──OrJourneyは7月20日の伊藤さんのバースデーイベント『伊藤昌弘バースデーライブ&イベント2025〜重大発表あります!〜』()でお披露目でしたがOrJourneyという名前を持って音楽活動を始めてみて、いかがですか?
https://e.usen.com/news/news-event/orjourney2025.html

伊藤昌弘「とても充実しています。自分たちのアーティスト名=OrJourneyとして、オリジナル曲で活動するということは、僕にとってすごく必要なことだと思いましたし、何歳になっても追いかけ続けたいことだと感じています。マネージャーさんには“生き生きしている”ってよく言われますし(笑)」

廣澤優也「わかる! 僕も“顔つきが変わったね”って言われます。伊藤くんのバースデーイベントの頃にはもう覚悟も決まって腹も座っていたんですが、その半年前くらいは、まだ自分がアーティストになるという不安や緊張感が強かったです。その変化が顔に出ていて…。段階を踏んでマインドセットされていったんだと感じます」

伊藤昌弘(Vo.&Gt.)
廣澤優也(Ba.)

──OrJourneyを始めたことで、例えば音楽の聴き方だったり、アンテナの張り方が変わったようなことはありますか?

廣澤「僕は流行りの音楽をあまり聴かなくなりました」

──そうなんですね!?

廣澤「はい。僕は音楽プロデューサーという仕事柄、それまでは“今、これが流行っているから”とか“こういうものが売れる”という曲をチェックしていましたた。でも、自分たちの名前で発信するとなると、そういうトレンドよりも、自分たちが今、何をやりたいか、何を表現したいかとかそういうことにファーカスを当てるべきで。だから今まで自分を育ててくれたアーティストや楽曲を一つ一つ辿る作業をしました。“中学のときELLEGARDEN好きだったな”とか、“実はこういうアーティストにも影響を受けていたな”とか…」

伊藤「僕ももちろん音楽は聴いていてるんですが、そもそも自分が音楽で言いたいこと、伝えたいことは何だろう?というところに立ち返りました。そうすると、“どれだけなりたい自分になれているのか?”、“どれだけ胸を張って自分として生きていられるのか?”まで戻らないといけないということに気づいて。だから、しっかり生きようと思いました」

廣澤「それ、すごくわかる。そこがハモっているから、伊藤くんと一緒にやることになった気がする」

伊藤「やっぱりハートの部分ありきで。音楽はその伝え方の手段の一つでしかなくて。だからハートの部分が枯れたらどうしようもないと思います。厚かましいかもしれないですけど、そういう信念は持ってやっていきたいです」

──現時点で見えている“なりたい自分”というのは、どのようなものですか?

伊藤「自信を持つことです。例えば音楽で結果が出たら“僕の歌ってすごいんだ”って、後天的な自信は持つことができると思うんですけど、その自信がなくなったときにどうしたら良いのか…。それを毎日考えて、向き合っています。“自信がない”という一見ネガティブな気持ちは、音楽をやりたいというモチベーションにつながるので、変に否定せず、それも自分の一部として、大事に抱きしめてあげて、魅力的な人間になっていきたいと思っています」

廣澤「すごくよくわかる。というのも、僕は今、自信に満ちてきているほうなので。OrJourneyとして曲を作るたびにどんどん自信が増していって。今は自信満々でやらせてもらっています」

伊藤「最高じゃないですか!」

廣澤「最高です。すごく調子がいい!」

──OrJourneyとして最初にリリースしたのは7月20に先行配信された「Flags」です。1st EP『Appetizer』にも収録されていますが、改めてこの曲に込めた想いを聞かせてください。

伊藤「「Flags」では、OrJourneyの進むべき道を歌っているのはもちろんですが、以前から僕たちのことを知ってくれている方に“OrJourneyでもこういう曲が聴けるんだ”と思ってもらえるような…“新しい帰る場所”としての意味合いを込めて、最初にリリースする楽曲を「Flags」に決めました。OrJourneyとしての初リリース楽曲なんですけど、いつも見ていた僕たちみたいな…」

── お二人が一緒に音楽をやるきっかけになったArgonavisから遠すぎないところを?

廣澤「そうですね。まず僕たちのこれまでの音楽での関係性を改めて描き直して形にする必要があると感じたので、「Flags」を作りました。自分たちの中に旗印を立てるという意味もありますし、僕たちの居場所でもあり、みんなの居場所にもなるように、旅の目印になるような楽曲になるように。そう思って書かせていただきました。新しくOrJourneyとして活動を始めるにあたって、僕たちの新しい一面を見せることもできたし、実際そういう曲もあるんですけど、まずは馴染みのある一面を見てもらうことで“ここはみんなの居場所だよ”ということを伝えたかったんです。だからこの曲を最初にリリースしました」

伊藤「そこに廣澤さんの優しさが出ていると思いました。新しい活動を始めるとき、プレイヤーが“イメージを変えたい”と思うことってあると思うんです。それが悪いことだとは思わないですし。だけど、お客さんからすると、今まで好きだった像があるわけで。今回、どちらもできる状況で、お客さんに寄り添うほうを選んでくださいました」

廣澤「まずは“安心させてあげたい“って思ったから。ちなみに僕がプロデューサーとして仕事するときには、”これまでこういう活動をしてきたから、今回は新しい一面を見せましょう“」ってことはよくやります。”こういう一面あるぜ“、”本当はこういうのが好きなんだぜ“って、別にそれまでやっていたことも好きなことなのに、言いたくなっちゃうんです(笑)

伊藤「その気持ちもわかるんだよな」

廣澤「だけど今回は“安心させたい”、“OrJourneyは間違いない”と思ってもらいたくて」

──伊藤さんも同じ気持ちでしたか?

伊藤「正直、だいぶ揺れました(笑)。だけど、そうやって廣澤さんが手を差し伸べてくれましたし、今までの道を否定したくなかったです。それに、「Flags」は僕の声も含めてこのユニットの強みが確実に出る曲だと思うので、“これだな!”って」

廣澤「小ネタとしては…アウトロのギターのメロディやコード進行を、とある曲に寄せてみました。まだSNSを見ても誰にも気づかれていないようなんですけど。ちょっと気づいてほしかったな(笑)」

伊藤「ね!」

──今、アウトロの話もありましたけど、この曲で特に注目してほしいポイントを教えてください。

廣澤「まずは伊藤くんの<「抗って行くんだ」>のところ」

伊藤「そこね、知り合いにすごく真似されるんですよ〜(笑)。でもやっぱりフックになるところは、こうやって人の印象に残るんだって思いました」

──廣澤さんとしてはそこは狙い通りですか?

廣澤「そうですね。僕たちはロックミュージシャンなので、最も強烈な反骨精神のメッセージを1番目立つところに置かせていただきました」

伊藤「僕の聴いてほしいところは…転調後のボーカルですね。そこの声の伸びが良かったという話を廣澤さんとした記憶があります」

廣澤「したね!」

伊藤「でも何よりも聴いてほしいのは、廣澤さんが弾いているベースです。廣澤さんがベースを弾いているという事実がもう注目すべきことなので。僕は楽器を弾いている廣澤さんを見たことがなかったので、まず楽器を弾いている廣澤さんに違和感があって(笑)」

廣澤「わかる。自分でも違和感ある(笑)」

伊藤「だから、ぜひライブとかで楽器を弾いている廣澤さんを見てほしいです」

──そして9月3日には「Hello」が先行配信されました。この曲はどのようにできた曲なのでしょうか?

廣澤「この曲はOrJourneyとして作った4曲目の曲です。最初のほうの楽曲制作は内へ内へ…自分たちの中に潜り込むような、決意や覚悟を込めた曲が多かったんですが、そういう表現をしているうちに、今度は外へ外へ広がるようなエネルギーを持った曲を作りたくなって。だから、“僕たちからもみんなに会いに行くし、みんなからも会いにきてほしい”という気持ちの合言葉を<ハロー>という言葉にして、タイトルから曲を作りました」

──伊藤さんはこの曲を初めて聴いたとき、どう感じましたか?

伊藤「意外でした。「Flags」はそれまでを踏襲した感じだったので、それよりも激しい曲が来るかな?と思っていたんです。そしたら、そうではなくて、明るい四つ打ちの曲がきて。いい具合に裏切られました」

廣澤「自分も、もっとテクニカルだったり、激しかったりとか、キャッチーじゃない曲を作りたい気持ちがあったんですが、制作を進めていくうちに、それよりもみんなで一緒に歌える曲を作りたいという気持ちになって。もともとは“もっと速い曲を作ろう“という話をしていたんですが、みんなに聴いてもらう前に自分の中でボツにしてこの曲になりました」

──この曲は、歌う上ではどういうこと意識されましたか?

廣澤「「Hello」ってすごく難しくない?」

──え? 作ったのは廣澤さんですよね? “難しいだろうな”と思いながら作ったんですか?

廣澤「はい(笑)。特にサビかな。裏声になるところは多分すごく難しいんですけど、歌えると最高にカッコいいと思って。曲を作っていて“このメロディ、こっちにいけたらカッコいいけど、人間が歌うには難しいかな?”とかは考えるんですけど、“伊藤くんならいけるだろう”と思って」

伊藤「ありがたいです」

廣澤「仮歌を入れたのは僕なので、その段階ではキーを下げていたんですけど、“伊藤くんだったらいけるかもしれない”と思って無理やりつっこんだので(笑)、伊藤くんの歌のうまさも堪能できる曲です。みんなで歌えるパートもあって、明るくてキャッチーな曲として仕上がっていますけど、実はすごく難易度が高いという…」

伊藤「そんなこと言われたらライブでミスれなくなるじゃないですか!(笑) 今話していて思い出したんですけど、“テクニカルな曲にしたい”とか、“激しい曲を作りたい”という欲求を抑えて、キャッチーな曲がきたのがすごくうれしかったんです。ギミック的には難しいことをやっていますけど、聴きやすい曲ってやっぱり安心するので」

廣澤「なるほどね。それから…この曲は、EPの曲の中で最も準備段階の自分たちの心境が現れているような気がしています。Bメロの<まるで生まれたてのストーリー/なにもはじまってなんか無いけど>は、まさにそのときのことですし、<ここから先は一人じゃ渡れない>は、伊藤くんやスタッフといった仲間たちと一緒じゃないと渡れなかったですし、聴いてくださる皆さんがいないと渡れないという僕のそのときの気持ちです。そうやって、すごくピュアな気持ちで書きました」

──<あと少しで自分のこと/愛せそうな気がしているんだ>も、冒頭でお話しされていたことのようです。

廣澤「そうなんです。この曲を書いているときはまだ自信を持てていなくて。でも今は、自分のことを愛せています」

伊藤「素敵です」

──今伺った他に、EPには伊藤さんが作詞作曲を手掛けている楽曲も収録されています。お二人はOrJourneyでこの先、どんな曲を作っていきたい、鳴らしていきたいと考えていますか?

伊藤「『Appetizer』では今後の指針になるような曲を作りました。今後はどんなものがいいかなぁ?…ギター一本で弾き語れるような曲はやってみたいです。あと、少し挑戦的な曲も、僕たちが取り入れたらどうなるのかやってみたいです。例えばK-POPの音の迫力みたいなものにも最近は魅力を感じているので、そういうものを自分の中で咀嚼して取り入れられたらいいですね」

──廣澤さんは作家として、プロデューサーとして、いろいろなアーティストに様々な楽曲を提供していますが、その中でOrJourneyではどういうことをしていきたいと思っているのでしょうか?

廣澤「やっぱり伊藤くんの歌が生きるような楽曲作りは絶対だと思っています。その中で、いろんなジャンルにも挑戦していきたいですね。ただ、そういう冒険ができるのは次作からで、今回はその下地を作ったという感じです。今回のEPに収録された6曲を発展させていくと、いろんな曲が作れます。今後は、今回作った楽曲たちを前菜として、いろんな遊びをしていきたいです」

──だからタイトルが『Appetizer』なんですね。

伊藤「そうなんです!」

廣澤「今は話したいことが多すぎたというか…だからまずはメッセージを優先して楽曲を制作しました。そこを吐き出してから、ようやくスタートラインかな?と」

伊藤「でも前菜にしては味濃いですね(笑)」

廣澤「確かに(笑)」

伊藤「わんぱくプレートみたいな(笑)。でもこれを1st EPとしてリリースできることってすごくありがたくて。場合によってはまずはライブをやって、そこから何曲か絞って形に残すというやり方もあると思うんです。だけどそうじゃなくて。だから、ちょっと恥ずかしさもありますけど、だんだんとOrJourneyになっていくグラデーションを見せられたのもよかったと思います。“OrJourneyってこういう旅をするんだな”というのを見せられたのかな?って」

廣澤「旅で例えると、とても細かくタイムスケジュールを組んでいる旅行じゃなくて、目的地だけ決めて、その道中を楽しむ感じだよね。“ジブリに出てきそうな坂じゃん!こっちから行こうか?”みたいな」

伊藤「そうかも」

廣澤「他人の旅行のスタンスって、実際に一緒に旅行をしてみないとわからないじゃないですか。そういう意味では、今回はお互いの旅のスタンス、お互いの旅の楽しみ方を探るような制作だったように思います」

──それぞれの旅のスタンスを探ったというお話もありましたが、OrJourneyとして楽曲制作を一緒にしてみて、お互いのアーティストとしての魅力はどのように感じましたか?

伊藤「やっぱりディレクションの信頼感は絶大でした。あと、廣澤さんの知らなかった一面が楽曲として現れていましたし、“こんな引き出しもあるんだ!?”ということも知ることができて…すごく刺激になりました」

廣澤「僕は伊藤くんが作ってくれた曲の歌詞がすごく沁みて…表現力という新たな魅力が見つかりました。これからも伊藤くんの作詞作曲した曲をたくさん聴きたいですし、一緒に歌詞を書くとか、詞は伊藤くんで曲を僕が作るとか、そういったこともやっていきたいと思いました。自分で書いた歌詞を歌ったときの伊藤くんの表現がすごく新鮮で、魅力的なんですよ!」

伊藤「オリジナルをやっていた以前の僕と、楽曲提供の曲を歌っている僕と、両方を知ってくれている数少ない知り合いが“やっぱりお前は自分の曲を歌っていると輝くね”と言ってくれたんです。それはそれでどうかと思うんですけど(笑)。でも、“やっぱりまだ音楽をやりたい”、“歌を伝えたい”という想いが残っていてよかったと思います」

廣澤「どこかのタイミングである程度満足しちゃうことってあるよね。人生のステージが変わっていくにつれて、その渇望が消えやすくなっていくから。それを悪いこととは思わないですけど、自分はそうなれないと思っていたときに、伊藤くんもそうなんだって思えたことがすごくうれしかったです」

伊藤「確かにそれは大きいかも。若いときにこのプロジェクトがあったら、もう少しお互いギラギラしてうまくいかなかった気がするんです…頑張りすぎちゃって。でも、今はある程度納得できるという段階まできても“やっぱりやろうよ”と思ってやっているから」

廣澤「そうだね。やりたくてやってるよね」

──では最後に、OrJourneyの今後の夢や目標を聞かせてください。

廣澤「対バンライブがしたいです」

伊藤「そうですね。ライブも楽曲制作も、いろんな垣根を越えて、“カッコいいものはかっこいいよね”とくくられる存在になりたいです」

廣澤「いいこと言った!(笑)」

(おわり)

取材・文/小林千絵
写真/中村功

RELEASE INFORMATION

OrJourney『Appetizer』きゃにめ盤(CD+BD)

2025年10月29日(水)発売
SCCG-00173/4,400円(税込)

きゃにめ盤(CD+BD)

OrJourney『Appetizer』初回限定盤(CD+BD)

2025年10月29日(水)発売
PCCG-02448/3,630円(税込)

初回限定盤(CD+BD)

OrJourney『Appetizer』通常盤(CD only)

2025年10月29日(水)発売
PCCG-02449/2,750円(税込)

通常盤(CD only)

OrJourney「Hello」

2025年9月3日(水)配信

OrJourney「Hello」

OrJourney「Flags」

2025年7月20日(日)配信

OrJourney「Flags」

LIVE INFORMATION

OrJourney 1st ONE-MAN LIVE “Arrival”

2026年3月1日(日) 東京 harevutai
13:45 開場/14:30 開演
17:15 開場/18:00 開演

OrJourney 1st ONE-MAN LIVE “Arrival”

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