』
2021年6月30日に発売された4thアルバム『ONE WORLD』に収録されていた楽曲のリミックス、エディット、未発表バージョンを集めた全13曲のデジタル配信。これまでKAWASAKI RECORDSから7”ヴァイナルの限定シングルとしてのみ発売されていたDanny Krivit、DJ KON、Dr. Packer、MURO、DJ Mitsu The BeatsらによるExclusive Edit&RemixとDJ KAWASAKIによる7”バージョンに加え、沖野修也 (Kyoto Jazz Massive / Kyoto Jazz Sextet) による最新Re-Editも初披露!ドラムンベース・シーンのレジェンダリー・プロデューサーでもあるMAKOTOと作曲のプロセスで誕生したレアな未発表テイクも収録!2022年7月配信リリース予定。