――まずは何より、デビュー40周年おめでとうございます!
サンプラザ中野くん・パッパラー河合「ありがとうございます」
――今回の再結集では、新曲「IKIGAI」の発表に続き、ベストアルバム『IKIGAI 2024』のリリース、ツアー『あなたのIKIGAIナンデスカ?』の開催が決定しました。こうした一連の活動を決めたのには、どういった経緯があったのでしょうか。
中野「2年ぐらい前に私から、“40周年だから爆風(スランプ)を動かしたい”というのをマネージメントサイドに言いまして。そこからちょっとずつ詰めていった感じです。こういった形になったのは、40周年ももちろんですけど、コロナ禍があったことも大きいです。ミュージシャンに限らずいろんな仕事の方がそうだと思うんですけど、コロナ禍を経験したことで、“もしかしたらこのまま…”というか、“やりたいと思ってもできない状況が、いつ来るかわからないぞ”みたいなことも思って、“ちょうど40周年だし、やっておきたい“ということで伝えました」
――それを聞いた河合さんはどう感じられましたか?
河合「直接は言われていないけど、僕らはだいたい楽屋が2人一緒なので、考えていることは何となくは知っていました。“いいんじゃない”っていうのはずっと思ってました。まずは僕ら2人とマネージャーの3人で“やる”と決めて、すぐに(バーベQ)和佐田さんと(ファンキー)末吉さんに電話したら、2人も“いいよ”って二つ返事だったんです。みんな年寄りだから(笑)“やりたい!”と思ったときにやらないといつできるかわからないっていうので、再集結するのはすぐに決まったんですけど、具体的に何をするかはそこからでした。なにせ末吉さんは中国に住んでいるし、和佐田さんも“年間300本ライブやってるんや”って言ってるくらい活発に音楽活動をやっているので、スケジュールの問題もありましたし。でも、結果としてバンド活動の柱とも言えるツアーと、新曲やアルバムを出すっていうのが、ちゃんとクリアできたのはよかったです」
――今回のベストアルバム『IKIGAI 2024』は、新曲「IKIGAI」を含む全24曲を2枚組CDにパッケージ。選曲はメンバーのみなさんで行ったそうですが、スムーズに決まったのでしょうか?
河合「爆風スランプのベストアルバムってたくさんリリースされているんですけど、収録曲がメンバーチョイスっていうのは今回が初めてなんですよ。「Runner」とか「大きな玉ねぎの下で」とか、マネージメントサイドからの“これは絶対入れてくれ!”っていう曲があって、それ以外でベストアルバムに収録したい曲を各自が数曲ずつ出して…「流山マイ・ラブ」が出てきたのは意外でしたね」
――「流山マイ・ラブ」はこれまで音源化されていないですよね?
河合「そうなんです。YouTubeに流山市長の前で歌っている映像が上がってるくらいで、実はまだ録音すらしてなかったんです。だから、最初は“これやるのかよ!?”って思ったんですけど、考えてみたらいままでのベストには入っていないし、個人的には大好きな曲がやっと日の目を見るというので嬉しいですね」
――念願叶っての音源化。
河合「俺的にはね。俺は昔から“これはいい曲だよ”って言っていたんだけど、中野があんまり…みたいなね(笑)」
――いまも河合さんのお話を中野さんは神妙な表情で聞いていらっしゃいました。
中野「いや、私は、自分で作った自分の地元の歌だからそれなりに気に入ってるんですけど、河合さんがそんなに推していたとは気付かなかった。そうだったか…」
河合「そうだよ。だって、千葉県のご当地アイドルの子たちにこの曲を歌ってもらったことだってあったじゃん」
中野「あれはそういうことだったのか…」
――中野さんが意外だと思った曲はありますか?
中野「末吉さんの出身地で、末吉さんが歌っている「坂出マイ・ラブ」はすごいですよね」
河合「もともと歌う人じゃない。ダミ声で(笑)」
中野「このベストアルバムがすごいと思うのは、「IKIGAI(Album ver.)」でも末吉が歌っているパートがあって、そこからさらに末吉の歌う「坂出マイ・ラブ」に繋がるっていう(笑)。末吉をちょっとフィーチャーしすぎた感があります(笑)」
河合「でも、今回は“マイ・ラブ”シリーズが全曲入っているんですよ」
――“マイ・ラブ”シリーズは4人それぞれの出身地をモチーフにした楽曲ですが、全曲を必ず収録したいと?
中野「そうですね。さっきの、河合さんが私の地元の「流山マイ・ラブ」を推してくれたように、末吉の「坂出マイ・ラブ」は和佐田さんが“入れたい!”って言っていて。“会場みんなで<ヨイッショ!>って言ったら絶対に盛り上がる!”って」
――それは間違いないですね(笑)。
中野「ロックのコンサートで<ヨイッショ!>でいいのかなと思ったんですけど(笑)。さらに、私が「京都マイ・ラブ」を入れたいって言って。「KASHIWAマイ・ラブ〜ユーミンを聞きながら〜」はすでに当確で」
――“マイ・ラブ”シリーズが1作品にパッケージされているのは、ファンの方たちも嬉しいポイントですよね。
中野「きっとそうだし、自分たちも嬉しいです。今回のアルバムで一番バンドの結束を高めたのは“マイ・ラブ”シリーズだと思います。それぞれが、それぞれ“お前のマイ・ラブシリーズを聴きてぇよ”って(笑)。“なんなんだ、これは!?“って、ヘンな盛り上がりがありました(笑)」
――(笑)。そうした選曲と並行する形で新曲の制作も決まっていったんですか?
中野「そうですね。“再集結するんだったら新曲を出そう!”となって。それが決まったのが昨年の秋くらいで、まずテーマとして俺が持ってた“生きがい”をみんなに投げて、“そこにはこれこれこういう理由があって…”みたいなことまで説明をして、“じゃあ曲作ってね”って言ったんですけど…誰も曲を作ってこなかったんです」
河合「けっこう時間的余裕があったんですよね。それでなかなか…」
中野「誰も作ってこないから、途中で1回、“どうなってるの?”って聞いたら、“詞から書いてくれ”って言われたんです。それでこっちも“えっ!?”てなって。爆風スランプは95%が曲から書くスタイルだったので、私も詞から書くのは難しいなと思いつつ、曲と一緒なら作れるだろうと思って、いまの「IKIGAI」の歌詞でレゲエ調の曲を作ったんです」
――レゲエ調!?
中野「はい。「IKIGAI」はもともとレゲエ調だったんです。“いい曲できた〜”と思ってみんなに聴かせたら、その3日後くらいに末吉から、私が書いた曲は一切無視されて、詞はそのままでラップ調のものが送り返されてきました(笑)」
河合「レゲエ調のもよかったですけどね。ほんわかしていて」
中野「まぁでも、再集結で26年ぶりに新曲を出すのにレゲエはねぇだろっていう(笑)。届いたときは度肝を抜かれたし、“え? ラップ? この私がラップやってもいいんですか?”って思ったんですけど。末吉が言うには、“中野は「嗚呼!武道館」でラップをやってたじゃないか!”と。1985年にやっているんだからいいんじゃないかって感じで、ラップ調にしたみたいです」
――先ほど中野さんが“生きがい”というテーマを持っていたとお話しされていましたが、生きがいについて考えるきっかけはなんだったのでしょうか?
中野「きっかけは、何年か前に見た『100まで生きる:ブルーゾーンと健康長寿の秘訣』というドキュメンタリーです。ブルーゾーンとは長寿の人が集中する地域のことで、世界に5か所あるんですけど、その中に日本の沖縄も入ってるんです。で、沖縄の人の長寿の秘訣というのが、他の地域と違って、100歳を超えても現役で働き、地域の仕事に携わっているっていう。それが生きがいとなって生きているんだ、と。それで、自分のなかで“そうか、それが生きがいなのか”ってなって、さらに生きがいという言葉は英語にないから、KAWAIIとかMOTTAINAIとかと同じように英語にしちゃって…ってところから始まったんです」
――それで、表記も“IKIGAI”なんですね。
中野「そうなんです。そのドキュメンタリーは4〜5年前の作品なので、その後、世界的にもIKIGAIっていうのが広まっているらしく、イギリスやインドにIKIGAIカフェがあったり、ヨーロッパのバンドが『IKIGAI』ってタイトルのアルバムを出したりしていました」
――世界的にも注目度の高いワードなんですね。「IKIGAI」の歌詞のなかには4つの生きがいエピソードが登場し、アルバムバージョンでは末吉さんが歌うパートもあります。これはメンバーのみなさんから中野さんがヒアリングした、それぞれの生きがいが綴られているんですか?
中野「全くそんなことないです。自分たちのことというより、なるべくみんなが共感できるものを集めて歌詞にしているって感じです。末吉さんが中国語で歌っているところも、私が書いたものを末吉さんに訳してもらって歌ってもらいました」
――そうだったんですね。普段、“自分の生きがいとは?”なんて考えることがなかったので、とても考えさせられました。
中野「<(IKIGAI)は、何なんですか?>って言われると、“何なんだろう?”って考えざるを得ないですよね(笑)」
――そうなんです(笑)。でも、まだ答えは出ていません…。
河合「日々生きるだけでも大変ですからね」
中野「生きがいって、もともとは日本の言葉で、昭和の終わりぐらいまではみんな普通に生きがいについて語っていたと思うんです。でも、バブルが弾けて以降は、生きがいというより、長生きするためにどうやって金を稼ぐか、みたいな…“生きること=金”になっちゃって。それってもう生きがいじゃないんですよね。でも、さっきのドキュメンタリーの話で言えば、自分の生きがいをちゃんと見つけて、その生きがいを日々やりながら生きてる人は、気持ちよく生きられるんじゃないですかねっていう」
河合「なるほど。生きがいっていうのをちゃんと意識しようってことだね」
――せっかく「IKIGAI」という楽曲に出会えたので、引き続き考えていこうと思います。
――ここからは4人によるレコーディングの様子についてもお伺いしていきたいのですが、新曲の「IKIGAI」だけでなく、今回のベストアルバムのDISC1に収録されている楽曲はすべてリアレンジ、リテイクしたものになっています。一方、DISC2の収録曲はリマスタリングとなっていて、その基準というのはどのように決められたのでしょうか。
中野「そこはわかりやすくて、ベーシストが2代目なので。和佐田さんに弾いてもらったら面白そうだよねって曲がリアレンジ、リテイクになっています」
――久しぶりに4人で制作をした感触はいかがでしたか?
中野「実は全員一緒にはやってないんですよ。って、あれ? 末吉も日本でやった?」
河合「末吉も日本ではやったけど、俺がスタジオに行ったときにはドラムのレコーディングは全部終わってた(笑)」
中野「私も見に行ったんですけど。仮歌を歌うのかな〜なんて思って行ったら、終わっていました(笑)」
――そうだったんですか。久々だからてっきり4人が集まって…。
河合「“やろうぜ、せーの!”とか、そういうんじゃなかったです(笑)」
――アレンジの方向性はどう図られていたんですか?
中野「今回、末吉がアレンジャーとしていろいろ考えてくれて、末吉の頭の中にあったものをみんながやったって感じです」
――譜面に起こされたものを各自がレコーディングするというような?
河合「ではないですね」
中野「譜面じゃなかったの?」
河合「うん。シンセでギターが打ち込んであるデータをもらって、耳で聴いて、“こうかな? ああかな?”って」
中野「えっ、耳コピなんですか!?」
河合「耳コピなの。で、俺が弾いたものを末吉に送って、違っていたら“ここ、半音違うんで”みたいなやりとりが行われるっていう…」
中野「え〜!? そうだったんだ!」
河合「そういうやりとりも面白かったですけどね」
――歌に関して末吉さんから何かリクエストされることもありましたか?
中野「それは特になかったです。でも、「IKIGAI」の仮歌は末吉が歌っていて、ドラマーだからリズム感がすごくいいわけなんですよ。なので、私のラップより全然うまくて“困ったなぁ”って思いました。“全然コピーできねぇな”って」
河合「中野は常にそうやって、“末吉のラップはうまい、俺は下手だ”って言ってるんだけど、俺からすると最初に歌ったときに“あ、いいな”って思いました」
中野「河合さんは、こんな曲を聴いたことないから“いいと思う”って、言ってくれるんですよ」
河合「“なんだこれ!?”と思って(笑)。でも、“なんだこれ!?”って思うのは、引っ掛かりがあることだから“いい”って思ったんです。“聴いたことねぇな、こんな曲”って」
――“聴いたことないな”とか、“なんだこれ!?”っていうのは、今回のベストを聴いてすごく思いました。それが爆風スランプらしさにも繋がっているというか…。
中野「そうですね。そうだと思います。末吉も私も“フック”っていう言葉を結構使うんですけど、末吉は曲にフックを、私は歌詞にフックを噛ませたいと、ずっと思ってる人なので。だから、末吉は末吉で、爆風スランプが26年ぶりに出す曲として、“世の中にフックを与えられるものじゃなければダメだ”って、ものすごい責任感を持って作り、アレンジしたんです」
――「IKIGAI」だけでなく、リアレンジされた楽曲に関しても、2024年時点での爆風スランプのフックを意識したものになっているんですね。
河合「「Runner(中文版)」は、原曲のようなすごい疾走感のある感じじゃないんですよ。“えっ!?”と思ったけど、末吉が“あんな速くやる必要ないんや”って言うから、“そうなんだ、新しいな”と思って(笑)。これは2024年の爆風の「Runner」になっていると俺は思います」
中野「そもそも中国語だしね(笑)」
河合「そうだね(笑)」
中野「それに、ベーシストが違うから。リアレンジに関しては、そこが重要なポイントです。“いまの時代”というより、“いまの爆風”であることは間違いないです」
――中野さんがアレンジによって生まれ変わったと思う楽曲はありますか?
中野「それで言うと、実は、オリジナルよりキーを下げているのもあるんですよ。「えらいこっちゃ」と「たいやきやいた」と「神話」の3曲なんですけど」
河合「中野の言い分としては、“ボーカルのことを考えてない”と。特に「えらいこっちゃ」と「たいやきやいた」はアマチュア時代に作った曲だから、確かに誰も(ボーカルのことを)考えてなかった(笑)。“こっちのフレーズがカッコいいんだから、これで歌えるだろ”って」
中野「そうなんですよ。みんな、ギターとか開放弦を基本に作曲しやがるんです」
河合「しやがる(笑)」
中野「で、“洋楽の誰々はこれで歌えるんだからお前も歌えるだろ”って。今でいうパワハラですよ(笑)」
河合「こっちはそういうつもりはなかったんですけどね(笑)。でも、確かに今考えるとあのキーの高さはクレイジーだよね」
中野「だからパワハラ(笑)。ただ、当時は“頑張れば歌えなくもねぇな”と思って、そのキーで録音しちゃったんですよね。でも、“もうそれは耐えられないぞ!”って、やっと内部告発が受け入れられて(笑)、今回のリテイクで本来あるべきキーに戻しました」
――そういう調整ができるのもリテイクのいいところですね。
河合「あと「えらいこっちゃ」はメンバーのことを歌った歌で、途中でメンバーが変わっているので当然、和佐田さんのパートに変わっています」
中野「あと、「War」の歌詞で、1992年に発表したオリジナルだと<50年も>となっているところが、今回は<80年も>になっています。来年が戦後80年なので。この曲は、和佐田さんが、“世界中で戦争や紛争が起きている今、この歌はぜひ入れたい“という非常に強い想いがあって収録することになりました」
――爆風スランプの“いま”を知れるDISC1はもちろんのこと、既存曲をリマスタリングしたDISC2もすごく聴き応えがありました。いま改めて自分たちの楽曲を聴いてみて、爆風スランプはどういうバンドだったと思いますか?
中野「以前、マキタスポーツさんがパーソナリティを務めるポッドキャスト番組でいろんなバンドを再評価するみたいな回があって、そのなかでマキタスポーツさんが、“爆風スランプは早過ぎたレッチリってことにしましょう”みたいなことをおっしゃってて」
――おお〜! 言い得て妙ですね…!
中野「でも調べてみるとレッチリと爆風は同じ年にデビューしてるんですけどね(笑)。でも、THE FIRST TAKEでの「Runner」がかなり高評価をいただいて、そのコメントにも、“こんなに演奏がうまいなんて気付かなかった”っていうのが多くて。それは、音楽を聴く人たちの耳が良くなったっていうのと、インフラのせいもあると思うんです。昔はテレビとAMラジオがメインだったから、中音域の音がピックアップされていたんですよね」
河合「ラジオミックスって言葉があるくらいだからね。歌が聴こえればいいやって」
中野「だから、ベースとドラムがどんなにうまくても、当時の日本ではわからなかったんです。それが、リスナーの耳と、インフラと、さらに低音ブームみたいなのもあって、ここにきてやっと爆風のベースとかドラムがすごくうまいとわかったってことだと思うんです。なので、早過ぎたレッチリとしては、これまで歌ものバンドとして、“いい歌でしょ? いいメロディでしょ?”っていうのを推してやってきたんですけど、そうじゃない部分を推していきたいです」
――ベースとドラムの音がクリアに聴こえるのは、そういう方向性でリマスタリングしたからなんですね。
河合「明らかにそうなっています」
中野「河合さんは?」
河合「添えもので(笑)」
中野「あははは!」
――(笑)。河合さんからも、爆風スランプがどういうバンドだったと思うか、教えてもらえますか。
河合「改めて聴くと、売れた理由もわかる。売れなかった理由もなんかわかる気がする。デビューアルバム(『よい』)に「たいやきやいた」とか、俺は大好きなんだけど、これはきっと違ったんだろうなって(笑)。だって、当時流行っていたのは「涙のリクエスト」なんだから。それに比べたら、こっちは2本くらい道を外れてるんですよね」
中野「そこはそう。隙間産業だったんで」
河合「そうそう。メインストリームはもういっぱいで、そこしか僕らは歩ける道がなくて…」
中野「それでなんとか生き延びられて」
河合「で、改めて思うのは、“いいバンドだな”とかじゃないんですよ。“面白いバンドだな”って思います」
中野「でも、さっき河合さんが言った、売れた理由がわかるっていうのと、そこに早過ぎたレッチリが加わるので、この令和の時代にもうちょっといけるのかな?とは思うんです。過去の爆風スランプの同窓会じゃなくて」
河合「レッチリ的なプラスの要素がありますからね。熱くたぎるものを感じてもらえるんじゃないかなと」
――みなさんの熱量、すごく感じました。だからこそ、ツアーが楽しみです。今回のベスト盤を引っ提げ、26年ぶりに回るツアー『爆風スランプ〜IKIGAI〜デビュー40周年日中友好LIVE“あなたのIKIGAIナンデスカ?”』は、どんなライブになりそうですか?
中野「自分たちを歌ものバンドと思っていたときは歌ばかり歌っていたんですけど、例えば、クイーンのライブを観に行っても、昔のライブ映像を観ても、ギターオーケストラみたいなのをブライアン・メイさんが1人でやっていたりして、あんまり歌ってないんですよね。そういうツアーにしようと思っています。演奏でグルーヴを作っていけるようなコンサートがいいなと。で、その間に休む(笑)」
河合「パーマネントのバンドって、ツッツチャーだけで“カッコいい!”ってなるんですよね」
中野「確かに(笑)。なので、THE FIRST TAKEのような、なんだか知らないけど演奏すごいねっていうのを、ライブでやります」
――河合さんはいかがですか?
河合「現段階ではちょっと想像がつかないです。例えば、90分くらいやるとして、結構ハイテンションで入っちゃうと思うんですよ。それで開始40分くらいしたら、“もう俺ダメだ…”ってならないように。最初からうわーっていっちゃう気がするんだよな…」
――お客さんの熱気もすごいでしょうし。
河合「そう。お客さんも、爆風の4人を観たいって気持ちが強いじゃないですか。それがわかっているから、むしろ最初は適当にやろうぐらいに思ってるくらいがちょうどいいのかもしれない」
中野「そういうの、あるね。THE FIRST TAKEでも、何の打ち合わせもなく、リハーサルもなく始めたんですけど、歌わされちゃうんですよ。3人が演奏しているって思うと、なんだか知らないけどプラスαのエネルギーが出て、のせられちゃうというか。それがライブになると思うと、やっぱり最初はやり過ぎちゃいかんね」
河合「昔の曲の復習もしつつ、同時に身体も作りつつで、ツアーを迎えたいです」
中野「あと、兵庫公演と東京公演に関しては、末吉が中国でやっているバンド・布衣(ブイ)が一緒にやってくれるのが楽しみですし、会場に来るみなさんも楽しみにしてもらえたら。ここで日中友好を図れたらと思います」
(おわり)
取材・文/片貝久美子
写真/中村功
RELEASE INFROMATION
爆風スランプ 40th Anniversary BEST ALBUM『IKIGAI 2024』
2024年10月23日(水)発売
MHCL-3108~3109(CD2枚組)/4,500円(税込)
LIVE INFORMATION
爆風スランプ〜IKIGAI〜デビュー40周年日中友好LIVE ”あなたのIKIGAIナンデスカ?”
前夜祭!(愛知公演) 2024年10月31日(木) 名古屋E.L.L.
前夜祭!(愛知公演) 2024年11月1日(金) 名古屋E.L.L.
兵庫公演 2024年11月4日(月・休) 兵庫県立芸術文化センター
東京公演 2024年11月17日(日) LINE CUBE SHIBUYA
東京公演生放送:2024年11月17(日)17:00~21:00