──1st EP「GO UP」から半年ぶりのカムバックになります。この半年はどう過ごしていましたか?
「リリース後にライブイベントに出演したりもしたんですけど、やっぱり練習とは全く違っていて。空気感や緊張感も違いますし、ヒップホップが好きな人以外も来るイベントだったので、その人たちと目を合わせて、どう伝えられるのか…。その瞬間瞬間で歌い方を変えてパフォーマンスした経験は学びになりましたし、定期的にボーカルやダンスのレッスンもしていました。でも、基本的には自分を見つめる時間に当てていました」
──それはどうしてですか?
「もともと私は本格的な音楽活動をしていなかったんです。コロナ禍を機に帰国して、ゼストミュージックスクールに入学して…。そこでレッスンの一環でやったラップがきっかけで、オリジナルの曲を作ることになって、せっかく作ったんだからリリースしようってことになったので」
──前回のインタビューでも“すごいスピードの路線に乗っている感覚”だと話していました。
「そうですね。だからこそ、一旦、しっかりと自分を見つめ直す時間が必要だと感じました。自分を愛してあげないとメンタル的にも落ちてしまうので。だから、自分自身を愛してあげるためにも、いろんなところを見直して、いろんなことを経験するという時間にこの半年を当てていました」
──自分を見つめ直したことで何か気づいたことはありましたか?
「“RIVAとしての自分”と“プライベートの自分”ってやっぱりちょっと違うっていうことです。そこを理解してあげて、スイッチを身につけるというか…」
──普段の自分とスイッチを入れたアーティストのRIVAとの違いというのは?
「元々は内に籠る…前に出るようなタイプではなくて、人見知りする性格なんです。でも、RIVAとしては、アーティストとして、音楽を通して人に想いを伝えたくて。音楽オタクっていうくらい音楽が好きだという部分は共通していますけど、その2人をしっかりと分けようって思いました。だから、「GO UP」は内向きなんですけど、今回リリースした「DIVA」は一歩、前に出ている感じです」

──前作のEPでも「WANOKUNI」で<令和うちらの時代>とアピールし、「GO UP」で“一緒に駆けあがろう”というメッセージを呼びかけていましたね。
「そうですね。でも、私の中では「GO UP」と「DIVA」のRIVAは全然違うんです。「GO UP」は、自分と自分を競い合わせることで、鼓舞して突き進むっていう感じでした」
──確かに「GO UP」のサビで繰り返される<Do you hear me?>は自分に言っているとおしゃっていました。
「はい。例えば、他人と違う選択をすることに躊躇したときの自分に向けて、“確実にやってみせる。わかっているよね?”と言い聞かせています。その言葉がみんなにも届くといいなと思っていました。でも、「DIVA」はRIVAより少し後ろに自分を置いてみていて…」
──RIVAを俯瞰的に見ているってことですよね?
「どういう風に見られているのか? それを踏まえて、自分をこうしてあげたら、もっと自分のことを好きになれるんじゃないかっていう。それが、自分を見つめ直す時間でした」
──“RIVAはDIVAなんだ”って再確認したってことでしょうか?
「“DIVA”って、直訳すると“歌姫”なんですけど、海外では”あなた、とてもディーバだね!“と言うと、褒め言葉として捉えられるフレーズなんです。自分の信じているものや好きなことをしっかりと持っている、たくましい女性っていうニュアンスで使うんです。私の中の”DIVA“は、音楽が好きで、海外が好きで、自信を持っている。そんな自分が好きだなって思って」
──<RIVA DIVA>というフレーズから始まって、何度も繰り返しています。
「RIVAっていう名前を主張したかったですし、DIVAというのは、さっきも言った通り、自分の人生の主導権を握るたくましい人のことをいうので。まだ自分にそこまで自信がないという人でも、それが表には出ていないだけで、必ず自分の中にDIVAがいると思うんです。あと、<RIVA DIVA>には、「GO UP」から変わった自分っていう意味を込めています。“DIVA”はアーティスト名=RIVAの由来でもあるし、自分のやり方を恐れずに見つけていく “DIVA”になったRIVAの姿を表現した曲にもなっていて。「GO UP」は自分と自分を競い合うようなテンションで書きましたけど、「DIVA」は、もっともっと自分が好きなことを愛してあげる気持ちで書いていますし、見た目も全然違うんですよね」

──とても変わりましたよね。「GO UP」ではシルエットでしたけど、今作は…。
「ギャルが出ちゃいました(笑)。顔を出すことにしたというか…出ちゃったというか。コンセプトは“海外育ちのギャル”です。まずは見た目から入るんですけど、やっぱり大事なのはattitude(態度)です。好きなものは好きだし、言いたいことは言う。そういうマインドを大事にしてメンタルを保っていきたいと思っています。そこからくる自信もあると思うんです。例えば、私はグリーンブルーが好きだから、いつでもネイルをこの色にしていますし、髪の毛もくるくるにしています。自分が本当に好きなことをやっているから、“みんなと違っていても全然大丈夫!“っていう」
──自分のことを愛せなくなったり、自己肯定感が下がったときはどうしたらいいですか?
「まず、“思っている以上にこの世界には優しい人はいるんだよ“ってことを忘れないでほしいです。そして、自分が安心できるような空間に行くために、ちょっとだけ頑張ってみることです。”小さな一歩でも、何か新しいことに踏み出してみる”って大事だと思いますし、「DIVA」を聴いて、自分の好きなものや信じるものを見つめ直してもらえたらいいなと思います。そこから自信はついてくるので」
──この曲ではヘイターにも“ありがとう”と感謝を伝えていますね。
「世の中とちょっと違う人って、笑われ者になったり、はみ出すことがあるけど、それが私の個性になって、強さにもなったしっていうことを<haters にsay ありがとう>と言っています」
──違いが個性になっているんですね。
「そうです。RIVAのスタッフさんも、変わっている私が好きなんです(笑)。だから、「GO UP」の頃から自由に好きにやらせてくれています。アーティスト=RIVAは自由でいた方がいいので」
──(笑)ご自身で特に気に入っているフレーズとかありますか。
「<からくりをくぐり抜け出す人形>は「WANOKUNI」を入れていますし、<flow soギリギリギリ>は「GO UP」を少し引用しています。あと、普段の私はスラングを言わないんです。だから、<私 baddest bitch in TOKYO>はかなり印象的でした」
──MVはまさに東京の渋谷で撮影していますね。
「いろんな人がいる中での撮影だったので、正直、最初はとても緊張していました。“大丈夫かな?”と思ったんですけど、監督がすごく優しい方で、周りのスタッフの方々もとても盛り上げてくれたんです。雑踏の中で渋谷センター街の真ん中で撮影しているときも、“Whoo!”とか、“Wow!”とか声を上げてくれて…パーティー状態で楽しかったですし、本当にこの<私 baddest bitch in TOKYO>という言葉が私に自信をくれました」
──「DIVA」はBBY NABEさんとのコライトになっていますね。
「最初にデモを何曲かいただいて、その中からこのトラックを選びました。BBY NABEさんは、ラッパーで、日本語と英語のバイリンガルなんです。まず、BBY NABEさんにリリックを書いていただいて、そこに私も加わって、共同作業でした。歌詞やアレンジの部分、メロディーラインも“こんな感じはどうですか?”ってやりとりをしながら、レコーディングの本番前にスタジオに入って、仮歌を録って。スタジオではもうずっと英語で会話していて…スタッフさんはポカンとしていましたけど、私は海外に戻った感じで楽しかったです(笑)作業中の会話は全部英語で、みんなを置いてけぼりにしながら、ディレクションもしてもらいました。細かいフローの話とかニュアンスは英語の方が伝わるんです」
──どんなディレクションがありましたか?
「BBY NABEさんはかなり“やっちゃって!”ってタイプだったので、素の声を出せたと思います。<ありのままRIVA DIVA で>っていうパートはオリジナルとは違ったんですけど、かすれるような声を使ったり、自由にやらせてもらいました。私はフロー重視で、サビ前のリズムの感じをガラッと変えるようにしたり、最後のウィスパーも私のアイデアを採用してくれました。本当に自由に楽しく、ノリ重視でやらせてもらえました」

──リリースされて反響はどうでしたか?
「海外の方たちもMVを見ていただけるようになってとても嬉しいです。もっともっと日本にもたくさん広まると嬉しいですし、TikTokでちょっとずつ音源を使ってもらえたり、投稿も増えてきていて。インフルエンサーさんに考えてもらった振りも楽しい感じなので、皆さんもたくさん真似して、DIVAチャレンジをやってほしいですし、私にとっては、新しいスタイルが定まってよかったなっていうか…迷っている自分がいないですし、“私はこれなんだ!”って確認できた曲になりました」
──これからもヒップホップで?
「ヒップホップは大好きですけど、R&Bも好きですし、ポップソングもたくさん聴いています。音楽的には、ジャンルを決めず、幅広いアーティストになりたいので。今年は攻めの姿勢で曲をどんどんリリースしていくつもりなんですけど、まさに今、作っている曲はラップもありつつ、しっかりと歌を聴かせられるようなR&B系の曲なんです。だから、1作品、1作品、“この曲、RIVAちゃんなの?”ってくらいの衝撃を与えられるといいなと思っています。新しいスタイルを自分の中でも確認しながら、どんどん作っていきたいです」
──次の新曲が楽しみですが、最後に改めて、今後の目標を聞かせてください。
「まずは日本で多くの人に知ってもらうことが大事ですけど、いつかはやっぱり、友達がたくさんいる海外ツアーに行きたいです。カナダ、アメリカ、タイ…。海外にいる友達が“RIVAのライブを生で見てみたい”って言ってくれているので、いろんなとこ行ってみたいです。そのためにも、ボーカル的にもっともっと実力を見せていきたいですし、ビジュアル面でもいろんな新しいものをたくさん見せていきたいです。日本人のルーツはしっかりと持ちながら、地に足をつけて、いろんな曲を作っていきたいです。頑張ります!」
(おわり)
取材・文/永堀アツオ