──2024年の10月に発売したSKY-HIさんとのコラボ曲「LALALALALALALALALALA (Tokyo Version)」の反響はいかがでしたか?

「とても反響が良くて驚きました。僕もSKY-HIさんも忙しいからこそ、スケジュールが合ったこと自体、運命的だったと感じています。いつかライブでも一緒に歌いたいです。その際にSKY-HIさんにはJ-POPについて、制作の仕方やシーンなど、いろいろ説明してもらいました。そこで日本人がどんな曲が好きなのか?、どういった感じで曲を聴くのか?、さらに、なぜこの曲が日本で受けるのか?などを教えてもらったので、今回の制作ではそこを意識していました。それがちゃんと反映できたかは、みなさんの反応を見てからわかるので少しドキドキしています(笑)」

──そんな中、完成した『Ⅱ』は、かなり挑戦的な1枚になったと思うのですが、制作はどのように進めていきましたか?

「確かに今回はかなりチャレンジングでした。なによりも時間との戦いでした。前作『ONE』は6年かけてじっくりと制作をしたからこそ、細部にまで納得した上でのリリースでしたし、そういった作り方がベストだと思っているんです。でも今回は2025年にリリースすることが決まっていたので、ずっと制作を走らせている、めまぐるしい心境のまま曲作りをしていきました。以前に作った曲もありますが、ほとんどが最近作り上げた曲なので、より今の自分の音楽的傾向が反映されています」

──具体的に、どんな音楽的傾向が込められましたか?

「まず、歌詞はラップから制作し始めました。とはいえ、ラップの世界のルールに従って曲作りはしていないですし、ポップミュージックに関しても自分ならではの作り方をしているので、かなりオリジナリティがある曲になっていると思います。というのも、“ラップ界に受け入れてもらいたい”と思っているわけではなくて…それよりも、歌詞はラップの方が、気持ちを自由に表現が出来るんです。ポップミュージックはどうしてもスタンダードなフォーマットがあり、“言葉はこう嵌めるべき”、“音数がこれだから同じ文字数のものに”、というルールがあって。でもラップはわりと自由に言葉を重ねることができますし、自分の言いたいことをより自由に伝えることができるので、そういった曲が多く収録される今作は、自分にとってかなり解放感のある作品になっています。そして、自分が音楽のジャンル的に“今、どこにいるのか?”ということもよく聞かれるんですが、これが僕にとってはかなり難しい質問なんです。というのも、自分ではいつだっていろんなジャンルの真ん中にいるという感覚なので。1枚のアルバムでも、1つのジャンルにこだわったことはないですし、今作も、アフロビートやUKダンス、アメリカのポップスの影響もあればラップの影響もあって…。僕自身が好きなもので言えば、自分のルーツである東ヨーロッパ的なサウンドも入っているので、どれか1つにジャンルを絞ることは出来ないんですよ。それらがすべて融合されて、自分らしい音=“MIKOLASサウンド”になっていると思います」

──まさに、「EYES ON ME」が、その答えなのでは?と思うのですが、この曲にはどのようなこだわりがあるのでしょうか。

2023年にソングライティングキャンプに行ったときに、この曲の種が出来たました。でも、なかなかしっくりくる曲にはならず、完成まで時間がかかってしまいました。今回、アルバムを作る際に、改めてこの曲と対峙し、古いバージョンの構成を一度壊して、今の形を作り上げていきました。歌詞に関しては、少しセクシーな内容なので、そこについて話すのは恥ずかしいのですが…自分の“オルターエゴ(もう一人の自分)”がコンセプトになっています。実際にこういった要素も自分の中にあるからこそ、音楽で表現することは大事だと思いました。サウンド的にはポップなので、ラップ的な要素の強い曲が並ぶアルバムの中ではいいバランスがとれる曲になると思いました。きっと、内容的にも共感できる人が多いと思いますし、パフォーマンスするとマジックが起きる気がするので、早くみなさんの前で披露したいです」

──ジェニファー・ロペスの「Jenny from the Block」を大胆に再解釈した「FROM THE BLOCK」もすごく素敵な曲でしたね。

「ありがとうございます。日本でたくさんのインタビューを受けたんですが、その度に「Jenny from the Block」が本当に多くの日本人に愛されていたことに気づきました。実は、母国のチェコ共和国ではそこまでのヒットはしていなかったんです。なので、日本のみなさんの反応を見ていると、本当にこの曲が名曲なんだと改めて感じました。僕自身、幼少期から聴いていた曲だからこそ、もともとの構成をなるべく変えずに、フローを変えたり、彼女が歌っているところをラップにしたりと、バランスを少しずつずらしながら、なるべくオリジナルから逸れないような形で作っていきました。ライブでパフォーマンスをしていていてもすごく楽しい曲で、リアクションもとてもいいので、今後より多くの人に聴いてもらえたら嬉しいです」

──今後、日本ではどんなイベントが用意されているのでしょうか?

「今回の来日では、これまでずっと支えてくれていたコアファンの方を大事に、ショーケースイベントを開催しました。僕がこういった活動ができるのは、ずっと応援してくださるみなさんがいるからこそなんです。なので、そんな彼らのために、規模は小さいですが濃密なイベントになったと思います。さらに今後は、母国だけでなく、日本でもコンサートをやっていきたいです。いまはまだ何も言うことができないんですが、年明けは良いニュースを届けられるはずです(笑)」

──楽しみにしていますね。では最後に、読者のみなさんにメッセージをお願いします!

「アルバム『Ⅱ』は、今までの僕のベストサウンドが詰まった1枚になりました。新しい部分はもちろん、これまでのMIKOLASも楽しむことができますし、オルターエゴの自分も出しているので、聴き応えがある作品となっています。きっと、共感できる曲があると思いますし、日本についてもかなり触れているので、楽しんでもらえたら嬉しいです!」

(おわり)

取材・文/吉田可奈

RELEASE INFORMATION

MIKOLAS『Ⅱ』

2025年1024日(金)配信

MIKOLAS『Ⅱ』

MIKOLAS『Ⅱ DELUXE EDITION』

2025年11月7日(金)配信

MIKOLAS『Ⅱ DELUXE EDITION』

MIKOLAS 関連リンク

一覧へ戻る