──MA55IVE THE RAMPAGEは今年、“MA55IVE UNION Project”を始動させました。今回リリースされるアルバム『EMPIRE CODE』もその一環ということですが、この“MA55IVE UNION Project”は一体どういうものなのでしょうか?
YAMASHO「この“MA55IVE UNION Project”は、僕たちが自分たちの夢を叶えるため、自分たちのスタイルを確立させるために、他のアーティストさんやクリエイターの方をお呼びして、自分たちにはないエッセンスを入れていただき作品を作ることで、自分たちのスキルや経験値を上げていくというプロジェクトです。”UNION“という5文字にも1つずつ意味があって、その5つの合言葉を持って、いろいろなクリエイターの方々とコラボしていき、最終的に自分たちの帝国を作り上げる…点と点を線にするプロジェクトです」
──“UNION”という5文字にも1つずつ意味があるとおっしゃっていましたが、5つの合言葉を教えていただいても良いでしょうか?
L「“揺るがぬ絆”を意味する“unbreakable”、“皆さんに伝える”という意味の“nexus”、“不滅”を意味する“immortal”、“記憶を継承する”という意味で“origin”、“新星”の“nova”です。この5つの言葉を指針として活動をしていこうという合言葉です」
──ありがとうございます。


──フィーチャリング・アルバムを作るだけではなく、“MA55IVE UNION Project”として始動させたのにはどのような意味があるのでしょうか?
YAMASHO「楽曲制作という意味ではアルバムになりますけど、絵を描くアーティストさんやデザイナーさんとのコラボをしたり、他にもファッションなどのカルチャーを、いろんな方々とコラボして、THE RAMPAGEとはまた違う、MA55IVEとしての色を大きくしていきたいと思っています。今回の衣装もWEGOのユニセックスライン『SHORT ROUND』とのコラボです」
──多方面でコラボしていくということなんですね。その一環としてアルバム『EMPIRE CODE』が完成しました。全曲がフィーチャリングゲストなどを迎えたコラボ楽曲ですが、制作はどのように?
YAMASHO「このプロジェクト自体、僕たちの冠番組『MA55IVE BASE』がきっかけで。番組の中で、フィーチャリング曲を作り始めたので、“だったらもう全曲誰かとコラボしたアルバムにしよう”ということで動き始めました」


──アルバムの1曲目を飾るのはAK-69がプロデュースを手がけた「EMPIRE CODE」です。AK-69とコラボすることになった経緯を教えてください。
L「もともと僕がAKさんとプライベートで交流があって“いつか作品か何かで携わらせていただきたい”と思っていたんです。そこで、まず番組に呼ばせていただいて。AKさんは、ヒップホップの世界で知らない人がいない、日本のヒップホップの代表格のような存在です。そういった方にMA55IVEの楽曲を作ってもらうことで、僕たちのことを、アンダーグラウンド、オーバーグラウンド関係なく、いろんな人たちに知ってもらいたいという想いもあってプロデュースをお願いしました」
──この曲を初めて聴いたときの印象や、歌ってみての印象を教えてください。
YAMASHO「“おお、AKさんの曲だ!”って思いました。なんならこのままAKさんがリリースしちゃうんじゃないか?っていう(笑)…ご本人が“俺の曲にしたい”とおっしゃっていましたし。それくらい、AKさんど真ん中の曲です。僕たちがずっと聴いていたAKさんのヒップホップど真ん中だと感じました」
──リズムの取り方やフロウの乗せ方も“AK-69節だな!”と感じましたが、実際に歌ってみていかがでしたか?
YAMASHO「<崩せねぇ>、<忘れねぇ>…“〇〇しねぇ“という言葉遣いは、僕たちは普段あまりしない言い回しだったので、そこは意識してアクセントをつけたりしました」
L「冒頭の囁くフレーズが難しくて…“もっと軽く”とディレクションをしていただいて、何度も録り直したんですが、思い返せば“確かにAKさんの曲ってこういう歌い方をしている“と思って。それに気づいてからは、AKさんに少し近づけるイメージでレコーディングしました」


神谷健太「AKさんには“ライブの1曲目にやる曲のようなイメージで”とお伝えしていたので、一音目から開幕を思わせる音を入れてくださって、“これこれこれ!”ってなりました。ガツンとくる音で“やっぱりすごいな!”と思いました。あと、最初にいただいたときはAKさんの声で歌われていたので、“これをMA55IVEのみんなで歌ったらどうなるんだろう?”という楽しみもありました」
──実際、MA55IVEの皆さんが歌ったものを聴いて、いかがでしたか?
神谷「メンバーの個性がいい感じに混ざり合っていました。また新しいみんなの一面が見れたような気持ちです」


浦川翔平「頭にAKさんのクレジットを入れてくださって。いつも聴いていたAKさんのクレジットだったので、それが自分の曲に入っていることに“ヤバい!”ってなりました。帝国が築き上げられそうなイントロも半端ないですし。ライブの1曲目という想定ですけど、アンコールや、ライブの重要な位置でパフォーマンスしたい、武器になる楽曲ができたと思いました。あと、AKさんにところどころガヤを入れていただいたんですが、それがうますぎて! 最初はそれも自分たちでやろうと思ったんですけど…そのままAKさんのガヤを使わせていただきました。とにかくすべてが職人技すぎてすごく勉強になりました」
鈴木昂秀「しかもAKさんはすごく優しい方で。レコーディングもさくさく進みましたし、すごく温かい方だということも知れて、すごくいい経験になりました」
──いつかAK-69と一緒に作品を作ってみたいと思っていたLさん、実際に作ってみていかがでしたか?
L「思い描いた通りの楽曲をばっちり作っていただいて本当にうれしい限りです。さっき言ったように、僕たちのことを知らないヒップホップ好きの方たちにも知っていただける機会にもなると思うので、幅広く聴かれる曲になるとうれしいです」



──今作には皆さんそれぞれがフィーチャリングゲストともに作った楽曲が収録されていますので、それぞれの楽曲について聞かせてください。まずは「分かんだろ?feat. P-CHO, YAMASHO」から。YAMASHOさんとP-CHOさんの楽曲ですが、P-CHOさんとの楽曲制作はいかがでしたか?
YAMASHO「この曲は番組のイベントのために作った曲です。NAOtheLAIZAさんのスタジオで、3人でセッションしながら作っていきました。まず自分が“がっつりラップしたいんです”ということを伝えました。そこからはP-CHOさんとディスカッションしながら“こんな感じにしようか?”、“すごくいいじゃん!”ってどんどんリリックが仕上がっていきました。今の時代を生きていると、いろいろと考えることが多いんですけど、それよりももっと原始的に感じたものを発していける世の中でもいいんじゃない?ということ、“これを聴いたら何がカッコいいのか分かるだろ?”ということを歌っています」
──一緒に楽曲制作をして知ったP-CHOさんの新たな一面は何かありますか?
YAMASHO「P-CHOさんのレコーディング慣れがすごすぎました。僕は、レコーディングって声を張らないと声のアクセントがつかないと思っていたんですけどP-CHOさんは自分の声量を全部わかっていて、張らなくてもアクセントや抑揚がつけられるんですよ。そこはすごく勉強になりました」
──特に気に入っているポイントはありますか?
YAMASHO「サビのP-CHOさんとの掛け合いです。上と下でちょっとアプローチが違うところが好きです」

──続いて「Universe feat. SKRYU, TAKAHIDE」は鈴木さんとSKRYUさんの楽曲。SKRYUさんとの楽曲制作はどのように進めていったのでしょうか?
鈴木「最初にデモを3つくらい作ってSKRYUさんに送って、その中から選んでもらったのがこの曲です。「Universe」というタイトルの通り、惑星をモチーフにしているんですが、人をそれぞれ違う惑星にたとえて、“それぞれ悩みはあるけど頑張っていこう”というメッセージを曲にしました」
──SKRYUさんとのコラボだから生まれたものは何かありますか?
鈴木「番組でSKRYUさんが、僕が以前作ったMA55IVEの「ガーベラ︎」という曲を好きと言ってくださったので、少しその曲を彷彿とさせるような背中を押せる曲にしました。あと、一緒に曲を作らせていただくということで、SKRYUさんの曲をいろいろ聴かせていただいて…“こういうの好きかな?”とかを考えながら作ったので、やはりSKRYUさんとだったらからこの曲が生まれたんだと思います。たくさんの人に聴いてほしいです」
──印象的なSKRYUさんとのやりとりがあれば教えてください。
鈴木「レコーディングのあと、そのまま2人で飲みに行きました。何を話したか忘れちゃうくらいいろいろな話をしました。本当に気さくで優しい方で。すごく楽しかったです」

──「Feel the vibe feat. May J., JAY'ED, KENTA」は神谷さんとMay J.さん, JAY'EDさんの楽曲。この曲について教えてください。
神谷「“どこか平成感が漂いながらも、最新トレンドをいっているような曲にしたい”というテーマがあったので、まずはそこから曲を作ってもらいました。そのあとに歌詞をMay J.さん, JAY'EDさんと一緒に考えていったんですが、とても時間がかかりました…有意義な時間でした」
──ちょっと懐かしさを感じる曲にしたかったのはどうしてですか?
神谷「僕が平成ど真ん中世代で、西野カナさんや加藤ミリヤさんがすごく好きでしたし、最近はORANGE RANGEさんがリバイバルで流行っていたりするので、そういうものが作りたいなって。どちらかというと、僕と同世代や少し上の人に刺さる曲を作ったのかもしれないです。でも今の中高生もこぼさないように、今っぽい音も入れました」
──レコーディングはいかがでしたか?
神谷「すごく難しかったです。まず、このテンポで抑揚を付けるのが難しいんですよ。それに、女性と一緒に歌うからレンジ(音域)が自分のレンジじゃなくて…。しかも今回のハモリはゴスペル寄りのハモリなので。その中でのフロウの出し方がとても難しかったです。どうしてものっぺりしちゃうんです…だからのっぺり聞こえないように、どこでブレスしたら良いかを教えていただきながら頑張りました」
──それを学んだことは今後、神谷さんの武器になりますね。
神谷「そうですね。歌い込んでいくともっといい味が出ると思います」

──「Time 2 Get Up feat. WISE, SHOHEI」は浦川さんとWISEさんの楽曲。WISEさんとの楽曲制作で印象的だったやりとりや、得たものを教えてください。
浦川「この曲は、慌ただしい日々の中にひさびさにできたホリデーで、現実逃避するような曲です。そこに夏のエッセンスも加えて、どこか懐かしさも感じられて、チルできるサウンドにしました。WISEさんがすごくBボーイなので、おしゃれなフロウで引っ張ってもらいつつ、いつもの自分のアプローチよりは落ち着いた感じで、ポップに仕上げました」
──MA55IVEでの浦川さんのラップのイメージだと、もっとゴリゴリのヒップホップがくるのかな?と思っていたので驚きました。
浦川「意外とこういうの好きなんですよ。THE RAMPAGEの曲でいうと「So Good」とか「Nobody」とかそっち系が好きで。だから、ソロをやるならいつかこういうものをやってみたいと思っていたものを提案させていただきました。昔のブラック・アイド・ピーズっぽさを散りばめて、終わり方はフェードアウトでクラシックに。でも尺感は現代でも聴きやすいように3分ちょいにしました」
──レコーディングはいかがでしたか?
浦川「本番のレコーディングはスタジオですけど、プリプロ3回くらいは全部WISEさんがいつも一緒にやられているAILIさんのお宅での宅録だったんです。しかも、レコーディングブースとかではなくて、リビングみたいなところにみんなで入って…」
──チルっぽい楽曲の雰囲気は、そのまま皆さんの雰囲気でもあったんですね。
浦川「そうですね。制作までにも2回ほどご飯にも行きましたし、この楽曲きっかけでWISEさんとお近づきになれました。その雰囲気が楽曲にも乗っています」

──「NASTY feat. ELLY/CB, L」はLさんとELLY/CBさんの楽曲。兄弟での楽曲制作となりましたが、いかがでしたか?
L「 アーティストにおいてはあまり兄弟だと思っていなくて…。もちろん兄弟ではありますけど、1番好きなものをわかっている人というか。会話しなくても理解し合える人、という感覚です」
──制作自体はどういう風に進めていったのでしょうか?
L「最初に、兄弟だからこそ伝えられることを歌うのか、そういうものを取っ払って、クラブでダンスを始めた人間だからこそ歌えることを歌うのか、というところから考えました。そこで、“僕たちってそんなに真面目にメッセージを伝える兄弟でもないな“と思ったので、”クラブで流れていてほしい曲を作ろう“と言うことになりました」
──レコーディングはいかがでしたか?
L「兄と一緒にレコーディングブースに入りました。一度完成したんですが、兄が“全部変えるわ”と言って、歌詞を全部変えて構成も大きく変わりました。しかも、兄はディレクションが細かいんですよ。だから何回も録り直しました。かなりスパルタなレコーディングでした(笑)。でもすごく勉強になりましたし、やっぱりすごいなと思いました」
──今後もお二人で楽曲制作をする可能性はありそうですか?
L「そうですね。2人でアルバムとか作れたら面白いかな?と思いました。それくらい濃いこともしてみたいです」
──それぞれの楽曲について駆け足で聞いてきましたが、皆さん他のメンバーの楽曲を聴いていかがですか?
YAMASHO「翔平の曲(「Time 2 Get Up feat. WISE, SHOHEI」)は、自分で言っていたようにトーンをちょっと下げていて新鮮でしたけど、フックもすごく良くて。サブスクとかでめちゃくちゃ再生されそうな曲だと思いました。僕自身もすごく聴いています」
浦川「うれしい!」
L「健太の曲(「Feel the vibe feat. May J., JAY'ED, KENTA」)は、最初聞いた時は“これ、健太か?”って…」
鈴木「僕もそう思いました」
L「何回か聞いてくうちに“あ、健太だ”ってわかるんですけど。それくらい、いつもの健太の歌声とは全然違って。“新しい扉を開いた”と思いました」
神谷「ありがとうございます。YAMASHOの曲(「分かんだろ?feat. P-CHO, YAMASHO」)は、“やりたいことを詰め込んでいるな“と思いました。ビートから歌詞から。最高です!」
L「昂秀の曲(「Universe feat. SKRYU, TAKAHIDE」)もすごくよかったです!」
YAMASHO「昂秀のもめちゃ聴いてる!」
神谷「SKRYUさんとすごく声が合ってるんだよなぁ」
L「SKRYUさんってラップのイメージが強くて歌のイメージがあまりなかったんですけど、歌もすごくよくて」
YAMASHO「LIKIYAさんの曲(「NASTY feat. ELLY/CB, L」)は、曲ももちろん最高なんですけど、2人で踊っているところをライブで見たい!」
神谷「“この兄弟だ!”って感じの曲ですよね」
鈴木「2人が好きな年代感も感じました。すごくよかったです」
──“MA55IVE UNION Project”の一環としてアルバム『EMPIRE CODE』を完成させました。これは”物語の序章“だそうですが、このプロジェクトはこの先、どのようなものになっていくのでしょうか?
YAMASHO「“MA55IVE UNION Project”はこのまま広げつつ、自分たちだけで作った曲もいい感じのものがあって。それこそみんながこのアルバムで新しいものを得て帰ってきたから全体的にレベルがポンっと上がっていると感じられる曲ができているので、どちらも続けて行きたいと思っています。”次はめっちゃR&Bやってみようか?“とか、”次、どうする?“をずっと続けられるように」
──もともと5人の個性はしっかりありましたが、今回それぞれが別の方と曲を作ったことで、さらにその個性に磨きがかかっていそうですね。
YAMASHO「そうですね。それこそこの5人の中でのいろんな組み合わせも見えますし。昂秀と僕、健太とLIKIYAさん、みたいな」
浦川「あれ? 俺、取り残された(笑)。ソロか?」
YAMASHO「あはは(笑)。そういうものもこれから期待していてもらえればと思います」

──MA55IVEとしてのこの先の展望や野望はありますか?
YAMASHO「大きな会場でライブしたいですね」
L「あと、アルバムではタイのラッパー・SPRITEとのコラボもやった(「BREAK IT OUT feat. SPRITE」)ので、海外公演も狙っていきたいです」
鈴木「ワールドツアーをやりたいです!」
L「ワールドクラブツアーとか…」
鈴木「それ、いい!」
──いろいろなところでの活躍が期待できそうですね。
L「 はい。この5人だと機動力があるので(笑)」
浦川「フッ軽ですから!」
──皆さん、よくMA55IVEのことを“フッ軽”とおっしゃいますが、THE RAMPAGEの活動もある中で、MA55IVEとしても楽曲を制作して、リリイベやライブを行なっているのにこんなにもフットワーク軽くいられるのってすごいことだと思います。
L「隙間産業でやっているので。っていうか、楽しみながらやっているので、全然大変なことではないんですよ!」
神谷「なんなら休み時間くらいの感覚ですから(笑)」
L「うん、楽しくやっています!」

(おわり)
取材・文/小林千絵
写真/野﨑 慧嗣
RELEASE INFORMATION

MA55IVE THE RAMPAGE『EMPIRE CODE』
2025年9月10日(水)発売
ALBUM +DVD/RZCD-67364/B/6,600円(税込)
ALBUM+Blu-ray Disc/RZCD-67365/B/6,600円(税込)
ALBUM/RZCD-67366/3,500円(税込)
ALBUM +DVD+GOODS/RZZ1-67367/B/11,000円(税込)
ALBUM+Blu-ray Disc+GOODS/RZZ1-67368/B/11,000円(税込)
ALBUM +GOODS/RZZ1-67369/7,900円(税込)
LIVE INFORMATION

MA55IVE THE RAMPAGE 2nd LIVE TOUR 2025 "M5V" 〜EMPIRE CODE〜
2025年9月18日(木) 福岡 Zepp Fukuoka
2025年9月20日(土) 広島 BLUE LIVE HIROSHIMA
2025年9月26日(金) 大阪 Zepp Osaka Bayside
2025年9月28日(日) 愛知 Zepp Nagoya
2025年10月1日(水) 東京 Zepp Haneda (TOKYO)
2025年10月7日(火) 東京 Zepp DiverCity (TOKYO)
2025年10月9日(木) 静岡 LIVE ROXY SHIZUOKA
2025年10月19日(日) 新潟 NIIGATA LOTS
2025年10月27日(月) 北海道 PENNYLANE24
2025年10月30日(木) 宮城 SENDAI GIGS