――冬公演『Love Letter~いまもりまなか卒団公演~』を控えた団長のいまもりさんの現在の心境から聞かせてください。

いまもりまなか「今回の冬公演がラストということで、寂しい気持ちはとてもあるんですけど、それよりも今は楽しみのワクワクの方が強くなっていて。5年前、入団したての頃は基礎練習ばかりやっていて、正直、楽しいと思える時間が少なかった中、メンバーや先生方、スタッフさんがいたからここまでこれたなと思っています。本当につらいこともたくさんあったんですけど、それに負けないぐらいの楽しい思い出もたくさんあるので、諦めずにみんなで頑張ってきてよかったなっていうふうに思っています。そして、毎回の公演で新しいことに挑戦させていただいてきたんですけど、今回もまた別のチャレンジがあるので、それに向けて最後まで走りきりたいなと思っています」

――同期のいわむらさん、二期生のしものさん、三期生のさかもとさんはどんな気持ちでいますか?

いわむらゆきね「私は一期生として、5年間、まなかと一緒に活動してきたので、まなかが卒団しちゃうのはすごく寂しいです。この冬公演は、5年間、まなかとともに歩んできた思い出を振り返りながら、今までの感謝も伝える、そんな公演にしていきたいなと思っています。そして、私は今、副団長を任せてもらっているので、まなかには、“ゆきねがいるから、ミモザーヌは私が抜けても大丈夫だ”って思ってもらえるように、みんなを引っ張っていけるような存在になりたいなと思っています」

さかもとりるは「私はミモザーヌから親身になって寄り添ってくれたまなかちゃんがいなくなるのは、少しまだ怖い部分もあるんですけど、最後の公演なので、みんなで楽しんで、皆さんにも、まなかちゃんにも感謝を伝えられるように頑張ります」

しものあやめ「ミモザーヌに加入した時からずっといるまなかちゃんがいなくなってしまうのは変な感じがします。まだ、ずっといる気がするんですけど、私の憧れで、遠い存在のまなかちゃんに感謝の気持ちと大好きという気持ちの全部を伝える公演にしたいなと思います」

――まなかさんとのそれぞれの思い出を教えてください。

しもの「最初の頃は同じ楽曲も少なかったので、あまり喋る機会がなかったんですけど、私が動画をみていた時に見つけた“いちごカフェ”に一緒に行ったときにたくさん話をして。そこからどんどん話すようになったんで、一緒にお出かけしたのがいちばんの思い出です」

いまもり「私自身、あまり自分から遊びに誘うとか、連絡を取ることが得意じゃなかったので、年下のあやめから、“まなかちゃん、ここ行きませんか?”っていう連絡が来たときは本当に嬉しくて。ちょっと緊張していたりもしたんですけど、それまでは2人で話す機会があまりなかったので、そこで初めてちゃんと面と向かって喋ることができて。そこから、あやめも心を開いてくれたように感じているので、私にとってもいい思い出の一つです」

――さかもとさんは?

さかもと「今年5月の『Golden-Live』ですね。初めてライブに出させていただいたときに、新幹線の席が隣で、そのときに初めてまなかちゃんのほぐれた姿というか、おふざけのまなかちゃんを見て。“え?まなかちゃんってこんなにふざける人なの!?”っていうのが思い出に残っていて。そこからまなかちゃんと話したり、おふざけもするようになったので、すっごい思い出です(笑)」

いまもり「あははは。私、基本的に一期生以外と関わることがそんなになかったんですけど、移動で横になったときに喋ることになって。別にふざけようと思ってたわけじゃないんですよ。普段通りに話してたら、めっちゃ笑ってくれて」

さかもと「ちなみに、そのときもいちご大福を食べてました!」

いまもり「そうだ!写真、撮ったね。いちごがあれば仲良くなれるのかもしれない(笑)」

いわむら「いちごばっかり食べてるからね(笑)。私は実は、入団当初のまなかとは気まずくて…」

――どうして気まずかったんですか?

いわむら「私とまなかはすごく縁があって、入団する前から知り合いで、一緒にダンスを習っていたり、まなかが前に活動していたグループのバックダンサーを私がやっていた時期もあったんですね。まなかは年上でもあるし、目上の存在みたいな感じで、ちょっと近寄り難くて。なかなかまなかの方に行けなかったんですけど、そんな気まずい時期も乗り越えて、今は団長と副団長として一緒に協力して、ミモザーヌを引っ張っていけていると思うので、すごく嬉しいんです」

――まなかさんとの思い出エピソードも聞かせてください。

いわむら「めちゃめちゃいっぱいあって、どれにしようかすごく迷うんですけど、ぱっと出てくるのは、ラジオの収録ですね。FM大阪さんで私達のラジオ番組を持たせてもらっていたんですけど、そのときにドーナツをいただいて。でも、ドーナツの袋が一つしかなくて。その場で食べて帰らないといけないけど、収録場所からはもう帰らないといけないってなったときに、二人で外の広場に座って、ドーナツをパクパク食べて」

いまもり「ああ、食べたな〜。あったあった、懐かしい」

いわむら「いま、ぱっと蘇ってきました」

――もしかしてストロベリーでは!?

いわむら「それが…いちごじゃなくて、抹茶でした(笑)。二人じゃ食べきれないくらいの量があったんですけど、二人とも甘党なんで、食べきっちゃったね」

――ここまで食べている思い出しか出てきてないですが…。

いまもり「そうですよね(笑)。ミモザーヌの活動の中ではない?」

いわむら「はい!私、あります!この前の夏公演『〜魅惑のバラエティショウ〜Summer Collection 2023』の時に、すごく壁にぶつかっているな…って自分でも自覚していて。でも、私、悩んでたり、モヤモヤしている感情を人に相談したりするのが苦手で、自分の中で溜め込んでしまうんですね。でも、まなかは、誰も見せないようにしていたのに気づいてくれて。“絶対、悩んでるやろ。今、スランプやろ”って言ってくれて」

いまもり「ゆきねの生き生きしてるときの表情も見てるので、それと比べると、何か違うなって思ったときがあって。自信があるときは本当にキラキラしているけど、そのときは悩んでいる感が何か伝わって。5年間ずっと一緒にいたんで、ゆきねが自分でもいいと思っているときのパフォーマンスとそうでないときのパフォーマンスの差はわかるんですよ。絶対、何かあるよなと思って。ゆきね自身もそう思っているだろうし、私もゆきねならもっと出来る気がするって思ったときに声をかけました」

いわむら「誰にも言わないようにしていたのに、まなかに声をかけてもらったことで思いがワーッて溢れて、ポロポロと自然と涙が溢れてきて。駅のベンチで悩みを親身になって聞いてくれました。本当にあのときは、まなかが話しかけてくれてなかったら、きっとメンタルがちょっとボロボロになっちゃって、夏公演のパフォーマンスに支障をきたしちゃっていたかもしれないなと思います」

いまもり「ゆきねが“もうちょっと頑張ってみる”っていって解決して、夏公演もやりきれたなって思っています」

いわむら「本当にまなかに救われましたね」

――まなかさんにとってはどんな5年間でしたか?

まなか「本当に濃すぎる、充実しすぎていた5年間でした。楽しいこともあったけど、つらかったり、しんどかったり、正直、“ミモザーヌを辞めよう”と思ったときも何回もあって。特にコロナ禍の時期は、リモートレッスンになっちゃって、メンバーにも先生にも画面越しでしか会えなくて。1人で頑張る時間が長すぎて、どうしたらいいかわかんなくなっちゃって。先も見えなかったんで、“このままでいいのかな?”ってメンバー同士でも相談し合っていたんですけど、メンバーがいたから、もうちょっと頑張ってみよう、もうちょっと頑張ってみようって乗り越えることができて。やっとお客さんを目の前にした公演ができたり、最近では声出しのライブもできるようになりました。そこで得た達成感は今でも覚えてるものがありますし、つらいときもあったけど、本当に続けてよかったなっていうふうに思っています。あと、ミモザーヌは本当にいろんなレッスンがあって…」

――例えば、日々、どんなレッスンを受けてるんですか?

まなか「歌とダンスだけじゃなくて、表現やアクロバット、日本舞踊、フラメンコ、華道、アクション、クラシックバレエ…本当にいろんなレッスンをさせていただいています。もう他にやってないことないんじゃないか?くらいのレベルで、たくさんの経験させていただいたので、本当に充実していました。卒団後も今までやってきたことを継続させて、将来に生かしていけたらなというふうに思っています」

――いろんなレッスンンの中で一番印象に残っているのは?

いまもり「衝撃だったのは、新聞紙を使った「表現のレッスン」ですね。“何をするんだろ?”って思ったら、急に“新聞紙を破って暴れてみよう”って言われて。最初はどうやったらいいかわからなかったんですけど、ちょっとずつみんなで壊れていって、殻がどんどん破れていって。そのレッスンがあったおかげで、ステージに立つときに、普段の自分とは違う自分にすぐにスイッチを切り替えられるようにもなりました。すごく印象的でもあったし、楽しいなって思ったレッスンです」

しもの「私も表現です。「自由にする」っていうことをやったことがなくて。ダンスだったら、もらったフリを覚えて踊るっていうことしかやってなかったんですけど、「表現」のレッスンをしてから、自由に自分の踊り方で踊ったり、メンバーの魅せ方を見て、その人の個性や癖も知ることができました。あと、暴れ回るのがすごい楽しくって(笑)。最初は全然できなかったんですよ。“新聞紙を破る”って言われても、みんなは細々にしてるのに、あやめだけ4等分ぐらいにしか破ってなかったり、“暴れろ”って言われても恥ずかしくてできなかったんです。でも、今では1人で自由に1曲分を踊れるぐらい楽しくて、大好きなレッスンになっています」

さかもと「私は日本舞踊のレッスンです。先生が踊ってくださると美しいし、重心が下がってて、“綺麗!”って思うのに、自分がやると全然不格好で、正しい形がわからない。迷路に迷い込んだ状態みたいになるんですけど(笑)、そのわからなさがまた楽しくて。そのために練習したり、形を見つけたりっていうのが楽しいです」

いわむら「私は広井(王子/総合演出)さんがやってくださるトークレッスンがすごく印象的だなと思っていて。始まったらまず、“質問は?”って全員に向けて聞くんです。最初は、誰も手を挙げられなかったんですけど、“こういうときに率先して自分から手を挙げないと駄目なんだよ”って教えてくださって。自分から何かを発信するとか、見てもらうためにアピールするとか、そういう力を学ばせてもらったなと思っていて。トークレッスンの中ではそれ以外にも、エチュードもやらせてもらって。私はまなかとエチュードを指名してもらってやることが多かったので、まなかとはエチュードの思い出もたくさんあって。今までエチュードしてきた相方がいなくなっちゃうと思うとすごく寂しいんですけど、外部のオーディションに行ったときも活きるなと思うので、まなかには、オーディションに行った時は、ゆきねのことを思い出して欲しいです。私はまだミモザーヌの活動が2年間残っているんですけど、卒団後は女優として活動していきたいので、まなかと培った力を生かしていきたいなと思います」

――冬公演『Love Letter~いまもりまなか卒団公演~』はどんな内容になりそうですか?

いわむら「まなかの卒団公演になるんですけど、第一幕は前回と同様にストーリー仕立てになっていて、夏公演のストーリーの続きになっています。夏公演は、白天使と黒天使に翻弄されながら、いい子になるべきか、悪い子になるべきかっていう17歳の少女の葛藤があって。その中でも自分らしい生き方を見つけるっていうストーリーだったんですけど、今回はがテーマになっています。また違う壁にぶつかった少女がどうやって愛に向かって進んでいくのか?っていうのが見どころになっています。前回は、たかはしまおが白天使だったんですけど、卒団してしまったので、それもストーリーにどう影響していくのかなっていうところをちょっと注目して欲しいなって思います」

――“愛”というテーマはどう感じてますか?

さかもと「17歳には愛はちょっとまだ難しいです(笑)。でも、台本を読んで、いろんな愛の形があるんだなっていうメッセージ性を感じてます」

いわむら「私も17歳なんですけど、恋愛だけが愛じゃないと思うんですね。人間はみんな、誰かの愛に支えられて生きていると思っていて。私達がこうやって活動できているのも本当にファンの皆さんや家族、マネージャーさん、スタッフさん、本当にたくさんの人の愛に支えられてきてると思うので、このストーリーを通して、そういう普段は気づけない愛について考えてもらえたら嬉しいなって思います」

しもの「私も台本を読んで、改めて自分が今、ここに存在してるのは、いろんな人の愛があってなんだなっていうのを考えさせられました」

――主役である少女を演じるまなかさんはどう捉えてますか。

いまもり「私もそんなにいろんな人生経験をしてきたわけじゃないので、まだまだなんですけど、愛っていうテーマだからこそ、“愛って何だろう?”って考えるきっかけになって。恋愛の愛だけじゃなくて、親からもらう愛情もあるし、友達からもらう愛もあれば、自分が親や友達に届ける愛もある。本当に愛っていろんな意味があると思ったし、誰からどんな愛をもらっているのか、改めて、ちゃんと人と関わろうって感じさせてくれるなって思います」

いわむら「そして、団長いまもりまなかの卒団公演でもあるので、私達からまなかへの愛、ファンの皆さんへの愛がたくさん詰まった公演になるんじゃないかなと思います」

――第二幕は?

いわむら「ライブ形式のミュージックバラエティショウになっていて、既存曲だったり、カバー曲も今回はたくさんあります。まなかの卒団公演なので、ちょっとしっとりした卒業ソングっぽいものも何曲かあります」

いまもり「ネタバレになるので詳しくは言えないんですが(笑)、既存曲で、“まなかちゃんは出ないだろうな”と思われてる曲にもちょっと挑戦したりしてるんで、私も楽しみです」

いわむら「ふふふ。その衣装のフィッティングを一緒にしたんですけど、いいですよ!期待してください」

――期待しています!

――それぞれどんな舞台にしたいか、意気込みをお願いします。

いわむら「私は今まで、いい人っていうイメージのキャラクターが多かったんですけど、ちょっと違う一面を見せることができる曲もあるので、そこに注目して欲しいなって思います」

さかもと「今回は“かっこいい”とか、“かわいい”とかに限定しないで、いろんな面の私を見せていけたらなって思っています」

しもの「去年はまなかちゃんが歌っている後ろで踊ったり、演技することがほとんどだったんですけど、今年から歌ったり、センターに立たせてもらうようになって。今回の舞台も少し歌わせていただいたり、セリフをもらっているので、もっともっといろんなあやめを探していただきたいなと思います」

いまもり「私は今回の冬公演がラストになるので、今までやってきたことを全部詰め込みたいなって思っています。『Lover Letter〜いまもりまなか卒団公演〜』という公演を通して、メンバーにも先生にもスタッフさんにお客さんにも親にも、本当にいろんな人への愛と感謝を届けたいですし、悔いなくメンバー全員で走り抜きたいなって思っています」

――後輩たちにどんなことを伝えていきたいですか?

いまもり「メンバーはステージに立ったら別人になるんですけど、レッスンのときや稽古場にいるときとかは、本当に中学生高校生っていう感じなんですよ。私もまだまだ子供なんですけど、“少女だな”と思うときがすごくあるんです。でも、もっと自分に自信を持ってほしいって思っていて。それは別に、自分に甘くしろってわけじゃなくて、自分には厳しく、人には優しくあってほしいんですけど、“私なんて…”ってなっちゃうメンバーとか、自分の中で抱え込んでしまうメンバーが多いんですよ。でも、ちょっとずつでも自分らしい表現の仕方で外に出していけるようになったら、もっと表現のレベルも上がっていくんじゃないかな?って思っています。あとは、本当に人として尊敬される人であってほしいので、感謝の気持ちを忘れずに、これからも日々努力して頑張っていってほしいなって思います」

――まなかさんの今後にはみんなはどんな期待をしてますか?最後に団長にエールを贈ってください。

さかもと「ミモザーヌで一緒に過ごした日々を忘れないで頑張ってほしいです!」

しもの「みんな、“何でもできちゃうように見える”って言ってるけど、いろんな人から、すごい努力をしているっていうことを聞いたり、自分でも見たりしていて。すごく尊敬しているので、そのままのまなかちゃんらしく輝いていてほしいなって思います」

いわむら「日本を代表する女優になって欲しいです!」

いまもり「言いますねぇ(笑)」

いわむら「“いまもりまなかは、少女歌劇団ミモザーヌの卒団生なんですよ!”って言いたいし、まなかも“私、ミモザーヌ出身なんです”って自信を持って言ってくれるようなグループになっていかないとなって思っています。お互いが相乗効果で一緒に上がっていけたらいいなって思っています」

いまもり「はい!頑張ります!」

(おわり)

取材・文/永堀アツオ
写真/野﨑 慧嗣

EVENT INFORMATION

少女歌劇団ミモザーヌ 冬公演『Love Letter~いまもりまなか 卒団公演~』

2023年12月23日(土) 15:30開場/16:30開演 東京 銀座博品館劇場
2023年12月24日(日) 11:30開場/12:30開演 東京 銀座博品館劇場
2023年12月24日(日) 15:30開場/16:30開演 東京 銀座博品館劇場
2024年1月6日(土) 15:30開場/16:30開演 大阪 YES THEATER
2024年1月7日(日) 11:30開場/12:30開演 大阪 YES THEATER
2024年1月7日(日) 15:30開場/16:30開演 大阪 YES THEATER

少女歌劇団ミモザーヌ 冬公演『Love Letter~いまもりまなか 卒団公演~』

『NEW YEAR PARTY!』

2024年1月28日(日)大阪日本橋ポルックスシアター
1回目 13:15開場/14:00開演
『NEW YEAR PARTY!~1期生・3期生・5期生編~』
※3期生 ひろせしづくは学業のため休演いたします。
2回目 16:15開場/17:00開演
『NEW YEAR PARTY!~2期生・4期生編~』
※2期生 みやはらにこは学業のため休演いたします。
一般発売:2023/12/17(日) 10:00〜

少女歌劇団ミモザーヌ 関連リンク

一覧へ戻る