──メジャー 1st full album『私のノクターン』から約1年で、ミニアルバム『波打つ心を持ちながら』をリリースされます。前作から今作までの1年間はかなり慌ただしくて濃い時間だったかと思いますが、振り返ってみていかがでしょうか?
ちとせみな「本当に目まぐるしかったですね。自分たちでツアーを2本企画したり、フェスとかいろんなライヴに誘ってもらったり、“これは大事!”と思うライヴばかりを毎月続けてきたんですけど。“いいライヴとは何か?”ということとすごく向き合って、頭でっかちになっていたときもあったなって、今となっては思いますね。本気で音楽に向き合ったからこその、しんどさではないんですけど、自分の不甲斐なさとか、いろんな感情があって…嬉しいだけじゃなくて、戦った1年でもあったなと思います」
──いろいろ考えて、ぶつかって、打ちのめされながら、それでも前に進んできたと。
ちとせ「そうですね。去年の末に、この1年を通して変わったなと思ったのは、日々考えが脱皮していってる感覚があったんです。1ヶ月前の考えとは全然変わっていたり、自分が分からなかったことや悩んでいたことが、今はもうクリアになっていたり。そこはもう本当に細かくて、私の感覚的なところもあるんですけど、自分の心の持ち様とか、ライヴに向かう気持ちの作り方みたいなものはすごく変わったなって思います。今はすっきりしているし、自分の中で、最新が一番楽しいと思える感じになってきました」
──ちとせさんは、これまでも最新の自分であり、今の自分を歌ってきたと思うんですけど、改めてそれでいいんだと思えたりとか?
ちとせ「それはすごく思いましたね。今を残すことがやっぱり正解というか、残して行くことが好きなんだなと思いました」
──いしはらさんは、ちとせさんのことを横で見ていて、脱皮していくところを感じたりしていました?
いしはらめい「“今、こう思っているんだけど…”みたいな話を3人でよくするんですけど、ポジティヴなほうに変わっていってるなと思いましたね。3人とも弱音は吐くんですけど、ただ吐くんじゃなくて、“こうやって頑張ろうと思っている”みたいな変換ができるようになってきた気がします」
──いい感じですね。いしはらさんにとってはどんな1年でした?
いしはら「私は良くも悪くも考え過ぎた1年でした(笑)。バンドを始めた当初は、“自分が楽しければ、自分がいいと思えたらそれでいいや”っていう気持ちも、多分どこかにあったと思うんです。でも、環境が変わったことによって、自分にはなかった視点をいろんな人からもらったんです。関わる方が変わったり、大きな舞台に立たせていただいたりしたときに、“今までの楽しいだけの自分じゃダメだぞ”って思う瞬間が何回もあって。ただ、考えることがありすぎるし、考えすぎてどれを取ったらいいのか分からなくなってしまっていたんですよね。でも、最終的には今、自分ができる範囲でやれることを、実直にやるしかないんだなっていうことに改めて気づきました」
──実直にやりながらも、でもやっぱり楽しいという感覚もあるんですか?
いしはら「そうですね。めっちゃしんどい瞬間もあるんですけど、それはそれで楽しいのかもなって最近は思っていて…向き合って、挫折して、でも“1歩進んだな”って思える瞬間があったりすると、“楽しいな”って思えるので、やっぱり自分は音楽が好きなんだなって思いました」
──もりもとさんはどんな1年でしたか?
もりもとさな「2人と重複する部分もあるんですけど、音楽に向き合う時間が増えたことで、壁みたいなものにぶつかった1年でした。ツアーで対バン相手のライヴを見て、自分たちはこういうところが足りないとか、こういう繋ぎ方かっこいいなとか、いろんな悔しい気持ちがあって。去年の前半戦は、壁!壁!壁!みたいな感じだったんです」
──相当しんどそうですね。
いしはら「つらかったです(笑)」
ちとせ「なんでバンドやってるんだろうな?…って思ったりとか(笑)」
もりもと「それこそ頭でっかちになっちゃって、周りが見えないぐらい、3人だけの世界みたいになっちゃっていたんです」
ちとせ「ちょっとミスるだけでめっちゃ責め合ったりとか…」
いしはら「めっちゃギスギスしてた(笑)」
もりもと「でも、PAさんとかテックさんの意見も取り入れながら、3人でいっぱい話し合って、自分たちの色とか強みみたいなものを3人が掴めてきて。年末ぐらいにそこまで積み重ねてきたもののひとつの答えを出せた気がしましたし、3人の気持ちもちゃんと揃っていて嬉しかった1年でもあります」
──ここまでお話されていたことって、美しいぐらいに『波打つ心を持ちながら』と繋がっていますね。それぐらい今の自分たちを歌っていると思うんですが、その中でも、「バンドマン」は初ライヴから演奏している曲ですよね。結成が2014年なので、10年前の曲。このタイミングでこの曲を出そうと思った理由は?
ちとせ「「バンドマン」はすごく大切な曲で、いつかどこかで出したいとずっと思っていたんです。でも、例え話ですけど、ドームとかがソールドできるぐらい、でっかいバンドになってから出すよりも、まだまだ壁があって頑張らないといけない時に出すのが、一番リアルというか…まだ成長しきっていない、ゴールに辿り着いていないからこその美学みたいなものが、10年目の今とリンクしたし、この曲と一緒に戦って、積み上げていきたいなと思ったので、今回、収録しました」
──曲を作った当時のことって覚えていたりします?
ちとせ「覚えています。その時は、バンドがしたいし、バンドが好きだし、音楽を作るのが好きなのもわかっていたんですけど、自分が何を歌いたいのか分からなかったんですよね。それで出だしに<本当に歌いたいことが 分かんなくなって>とそのまま書いたんです。それでも好きなものは好きだし、いつか絶対本当に歌いたいことが見つかるはずだと思って。それから10年経って、そのときと今は違う感じではあるんですけど、本当に歌いたいことが分からなくなるときもあるし、ステージに立つのが怖くなる時もあるから、あの頃と同じ気持ちでいれてるんだなって思える曲です。あと、この歌詞はめいと共有しながら作ったんですよ」
いしはら「最初に歌詞を見せてくれたのがファミレスで」
ちとせ「そうそう、サイゼで(笑)」
いしはら「サイゼリヤで、“めっちゃいいなぁ”って言いながら、当時の思いを語り合うというか」
ちとせ「ほぼ共作レベルぐらいの感じで作っていました」
いしはら「自分たちが思う“バンドマンになるというのはどういうことなのか?”っていうのを、分からないなりに出し合った結果がこの歌詞なんです。まだバンドマンでもなんでもなかったあの頃に、なんでこの歌詞ができたのか本当にわからないんですけど(笑)」
ちとせ「10年後の自分に歌ってたっていう(笑)」
もりもと「ははははは(笑)」
いしはら「でも、その当時から刺さるものはあって。あの時もちょっと泣きそうになっていた記憶があるんですけど、今はもっと刺さっていますね」
──もりもとさんは2018年に加入されたわけですが、「バンドマン」を最初に聴いたのはいつだったんです?
もりもと「カネヨリマサルと、私が以前やっていたバンドが初めて対バンしたときですね。サビにキャッチーさがあるから、めっちゃ頭に残って、“カネヨリマサル、めっちゃええなぁ”って、前のバンドメンバーとしゃべっていて。その事を共通の友達というか先輩がいるんですけど、その人に話していたら、それが加入のきっかけになって…」
──「バンドマン」は、もりもとさん的にも始まりの曲みたいな感じなんですね。
ちとせ「ほんとだ(笑)」
もりもと「一番覚えていた曲なんですよ。2人とスタジオに入って、「バンドマン」をやってくれた時に、“この曲、めっちゃ聴いたことある!”って(笑)。自分にとってもすごく思い入れのある曲なので、このタイミングで出せるのはとても嬉しいです」
──他の曲も素敵で、タイトルから気になったのが、「ラブソングがいらない君へ」だったんですけど。
ちとせ「ラブソングっていうだけで“聴かない”とか、“ラブソングをよく歌うバンドは、自分はちょっと好きじゃない”みたいなことを言う人って、巷にもいるし、私が好きだった人とか、付き合っていた人にもそういう人が多くて。私は曲を作っている人間ですけど、別にラブソングにこだわっているわけでもないし、特別視もしていなくて。今、歌いたいことを言葉にしていったらラブソングができているっていう、人生の中の気持ちの種類のひとつだと思っているから、それが聴かれないのは“悔しいな”と思っていたんです。でも、私はそれも突破したいというか…ラブソングはいらないし、興味がない人のことも私は思っているし、そういうあなたにも歌っていたいし、自分がラブソングに助けてもらったこともあるので、自分にとってのラブソングの意義みたいなものと向き合いながら、いつもと違う角度から書けた曲だと思います」
──となると、書き始めたきっかけとしては、悔しさ?
ちとせ「悔しさはずっとあったんですけど、でも結局は、何を選ぶのかはその人の自由だと思っているので、ただ“私はこう思っているよ”っていうだけなんです。私はこう思ってるし、あなたのことも思っていますっていう」
──冒頭で前作からの1年間のお話をお聞きしていたときに、「番外編」のことが頭に浮かんできて。すごく伸び伸び演奏しているけど、芯はすごく太くて、歌詞も、過去を振り返りつつもいまの自分を歌っているし、まさにだなと思ったんですが、この曲はいつ頃作り始めたんですか?
ちとせ「いつだったっけ…去年?」
いしはら「去年の夏から秋とか?」
──その当時は、落ちていた時期なのか、見えてきた時期なのか。
いしはら「落ちていた時期です(笑)」
もりもと「やることも結構多い時期だったんです。ちとせは作曲期間だったんで、自分といしはらだけで何か進められるものはないか?っていうときに、“この曲がいいんじゃないか?”っていうことになって、2人でスタジオに入って…」
いしはら「でも、「番外編」をアレンジしているときは、“やらなきゃ!”というよりは、ラフな感じで自由に作っていた記憶があって。だから、普段の生活は追い詰められていたけど(笑)、スタジオで曲を作っているときは楽しかったです」
ちとせ「今、思い出したんですけど、“春の曲を作ろう”ってことになって、わりと早いスパンで作ったんです。0から1にする時間がめちゃ短くて。でも、長さは関係なく、自分の歌いたいことを突き詰められた感覚もあります。ひとつの恋愛からいろんな歌ができると思うんですけど、鮮度の落ちた恋愛を歌えたのは、自分の中ではまた新しい角度の曲が書けたなと思って嬉しかったです」
──いいワードですね、“鮮度の落ちた恋愛”。
ちとせ「(笑)。あと、昔好きだった人に“あのステージに立ちたいんや”っ言ってた場所に実際に立てたり、成長もさせてもらっていた時期でもあったので、当時のことを思い出しながら、本当の歌を書けたなと思います」
──ちとせさんのギターリフって、すごく耳に残るものが多いんですけど、本人的に“これはいいギターが弾けたな”と思う曲ってどれですか?
ちとせ「「君にさよなら」かもしれないです。この曲はアレンジャーさんと一緒にやらせてもらったんですけど、5人ぐらいいないと再現できないんじゃないか?っていうぐらいギターを重ねていて。ラスサビの追い込みで細かいフレーズが増えたりするんですけど、今までそういう曲を作ってこなかったんです、スリーピースなので。でも、今回やってみて、ギターの面白さをもらえたし、ギターで感情を作れた感じがすごくあるので、ギターならこれかなと思います」
──いしはらさんがいいベースを弾けたなと思う曲というと?
いしはら「私のお気に入りは「番外編」ですね。自分は、歌に寄り添いながらもベースも歌っているっていうのが好きだし、最終的にはベースを聴いて泣けるものにしたいと思っていて。歌のメロディに泣けちゃうことってあるじゃないですか。すごく心に響く、琴線に触れるみたいなあの感じを、リズム楽器でも出せると思っているんです。「番外編」は、自分の中でそういうベースが弾けたなと思っているんですけど、それもすごく悩んで知恵を絞ったというよりは、自然にあのフレーズが出てきたので、それがめちゃくちゃ嬉しくて。だから今でも「番外編」を聴くと、“なんかいい感じやな”って(笑)」
ちとせ「サビのところとか?」
いしはら「そうそう。落ちサビって普段はギターが多いんですけど、初めてベースの和音を入れてみたんです。それが曲にも、ちとせの歌声にも合っていて。あそこは自分の中で泣けるポイントのひとつですね」
──もりもとさんはいかがでしょうか。いいドラムを叩けたなと思う曲。
もりもと「ちとせとかぶるんですけど、「君にさよなら」のドラムはめちゃくちゃ楽しく録れましたね。今まではクリックに対してどれだけいいプレイができるのか?っていうことだけしか考えていなかったんです。でも、この曲はどういう音を出して、どういう空気感がいいのか?みたいなことを考えていたから、そのための工夫みたいなのをインターネットで探していたら、室内をちょっと寒くしたら切なさが出るんじゃないかっていうのを見つけて」
──環境から作っていくパターン。
もりもと「そうです(笑)。真夏だったんですけど、冷房を一番寒くして、秋の夜の寒さぐらいの気持ちで叩きました。あと、途中に合わせシンバルも実際に自分で叩いて入れたりしていて。今までしたことのない考え方とか、作り方とかがすごく楽しくて、それがでいいプレーに繋がったのかなって思います」
ちとせ「あ、もう1曲ギターで“やったったぞ!”って思ったのが、「バンドマン」のギターソロです。最後の最後に入れたんですけど、10年前のアレンジではギターソロを入れてなかったんですよ。それを今の私が弾くんだ、今だからこれが出来るんだっていう気持ちの入ったソロになったなと思って、ちょっと言いたくなって言いました(笑)」
──(笑)。ありがとうございます。
──アルバムを締め括る「見えないくらいの高速で」も、まさに今の自分たちといった感じですけども。
ちとせ「この曲を作ったのは2022年の夏で、自分がすごく落ち込みまくっていた時期でした。コロナの後遺症で歌が歌えない期間が1ヵ月ぐらい続いたんですけど、なぜか曲も作れなくなってしまっていて…。でも、この曲で這い上がれたというか。自分は負け犬だなって思っている気持ちをそのまま表現したんですけど、結果的に前を向けた歌になって。そういう曲を作れたのがすごく嬉しかったのを覚えています」
──<あの日の私に嘘はつきたくないだけなんだよ>、<あの日の私を正しくするためだけなんだよ>というワードがありますが、その気持ちがあるから進めているところもあると。
ちとせ「ありますね。純粋に音楽だけ好きだった時期も、ステージに立つ人間になるとは考えてなかったんです。そこから活動していく中でいろんな壁があって、自分はステージに向いてない人間だな…って思うときもあって。でも、やっぱり私は音楽が大好きでバンドを始めたっていうことは嘘じゃないし、今もずっと思っているし、そういう私をずっと正しくし続けていきたいなと思って。あと、アンチではないんですけど、本当にいろんな人に文句というか、ダメ出しを言われることもあって。昔、めっちゃ悔しいことを言われたことがあったんです。2016年ぐらいなんですけど、それがずっと忘れられなくて」
──8年前だから、バンドを組んですぐの頃に?
ちとせ「売れてないし、下手やし、活動歴も全然まだまだでしたけど、それでも愛と志と夢はあったんです。でも、“わかってないなぁ”みたいなことを言われて。すごく悔しかったんですけど、何も言い返せなかったんです。“なんでそんなこと言うの?”ってことすら言えなくて。その人とはもう会わなくなったんですけど、でも、今だったらあの文句を言い返せるなって思えて。それぐらい自分は強くなってたんだなって、書き終えたときに思いました」
もりもと「これはバンドの核になる曲だなっていうのは、3人とも思っていて。歌詞にもあるんですけど、去年は本当にずっと暗い顔していて。ステージでは全然違うんですけど、その裏では悩んでいた時期がめっちゃあって。そのことが走馬灯みたいな感じで頭に流れます、この曲を叩いてると(笑)」
──あの苦しかった期間が(笑)。
メンバー一同「ははははは(笑)」
もりもと「でも、今は自信持って、“聴いてよ!”みたいな。“めっちゃいい曲できたよ!”って自信満々で言えるぐらいになりました」
いしはら「こういう悔しいことがあって、この歌詞になったっていうのを私も今、聞いたんですけど、その話を聞いていなくても“わかる!”って思うぐらい、同じようにバンド人生を歩んできていて。全部の歌詞が自分と重なっていたから、自分も“悔しい!”って思いながら弾いていました(笑)。弱い自分を正しくするためとか、ちゃんと次に進むための曲って自分はすごく好きだし、カネヨリマサルはそういう曲が多いというか、そこは大切な核だなと思っていて。本当にいろんなことを思い出しながら、“それでも自分は前に進んでいくぞ”っていう気持ちで弾いてましたね」
──ライブでやったら、もしかしたらかなりグっときてしまう感じも…。
いしはら「たぶん泣いちゃうかも(笑)。私は自分たちのバンド人生を重ねているんですけど、観てくださってる方にはいろんな感情があると思うんです。自分らとしては、そういった苦しい思いからできた曲を演奏しているけど、観てる人にとっては、それがなんかキラキラしていたり、すごく熱いものに観えていたらいいなって思うので、そこでお客さんと気持ちが重なった瞬間は泣くと思います(笑)」
──そして、本作を持ってワンマンツアー「彗星みたいになりたいツアー」が行なわれます。そちらも含めつつ、2024年はどう活動していきたいですか?
いしはら「ライヴでお客さんのその日一日もそうですし、その後にもめちゃくちゃ記憶に残るライヴをしたいなって最近はすごく思っていて。カネヨリマサルを好きと言ってくださる方って、ステージから見たら本当にたくさんいて、1人ひとりとは会話もできないし、どういうふうに好きなのかもわからないし、自分たちも不特定多数の方に向けた言葉しか言えないんですけど。でも、そういう人たちから熱い想いのメッセージをもらうと、1人ひとりの人生の中にカネヨリマサルはいるんだなってめっちゃ実感するんですよね。そこは数の話ではないんですけど、そういう熱量を持っている人がいっぱいいたら、自分たちももっと嬉しいし、それだけの人たちの人生に関われてるんだなっていう気持ちになるので、ライヴも音源ももっと突き詰めていきたいし、人の心に刺さるものを作りたいなって思ってます」
もりもと「去年は本当に落ち込んでいて…何回も同じことを言ってすみません(笑)。今、やっと自分たちのいいところを掴めたので、それを突き詰めていきたいです。ワンマンツアーも初めてなので、この武器を持って、一歩一歩レベルアップしていきたいです」
──初ワンマンツアーは不安よりも楽しみのほうが強いですか?
もりもと「いや、不安です…(苦笑)」
ちとせ・いしはら「ははははは(笑)」
もりもと「ワンマンのときって、いつもとお客さんの拍手の音量が違い過ぎてびっくりしちゃって。それで感極まった人もいたんですけど(笑)」
いしはら「最初のワンマンのときね(笑)」
もりもと「そういうところもありつつ、すごく緊張もしていて。特別な日だと思い過ぎてしまったというか。もちろん特別な日ではあるんですけど、思い過ぎるとやっぱり身体が硬くなって動かなくなっちゃたりするので。そこはいつも通りにしつつ、特別な日を増やしながら、いい音をしっかり届けられたらと思っています」
──いしはらさんは、初ワンマンツアーに対しては不安と楽しみ、どちらが強いですか?
いしはら「不安…」
──だいぶ小声でしたね(笑)。
いしはら「(笑)。なんか、交互にきますね。“楽しみになってきた”と思ったら、“やっぱり不安かも…”っていう感じなので。どっちかがめっちゃ上回ることはないのかもしれないです。終わったときに“めっちゃ楽しかった!”って思えるツアーにはしたいなと思ってます」
ちとせ「私も2人に全く同意なんですけど、あともう1つプラスで。ツアーはもちろん、他のライヴとか制作とか、とにかく目の前のことを頑張ることを意識したいなと思っていて。最近は1日単位で考えが変わっていて、成長も反省点もあって、3歩進んで2歩下がる毎日なんですけど、前は思っていなかったことに気づけたりするのが楽しいんです。自分の中にまだ伸びしろがあったのか!とか、ライヴ1本の考え方に私はまだこんな発見をできたのか!っていうのが、すごく楽しくて。そうやって目の前のことを大事にして生き続けたら後悔しないだろうし、きっといいライヴにもなると思うので。そういう気持ちでワンマンツアーを廻りたいし、音楽活動に向き合いたいです。先のことを考えすぎるとすごく不安になるけど、とにかく今を生きる。昨日とか、1ヶ月先のことじゃなく、今日を生きることを目標にしたいなと思っています」
(おわり)
取材・文/山口哲夫
写真/野﨑 慧嗣
RELEASE INFORMATION
カネヨリマサル『波打つ心を持ちながら』
2024年2月7日(水)発売
通常盤(CD only)/VICL-65918/2,310円(税込)
初回限定盤A(CD+Blu-ray)/VIZL-2273/4,840円(税込)
初回限定盤B(CD+DVD)/VIZL-2274/4,400円(税込)
ストリーミング / ダウンロード >>>
LIVE INFORMATION
カネヨリマサル ONEMAN TOUR 2024 「彗星みたいになりたいツアー」
2月25日(日) 名古屋 DIAMOND HALL
3月21日(木) 札幌 PENNY LANE24
3月23日(土) 仙台 darwin
3月29日(金) 福岡 BEAT STATION
3月31日(日) 広島 LIVE VANQUISH
4月11日(木) 東京 EX THEATER ROPPONGI
4月21日(日) 大阪 なんばHatch