──3rd Single『Meteor』が完成しました。

「表題曲「Meteor」は、7月クールのTVアニメ『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます 第2期』ED主題歌です。『第七王子』という作品自体にはコメディ要素があったり、バトル要素があったりとすごく彩り豊なんですけど、「Meteor」はその世界を1歩引いた場所から俯瞰で見て、キャラクター一人ひとりの人生や今日という1日と向き合っているような楽曲だと感じています。落ち着いた気持ちで、そっと深呼吸をしながら聴いていただける1曲になっていると思います」

──歌詞の中で、特に印象的だったフレーズを挙げるとすると?

「歌っていてすごく想像がしやすかったのは、1番のBメロにある<ベッドに沈む身体 忘れてしまうのなら まぶたの裏 残る光を もっと見ていたい>〉というフレーズです。ベッドの上で瞳を閉じて眠りにつこうとするあの瞬間を表現したフレーズだと捉えていて、さっきまで明るい世界だったのが、灯りを消して目を閉じると一瞬で何も見えない世界になる。でも、真っ暗な中にもまぶたの裏側にはかすかに光が残っているような、あの感覚。その瞬間は“まだまだ起きていたいな”と思う時もあるし、“早く眠って明日に向かいたいな”って時もあって、日によって違った捉え方ができる時間でもあって。「Meteor」は“流れ星”という意味ですけど、たまたま見えた流れ星とか、きれいな夜空をもっと見ていたいって気持ちも込められているかもしれません。そんなふうに一瞬一瞬を噛み締めている様子が思い浮かびますし、共感しながら歌わせていただきました」

──確かに目を閉じて眠りに落ちる前の時間って、不思議で面白い感覚があるひと時というか…。

「自分だけの宇宙が広がっているというか…目を開けていたら隣にいる人と同じ景色が見えているけど、ひとたび目を閉じればその人にしか見えないまぶたの裏の景色があるって考えると、面白いですよね。本当に疲れている時は、まぶたの裏を見ている暇すらなく、気づいたら寝ていたりもしますけど(笑)。楽しかった日は、目を閉じるとその日の景色が鮮明に思い出せるくらい、すごく色づいて残っている感覚があったりもしますし。ただ、無限に広がる闇に飲み込まれそうで“怖いな”って感じることも、たまにあります。そう思わず、まぶたを閉じている時間を明日への希望みたいに捉えられるようになったらいいなって、自分に訴えかけるように歌ってもいます」

──M-2の「SHINE BRIGHT REVOLUTION」は、しっとりとした「Meteor」から一転、アッパーなサマーチューンになっています。

「とにかくもう、夏に熱く盛り上がりたいという一心で誕生したのが「SHINE BRIGHT REVOLUTION」です! 今まではなかなかみなさんに声を出していただけるような楽曲がなかったんですが、この曲はわかりやすく声を出すポイントが提示できていますし、初めて聴いた方でも楽しんでいただける楽曲になったと思っています。ライブでも、この曲を通して私とファンの方の間に“名前のない楽しさ”が生まれたら!」

──“名前のない楽しさ”って、いいですね。

「好きとか楽しいには、明確な理由がなくていいのかな?と思っていて。よくわからないけど“好き!”とか“楽しい!”の方が、きっと本能から楽しんでいるのかな?と思いますし、いつも応援してくださっているみなさんとも、初めましてのみなさんとも、そういう何かを共有したいと思っています。まだライブで披露したことはないんですけど、“ライブで披露したらこんな感じかな?”、“こんなふうに声を上げてくれるのかな?”って、想像しながらレコーディングしました」

──歌詞のお気に入りポイントを教えてください。

「2番のBメロの<幻想も現実も 混ざり合い 瞬間 サイダーみたいに弾ける>からの展開が好きです。1番はまだみんなで楽しむためのスタート段階なんですけど、2番のBメロあたりから少しずつエンジンがかかっていって、楽しいがゆえに弾ける感覚であったり、フルスロットルで歌い上げていくのが気持ち良くて。歌詞の内容も好きなんですけど、この歌詞があるパートの展開が好きです」

──歌詞の内容ともリンクしながら、気持ち良さが加速してスパークできるというか…。

「そうです! どんどんエンジンがかかっていって、歌っていてすごく楽しいです(笑)。妄想するだけですごく楽しいので、実際にライブで歌ったらどうなるんだろう?って思っています(笑)。一緒に盛り上がってくれたらうれしいです!」

──M-3は、『ぽぽきゅん!』というユニークなタイトルのナンバーです。

「可愛い楽曲を歌ったことはありましたけど、ここまで“可愛い“で攻めた曲はなかったと思います。楽曲をいただいた時は、”可愛い”を攻めすぎていて、ちょっと恥ずかしくなったりもしました(笑)。で、いざ歌うにあたっては、少女マンガの主人公の女の子みたいな気持ちを自分の中でふくらませて、その子の気持ちになって歌いました。恋をしていたり、何か好きなものに没頭している時って、恥ずかしいなんて気持ちはないと思うんです。“ちょっと照れくさいな”って、ためらっちゃうことはあるかもしれないですけど、恥ずかしがっていたら想いは伝わらないですし。そう思って恥ずかしがらずに歌い切ることができたので、聴く時もぜひとも恥ずかしがらずに、最後まで聴いてほしいです(笑)」

──ここまで“可愛い”に振り切った曲は初めてという意味では、また新しいステップを踏んだ楽曲でもありますよね。

「そうですね。そう考えると、「ぽぽきゅん!」に限らず、今回のシングルに収録された3曲は全部そうです。それぞれタイプが異なる楽曲ですけど、どれも新しい挑戦をさせていただきました。それぞれ味が濃すぎて頭がパンクしてしまうかもしれないけど(笑)、全部の味が濃いからこそ、1曲ずつ聴いても完成度がどれも高いものになっていると思います」

──そんな3rd Singleがリリースされる7月は、2年前にDebut Album『day to YOU』がリリースされた月でもあります。

「あまりにも濃すぎた2年間というか…毎日が目まぐるしく目新しいものだらけで過ぎていった2年間でした。2年も経った感覚がないです」

──ソロデビューしてからの2年間で、歌に対する意識は変化しましたか?

「音楽は好きですし聴くのは好きですけど、自分が歌うことに対しては苦手意識がありました。だから、ソロアーティストとしてデビューさせていただく時も正直どこか後ろ向きな部分があって…。でも、そんな自分の歌を応援してくださっているみなさんが想像以上にまっすぐ受け止めてくださいました。受け止めてくださったぶん、私も苦手意識を持ったまま後ろ向きな気持ちではなく、こんなにも純粋な気持ちで聴いてくださる方がたくさんいる…だったら私も“純粋な気持ちで、まっさらな気持ちで歌えばいいんだ“って前向きな気持ちに変化ができたのは、本当に応援してくださっているみなさんのおかげです。私にとっては、すごくうれしい変化です」

──音楽との接し方は変わりましたか?

「ライブに行って、いろんなことを感じながら勉強する機会が増えました。その中で、“私もこういう曲が欲しい”とか、“こんな演出を取り入れてみたい”という気持ちが生まれるようになりました」

──例えばどんな曲、どんな演出ですか?

「それこそ「SHINE BRIGHT LEVOLUTION」はいろんなライブを見る中で“自分にもみなさんと一緒に盛り上がれる曲が欲しい”と思ったことが形になった曲ですし、演出でもいろいろありますけど…例えば水を使った演出とか。制約や条件があると思うので実現できる機会は限られると思うんですが、自分も水を浴びたいですし、ファンのみなさんにも浴びせたいです(笑)」

──ソロアーティストとしてデビュー2周年を迎え、今後に対してはどんな理想像を描いていますか?

「2年が経ちましたけど、あまり明確なアーティスト像はまだ見えていないです。でも、今の私には見えない方が正解なのかな?と思います。今の時点で“こういうアーティストになりたい”とか、自分の中でのゴールを決めるには経験が浅すぎます。これまでいろんなタイプの曲を歌わせていただいて、それぞれ違った良さがあって自分の世界も広がっているんですけど、それを踏まえてこうなりたいというよりは…今の自分、“岬なこ”という人間をもっと知ってもらうためにはどうしたらいいのかな?というか。そのためには、歌も1つの方法ではありますけど、あくまで1つであって、歌以外の声優の部分、ダンスなどの身体表現も含めて、岬なこという人間を知ってもらうっていうことなんだろうと思っています」

──ファンの方たちからは、どんな声が届いていますか?

「自分が“こうなりたい”という願望はないんですけど、ありがたいことにファンのみなさんからはどんどんどんどん“こういうなこちゃんが見たい!”と言ってくださるんです。その声を聞いて、こういう楽曲を歌えば次はこんな新しい一面を見たいと思ってくれるんだな、バラードを歌ったことによって今度はさらに深いバラードを追求してほしいと思われるんだなって、いろんな発見があります。その声にも応えて、1曲1曲レベルアップしていけるように…ただ、まだまだ地盤、土台を固めているところだと思っています」

──いろんな声に応えようとすることで、歌手としての可能性は広がり続けるとも言えると思います。

「ソロアーティストという部分においてはまだ自分を客観視できないというか…“自分はどう見えているんだろう?”って考え過ぎてしまうことがすごく多いんです。でも、そのたびにファンのみなさんが私に代わって光をくださるというか、迷いそうになった私の道しるべになってくださいます。そんなみなさんに対して、今度は私が“こっちだよ!”って手を引いてあげられるような、いつかそんなアーティストになりたいです」

──夏真っ盛りのリリースになりますが、今年はどんな夏にしたいですか?

「最近、雲に包まれているような感触のタオルケットを買ったので、そのタオルケットに包まれながら、しっかり睡眠を取る夏にしたいです(笑)。あと、風鈴が欲しいです! 風鈴の音って、聞いているだけで涼しくなるじゃないですか? もともとガラス細工体験がすごく好きなので、この夏の間に機会があれば風鈴を作りに行きたいです!」

(おわり)

取材・文/大久保和則
写真/野﨑 慧嗣

RELEASE INFROMATION

岬なこ『Meteor』初回限定盤(CD+BD)

2025年723日(水)発売
LACM-347063,080円(税込)

岬なこ『Meteor』通常盤(CD only)

2025年723日(水)発売
LACM-24706/1,980円(税込)

岬なこ『Meteor』アニメ盤(CD only)

2025年723日(水)発売
LACM-34707/1,980円(税込)
©謙虚なサークル・講談社/「第七王子」製作委員会

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