──ソロ活動3周年となる8月20日にMajor 1st Mini Album『らぶあるばむ』を実際にリリースして、メジャーデビューしましたが、何か心境の変化はありましたか?

「“今、目の前のことを全力でやることが大事“と思っているので、感覚的には正直、そんなに変わっていなくて…。ただ、形として、CENTがメジャーデビューできたことが人生の中でもすごく嬉しいですし、ちゃんと生き方を提示していきたいと思うので、毎日を自分が一番楽しんでできるように、頑張っています」

──“提示したい生き方”というのは?

「自分が一番楽しんで生きることです。それが伝わらないとみんなも楽しんでくれないと思っていて。自分が自分を愛するように生きていくことを心がけないと枯れてしまうので、人の言葉とか、褒めてくれる言葉をたくさん吸収するようにしています。例えば、“このほうがよかった”って言われた言葉も吸収して自分の養分にしています。何もないよりは何かあったほうがいいですし、全てに意味があると思うので。だから、SNSを見ることも大事にしています。自分のエゴだけで生きていると私は枯れちゃうので、人と話すようにしています」

──『らぶあるばむ』に関してもいろんな声が届いたんじゃないですか?

「そうですね。皆さんの手元に届いて、聴いてもらえるようになって、『らぶあるばむ』自体が愛してもらえている感覚がありますし、“CENTのライブやCENTとしての色がもっと豊かになったね“って言葉をもらえることが多くて。みんなに届いてくれている『らぶあるばむ』によって、私も”らぶ“をもらって、日々、嬉しく思っています」

──今、振り返るとご自身にとってはどんな1枚になりましたか?

「“らぶ”をテーマに掲げて制作し始めたんですけど、完成したらどんな形になるのかな?っていう想像は全然できていなくて。かなり心配性ですぐに不安になる部分もあるので、実は“これで大丈夫かな?”と思うこともたくさんありました。でも、完成してみたら、すごくカラフルで、ハイパーポップやちょっとチルなR&Bとか、今までになかった新しいジャンルに飛び込むこともできました。自分で超えるべきものはまだまだあるんですけど、“決めつけることをやめたい“って思いましたし、自分で作詞から作曲までやることをしっかりと形として終えられたという1つの達成感がありました。だから、『らぶあるばむ』はMajor 1st Mini Album1本目ですけど、自分としては、成長の過程として大事だったかもしれないです。生まれたてっていうよりかは、入学したみたいな感覚があります」

──どこに入学しました?

「小学校ですね。幼稚園くらいは十分に育ってきたかな?って。私はBiSHから地続きだと思っているので。CENTだけの話じゃなくて、音楽をやってきたBiSHの時間があって、今、ここにいると思っています。それまですべてを掛け合わせたものから今があるっていう感じです。幼稚園で物心がつくくらいのことは十分に経験したかな?って。小学校でも人との関係値とか、学んでいくことはたくさんあって、自分も育てていかないといけないと思います」

──そして、小学校に入って1ヶ月で早くも新曲がリリースされます。ミニアルバムのリリースからほぼ1ヶ月という短いタームで新曲をリリースするということはご自身ではどう感じていますか?

「“全力で生きている“って思います。今しかない人生を全力で生きる。私は常日頃、そうやってまい進しているので。メジャーとして一歩目を踏み出して、そこから二歩目、三歩目、十歩目って一緒に走ってくれている人たちがいるからこそ、こうやって頑張れたり、好きだったアニメのオープニングテーマに選んでもらえたりしています。だから、ほんとうに嬉しいです」

──アニメ、好きなんですね?

「アニメは大好きです。「百日草」がTVアニメ『RINGING FATE』のエンディングテーマになった時も、ものすごく嬉しかったんですけど、やっぱりオープニングテーマって、私がアニメを見てきた中で、どうしても心に残って、アニメと一体化しているイメージがあって。そのアニメの最初のイメージを決めるきっかけにもなるものなので、オープニングテーマに決まった時は、“ヤバい!”って思いました(笑)。嬉しすぎてヤバい、みたいな。人気のアニメですし、きっといろんな人がこの曲を聴いてくれるんだって思うと、すごく高揚したというか…“高まる!”って感じはありました」

──ちなみにご自身ではどんなアニメを見てきましたか?

「いろいろ見てきたんですけど、高校生の時にすごくアニメにハマっていたんです。一番好きなアニメは『エヴァンゲリオン』と『エウレカセブン』です。『マクロスF(フロンティア)』や『とらドラ!』も大好きですし…」

──ロボットが出てくるアニメが多いですね。

「割とロボアニに寄っていたと思いますけど、別にロボアニが好きなわけではなくて…ストーリーとキャラクターの個性と楽曲がすごく好きだったんです。アニソンを歌うことが大好きで歌うことが好きになりましたし、BiSHのオーディションもアニソンを歌って合格しているので」

──何を歌ったんですか?

TVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』のエンディング主題歌「ハレ晴レユカイ」を歌って合格したので、私にとってはアニソンって切っても切れなくて。今でも「娘々(ニャンニャン)サービスメドレー」を歌えるくらい大好きですし、かなり影響を受けています」

──新曲「yummy goodday」はTVアニメ『とんでもスキルで異世界放浪メシ2』のオープニングテーマですが、作品はご存知でしたか?

「知っていました。最初は異世界系が苦手だったんですよ。転生ものがたくさんありすぎて、なにがなんだか、どれがどれだかもわかんなくなっちゃっていたんですけど、このアニメは少し視点が違っていて。大人が見ても面白い異世界系だと思って見ていたらハマっていって…お話をいただいたときは“えっ、これ?”みたいになってすごく嬉しかったです」

──どんなところが面白いと感じていますか?

「モンスターとただ戦うだけではなくて、主人公がモンスターに対してちゃんと愛情があって仲間になったり、モンスター自体にも感情があって。そういうところに魅力を感じます。ただ戦うとか、突き進むだけではない、人間らしさというか…。人間ではないですけど、ちゃん感情があって、生き物たちが先に進んでいく物語で。音楽をやっていく上でも私には仲間がいて…今は1人ですけど、違った形でたくさんの仲間がいて、ライブに来てくれる仲間がどんどん増えていく感じもあります。そういう絆みたいなものを感じて、すごく好きです」

──それは「yummy goodday」にも反映していますね。

「そうですね。今回、“仲間”はテーマの1つにあります。まず、オープニングテーマなので、疾走感とポップさと明るいイメージで曲を作りたいと思っていました。いろんなことに柔軟に一緒に作ってくれる人と一緒にやりたくて、岩崎(慧/セカイイチ)さんにお願いしました。すごくいい曲を作ってくださったので、自分なりに歌詞が湧き出た感じがします」

──どんなものを書きたいって思っていましたか?

「第1期は見ていたんですけど、自分らしさがあったほうがいいと思ったので、出来るだけ影響されないようにしました。あえて、あまり聞き返したりしないようにしていたんです。私が一番感じていたのは、“美味しい”とか、“楽しい”、“嬉しい”みたいな単純な感情が“幸せ”のもとになって、子供から大人までハッピーな日々を生きれるってことです。その小さな喜びや感情の交換が世界を変えていって、“平和にしたい”っていう想いにつながっていくっていう…。“もともと自分の中にあったものがここに表現できる“ってリンクしたのですごく書きやすかったです」

──CENTとしての生き方と重なっていますよね。

「はい。ごはん、食べる、仲間、旅…それってアニメのテーマでもあるし、私のテーマにもなっていて。やっぱり美味しいものの元には幸せが集まってくるっていう感覚があるんですよね。私はカレーが好きで、スパイスが好きなんですけど、そこでできる輪や仲間の強さみたいなのを見てきました。そんな自分の人生の中で見てきたものとリンクしていて。このアニメの中では戦いがあったり、いろんなことが待ち受けているんですけど、“仲間と一緒にいたらきっと大丈夫だよ“って伝えたかったですし、このアニメを通して、”自分らしく生きることで戦えることがある”って感じてもらいたくて。日々のキラキラするものが、もっとキラキラと見えるようになったり、戦うための栄養になってくれたらいいな…讃歌になったらいいなと思って書きました」

──異世界や音楽とは違う場所で戦っているみんなの人生讃歌にもなっていますよね。しかも、<エゴも必要ね/愛がありゃ超ハッピー>というCENTさんらしいフレーズもあって。

「そこはすごく私らしいと思います。いいことをたくさん歌ってくれる曲も好きなんですけど、私はやっぱり素直にいたいと思っていて。だから、本来、生きていて感じる…こういうことってわざわざ入れる必要ないんですけど、ちゃんと言葉にして入れることで、人間らしく受け取ってもらえるかな?って。聴いてくれてる人も、“あ、そうだな”って。改めて、“無理して綺麗に生きなくていいんだよね“って提示したくて、いつも、少しだけそういうことを入れたりしますし、私自身への讃歌でもあるかもしれないです」

──先ほど少しカレーのお話が出ましたけど、もう少し詳しく聞いてもいいですか?

「カレーには大きな幸せの輪のイメージがあって。私はもともとお母さんのカレーか、給食のしかカレー食べたことがなく、お外でカレーを食べるっていう習慣がなくて。だから、母の味がカレーの味だと思っていました。大好きだけど、好物か?って言われたら、当たり前に食卓にあるものだから、そうじゃなかったです。でも、BiSHでツアーに行ったりするときに、“1人でできる何かを見つけよう“と考えて…”カレー屋さんに行ってみよう“と思いたって。行ってみると、どのカレー屋さんにも作る人の人柄がカレーに出ているし、楽しそうに生きている人が多くて、”面白いな“って思ったんです。カレー屋さん同士とか、カレー好き同士で仲間がいて、サークルみたいにすごく仲良くなっていて。”スパイスが好き“って、ただそれだけなのに、人生を一緒に共有している人たちが多すぎて…”カレーってすごく輪を作る存在なんだな“って感じました。それは別に日本だけじゃなくて、世界的にも輪を作れるパワーがある食べ物だから魅力を感じます」

──そこで、どうしてカレー屋さんだったんでしょうか?

「“行きたい”って思えるのが、カレーでした。その時の私はカレー屋さんに魅力を感じたんですよね」

──欧風カレーではなく、スパイスカレーなんですね?

「あまりそこに対してこだわりはなくて。“どっちが好きなの?”って聞かれるんですけど、どっちも好きです。今はスパイスの番組をやっているので、スパイスに詳しくなりましたけど、欧風カレーも大好きですし、お母さんが作る家のカレーは欧風カレーでした。うちは、たまに味変で醤油を入れたりしていましたけど、あとは普通にこま切れ肉、じゃがいも、にんじん、玉ねぎくらいのオーソドックスなカレーです。あまり食べ物にこだわりがなくて…もうそれだけで美味しいって思っていたっていうか、ほんとうに美味しかったです」

──各地でいろんなカレーを食べて、特に好きになったカレーはありましたか?

「それぞれ良さが違うっていう感じで、たくさんあります。でも、自分が“出会ったな!”って思ったカレーはずっと好きです。…あ、今、思い出したんですけど、どうしてカレーが好きになったのか?って言われたら、初めて一人暮らしをした頃に通っていたカレー屋さんがすごく美味しくて。居心地が良くて、店主さんも面白い人で、かなりパワーをもらってBiSHを頑張れていたので、その影響はあります」

──どこのカレー屋さんか聞いても大丈夫ですか?

「この前もイベントで使わせてもらったんですけど、下北沢のYOUNGってお店です。そこのカレーはずっと美味しいって思い続けています。もし行く機会があったら、絶対にキーマを相盛りしてください!」

──ぜひ行ってみたいと思います。

──お話を聞けば聞くほど、旅、仲間、食というアニメのテーマとツアーが重なってきます。

「確かにそうですね。日本の人って地方に行って美味しいもの食べることをすごく楽しんでいるじゃないですか。それってすごくいいことだなって思いますし、そういう単純な喜びのようなもので、元気になれる人間ってすごくいいって思います。私も、美味しいっていうこと、美味しいを見つけることを大事にしています」

──また、サビはライブにも繋がっていて…<ohohoh〜>でシンガロングしている光景が見えます。

「そうです。ライブで一緒に手を上げて歌えるような曲にしたいって想いがあったので。みんなが一緒に歌っているのを想像しながらレコーディングしていましたし、初めて聴いた人も一緒に歌ってくれるような曲になるといいな…」

──タイトルはどうして「yummy goodday」に?

「“美味しい“があればいい日々が続くだろうし、いい日々があるとご飯も美味しいって思えるからです。やっぱり美味しいもの、美味しい気持ちみたいなものが人生の日々の栄養になると思っています。私は日々、「yummy goodday」だと思うので、このタイトルにしました」

──アニメの絵についたのはもうご覧になりました?

「見ました! 感動しました。“あ、本当に1つになれたんだ”って思いましたし、自分が想像していた以上に物語にマッチしているような感覚があったので、早くアニメを見たいなあって思いましたし、このアニメで初めてCENTを知ったという人にも美味しい、幸せ、楽しい、人間、仲間みたいなのが伝わったらいいなと思います」

──そして、11月からはワンマンツアーが始まります。どんなツアーになりそうですか?

「『らぶあるばむ』だけではなく、「yummy goodday」も一緒に仲間として連れていけるツアーになっているので、今までよりも一層パワーがついています。いろんな表情を持って各地に行けるので、新しく好きになってくれた人も、今まで愛してくれてきた人たちも、一緒に同じ気持ちで“ハッピー、楽しい、CENTってかっけーじゃん!”って思ってもらえるライブをしたいです。そうやって“したい”と思うことが大事なんですよね。ありのままでいることも大事ですだけど、その中にもどれだけ自分を見せられているか…。最近、“まだこういうところを見せられてないかも”ってことを考えるようにしていて。ツアーが始まるまでにどれだけ自分が成長して届けられるかを自分も楽しみにしていますし、大きな愛を持って、大きな愛を投げつけていこうと思っています」

──大きな愛=『BIG BIG LOVE TOUR』というタイトルがついています。

「ラブだけじゃ伝わらないかもしれないから、ビッグにビッグに届けようと思って。単純ですけど、『らぶあるばむ』でできたハートをちゃんと大きくして届けたいっていう気持ちです。きっと自分が届けたラブに対して、みんなが大きなラブで返してくれてるんだろうなって思っていたので、それを数百万倍で私は返したいと思います」

──ライブのMCでは“愛の交換こ”と言っていますが、CENTさんにとってライブはどんな表現の場になっていますか?

「自分が自分らしくあれるところです。ライブをしている時は難しいことは考えていないですし、素のまま、鎧が取れたような感覚でいます。もちろん、背負うものもあるんですけど、背負いすぎずにそこに立てている自分が、今は自分らしいと思います。でも、“やっぱり、それだけじゃダメだな“と思う時もあるんですよ。伝えたいことが、ここ(ハート)にあるのに、素直すぎて、いつも通り過ぎて言えないことがあって。”そこもちゃんと共存しなきゃ”と最近は思ったりしています。だから、今はお風呂みたいです!」

──どういうことですか?

「お風呂みたいに丸裸でいます」

──もう少しカッコつけたりもする必要もあるってことでしょうか?

「“カッコつけたーい”って思ったりしています(笑)。でも、“どうやってカッコつけてたっけ?”みたいな状況です。全裸で、何着てたっけ?って考えているような感じかな…。とにかく、今回のツアーでハートがたくさん届けばいいなって思っています」

──今回の旅で楽しみにしていることはありますか?

「本当は愛を持って届けたい場所はもっとたくさんあるんです。でも、現実的なところで、“今回はここ“っていう感覚であって。”本当はもっと行きたいんだよ“って気持ちは伝えたいです。”どうして来てくれないの?“っていう人もいますけど、”そりゃ行きたかったよ!“って(笑)。いつも素直に言ってますけど、今回は現実的にこの場所で、どれだけ自分が愛を伝えられるかだと思います。楽しみは各地で散歩しているので、自分なりにまた新しいお店をちょこちょこ見つけて、自分のらぶスポットを見つけていきたいです」

──その後はどう考えていますか? 小学校に入学したCENTのこれからは?

「“面白い”と思っていてほしいので、止まらずに、もっともっと届けていきたいと思っています。でも、最初に言ったように、自分がCENTを大好きで、CENTをめいっぱい楽しんでいるところは、ちゃんと見せられるようにしたいです。いろんなことやっているけど、全部、ワクワクしながら生きていたいです。ツアーは年をまたぐので、“情報に追いつかないよ“って言われることもあるんですけど(笑)、来年も追いつかないくらいで生きていけたらいいなと思います。だから、ついてきてください!」

(おわり)

取材・文/永堀アツオ
写真/中村功

RELEASE INFORMATION

CENT「yummy goodday」

2025年108⽇(水)配信

CENT「yummy goodday」

LIVE INFORMATION

CENT ONEMAN LIVE TOUR『BIG BIG LOVE TOUR』

2025年11月28日(金) 東京 LIQUIDROOM  開場18:00 / 開演19:00
2025年12月17日(水) 愛知 NAGOYA CLUB QUATTRO  開場18:00 / 開演19:00
2026年1月16日(金) 香川 高松DIME  開場18:30 / 開演19:00
2026年1月18日(日) 福岡 DRUM Be-1  開場17:30 / 開演18:00
2026年1月24日(土) 宮城 darwin  開場17:30 / 開演18:00
2026年2月6日(金) 大阪 UMEDA CLUB QUATTRO  開場18:00 / 開演19:00

CENT ONEMAN LIVE TOUR『BIG BIG LOVE TOUR』

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