──encore初インタビューになりますので、少しだけ振り返ってお話をお伺いしたいと思います。まず、去年の11月にインディーズからリリースした「もし明日が来ないとしたら」が『週間USEN HIT JPOP ランキング』で12位(2024年12月11日付)にランクインしていましたが、ご存知でしたか?

「はい! 私もお店で自分の歌が流れているのを聴いたんですよ。焼肉を食べていたんですけど、食べる手を止めて、スマホを持って立ち上がって…店内のスピーカーに向けながら録音しちゃいました。そのまますぐに、“流れてる!”ってポストして。街で自分の曲が流れるのは1つの夢でもあったので、夢が叶って嬉しかったです」

──Official Music Videoの動画再生回数も138万回を突破しています。

「ありがたいです! 自分で言うのもなんですけど、すごくいい曲ができたと思って(笑)。配信リリースの日にYouTubeMVを公開したんですけど、すごく反応が良くて。“やっぱり間違っていなかった”と思いましたし、“いい曲作れたなぁ”っていう自信満々な曲でした!」

──元々はどんな想いを込めた楽曲でしたか?

「“人間って本当にいつ死ぬか分からない。だから、今できることをしよう“っていう気持ちを持って書いた曲です」

──タイトルからも死生観を感じますし、“今日が最後だと思って生きよう”という、今を生きる大切さを歌っていますが、根本的にはラブソングですよね。

「そうですね。<今さっき小さな喧嘩して/あなたは黙って出かけて行った>から始まるんですけど、この歌詞を書いた時、ちょうど彼と小さなケンカをしてしまって…黙って出て行ったから、“怒っているのかな?”と思って。でも、こっちもイラついていたから、“どうでもいい!”と思っていたんです。でも、時間が経つと、“もしこれで帰ってこなかったら、さっき言ったことを後悔するな”って思うようになって。ちょうど喧嘩をしていたから、“今を大事にして、愛を伝えよう“って曲になったので、自分の中ではラブソングですね」

──その半年後の2025年6月に1stデジタルシングル「あやふや」でメジャーデビューでした。メジャーデビューが決まった時はどんな心境でしたか?

「実感がなかったです。“何が変わるのかな?”という感じではあったんですけど、一番大きかったのは、メジャーデビューを機にリアルな姿…顔出しをすることが決まっていて。それは、正直、怖かったです」

──みさきさんは2019年10月からTikTokへの投稿を始めて以降、弾き語り系のクリエイターとしてバズった後も長らく“顔出しを一切しない”活動を続けてきましたが、どうしてメジャーデビューのタイミングで顔出しすることを決めたんですか?

「これから音楽を続けていくからには、例えば、フェスでお昼の時間帯に出演するのに、顔出しをしていないと難しいじゃないですか。そういう場所にも出たかったですし、活動の幅を広げるために決断しました」

──ライブだけ顔出しして、それ以外は出さないって人もいますよね?

「そうですね。最初は“ライブだけならいいかな”とも考えていたんですけど…“そこまで隠す必要があるのかな?”とだんだん思うようになって。“ライブで見られるのなら、もう顔出しをしてもいいかな“みたいな(笑)。半分は”まあいいか“みたいな気持ちで決断しました」

──メジャーデビューするにあたって、“顔を出す”ということに加えて、シンガーソングライターとしては、どんなことを考えていましたか?

「今までは自分の作りたい曲だけを作っていたんですけど、メジャーデビューは新しいステージなので、“新しいみさきを見せていきたい“という気持ちがありました。普段使わないようなコードを使って、新しい曲調にも挑戦していこうっていうことで、1stデジタルシングル「あやふや」がその第一歩ですね」

──「あやふや」はどんなところから作った曲だったんですか?

「今までのみさきのイメージとは違う曲調にしたかったので、いつもは使わないコードを使って、アコギでメロディーだけを作ってあって。歌詞をどうしようかな?と考えていた時に、友達から恋愛相談を受けて…その相談をそのまま歌詞にしたんです」

──これはどんな関係って言ったらいいですか?

「タイトル通り、本当にあやふやなんですけど、付き合っていないのにお泊まりして、“好き”って言い合う関係というか…」

──“好き”って言い合っているのはひどくないんですか?

「ひどいですよね。でも、“今、彼女はいらない”って言われているっていう。本当に意味が分からない関係です」

──女性の方には恋心があるんですよね?

「はい。しかも、男性からも“好き”って言われるのにっていう…。本当にあやふやな関係なんですけど、女性は会えていることに幸せを感じちゃっています。最後に<でもいいの、今はこのままで>って歌詞があるんですけど、“そばにいれるなら、恋人じゃなくてもいいかな?“っていう…一旦、幸せで終わっていますね」

──ハッピーエンドなんでしょうか?

「私もその立場になったら、“そばにいれるだけでいい”って思っちゃいそうなので。その状態が今、できる一番の幸せかな?って思うんですけど、歌い方で、ムカつくとか、ふてくされている感を出すように意識しました」

──…どうにも納得いかないです。

「でも、その相談に乗っていた友達は、今は結ばれて幸せになっています。女の子が念押ししたら、“じゃあ、付き合ってみようか”みたいな感じで、ちゃんと付き合い始めて。結果、今は幸せそうですよ」

──じゃあ、いいのかな。みさきさん自身は「あやふや」でメジャーしたことで何か変化はありましたか?

TikTokに投稿する動画でも顔を映すようになりました。今までは寝起きでボッサボサの状態でも撮れていたんですけど(笑)、今はちゃんとメイクして撮らなきゃいけなくなったので、時間がかかるようになりました。あと、歌っている顔も今まで全く見られる意識をしていなかったんです。今は、“歌う顔が不細工にならないように”って意識したら、ちょっと音程が外れるようなことが増えました…。顔出しって難しいなって感じています」

──どんな顔をして歌っているかをご自身で確認しているんですね。

「気持ちを入れると本当にヤバい顔をしているんですよ。でも、そっちのほうが伝わるのかな?という思いもあって。これは自分との戦いです。プライドを捨てるというか…顔をよく見せようとすることをやめるのがいいのかな?って」

──メジャーデビュー後もカバー動画の投稿を続けているのはどうしてですか?

「どうして?…理由ですよね…なんでだろう? ただ単に今までのスタイルを続けているだけです。“歌いたい”と思った曲をカバーしているので、“歌いたい”って思った曲があったら、これからも投稿し続けていきます」

──続く7月には2ndデジタルシングル「たゆたうままに」がリリースされましたが、これはアニメ『水属性の魔法使い』のED主題歌になっていました。

「アニメが魔法使いのお話なのでファンタジー感を出す曲として、ケルト音楽を用いました。歌詞はヒロイン目線で書いたんですけど、ヒロインが初めて恋っていうものに気づくんです。例えば、他の人を呼び捨てしているのに、自分だけ“さん付け”で呼ばれる。その時のモヤモヤする気持ちが何だかわからない…“やきもち”っていうことすらもまだ知らない、本当に初めての恋を歌詞にしています」

──ご自身の経験とも重なった部分はありましたか?

「“初めての恋ってどんな感じだったのかなぁ?”って思い出しながら書きました。私は保育園の頃は喋った人、全員を好きになっちゃうタイプだったんですけど(笑)、それは初恋じゃなくて。小学校の入学式の時に“あの人、かっこいい”って一目惚れしたのが初恋だったと思います。その人のことを6年間ずっと好きでした」

──一途なんですね。

「“この子は二番目に好き“とかはありましたけど、一番はずっとその人でした。入学式の時は顔だけで、”あの人、カッコいい“ってなったんですけど、足も速かったですし、背も高かったですし、頭もよくて、悪いところがなかったです。意外と一途だと思います」

──サウンド的には、ケルトだけじゃなく、カントリーやワルツなどの民族音楽が混ざっているように感じましたがレコーディングはどうでしたか?

「この曲も今までの曲にない感じでした。編曲は本間昭光さんなんですけど、レコーディングを本間さんのスタジオでやらせていただいて。これまで歌い方について、何も言われたことがなかったんですけど、本間さんが“この曲はもっと口を大きく開けて、一音ずつはっきり発音した方がいいよ”って言ってくださって。その歌い方も初めて学びましたし、また新しい挑戦の1つでした」

──そして、9月24日には、メジャーデビュー3作目のリリースとなる「あなたの声が実りませんように」が配信リリースされます。まず、タイトルが衝撃的というか…インパクトがありますよね。

「この曲のすべてが詰まっているタイトルです。タイトルだけ見ても、どういう曲なのかがわかるので気に入っています」

──どんなところから作り始めた曲でしたか?

「これは、全部、想像で書きました。自分の好きな人から他の好きな女の人の相談をされて。真剣に相談に乗っているふりをして、応援しているふりもしながらも、本当は“実るな”って思っている。そういう自分にもあきれる。…そんな曲です」

──どうしてそういう曲を書こうと思ったんですか?

「私が作る失恋ソングって、付き合っている状態から別れる失恋ソングが多いって言われたんです。付き合っていない状態の失恋ソングって…“1パターンしかないやん!“って思っていたんですけど」

──みさきさんの失恋ソングといえば「私じゃなかった」ですよね?

「付き合っている状態から別れる失恋ソングです。実体験なので、やっぱり一番思い入れがあります」

「でも、その1パターンしかないので、付き合っていない状態の失恋を何パターンか考えました。「あやふや」がその第1弾で、付き合う前から振られてるっていう状態です。第2弾がこの曲で、彼の方は彼女の気持ちに気づいていないんです。だから、自分が好きな人との恋愛を相談してくるし、2番の歌詞にあるように<「お前こそいつでも相談しろよ」>って言ってきたりします。…本当に気づかないんですよね」

──男子って女子が思っているより鈍感というか、何にも考えていなかったりしますからね。

「そうですよね。1つのことしか考えられないじゃないですか(笑)」

──あはははは。そうですね。

「“こっちの気持ちに、ちょっとくらい気づけよ!“って思います」

──でも、男性の方は“友達だ”って思っていますよね?

「そうです。なんでも相談できる、信頼できる友達って思ってます。でも、女性の方はそんなことなくて、ずっと片思いをしているっていう。辛いですよね。でも、“好き”って言ったら、ダメじゃないですか」

──友達ではなくなりますよね。

「だから、この関係しかなかったんです」

──サウンドはどんなイメージでしたか? この曲もまた、これまでにないジャンルに挑戦していますよね。音数が少ない、ローファイヒップホップやベッドルームポップのようなサウンドになっていて。

「そうですね。軽い感じというか、運転しながら“自分、チルってるな”みたいな感じで聴けるような緩い音をイメージして、アレンジャーさんにお願いしました」

──冒頭のボーカルにはオートチュンもかかっています。

「初めてやってました。跳ねながら乗って歌えそうな曲になっていて。メジャーデビューしてからの3曲は全部違うみさきなので、また新しいみさきを知ってもらいたいですし、同世代の女子たちには、“好きな人に好きな人がいる“ってことを知ったときに聴いてもらいたいです。特に学生さんは、きっとみんな、”あなたの恋が実りませんように“って思ったことがあるんじゃないかな?…女の子は共感してくれると思います」

──メジャーデビューしてからの3曲で様々なチャレンジをする中で、逆に見えてきた“みさきらしさ”というものはありますか?

「“歌詞に難しい言葉を入れない“っていうのはずっと変わらずに共通してあります。誰が聴いても、一回聴けば、どういうストーリーなのかを理解して、共感してもらえる。それをモットーに歌詞はずっと書いています」

──分かりやすさを大事にしているのはどうしてですか?

「私自身が難しい歌詞を聴いて、理解するのが難しい人間なので、パッて聴いたら、一瞬で分かりたいタイプなんです。自分で歌っていて気持ちを込めやすいですし、街中で聴いたとしても、“あ、こういう曲いいな”って思ってもらえるようにっていう気持ちです」

──ラブソングっていうのもブレずに?

「ラブソングはずっと歌っていきたいです。やっぱり、この世って愛なんですよ、本当に。愛がなければ何にもできないです。なので、愛を歌っていきたいです」

──愛って何でしょうね?

「何だろう? いっぱい愛情をもらっている人は、他人にも優しくできると思うんです。その輪が広がって、みんなが優しくなれるのにって思っています」

──今は、“新しいみさき”をどんどん見せていますが、これからはどう考えていますか?

「恋愛ソングを書き続けるので、“恋愛ソングといえば、みさき”ってイメージがついたら嬉しいです。平成の西野カナさんのように、“令和の恋愛ソングはみさき”ってみんなが思ってくれることを目標に頑張ります」

──「あなたの恋が実りませんように」のリリース日から初の路上ライブツアーも決定しています。どんなツアーになりそうですか?

「私、路上ライブを見たこともなくて。路上ライブの映像は見たことがあるんですけど、生で立ち止まったことがなくて、これまでは顔出しをしていなかったので、自分でやったこともなくて。ずっと“やってみたいな”っていう気持ちはあったので楽しみですけど、正直、怖いですね…」

──路上ライブも初挑戦なんですね。

「そうなんです。初めてだから怖さはあるんですけど、一回やってしまえば大丈夫だと思うので、道ゆく人々みんなをファンにできるように頑張りたいです。なによりも、こんなに間近で歌を届けられる機会は初めてですし、無料ですし、オリジナルステッカーもプレゼントさせていただくので、お近くの方はぜひ足を運んでほしいですし、一瞬でも立ち止まって見てくれたら嬉しいです。よろしくお願いします!」

──さらに、来年1月にワンマンライブを開催することが発表されました。

「私、これからたくさんライブをしていきたいんです。これがメジャーデビュー後、初ワンマンライブになるので、一歩目ということで『はじめのいっぽ』というタイトルにしました。メジャーデビュー後にリリースした3曲は新たな挑戦をした曲たちなので、これまでのみさき色たっぷりの曲も、新しいみさきも、全部お見せできるライブになりそうでワクワクしています。昔から応援してくれている方も、最近知ってくれた方も楽しみにしていて欲しいです!」

(おわり)

取材・文/永堀アツオ
写真/Sugino Terukazu(TONPETTY INC.)

RELEASE INFORMATION

みさき「あなたの恋が実りませんように」

2025年924⽇(水)配信

みさき「あなたの恋が実りませんように」

LIVE INFORMATION

みさき都内近郊3箇所を巡る路上ライブツアー
第1回 9月24日(水) 17:00〜18:00 東京都 多摩センター駅前 パルテノン大通り 
第2回 9月30日(火) 17:00〜18:00 埼玉県 浦和駅東口駅前 市民広場
第3回 10月10日(金) 18:00〜19:00 千葉県 京成船橋駅 船橋まちかど音楽ステージ

2025年10月12日 FM802 MINAMI WHEEL 2025 出演

ワンマンライブ『はじめのいっぽ』

2026年1月13日 SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
https://eplus.jp/misaki/

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