──待望の1st アルバム『らしさ』が完成した感想から聞かせてください。
「1st アルバムをリリースするのに3年かかりました。“アルバムはいつ出すんですか?”、“アルバムを待っています”というコメントをたくさんいただいていたので、ファンの皆さんにいち早く聴いていただきたいと思いました。私もアルバムをリリースすることが夢だったので、みんなで叶えられた夢だと思っています」

──1st アルバム『らしさ』にはその3年前、2023年3月にリリースしたデビュー曲「魔法」も収録されています。ペイトンさんにとって「魔法」はどんな曲になっていますか?
「<その一瞬で世界は変わっていく>という歌い出しで、この曲をステージで歌う度に、“本当にこの歌詞の通りだな”と感じています。ライブは一瞬で通り過ぎてしまう楽しい時間です。ステージに立つ前までの緊張や不安が、この曲を歌い出した瞬間に全部吹き飛んでしまうくらい、本当に“魔法”のような力がある曲です」
──この曲には<浪漫てぃっくな魔法>というフレーズもありますね。
「アーティストデビューさせていただく前、19歳の時のバースデーイベントのタイトルが『浪漫てぃっくな魔法』(2022年7月)だったんです。私のFCサイトの名前が『ペヰトン浪漫』で、ファンネームを『浪漫派』と命名していて。だから、デビュー曲「魔法」を作る際に、“<浪漫てぃっくな魔法>というフレーズを入れたいです”とお願いしました。“浪漫”は私にとって思い入れのある言葉ですし、それ以上に応援してくださっている皆さんが大事にしてくれている言葉です。私が唯一リクエストしたことでもあるので、全部の歌詞が大事ですけど、歌う時は自然と力がこもります」
──その後、2024年12月にTHEATER MILANO-Zaにて開催した『ペイトン尚未 1st Live「魔法」』のリバイバル公演『ペイトン尚未 +1st LIVE「魔法*」』で、ご自身が作詞作曲した「浪漫てぃっく!」をサプライズ披露しました。
「2023年3月に開催した初めての単独ライブ『ペイトン尚未 1st Live「魔法」』がありがたいことに会場のキャパシティ以上の応募をいただいて。1公演しかできなかったので、“チケット取れなくて行けなくて悲しいです”というコメントをたくさんいただいていました。だったら、“もう一度ファーストライブをしたい”と思って開催したんです。リバイバル公演のセットリストは、デビュー曲「魔法」から始めて「浪漫てぃっく!」で終わるしかないと思って…点と点をつなげて、“私たちはずっと一緒なんだよ”という気持ちを込めて作らせていただきました」
──どんな想いを込めた曲になっていますか?
「私の理想を嘘偽りなく書いた楽曲です」
──“好き”という気持ちだけでは実現できない“夢”の高い壁にぶち当たりながらも、<それでも憧れは手放せない>と歌っています。
「<もう消せない、忘れたい過去も/全部全部宝物だから>という歌詞もあります。過去の少し恥ずかしかった出来事や悲しかった出来事とか、傷ついたこと、逆に傷つけてしまったこと。そういう忘れたい過去も、今の自分に活きているから、過去の自分を否定しないであげてね。そういうメッセージを込めています。なかなか難しいことですし、理想かもしれないんですけど、そこはこだわって書いています」
──最後のフレーズでは、<僕だけの魔法>という歌詞を<僕だけの声>と歌っています。
「お芝居もそうですし、歌もそうです。これからも私にしか出せない声にこだわって活動していきたいという気持ちを込めてます。“この声で全力であなたのことを応援するからね、引っ張っていくからね”という想いで書きました」
──少しく細かくて申し訳ないですけど、「魔法」の<夢見たあの場所まで>、<手を伸ばしても届かない夢>の“夢”はどんなイメージでしたか?
「この時の“夢”は何を想いながら歌ってたかな…? 私はコロナ禍にデビューさせていただいたので、ファンの方と物理的な距離を感じていた時期だったと思います。Liella!では既に活動させていただいていたんですけど、ソロアーティストとしては、Liella!のライブでファンの皆さんの声出しを経験したばかりの時に1st Liveを開催させていただいてて。だから、「魔法」のレコーディングの時はまだ皆さんの声を実際に聞いてライブすることができていなかった時期でした。どうしても皆さんとの物理的な距離感を感じたまま活動していた中で<手を伸ばしても届かない夢>というフレーズだったと思います。今では嬉しいことに、皆さんとの距離がグッと近づいたので、この夢はもう叶ったと思いますけど」
──「浪漫てぃっく!」の<夢を歌ったあの頃の僕>が、「魔法」の頃のペイトンさんでしょうか?
「はい、そうですね。あははは。絶対そうです!」
──<僕が夢を叶えた時>、<僕が夢をまた歌えた時>と「浪漫てぃっく!」で綴っていますが、今の“夢”はなんですか?
「歌を歌うことで誰かの背中を押したいという気持ちは変わっていないので、もっとみんなの力になりたいと思っています。それが今の夢かな?」
──1st アルバム『らしさ』の曲順はどう考えていましたか?
「曲順は本当にシンプルに、まず新曲5曲を連続で聴いていただいて、後半に既存の曲をリリース順にそのまま収録しています。“エピローグ”で終わらずに、「ねがいプロローグ」で終わるのが、“本当にいい流れだな”って思います」
──“プロローグ”を最後にしたことでどんな意味が込められましたか?
「“まだ序章だから”ということです。ずっと夢見てきた1st アルバムをリリースして、“ここで終わりじゃないんだぞ”ということを皆さんに伝えられる一番直接的な表現だったと思っています。たまたまだったんですけど、“すごい綺麗な流れ!”と思って、このままにしました」
──この曲で、<「この世界を笑顔いっぱいにすること」>を一つ目の願い事として挙げています。「浪漫てぃっく!」でもご自身の歌声で<笑顔の桜を咲かせよう>と歌っています。そして、アルバムのリード曲「らしくあれ」には<得意な笑顔が今ならできるよ>とあります。ペイトンさんにとって“笑顔”とははどんな意味がありますか?
「笑顔って難しいって思います。生まれつき笑顔が上手な人っていますよね。笑顔だけではなくて、怒った顔も悲しい顔も全部表情にできる方もいらっしゃって。逆に笑顔が苦手な方もいらっしゃいます。私はどちらかというと笑顔が苦手な方だったと思うんです。実体験ですけど、部活でチアダンスやっていた時に“笑顔が足りない!”っていつも怒られていましたし」
──でも、全国2位ですよね。
「うっ…あ、そ、それは先輩方と後輩たちの頑張りのおかげで、みんなで獲った2位なので。私自身はいつも、踊り方よりも笑顔の指摘ばかりされていたくらい、本当に笑顔が得意ではなかったんです。だから、ずっと笑顔の練習をしていましたし、あの頃の写真はほとんど残っていないというか…残せなかったです。笑っている写真がほとんどなかったと思います。でも、笑顔が得意な方も、きっと笑顔が得意になった理由があると思います。多分、笑顔でいないといけなかった環境は…ちょっとつらいな、それは」
──無理矢理の笑顔を作らないといけない経験がある人もいるかもしれないですからね。
「それでも自然と身についてしまった笑顔が“得意だよ”という方もいらっしゃると思いますけど、たとえ心のままに笑えなかったとしてもいいと思っています。「らしくあれ」は<得意な笑顔が上手くできない>から始まって、最後に<得意な笑顔が今ならできるよ>と歌っていますけど、その笑顔が人から見ていい笑顔じゃなくてもいいんですよね。自分の中で生まれてきた感情が、笑顔ではなくて、涙が流れていたとしても、“それがあなたの思う笑顔なんじゃない?”というメッセージを一番伝えたいです」
──笑顔がペイトンさん“らしさ”ですか?
「笑顔は“らしさ”の要素の一つではあると思います。よくファンの方にも言われるんですけど、私は歌っている時、ほとんど目を閉じているらしくて(笑)。自分ではわからないですけど、目が閉じてしまうくらい笑って歌っているらしいんです。だから、歌っている時の笑顔も“らしさ”なのかな?って。目をかっ開いて歌うよりも、目を閉じた笑顔で“らしく”ありたいと思います」
──リード曲「らしくあれ」の制作にあたっては何かリクエストはしましたか?
「“とにかく飾らない、真っ白な曲がいいです”って言った気がします。<怖くても怖くても>とか、明るい曲ではあまりないフレーズも多いですけど、そんな歌詞を信じて託してくださった作家の皆さんの想いを受け取って歌わなきゃ!と思いました」
──ご自身が共感した部分はありましたか?
「<誰かの期待に形合わせて生きるのは/痛いな 痛いんだいつだって/らしくないだろ>は、そう思うかもしれないです。“期待されているな”って思ったりすると、どうしても肩に力が入ってしまいますし、時には自分の気持ちを無視して、“もっと頑張らなきゃ”と思ってしまいます。私は頑張れることは全部頑張りたいと思うタイプですけど、ここはグッときました」
──ペイトンさん“らしさ”というのは言葉にすると何でしょうか?
「私らしさは…好きなものをずっと貫いているのが“らしさ”だと思います。歌もそうですし、今日着ているお洋服の雰囲気も、“リボンなんかつけちゃって”っていう」
──あははは。素敵ですよ。ロマンチックで似合っていますし。
「ちょっと贅沢にリボンを 2つもつけさせていただいて(笑)。音楽もずっと変わらず好きですし、自分の好きなものに対しての気持ちはずっと変わらないところは“らしさ”だと思います」
──バラエティ番組『Liella!のちゅーとりえら!!』のボイススポーツ競技会でも叫んでいましたね。
「“うたー!”って。でも、1ミリも進めなかったのでちょっと届かなかったみたいです」
──(笑)。視聴者にはペイトンさんの歌への情熱が届いていましたよ。
「ありがとうございます。歌に関しては、時にはあまりにも上達しない自分にイラ立ってしまって、“どうしよう?”と思ったこともありましけど、やっぱり、歌が好きな気持ちは変わらないですし、大事にしたいと思います」
──そして、「らしくあれ」をリード曲としたアルバムタイトルは『らしさ』です。どんな想いを込めていますか?
「リード曲「らしくあれ」をいただいた時に、“1st アルバムムのタイトルは『らしさ』がいい”って自然と浮かんできて。あまり悩まずに決まりました。“このアルバムに本当に私の好きなものが全部詰め込まれている”って感じたんです。全10曲、どの曲も個性が違っていますけど、タイトルそのままで“らしさ”に溢れたアルバムになりました。3年前に録った曲も収録されているので、声や歌い方の変化もきっと楽しんでいただけると思いますし、全10曲を通して聴いた時に、“あっ、これがペイトン尚未のらしさなんだ”と感じてほしいです」
──ちなみに最新の曲はどの曲になりますか?
「レコーディングの順番としては、「CANDY POP」です。ずっと、“こういう曲がやりたいです!”と言い続けていました」
──キュートで可愛いテクノポップですね。
「本当に“可愛い”に全振りした曲で、私も大のお気に入りです。メルヘンで自分の世界観を大事にしている女の子の歌だというのを感じたので、思いきり浸って歌いました」
──<結び直すリボンは私を無敵にする>ともありますし。
「はい! これも理想が詰まっています。<朝の日差しを受け止めるカーテン>、<白いティーカップの中にミルクだけ注ぐ>。とてもおしゃれで、私も可愛くて大好きな歌詞ですけど、私、牛乳が飲めないんです…」
──そうなんですか!?
「だから、ミルクだけ注いでも飲めないので、今の私だったら、ウーロン茶を注ぎます(笑)。声優さんでウーロン茶を飲んでいる方はあまりいないですけど、最近、烏龍茶の味がすごく好きなんです。ティーカップの中に烏龍茶はあまり可愛くないかな…。見た目は“少し濃いめの紅茶かな?”ってなりますけど…あ、くだらない話をしちゃいました」
──(笑)。ファンの皆さんにはどう届けばいいと思いますか?
「身構えずに聴いて、ありのままの素直な気持ちで受け取ってほしいです。“これが私らしさだよ”というのを押しつけたくないので、少しでも“自分自身のらしさって何なんだろう?”というのを見つめ直す機会にもなってほしいですけど、純粋に“この曲が好きだな”というふうに楽しんでいただけたら、それだけで嬉しいです」
──そして、リリース後には初めてのライブツアーが決定しています。『ペイトン尚未1st LIVE TOUR「証明」』が決定した際の率直な感想を聞かせてください。
「“え? できるかな?”です」
──あはははは。
「でも、ずっと夢だったんです。Liella!では何度もツアーをやらせていただいて、たくさんいろいろな経験させていただいたんですけど、ソロでのツアーは本当に“できるかな?”と思いました。でも、自分で自分を疑ってしまうのはもったいないので、“もうやっちゃえ!”と思って。“みんなの元に会いに行くぞ!”という気持ちで決めました」
──ツアータイトルの“「証明」”はどのような意味でつけましたか?
「今回のライブは、あまり飾らない私を見ていただけると思っています。“1st アルバム『らしさ』を証明する”という想いもあるんですけど、“私らしさも含め、私と応援してくださっている皆さんの“らしさ”も一緒に証明しましょう“という想いもあります。”私たちみんなで一つだからね“というのを、特別な場所=ライブで証明したいと思ってつけさせていただきました。他にもいろんな意味があるんですけど、それはまたライブのMCで少しずつお話ししていきたいと思っています」
──そうですね。ツアーを楽しみにしています。改めて、最後にツアーに向けた意気込みをお願いします。
「暑さに負けず、全部の会場を幸せに染め上げていきたいです! 今まで関東圏でしかワンマンライブをしてこなかったんですけど、今回は大阪と愛知、しかも1日2公演あります。『ペイトン尚未3rd LIVE「物語」』で初めて1日2公演を経験したんです。その時は1日2公演やるのがとても不安でしたけど…皆さんからのパワーがすごくて私も楽しくなってしまいました。おかげで“失敗したな…”ってこともなく終えられたので。今回も1日2公演というのを意識しつつ、あまり調子に乗らないように気をつけながら(笑)、でも、ガンガン飛ばしていこうと思っています」
──1st アルバム『らしさ』のリリースと『ペイトン尚未1st LIVE TOUR「証明」』を経て、その後はどう考えていますか?
「もう宣言しますね。声優としても成長していきます! まだ何も決まっていないですけど、これからも声をきっかけに新しく知ってくださる方に出会いたいですし、どこで出会った方でも、私のことを応援してくださっている方はもうみんな友達のように愛しております。本当に皆さんのことを大事に想いながら活動していきたいです。そして、アーティストとしても、歌に関してはまだまだ自分の中で課題はあるので、時間はかかると思いますけど、一つずつ乗り越えていって、いろんな方の耳に届いて、少しでも皆さんの力になりたいです」
──この夏はバラエティ番組『Liella!のちゅーとりえら!!』のライブ『Liella!のちゅーとりえらいぶ!! 2026』があって、夏フェス『「LuckyFes'26」』への出演もあって、大変ですね。
「はい! 大変です。あはは。嘘つけない(笑)。去年から“夏、やばいぞ”ってすごくビビらされてきたので覚悟はしています」
──(笑)。最後に『らしさ』のリリース日に 23歳のお誕生日を迎える心境も聞かせてください。
「私、23歳になっちゃうんですか? 本当ですか? ええ、本当です(笑)。ヤバい! 怖い! でも、“最高の誕生日プレゼントをありがとうございます”という感じです。いつももらってばかりですけど、アルバムのリリースをファンの方も喜んでくださっていますし、特別な記念日になると思います。23歳も頑張ります!」
(おわり)
取材・文/永堀アツオ
写真/中村功
RELEASE INFROMATION
LIVE INFORMATION

ペイトン尚未1st LIVE TOUR「証明」
2026年7月4日(土) 東京 恵比寿ガーデンホール
1部:開場13:30 / 開演14:30
2部:開場17:00 / 開演18:00
2026年7月11日(土) 大阪 Yogibo META VALLEY
1部:開場13:30 / 開演14:30
2部:開場17:00 / 開演18:00
2026年7月20日(月・祝) 愛知 ボトムライン
1部:開場13:30 / 開演14:30
2部:開場17:00 / 開演18:00













