──今年は結成20周年ということで様々な企画を行なわれていて、この取材を行なっている時点ではちょうど半分を終えたところですが、振り返ってみていかがでしょうか? かなり怒涛の日々だったとは思うんですが…。
玲央「とにかく忙しいのは忙しいんですけど、やっぱりコロナ禍でなかなか思うように活動ができない時期を経験しているので、これだけ精力的に活動できるのは本当にありがたい限りです。活動するのは僕らかもしれないですけど、このスケジュールに前向きに付き合ってくれているスタッフをはじめ、多くの方が携わってくださっていることも環境としてありがたいですし。そういった周りの方々の支援をすごく痛感する今日この頃です」
──今回リリースされる2nd RETAKE ALBUM『THE AVOIDED SUN / SHADOWS』は、1st RETAKE ALBUM『GREEDY DEAD SOULS / UNDERNEATH THE SKIN 』を掲げたXX act:5 TOUR’25『UNDERNEATH THE GREED』の合間に作業されていたそうですね。
玲央「各メンバーのソロプロジェクトも含めてスケジュールを決め込んでいったので、自ずとそうなってしまうんですよ。ただ、ツアー中にやることで、ライブの熱とかお客さんの表情とか、そういったものも多少なりとも音源に反映されているというメリットもあって。物理的に大変なところもあったんですが、それでも作品が良くなった実感のほうが大きいので、僕は良かったと思います。ただ、生楽器(Dr.、Vo.)の2人に負担が行くので、そこはちょっと大変だったんじゃないかな?とは思いますけど…」
──晁直さん、その辺りはいかがでしたか?
晁直「ドラムは去年の1月から録り始めていて、あらかた終わっていたんです。新曲を含め、多少リアレンジした曲をみんなのスケジュールに合わせて録るぐらいだったので、僕はそこまであまり苦労はしませんでした。でも、やっぱりバタバタにはなるので大変ではありましたけど、そこは気が抜けないところでもあるし、しっかりとやり遂げた感はあります」
──葉月さんはいかがでしょうか? ここまでの20周年の一連の流れを振り返ってみると。
葉月「とにかく風邪をひいたら終わりなスケジュールだったので、自己管理をしっかりしていました。音源制作に関しては、今年はこれで一区切りだと思うので、今は一安心です。30周年を迎えたときに、“20周年のときみたいにはならないようにしよう“って提案するつもりです(笑)」
玲央「はははは(笑)」
葉月「“1年でアルバムを4枚出すとかはやめよう”って。肝に銘じておきます」
──ツアーはいかがでした?
葉月「『GREEDY DEAD SOULS』と『UNDERNEATH THE SKIN』の曲達は、今のlynch.とかけ離れている部分も多いので、はたしてその曲だけでワンマンが成立するのか?っていう心配は少しあったんです。でも、それは全然大丈夫でした。むしろ楽しかったから、ツアーは癒しでした。レコーディングは大変でしたけど、そこでバランスを取りながら、いい感じで過ごさせていただきました」
──明徳さん、前半戦を振り返ってみるといかがでしょう。
明徳「いいスタートダッシュが切れた感じがありました。そこからツアー中にレコーディングができたのも良かったと思っていて。ツアーのテンション感とかバンド感を持ったまま録れましたし、なんだかんだ制作で溜まったものをライブで爆発させるというか。昔から“ライブはアーティストがストレス発散のためにしている”って話をよく聞いていたんですけど、こういうことかって。それがちょっと分かるようになってきました」
──身を持って知ったんですね。悠介さんはいかがでしょうか? 20周年のここまでを振り返ってみると。
悠介「新たに再レコーディングした楽曲が持っているパワーをライブで改めて感じることができましたし、そのツアー中に今作のアレンジも考えたりして、身体も頭もフル稼働だったので、もちろんツアーは楽しかったんですけど、あまり休まることがなかったです。同時にサポート業もやっていたので充実はしていたんですけど、倒れないかな?っていう(苦笑)。でも、特に不調もなく、前半で皆さんからいただいたエネルギーを糧にして後半戦に挑めそうなので、いい前半戦だったと思います」

──では、今回リリースされる2nd RETAKE ALBUM『THE AVOIDED SUN / SHADOWS』のお話に。『THE AVOIDED SUN』は2007年、『SHADOW』は2009年にリリースされたアルバムで、タイミングとしてはインディーズ後期ですよね。2006年に悠介さんが加入されて、2010年に明徳さんが加入されるまでの期間に制作されていたアルバムです。楽曲としては、lynch.らしさの輪郭が少しずつ見え始めるような印象がありますが、葉月さんは、この2枚のアルバムはバンドにとってどんな位置付けの作品だと考えていますか?
葉月「lynch.らしさを今に至るまで時間をかけて構築してきたんですけど、僕の中では大きく分けて3段階あって。その1段階目が『THE AVOIDED SUN』なんです。ここでlynch.だけのものが少し見えた、打ち出せた感覚がまずあって。2段階目がメジャーデビューのときにリリースした『I BELIEVE IN ME』で、その次が2014年のアルバム『GALLOWS』という、その3つが僕の中にはあって。その一発目でもある『THE AVOIDED SUN』は、やっぱりすごく思い出はあります。で、『SHADOWS』は、『THE AVOIDED SUN』でひとつ確立できた手ごたえがあったので、もう少しメジャー感を出したくて。激しさにフォーカスするよりも、メロディーであったり、雰囲気や上品さを大事にした記憶があるんですけど、当時はちょっとやりすぎたかな?と僕は思っていたんです」
──そうなんですか?
葉月「バンドの規模としてはまだ小箱のツアーを廻っていて、その中での「LAST NITE」とか「I DON’T KNOW WHERE I AM」とかは、まだちょっと早かったかもしれなかったんですけど…。ただ、作品としてはすごく好きでしたし、今このタイミングで再レコーディングできたのはすごくよかったと思います」
──『SHADOWS』は、おっしゃっていたメジャー感のある楽曲もありつつ、「CULTIC MY EXECUTION」のような、元々lynch.が持っていたものをより掘り下げた曲もあるので、広がりつつ、さらに深まっていくイメージもありました。
葉月「確かに。僕、今回のアルバムの中で「CULTIC MY EXECUTION」をすごく気に入っていて。どの曲も、元々はこうしたかったんだろうなっていうところを目指しているんですけど、一番変化が分かりやすいというか…。当時は“どうすればもっと雰囲気が出るんだろう?”とか、いろいろ考えて試していたんですけど、ライブで積み重ねることによって語りの部分がどんどん変化していったので、そこをパッケージできたのはすごくよかったです」

──この2作を制作していた当時、バンドの指針にしていたものや大事にしていたものの中で、今も変わっていない部分、変わってきた部分ってあったりしますか?
玲央「やっぱり環境や時代は変わっていますけど、とにかくライブに重きを置いていました。当時って8バンドくらいが出るイベントっていっぱいあったじゃないですか。その中で自分たちのファンを増やしていくには、カッコいいライブ、カッコいい楽曲を届けることが最短ルートだと思っていたんです。もちろん広告とか、いろんなアプローチも考えられたんですけど、一番時間がかかるようで一番の最短ルートは“ライブを見てもらって好きになってもらうこと”。その意識はなんだかんだ20年間、変わっていないです。あと、10年後、20年後も聴ける楽曲じゃないと、リスナーないしオーディエンスには聴かせたくないと思っていたので、こうやってリテイクアルバムをリリースしたときに、“当時の曲には聴こえない”、“全然古い曲には聴こえないね”という声をいただくと、“あのときの指針は間違っていなかったな“って、すごく嬉しかったりもします」
──本当におっしゃる通りですね。リアルタイムで聴いていた人からすると懐かしさはあると思うんですけど、古さはまったくないですし。晁直さんは当時、どんなことを考えながら制作されていましたか?
晁直「あまり記憶はないんですけど(笑)、やっぱり『THE AVOIDED SUN』に関しては、『GREEDY DEAD SOULS』とか『UNDERNEATH THE SKIN』と比べると、あきらかに疾走感のある楽曲が多いのでそこは意識したかと。あと、「liberation chord」は、それまでは重くて激しかったのが、この曲は異質な感じに思った覚えがあります。当時、MDでデモをもらったときに思いました(笑)」
──(笑)時代ですね。葉月さんは当時、「liberation chord」はどんなヴィジョンを持って制作されたか覚えています?
葉月「どうだったんだろう?…とにかくサビのメロディをずっと悩んでいて、シャウトにしてみたら自分の中ですべての辻褄が合って、稲妻が走ったんです。それまでは、あのコード進行でシャウトだけでサビが終わるのはありえなかったので、“これでいいのか!”っていう。自分の中では大発見、大発明でした。他のセクションがどうやってできていったのかは思い出せないんですけど、でも、この曲がきっかけで『THE AVOIDED SUN』の全体のイメージが一気にまとまりました」
──どんなイメージだったんでしょうか?
葉月「何を大事にしたいかというところで、他のバンドと差をつけるにあたって、色鮮やかさ。ただヘヴィで重厚で激しいバンドはたくさんいたので、そことの違いを出すために、鮮やかさ、奥行き、空気感であるとか、そういったものを大切にしようと思っていました。でもシャウトとか、そういう武器もちゃんと置いていく…“これは誰もやっていないかも”って当時、思いました」

──悠介さんはこの2作を作った当時のことを覚えていますか?
悠介「正直、必死にやっていたなっていうくらいしか覚えてないんですけど。でも、『greedy dead souls』と『underneath the skin』をリスナーとして聴いていた身からすると、『THE AVOIDED SUN』でこれからのlynch.のスタイルを作ろうとしているのはすごくわかったし、それこそ「liberation chord」を聴いたときに、“新しいな”と思って。“ここからツインギターになったlynch.が始まっていくんだな“っていう感じが、当時ありました。で、『SHADOWS』から個人の色をより出せるようになってきましたし、「Adore」っていうアンセムができたことによって、”より飛躍できるんだろうな“っていう自信もあって。だから、この2枚はバンドの歴史を作っていく上で重要な2枚だと思います」
──「Adore」を葉月さんが持ってきたとき、“これは!”という印象があったんですね。
悠介「ありました。キャッチーさと、それまで培ってきたlynch.の良さと、いろんな武器が上手くまとまっている曲だと思ったので、“これは売れるぞ!”と思いました」
──実際、今でもたくさんの人の心に響いている曲になっていますからね。葉月さんも「Adore」を作ったときのことはよく覚えていますか?
葉月「だいたい覚えてます。「ADORE」は『SHADOWS』を出す前のシングルだったので、それこそ「liberation chord」とか「I'm sick, b'cuz luv u.」のパワーアップ版みたいなイメージでした。そのときは、MVを初めて撮るというのもあって、楽曲の出来もいいと思っていたので、“バンドの代表曲になっていくんだろうな”とは思ったんですけど、ここまでの曲になるとは到底思っていなかったです」
──そうだったんですね。

──明徳さんにとっては、加入前にリリースされた2作品ですけど、そもそもlynch.のことを初めて知ったタイミングっていつでしたか?
明徳「まだ3人時代のときにライブを観に行ってました」
──どんな印象でした?
明徳「やっぱり当時から他のヴィジュアル系とは違う感じありました。硬派で、怖くて(笑)。そのときはMCもなかったのかな?…音だけで説得している感じで。でもまぁ、尖っているイメージはありました」
──当時、メンバーのみなさんと話をしたりとかは?
明徳「それはもう全然。雲の上の存在だったので」
──じゃあ、玲央さん、葉月さん、晁直さんは明徳さんがライブに来ていたことを後々に知ったんですか?
玲央「そうですね。ただ、『THE AVOIDED SUN』をリリースした後のツアーで、ローディをやってくれていた男の子が、当時、明徳がやっていたバンドのメンバーだったんです。だから間接的に繋がってはいました。で、その子から“今度ライブあるので、玲央さんよかったら観に来てください”って言われて、当時やっていたバンドを観に行ったのも覚えています」
──そういう繋がりもあったんですね。前作を含めて過去にリテイクされている経験もありますが、心境的には感慨深さがあるのでしょうか?…どんな感覚がありますか?
明徳「名古屋でも“憧れの先輩”的な立ち位置のバンドだったので、感慨深いというか、その当時の作品に対してのリスペクトを込めてレコーディングをする感じでした。前作から4枚分を録って、やっとlynch.の作品全部に自分が参加できたので、“ようやく完全体になれた“っていう気持ちです」

──歌詞についてなんですが、先ほどおっしゃっていたように「LIBERATION CHORD」のサビはシャウトのみで、正式な歌詞はないですよね? 葉月さんは、いわゆる歌詞にメッセージを込めるみたいな考え方は…
葉月「ないです、まったく」
──当時からそうおっしゃってましたよね。
葉月「“歌詞にメッセージとか別にいらなくない?”と思っていましたから(笑)。当時、インタビュアーさんとよく言い合いになったんです。“この楽曲を通して何を伝えたいですか?”/“いや、特にないです”、“え、どうして音楽をやっているんですか?”/“え、ダメですか? この曲カッコよくない?でやってるんですけど”、みたいな感じでした」
──“歌詞にはメッセージが込められていなければいけない“というわけではないですしね。
葉月「あるならあるで強いですよね。それは思いますけど」
──確かに。ただ、“メッセージがなければ…“と言われることは…
葉月「納得いかなかったです。メッセージを届けたくて音楽を始めたわけではなくて、まずは楽曲が一番にあるんです。その楽曲がよく聴こえるように、歌詞もいいものにしたほうがいいよねって意識が今はあるんですけど、『THE AVOIDED SUN』辺りから、“鮮やかさを出したい”というのもあって、歌詞にも頼っている部分は1stの頃よりはあると思います」
──葉月さんとしては、音像から見えてくる景色とか、サウンドから滲み出てくる感情を言葉にするという感覚なんでしょうか?
葉月「そうです。だから色付けみたいな感じで書いていました。楽曲から受けた印象を文字にして、歌詞に落とす。そうするとよりはっきりするよね?って。だから、“俺はこの想いを伝えたいんだ!”っていうのは本当になくて。それはブログに書いたほうがいいので」
──そういう中でも、「Adore」に<audience>という、目の前にいる存在が明確に言葉として出ていることはすごく印象的でした。
葉月「これはメッセージなんでしょうね。当時、どうしてこれを書こうと思ったのかは思い出せないですけど、一番威力を発揮すると思ったんでしょうね」
──この曲を一番よくするために?
葉月「そう。そのパワーをファンと共有して、“お前らもやれよ”っていう感じじゃないかな?」
──その曲がアンセムになったのが素敵だと思います。

──その曲がアンセムになったのが素敵だと思います。そして、本作には新曲「BRINGER」が収録されています。1st RETAKE ALBUMに収録されていた「GOD ONLY KNOWS」は、元になったのはかつてライブでのみやっていた曲だったそうですが、「BRINGER」は比較的最近作った曲ですか?
葉月「これは書き下ろしです。ツアー中に作りました」
──lynch.の王道といえば王道だと思うんですが、個人的に気になったところがあって。イントロでサビのメロディをギターが弾いていますけど、こういうアプローチって今までやっていたかな?と思ったんです。
葉月「まんまサビメロを弾くっていうのは、多分なかったんじゃないかな?」
──もちろん、しっくり来てはいるんですけど、ちょっと意外だったというか…。
葉月「でも、これは逆なんです。先にギターのフレーズがあって、サビをどうしようかな?と思って、“じゃあイントロのこれにしよう”って」
──そうだったんですね!
──20周年にふさわしい楽曲になっていますが、玲央さんは聴いたときにまずどう思われましたか?
玲央「新曲を1曲用意するにあたって、やっぱりlynch.らしい曲がいいという話をしてはいました。でも、lynch.の王道にもいくつかパターンがあるから、どれにしよう?というところからこの曲が来たので、“そうそう! これ!”っていうのがまずあって。個人的には、20周年のタイミングのリリースなのもあって、過去に自分が他の曲で弾いていたフレーズを所々散りばめて遊んでいたりもしているんですけど、トータルで考えると、“王道のlynch.らしさが詰まっている曲だな“っていう印象です」
──まさに総括ですね?
玲央「そうです。それを引っ提げて12月の東京ガーデンシアターに向かうというのは、ストーリーとして“ありだな“と思いました。あと、おっしゃっていたイントロでサビメロをギターで弾くっていうのも、そういえばあまりやってなかったなって。lynch.を結成してライブを始めた頃、”ギターソロがあまり好きじゃない“って葉月が言ってたんですよ。”ギターソロを入れるんだったら、リズムも含めてリフのセクションとかにしたい“って話していて。で、悠介が加入して「A GLEAM IN EYE」ぐらいの頃からですかね、ああいう感じが入ってくるようになったのは。だからといって、歌メロをなぞるようなことは今までしていないので、”そういえばやってなかったな“って(笑)」
──20周年にして初くらいの?
玲央「多分、探せばもっとあるはずなんです。世の中でセオリーと言われているものの中で、lynch.がやっていないことって」
──葉月さんは、そのセオリーを避けていたところもあったのでしょうか?
葉月「いや、そういうわけではないです。でも、今思い返すと、イントロでサビメロを弾くのは、例えばROUAGEの「Queen」とか、LUNA SEAの「TRUE BLUE」とかがありますけど、その方向性ではなくて。むしろ、自分の中ではわりと海外のイメージだったんですけど、そう考えるとヴィジュアル系の感じなのかな?」
──もう少し広く、日本のロックみたいな感じもありませんか?
玲央「B'zとかは多いですよね?」
葉月「ああ、B'z!その血は僕、かなり流れているので。そこもあるのかな?」
玲央「そのキャッチーさは持ち合わせてる」
葉月「でも、“この手があった!”って思った気がします。イントロをどうしようかな?っていうときに、リフで行くにしてもいいのがないし、“じゃあ、メロディをオクターブかけて弾いたらいい感じになるんじゃないかな?”って。lynch.的には新しい印象です」
──悠介さんは「BRINGER」にどう臨みましたか?
悠介「“すごくストレートに攻められる曲だな“とは思っていたので、アレンジに関してはそんなに手を加えなかったです。”音色どうしようかな?”とか、”ちょっと間奏にギターソロを入れたら面白いだろうな”とか…」
──イントロのリードギターについてはどう思われましたか?
悠介「基本的にイントロでリードを弾いていることが数少ないですし、メロをなぞっているのはいい意味でのオールドファッションさはあるけどlynch.にとっては新しいと思って。そこをネガティブに感じさせないような音作りは意識していました。印象的なフレーズなので、それをよりブラッシュアップじゃないですけど、より耳の残るような感じにしようと思って」
明徳「自分としては、この曲のプレイントロがすごく好きなんです。強そうで(笑)」
──グっときますよね。
明徳「大きい会場にも映えるし。あのプレイントロがなくて、それこそリードのギターから始まっちゃうと、やっぱり全然違うと思うんですよ。それもありつつ、この曲は1st RETAKE ALBUMのツアー終盤戦くらいに録り始めたので、そのときのみんなのライブ感とか、バンドの一体感的なものも入った、勢いのある楽曲になったと思います」
晁直「楽曲制作前に“lynch.らしい曲”っていう前提があったので、たぶん「BRINGER」じゃなくても、相応しい曲にはなっていたと思うんです…たまたま「BRINGER」だったというか。でも、この曲はメロディの展開もかなりあって、ドラマチックな部分もあるから、前向きになれるような曲だと思いますし、そういう点で“相応しい“っていうふうに僕は認識しています」
──歌詞は、“この曲がよりよくなるようなものを書こう”と?
葉月「はい。ガーデンシアターのために作った曲だから、“そこへ向かっていこうぜ”っていうのと、ガーデンシアターで歌っているところを想像して書いたんですけど、この曲に関してはたくさんありますよ、メッセージも、意味も」
──<あとどれだけ歌えるだろう?>というのは、今だからこそなんですよね?
葉月「これは自然に出てきたことなんですけど、この年齢になったからこそだなって思います。“死ぬまで歌っていたいです”っていうのはよくあるセリフですけど、どうしても年を重ねるとフィジカル的に難しい部分が出てくるじゃないですか。だから、まだ若い状態の貴重な時間を大切にしてしっかりやりたいっていう想いが、今、すごくあるんですよ。そういうことを考えていたら自ずと出てきた感じです。もちろん、おじいちゃんになってもやっていたいですけど、やっぱり今みたいには歌えないとは思うし…。ある程度自由に体が動く時間は大事にしたいです。まあでも、終わりを憂いているというよりは、“今をちゃんと生きよう”ってことですね」

──ここから12月28日に東京ガーデンシアターで開催される『lynch. 20TH ANNIVERSARY XX FINAL ACT「ALL THIS WE'LL GIVE YOU」』までツアーが続きます。
玲央「怒涛ですね。むしろ前半よりも怒涛です」
葉月「でももうレコーディングはないですから(笑)。僕はもうご褒美みたいな気持ちで待っていますよ、この日々を」
玲央「僕らにとってのご褒美であり、ファンの方にとってのご褒美としても受け取ってもらえるような、そんな日々にしたいですね。ツアーファイナルも、そこにいる人たちもそうですけど、後日反響やレポートを見ていただいた方も幸せな気持ちになれるような内容にしたいですね」
(おわり)
取材・文/山口哲夫
写真/中田智章
RELEASE INFORMATION

lynch./2nd RETAKE ALBUM『THE AVOIDED SUN / SHADOWS【数量限定盤】』
2025年9⽉24⽇(水)発売
KIZC 90783〜6/9,900円(税込)
LIVE INFORMATION

XX act:7 「LIMITED 3 DAYS」
2025年10月13日(月・祝) Spotify O-WEST<MEN’S ONLY>
2025年10月14日(火) Spotify O-WEST<WOMEN’S ONLY>
2025年10月15日(水) Spotify O-WEST<SHADOWS ONLY>
XX act:9 TOUR’25「THE AVOIDED SHADOWS」
2025年10月24日(金) 大阪BIGCAT
2025年10月26日(日) 高松Olive Hall
2025年10月27日(月) 神戸VARIT.
2025年11月1日(土) 福岡DRUM LOGOS
2025年11月3日(月・祝) 鹿児島CAPARVO HALL
2025年11月5日(水) 広島SECOND CRUTCH
2025年11月14日(金) 富山MAIRO
2025年11月16日(日) 金沢EIGHT HALL
2025年11月21日(金) 仙台RENSA
2025年11月22日(土) 秋田Club SWINDLE
2025年11月24日(月・休) 函館club COCOA
2025年11月26日(水) 札幌cube garden
2025年12月5日(金) Live House 浜松窓枠
2025年12月6日(土) 名古屋DIAMOND HALL
XX FINAL ACT
lynch. 20TH ANNIVERSARY XX FINAL ACT「ALL THIS WE’LL GIVE YOU」
2025年12月28日(日) 東京ガーデンシアター