──encore初インタビューの猫背のネイビーセゾンです。改めて結成の経緯を教えてください。
井上直也(Vo./Gt.)「僕とドラムの石坂が高校の同級生で、一つ下の学年にベースのおかとギターの横山大成がいました。当時はうっすら話したことがあるレベルだったんですけど、高校を卒業した後に“バンドしたい”と思っておかに声をかけました」
──井上さんはそもそもどんなバンドをやっていたのでしょうか?
井上「コピーバンドをしていました。THE ORAL CIGARETTESとかKANA-BOONとか、当時好きだったバンドをとにかくコピーしていました」
──おかさんに声をかけた理由はベースがすごく上手かったからなんですよね?
井上「当時からかなりの人見知りであまり交流もなかったんですけど、唯一後輩で、なおかつバンドに誘ったら“やる”って言ってくれる人はおかしかいないと思って、ダメ元で声かけました。そしたら快く引き受けてくれたので。おかはおかで“じゃあ、うまいギター連れてくるわ”ってギターの横山を連れてきて、僕は同級生で“上手いドラムおるからそいつを連れてくるわ”ってドラムの石坂を連れてきて結成しました」
──なるほど。今の井上さんの話を聞いてると、まさに2010年代のロックが盛り上がっている頃ですよね。
井上「まさにドンピシャの世代です」
井上直也(Vo./Gt.)──それぞれ小中学生の頃はどんな音楽を聴いていて、どんなバンドをやりたいと思っていましたか?
井上「僕は中学生まであまりバンドを聴いていなくて…。湘南乃風とかET-KING、EXILEとかが好きだったんですけど、高校に入ってから“歌いたい!”というのもあって、“バンド、いいな。だったら軽音部に入るしかないか”となって、どんどんバンドを知っていきました。だから“あんなバンドをやりたい”とかは考えていなかったです」
──でも井上さんが歌えるのはそういう背景があるからなのかもしれないですね。
井上「そうですね。子供の頃からずっと歌モノが好きでした」
──作詞作曲を手掛けているおかさんはどんな音楽志向だったのでしょうか?
おかともき(Ba./Cho/作詞作曲/デザイン)「僕は中学生の頃にフレデリックに出会って、“バンドをやりたい”と思い始めました。フレデリックとかサカナクション、SEKAI NO OWARIとか…世界観のある、ひとクセもふたクセもあるようなバンドが好きで。で、フレデリックを探っていくうちにどうやらベースの人が作詞作曲とデザインをしているらしいことを知って、“そんな人いるんだ!”って感銘を受けました。“いつかそうなりたい”と思ったのと、ベースの音を聴くのが昔から好きなのもあって、今の自分のスタイルがあります」
──初期はポストロックや変拍子っぽい曲もあったと思いますが、変化するきっかけになったのはどういうところですか?
おか「ポストロックというかマスロックに近いようなのもやっていた時期がありました。でも、やっぱり好きなバンドもそうですし、やっていくうちに僕はみんなでわちゃわちゃ楽しむ曲が好きなんだとわかってきて、そういう楽曲を作る方が自分の性格ともフィットしていて。しかも、ライブをやっているとそういう楽曲の方が反応が良かったんです。その時に“バンドをやっていて良かった”と感じて、“僕にはこういう楽曲が合っているんだ”と思って変化していきました」
──でもマスロックのようなスキルフルな曲を作っていた要素は消えていないですよね?
おか「そうですね。だから今の楽曲の中にも“え? ここ気持ちわる”みたいなフレーズが紛れていたりします。当時の匂いというか…」
おかともき(Ba./Cho/作詞作曲/デザイン)──そして、“猫背のネイビーセゾンって何?”と思ってしまうバンド名です。このバンド名は誰が考えたのでしょうか?
おか「これはすごく覚えているんですけど、スタジオ帰りに4人で歩いていて、駅のホームで“バンド名、どうしよう?”となって。僕はゲスの極み乙女とか、漢字・ひらがな・カタカナっていう日本独自の感じがいいと思って。で、井上が“ん”を入れたら売れるとか言ったよな?」
井上「そうそう。RADWIMPSとかONE OK ROCKとか。芸人さんにも多いです。明石家さんまとか、“ん”が入っていたら売れるみたいな」
おか「僕が曲を作る、井上が歌う、だから“2人の特徴ってなんだろう?”って考えた時に“猫背だな”と思って“猫背は入れよう”と。それと当時、僕はどちらかというと10代の恋愛というより大人な恋愛の楽曲を作りたかったので、青い春の曲よりもっと深い藍色の季節の大人という意味でネイビーセゾンというワードを作り出して合体させました。駅のホームで作りました(笑)」
──猫背のネイビーセゾンの楽曲には、曲調としては2010年代の邦ロックのニュアンスもありながら、なんといっても恐ろしいほどのメロディラインですし、そこに乗っていく歌詞のフロウもすごいですね。
おか「ありがとうございます」
──そこがまず印象に残りますが、それはおかさんの曲作りの特徴なのでしょうか?
おか「そうですね。メロディは僕の曲作りの一番の特徴だと思います。やっぱメロディが強いアーティストが好きですし、そこは間違いなく僕の武器ではあると思います」
──井上さんはこのバンドになってからジェットコースターみたいなメロディラインを自分のものにしていったわけですよね?
井上「はい。聴いていた音楽は全く別ジャンルだったので、徐々に“猫背のネイビーセゾンでの井上直也の歌い方”を身につけていきました」
──しかも歌詞の内容も単に心象が描かれているだけではなくて設定があると思いました。曲ごとの設定はおかさんのこだわりなのか、このバンドだからなのかも興味深いです。
おか「このバンドだからというのはかなりあります。恋愛曲で言うと、だいたい僕の妄想で、今回、配信リリースした「ロンリーデイズ」は猫背のネイビーセゾンをやってきて、猫背からみんなへ伝えられるものってなんだろう?と考えた時にできた設定というか…。だから、やっぱり猫背があるからこその曲だと思います」
──ちなみにこれまでリリースを重ねきた中で今に繋がる転機というと?
井上「個人的には初期にリリースした「長い前髪」が、さっきおかが言っていたマスロック寄りの楽曲から徐々にグラデーションで今の猫背の路線に入る一歩目の曲だったと思います。当時の僕たちからすると“おか、こんな曲も書くの?”みたいな印象があって、ライブでやってもいい意味で浮いていたと思います、今になって思えば。そこから徐々にポップというか今の猫背の路線の曲が僕たちの中で出来上がってきて、それが反響が良くて徐々に徐々にこの路線になっていったので、僕的には「長い前髪」が一つの転換期だと思います」
──おかさんはどうですか?
おか「楽曲で言うと「偽り切ないな」です。この曲は“ザ・四つ打ち”というか…それまで、あまり取り入れてこなかった四つ打ちですけど、やっぱり僕は四つ打ちの曲が大好きなので作ってみたら、自分の中で何かが爆発した感じがありました。やっぱりこういう曲が自分にフィットしていると思ったんです。でも、「偽り切ないな」を初めてライブでやった時にすごい失敗をしてしまって楽屋で一人シクシク泣きました。それも含めて今となっては自分への挑戦だったと思います」
──ライブで初披露したけど納得がいかなかったのですか?
おか「そうです。憧れの人みたいにはなれていないと思って納得がいかなかったです。神戸のVARIT.というライブハウスでやったときです。めっちゃ覚えています」
──四つ打ちは日本のバンドではスタンダードなので差別化することがすごく難しいとも思いますが、猫背のネイビーセゾンの特徴はどこにあると思いますか?
おか「四つ打ちをどう気持ちよく聴かせるか?どこまでリズムの変化や抑揚をつけられるか?というのは目標にしていますし、猫背の特徴だと思います」
──ちなみに今神戸VARIT.の名前も出ましたけど、神戸というと猫背のホームグラウンドとも言える太陽と虎は個性的なバンドを送り出していますね。そういう神戸のライブシーンの影響でいうとどうですか?
井上「かなりあります。太陽と虎の店長さんにとてもお世話になっていて、それこそ僕たちが『PHANTOM MOMENT』っていう初めてのアルバムをリリースしてそのツアーを回ることになった時も助けていただきましたし、立ち振る舞いとかバンドとしてどうしていったらいいか?といったアドバイスもいただいたりしています」
──太陽と虎は、面白いバンドがライブをしているイメージがあります。
井上「そうですよね。太陽と虎って“ZOO”って言ってるだけあって動物園をコンセプトにしていて、その名の通りいろんなバンドが出演している面白い箱だと思います」
──皆さん世代のバンドは1つのジャンルにこだわっていないですよね。そんな中で猫背の強みはどこにあると思いますか?
おか「またリズムの話になるんですけど、四つ打ちの楽しいリズムなのに悲しいリリックだったり、少しネガティブを感じるようなリリックなのが逆に猫背のネイビーセゾンの強みでもあり、僕の強みだと思います。ハッピーなリズムにハッピーな歌詞がスタンダードなんだと思いますけど、そうではないところが猫背の強みだと思います」
──しかもそれをいわゆるイケメン枠の井上さんが歌っているから面白いというか…。
井上「ありがとうございます(笑)」
──アーティスト写真を見ただけで“面白いバンドなんだろうな”と思いますけど、フロントマンがこれだけキャラとギャップのある内容を歌っていると思わないですし。
井上「そうですよね。アーティスト写真の印象からすると“おお!?”ってなると思います」
──そこはかっこつける方がむしろかっこ悪い感じがするとかですか?
おか「ああ…僕はあります。“変なことをひたすらやり続けたらカッコいい”論が僕の中でずっとあって。アー写もそうですし、ジャケットとかリリックもそうですし、それが作品に繋がっていると思います」
──おかさんにはそういうロールモデルがいたのでしょうか?
おか「ロールモデルは…フレデリックですね。楽曲、ちょっとヘンテコじゃないですか。フレデリックとかたまとか、“ヘンテコなのにやっぱりカッコいい”ってなるんです。行き過ぎたヘンテコというか(笑)、これは褒め言葉というかポジティブな言葉なんですけど、“行き過ぎてヘンテコになったらカッコいい”と思っていて。僕はそこにかなり影響されています」
──おかさんのコンセプトが共有されているのも面白いですね。
おか「よくやってくれたと思います(笑)、僕と音楽を」
──井上さんにも“振り切った方が面白い”という部分がありますか?
井上「そうですね。今もなお振り切った方がいいと思うんですけど、そう思えたのはおかと出会ったおかげだと思います。僕は昔から守りに入りがちというか…性格上チャレンジできなくて、細かいことでも逃げてしまうというか。おかと出会って、“おかしなことでも振り切ればそれもカッコいい”という考えもそうですし、あと、やっぱり、井上直也の見せ方というのもバンドを結成して7年経って徐々に変わってきていて、最初の頃の猫背しか知らない人からすると、“お前、誰やねん?”って言われるくらい変わったと思います。でもそれはおかと出会ったのもそうですし、メンバーが支えてくれているおかげなので、そうですね…すごく話がズレそうなんですけどけど、徐々に“振り切った方がバンドにとっては絶対にいい”というマインドにはなってきています」
──それこそがバンドの醍醐味というか、バンドという場所がなければ個人としてそういう側面は出せないでしょうし。
井上「多分、ひっそり生きていたと思います(笑)」

──そして新曲の「ロンリーデイズ」ですが、すごく王道な楽曲だったのでそれはそれで驚きました。
おか「(笑)、ありがとうございます」
──面白いのが冒頭で<キミのハートの平和を守る歌だぞっ!!>って宣言していますよね。こういう構成は最初から頭にあったのでしょうか?
おか「そうですね。さっきも少し言ったんですけど、ライブをしていく上でお客さんに伝えたいことがどんどん増えてきて。自分がそうであったように、誰かの希望になりたいというか、猫背があることで明るく明日を照らせたら…そんな気持ちがすごくあったので、出だしに“もう宣言してやる!”という気持ちで、書きました(笑)」
──男性が歌っているんですけどプリキュアみたいだと思ってしまって…。
井上「確かに(笑)。それ、めっちゃ分かります」
──猫背はラブ・ユアセルフ的な曲が多くて。この曲もそうだと思いますがその中でも意識したことは?
おか「伝えたいことをバーっと書いていく中にクスって笑える要素が散りばめられているところです。僕の性格上、照れ隠しをしちゃうんです。そういう要素を入れたり、やっぱライブバンドですしライブがとても大事なので、“みんなで一緒に乗り越えよう!”という意味でもみんなで歌えるフレーズだったり、サッカーの応援の時の“オーレ、オレオレオレ”ってあるじゃないですか、あれを意識して入れてみたり、そういう感じで作っていました」
──井上さんは人格を作って歌わないといけない曲ですか?
井上「いえ、この曲はかなり等身大で歌っています。僕も自信ないんですよ、自分に対して。でも“いや、頑張ったよ、お前”という自分に対して歌うようにはしています。それが自然とライブでは目の前にいるお客さんに向けて伝わると思って歌っています」
──絶妙に温かさと面白さがあってそれも猫背のネイビーセゾンの特徴だと思います。
──目下進行中のワンマンツアーでの反応はどうですか?
おか「「ロンリーデイズ」はこのワンマンツアーからやりだした曲で、ワンマン以外ではまだやったことがないんですけど、やっぱり僕たちのファンがたくさん来てくれるから、“待ってました!”というリアクションをくれたり、みんなで“オレオレオ”って歌ってくれたりしてすごい嬉しいです」
──ワンマンツアーのあと、今年は夏フェスへの参戦も多いですね。
井上「いや、もう猫背は今が一番アツアツだと思っています。もちろんずっとアツアツなんですけど、やっぱり去年から徐々に夏フェスに呼んでいただいて地肩を固め続けてきてワンマンツアーを経て、今年の夏フェスに挑みに行くので、“かかってこい!”って感じです(笑)。“今の猫背、見な損やで!今見るべきやで!”と思っています」
──「ロンリーデイズ」後のリリース予定は?
おか「今、絶賛制作中でございます」
──では最後に今年後半にかける意気込みをお願いします。
おか「猫背のネイビーセゾンのヘンテコで愛くるしい楽曲をどんどんどんどん増やして、もっとみんなに驚いて欲しいですし、僕がこれまで聴いてきたいろいろなサウンドを僕なりにアウトプットした楽曲を楽しんでほしいです」
──ちなみにおかさんは今何が面白いですか?
おか「アーティストだとカトパコ(CA7RIEL & Paco Amoroso)とかです。ラテンとクラブミュージックをぶつける?みたいなサウンドの意外性が楽しくて、最近は、ちょっと民族楽器とかを入れてみたいと思ったりしています」
──井上さんの今年後半の展望も聞かせてください。
井上「ワンマンツアーを経てフェスシーズンに突入しますし、USEN放送でも「ロンリーデイズ」を流していただいて、それで猫背のネイビーセゾンという存在を知ってくださった方もきっと多いと思います。その方々に向けてもこれからリリースする曲や、もしライブに来ていただけた時は、“「ロンリーデイズ」以外にもカラフルな曲いっぱい持ってんだぞ!”というのをしっかり届けられるような今年後半の活動にしたいです」
(おわり)
取材・文/石角友香
RELEASE INFORMATION
LIVE INFORMATION

猫背のネイビーセゾン pre. ONEMAN LIVE TOUR 2026「超☆究極体 NEOS!!」
5月30日(土) 兵庫・神戸 太陽と虎
5月31日(日) 香川・高松 TOONICE
6月7日(日) 宮城・仙台 enn 2nd
6月13日(土) 福岡・福岡 Queblick
6月14日(日) 広島・広島 Cave-Be
6月20日(土) 石川・金沢 VanVan V4
6月27日(土) 大阪・梅田 CLUB QUATTRO
7月4日(土) 愛知・名古屋 SPADE BOX
7月12日(日) 東京・渋谷 CLUB QUATTRO

