――3月7日に開幕する全国アリーナツアー「EXILE THE SECOND LIVE TOUR 2024“THE FAR EAST COWBOYZ”」の直前にデジタルリリースされた「THE FAR EAST COWBOYZ E.P.」。その1曲目を飾る「We are the best」には、“今がベストであると信じ、前向きに歩んでいこう”というポジティブなメッセージが込められていますが、同時に“今”に至るまでの苦悩や挫折など、決していいことばかりではない紆余曲折が隠されているようにも感じました。

SHOKICHI「そうですね。日々生きていると、自分のことでも“あの頃はよかったな”と思ったり、はたまた誰かの人生を羨んだり。人ってどうしても、今の幸せの基準を過去のどこかや誰かと比べてしまうことがあると思うんです。僕らも踊りとかのパフォーマンスが全盛期かと言われれば、そうではない年齢に差し掛かっていますし、膝が痛いとかもありますし(笑)」

NESMITH「膝痛いです!毎日労ってますよね(笑)」

SHOKICHI「そうそう(笑)。でも、そんななかで、潔く“今が最高”と思うことができたら、幸せにつながっていくんじゃないかなと思うんですよね。楽観的かもしれないけど、そういうメッセージがこの曲には込められています」

――昨年のホールツアーのテーマが“別れ”だったことを思うと、より今回のメッセージが説得力を持つように感じられます。

SHOKICHI「まさしくおっしゃる通り、前回のツアーは割とセンチメンタルというか、哀愁を感じるような内容で。今回のツアーはそれを乗り越えてじゃないですけど、別れとかいろんなことを経験して、でも“今が最高”と思える自分でまた新たな挑戦をしていくEXILE THE SECONDみたいなストーリーがあります。「We are the best」は、そのアリーナツアーに向けて制作していきました」

――そうした背景やストーリーは、どんな風にメンバー間で共有するんですか?

NESMITH「5人の新体制になってからの作り方としては、毎回SHOKICHIが楽曲とともにイメージやコンセプトを提示してくれて、そこにメンバーがいろいろとアイデアを出して肉付けしていく感じなんです。それは、じゃあ会議を開きましょうってこともあれば、自然とライブの合間で話したことから広がっていくことも。今回のコンセプトも、方向性を決めるときにSHOKICHIからキーワードだったり、イメージした絵だったりを書き出してくれたものがあって。そこから楽曲のことやビジュアルのこと、ツアーのセットについてなど、いろいろディスカッションしていった上で、じゃあタイトルをどうしようって言って出てきたのが「THE FAR EAST COWBOYZ」だったんです。このタイトルが決まったことが原点となって、楽曲をはじめとするいろいろな面につながっていきましたね」

――「We are the best」を受け取ったときの印象はいかがでしたか?

NESMITH「そんなに長尺の曲ではないけど、すごく展開があって。特に、一番最後のセクションでどんどん薪がくべられて熱量が増していくような、自分の鼓動も早くなっていくというか。なんていうんだろう……自分の身体が熱を帯びていくような、そういう力強いメッセージを感じたので、この曲をライブでやるときはすごいことになるなと思いました」

――聴いた瞬間から、ライブの風景までもイメージできたと?

NESMITH「そうですね。内側からゴーーーーーー!って湧き上がってくる。これまでのツアーのタイトル曲とも違う、今のEXILE THE SECONDの5人がステージに立ってる感じが見えて。自分たちを奮い立たせてくれるので、今回のツアーだけでなく、EXILE THE SECONDのテーマソングと言っても過言ではないくらいの力強さでしたね」

――今NESMITHさんが話してくれたような感想って、他のメンバーからも届くものですか?

SHOKICHI「曲ができたときに、メンバーとのグループLINEに“こういうのができました”って投げさせてもらうんですけど。まあ、“イメージ浮かびますね”とか、そういう感じですね(笑)」

――そこからパフォーマンスについてのディスカッションが始まることも?

SHOKICHI「そうですね。逆に、僕のほうから“このパートで踊ってほしいです”とリクエストすることもあります。自分が曲を作るときは、ここでこういうダンスをして、ここでこう盛り上げて、バンドアレンジはこういう感じで…と、常に一連の流れをイメージしながら作ってます。今回の「We are the best」は自分の中でのイメージが明確にあったので、制作もスムーズでした」

――「We are the best」はMVも公開されていますが、ああいった世界観のイメージもすでにSHOKICHIさんの中にあったんですか?

SHOKICHI「そうですね。曲を作っている段階でああいうビジョンを持っていたんですけど、完成した曲を聴いたメンバーも、きっとああいう感じが浮かんでいたと思います」

――なかでもお気に入りのシーンはどこでしょうか。

SHOKICHI「ふたつの太陽が重なるというモチーフは、新しいコンセプトだなって思いました。あれは監督さんのアイデアだったんですけど、地球じゃないどこかみたいな感じで面白いなぁと思いましたね」

NESMITH「僕も同じですね。監督さんがあのアイデアを提案してくださったのを聞いて、自分たちのイメージとシンクロしたというか。客観的な立場からああいうイメージを持ってもらえたのもうれしかったですし、「THE FAR EAST COWBOYZ」っていう今回のEPも、アリーナツアーも、あれをシンボリックにするのがみんなの共通認識にハマったというのもありがたかったですし。また、壮大な自然のなかで撮っていただいたことも、楽曲のスケール感をより増幅させてくれたと思います」

――「We are the best」では、「“We are the BEST” LIMITED VIDEO」というファン参加型の企画も準備されていますが、メンバーのみなさんにとってもどんなものが完成するか楽しみですね。

NESMITH「そうですね。ツアーがすべて終わってから、新たに作るものになるので」

SHOKICHI「ツアー中も一緒に楽しんでもらえたらうれしいですね。さっきお話ししたMV監督のアイデアもですけど、曲って、監督さんからの情報、ファンのみなさんが聴いたり、感じたりしてくれた情報、そして、時が織りなす情報によって、どんどん深いものになっていくんです。よく、“曲が育つ”って言うんですけど。そういったたくさんの情報によって、作った曲が何倍にも良くなっていくのは音楽の素晴らしいところだと思います」

――今作のEPには「We are the best」以外にも、「Winner」と「アムルーズ」という新曲が収録されています。「Winner」は東京マラソン2024の公式テーマソングでもあり、「We are the best」同様、パワーをもらえる楽曲です。

SHOKICHI「EXILE THE SECONDはライブでもしばらく新曲を披露してこなかったんですけど、今回久しぶりのアリーナということで、僕らのエナジーを新曲で表現できたらと思って入れました」

NESMITH「ライブですごいことになると思いますよ!」

SHOKICHI「バンドアレンジで、この5倍くらいかっこいい曲になってるので」

NESMITH「もう、空いた口が塞がらないくらい。いきなりトップギアで、“スッゲーな!”って感じになると思うので、期待していてください」

――ライブで卒倒しないように準備しておきます(笑)一方「アムルーズ」は切ないラブストーリーを綴ったミディアムバラード。この楽曲はALAN SHIRAHAMA(白濱亜嵐/EXILE、GENERATIONS、PKCZ®)さん、SLAY(DOBERMAN INFINITY)さんとの共作です。

SHOKICHI「亜嵐とは一緒に曲を作ることが多いんですけど、アップテンポをたくさん作ってきたので、バラードをやってみたくて。“一緒に作ろうよ”と声をかけて、最初に僕がピアノで曲の骨組みを作って渡して、そこに亜嵐が肉付けしてくれる形で完成しました。SLAYもよく亜嵐と二人三脚でやってるし、過去にはEXILEの楽曲だったり、iCON ZでプロデュースさせてもらってるTHE JET BOY BANGERZの楽曲だったり、何曲か一緒に制作をしたことがあるんです。その流れで今回も一緒に入ってもらいました」

――NESMITHさんは「アムルーズ」についてどのような印象を持ちましたか?

NESMITH「亜嵐だったり、SLAYだったりのテイストも入っているとは思うんですけど、そこにSHOKICHIの歌詞が乗って、SHOKICHIの息吹が入ると、やっぱりEXILE THE SECONDらしさが出るんですよね。歌われるテーマも自分たちの年齢にすごくハマっていて。また、歌詞に素敵な日本語がたくさん出てくるので、まるで短編小説を読んでいるような感覚にもなりました。情景を思い浮かべながら感動するシーンがありましたね」

――SHOKICHIさんはいろいろな方に楽曲提供されていて、多作というイメージがあるのですが、EXILE THE SECONDの楽曲を作るとなったときはどんなことを意識するんですか?

SHOKITI「どうだろう……でも、やっぱり自分の声の感じですかね。EXILE THE SECONDはガッツリいったりするので、そのテンション感の違いで曲を分けている気がします。3月にリリースしたソロアルバム『DOZEN ROSES』ではたぶんEXILE THE SECONDでの声量の5分の1ぐらいで(笑)。キーもだいぶ低いし、歌い方もなるべくアタックを出さないように心掛けたりするんですけど、EXILE THE SECONDのときはパフォーマーチームが踊りやすい滑舌とか、ファンのみなさんにエネルギーを感じてもらえるようにとかを意識するので、そういったアプローチの違いがありますね」

――同様に、EXILE THE SECONDで歌うNESMITHさんのストロングポイントを意識されたりしますか?

SHOKICHI「ネスさんは楽曲にアジャストしていくタイプというよりかは、自分のスタイルというのがあって。それがネスさんのオリジナリティであり、魅力だと思うんですよね」

――歌唱に際して2人で歌い方を打ち合わせることもあるんですか?

SHOKICHI「昔はありましたけど、今はお互い自由にやってます」

NESMITH「流れとしては、まずSHOKICHIがフルで歌った音源をくれて、後から僕が自分のパートをレコーディングするんです。なので、僕はまずSHOKICHIが歌っているのを聴いて、メロディやニュアンスを汲み取りつつ、そこに自分なりのアプローチを入れていくっていう。事前に打ち合わせたりはしないんですけど、2人の声を入れて完成したのを聴くと、“EXILE THE SECONDの音だね”ってなる。音としてはそうだし、そこにパフォーマーも加わり、5人でパフォーマンスをするってときに、そこでまたEXILE THE SECONDらしさみたいなものが生まれてきて……本当、そういう一つひとつの集合体でできているなと思います」

――本当の意味での楽曲の完成形はステージの上ということですね。

SHOKICHI「そうですね」

――期間限定で過去のライブ映像が公開されていましたが、EXILE THE SECONDのアリーナツアーといえば、ああいったゴージャスさをイメージしてしまいますが、今回のアリーナツアーはどうでしょう?

SHOKICHI「あの頃――特に「WILD WILD WARRIORS」の頃は――足し算しか知らなかった時代なので(笑)」

NESMITH「ギラギラしてますよね(笑)。でも、「WILD WILD WARRIORS」で大きかったのが、「Choo Choo TRAIN」をジャズアレンジにしたことだと思っていて。SHOKICHIがアイデアを出して、バンドメンバーとともにあの形を提示したっていうのは、本当に革命に近いものだと思うんですよね。EXILEの楽曲をああいう風にアレンジするのがOKなんだってこともですし、それまでいろんなアーティストさんが「Choo Choo TRAIN」を歌ってきた歴史があるなかで、その本筋であるEXILEがまた新たなものを提示するっていうのは、EXILE THE SECONDならでは。全員がEXILEのメンバーだからこそできたことだと思うし、あれがEXILE THE SECONDのひとつのスタイルになったと思いますね」

――今回のツアーでもああいったサプライズが用意されていたり?

SHOKICHI「今回はあれを超えるサプライズが、ネスさんに……」

NESMITH「あの飛び道具ですね !?(笑)」

SHOKICHI「そう、飛び道具。「Choo Choo TRAIN」なんてもんじゃないです」

――おお!

NESMITH「もう、とことん行きますよ(笑)。「Choo Choo TRAIN」を超えていきましょう!」

――期待しています(笑)。会場に足を運ぶファンの方たちがよりライブを楽しむためのヒントをいただけますか?

SHOKICHI「いちばんは、「We are the best」のコーラスをやってほしい。1曲目からガッツリ歌ってほしいです」

――1曲目って言っちゃっていいんですか !?

SHOKICHI「全然大丈夫です(笑)」

NESMITH「今までもそうだったので(笑)。ファンのみなさんも、“ツアーに向けた曲ってことは、つまり……”と思ってると思います」

SHOKICHI「「We are the best」はみんなの声が入って完成するので。他にも、EXILE THE SECONDのライブは、めちゃくちゃ声出したり、一緒に踊ってもらうシーンが多いので、ぜひとも自分の殻を破ってどんどん参加してもらいたいなと思いますね」

NESMITH「あと、過去に言われたのが、僕らのライブは18禁だ、と(笑)。ファンの方からのコメントに、“娘と観に行ったんですけど、娘に見せるのが恥ずかしくて、うわーっ!となりました”っていうお母さんがいたりして(笑)。今回、そういう方向でも覚悟と言いますか(笑)、いい意味ですごく刺激的な、いろんなシーンのあるライブになると思うので、楽しみにしていてほしいですね」

――そして、今回のツアーにはTHE JET BOY BANGERZの参加する公演も発表されていますね。

SHOKICHI「はい。彼らが加わることで迫力が出るのはもちろんなんですけど、何よりフレッシュなので(笑)」

NESMITH「熟成されたものとフレッシュなもの、どちらも楽しめます(笑)」

SHOKICHI「彼らのファンのみなさんにも喜んでもらえるようにしたつもりなので。THE JET BOY BANGERZの魅力っていうのも、来てくれた全員に届くように、いろいろな面を見せていきたいと思ってます」

――最後に改めて全国アリーナツアーの見どころ、そして意気込みをお願いします!

SHOKICHI「6年ぶりのアリーナツアーで、新曲も用意させてもらったので、僕らのエネルギーを感じていただけたらうれしいです。みんなが楽しめるような工夫をたくさん用意してあります。一緒に楽しみましょう!」

NESMITH「アリーナという大きい会場ですけど、めちゃくちゃ近く感じられるようなライブになると思います。昨年のツアーを経て、いよいよ動き出すという今のTHE SECONDを感じてもらいつつ、さらに先が楽しみになるようなツアーにしたいですね」

(おわり)

取材・文/片貝久美子
写真/平野哲郎

EXILE THE SECOND LIVE TOUR 2024 “THE FAR EAST COWBOYZ”LIVE INFO

3月7日(木)マリンメッセ福岡 A館
3月16日(土)横浜アリーナ
3月17日(日)横浜アリーナ
3月23日(土)長野ビッグハット
3月24日(日)長野ビッグハット
4月13日(土)大阪城ホール
4月14日(日)大阪城ホール
5月11日(土)三重県営サンアリーナ
5月12日(日)三重県営サンアリーナ

EXILE THE SECOND LIVE TOUR 2024 “THE FAR EAST COWBOYZ”(LDH)

EXILE THE SECOND「THE FAR EAST COWBOYZ E.P.」DISC INFO

2024年3月1日(金)配信
rhythm zone

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