――まずは横浜ランドマークタワー・ランドマークプラザのアウトラインと特徴を教えていただけますか。
秦野由喜子「横浜ランドマークタワーは、オフィスと横浜ロイヤルパークホテル、約160の店舗からなる商業施設のランドマークプラザ、展望フロア スカイガーデンを核とした複合商業施設です。また、多目的ホールやイベントスペースも備えていて、国の重要文化財であるドックヤードガーデンもあります。そして今年で開業30周年を迎えられたことが大きなトピックスです」
――海外からのツーリストもそうですが、遠方から観光目的で横浜やみなとみらいを来訪される方々の玄関口でもあり、ゴールでもあるというイメージですね。
秦野「桜木町駅からのほどよい距離感というか、電車を降りて、見上げればそこにあるという存在感と、みなとみらいエリアの玄関口という点では施設を運営する私たちからしても、そうであってほしいという思いはありますし、みなとみらいエリアの象徴、中心と言っていただけることも多いので、そういった役割りを担っているんだという責任感も感じますね」
――まさに、ランドマークという名称に相応しい存在ですね。横浜ランドマークタワーは今年で30周年ということですが、その間にみなとみらい線のみなとみらい駅が、さらに「MARK IS みなとみらい」が開業しています。その前後でどのような変化がありましたか。
住吉琢磨「いちばんは人流が増えたということです。あとは客層が変わってきた。みなとみらい駅とMARK IS みなとみらいの開業前は、観光や、お買い物を目的にした層が目立ちましたが、開業後はもっと膝元の、いわゆるファミリー層を開拓できたと感じています。そして桜木町駅からの導線に加えて、東急東横線から渋谷よりさらに遠方まで繋がった路線が開通し、MARK IS みなとみらいに直結したみなとみらい駅が開業したことによって、横浜ランドマークタワーは桜木町駅とみなとみらい駅の両方向からの人流が生まれて、回遊性が格段に高まりました。みなとみらいエリア全体として見ると、開発も進み、夜間人口もどんどん増えてきて、街全体の風景も変わりつつありますね」
――ここ数年の出来事という意味ではコロナ禍を経て、ようやく日常を取り戻した感がありますが、その間に手掛けた最も象徴的なイベントを挙げていただけますか。
秦野「今年6月から9月まで開催した『Pokémon Card Art Walk in Yokohama Minatomirai -横浜みなとみらいを歩いて巡る、ポケモンカードアートの展覧会-』ですね。お盆時期には『ポケモンワールドチャンピオンシップス2023』という大きな大会がパシフィコ横浜で開催されていましたし、臨港パークやけやき通りでも大会の関連イベントがあり、横浜ランドマークタワーはそのすべての会場への導線にもなっていたので、かつてない来訪者数を記録しました。また、アフターコロナで海外からの観光客が戻りつつあったことに加えて、大会を訪れる方々もいて、これほどまでに外国人が多い光景を見たのは初めてでした。今年は開業30周年ということもあって、ポケモンカードアートのイベントを中心に周年イベントをたくさん実施し、多くの方に楽しんでいただけて大変うれしく思います」
――そして、クリスマスを迎えようとしているいま、ワーナー・ブラザースとのコラボイベント「YOKOHAMA MINATOMIRAI CHRISTMAS 2023」を開催中ですが、このイベントが実現するまでのストーリーを伺えますか。
秦野「昨年、『MINATOMIRAI CHRISTMAS 2022「ハリー・ポッター」魔法ワールドと出会う旅』というワーナー・ブラザースさんとのコラボイベントを開催しましたが、おかげさまでこのイベントも大変好評をいただきました。そして今年がワーナー・ブラザースさんの創立100周年ということもあって、お互いにまたごいっしょできたらという流れができましたね。ワーナー・ブラザースさんとの対話も重ねながら、100周年ということもあり、歴代のワーナー・ブラザース作品全体をテーマに計画しました。みなとみらいエリアは、映画館も多く、さまざまな映画祭も開催されていて、映画との親和性が高いことも決め手になりましたね」
――すごく自然な流れですね。ワーナー・ブラザース100周年とみなとみらいでクリスマスを盛り上げましょうという企画ですから、むしろ細かい理由付けはいらないかもしれません。
秦野「横浜ランドマークタワーの30周年と、ワーナー・ブラザースさんの100周年というタイミングが重なったことも大きかったです」
――「YOKOHAMA MINATOMIRAI CHRISTMAS 2023」の見所は?
秦野「やはりランドマークプラザ1F「サカタのタネ ガーデンスクエア」のクリスマスツリー「IMAGINATION FILM TREE」はぜひ見ていただきたいポイントですね。ツリー自体はもちろん、吹き抜け部分全体で『ハリー・ポッター』『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』といった最近の作品から『スーパーマン』『バットマン』などの人気シリーズ、『雨に歌えば』『カサブランカ』といった名作、『トムとジェリー』『ルーニー・テューンズ』などのカートゥーンものまで100周年に相応しいワーナー・ブラザース作品の装飾やアーティストコラボ作品の展示、フォトスポットでクリスマス気分を満喫していただけると思います。30分毎に行われるツリーのライティングショーもおすすめです。そして、USENさんにオーダーした映画音楽のBGMもワーナー・ブラザース作品の魅力を訴求する演出の一環です。BGMは控えめな音量で鳴っていますが、「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」「燃えよドラゴン」、シンディ・ローパー「グーニーズはグッド・イナフ」、プリンス・アンド・ザ・レヴォリューション「パープル・レイン」など耳馴染みのある音楽に足を止める人もよく見かけます」
――各店舗で展開しているコラボメニュー、コラボグッズも特別感があります。
秦野「横浜ランドマークタワー・ランドマークプラザだけではなく、MARK IS みなとみらいからも多くの店舗に参加していただきましたが、ワーナー・ブラザース作品のキャラクターやモチーフとコラボレーションできるということもあって、アイテムやメニューをかなりしっかりと作り込んでいただいたので、各店舗賑わっていますね」
――隣接するMARK IS みなとみらいや、横浜駅近くのスカイビルとも連動した取り組みもあります。
秦野「MARK IS みなとみらいには『ハリー・ポッター』シリーズをモチーフにしたクリスマスツリー「SNOW FILM TREE」を設置しており、前田敦子さんを迎えて点灯式を行いました。横浜ランドマークタワー、MARK IS みなとみらいそれぞれにポップアップストアを設けたり、キャラクターグリーティングイベントもありましたし、3施設を巡るスタンプラリーなども開催しています」
――なるほど、みなとみらいとその周辺エリアも巻き込んでクリスマスを盛り上げようという趣向ですね。クリスマスに限らずですが、横浜ランドマークタワー周辺施設との連携という意味ではどんな実績がありますか。
秦野「直近では、12月9日、16日に、みなとみらい21地区を中心に開催される「YOKOHAMA MUSIC HARBOR 2023 CHRISTMAS」という、ぴあさん企画の音楽イベントがありまして、メイン会場のランドマークプラザは瑛人さんをはじめとしたアーティストのライブ会場になっています。音楽関連では、周辺にぴあアリーナMMや、先日開業したばかりのKアリーナ横浜があり、ともにこけら落しはゆずさんでしたが、公演にあわせてそうしたアーティストさんとのコラボメニューやノベルティプレゼント施策を展開したり、という取り組みもあります。ライブの前後にファンのかたがたが横浜ランドマークタワーに立ち寄られるわけですが、アーティストさんによって客層ががらっと変わるのがとても興味深いですね」
住吉「アリーナクラスのふたつのホールによって横浜ランドマークタワーへの流入も増えたということは実感していますし、だからこそ横浜ランドマークタワーだけでがんばっていくということではなく、みなとみらいエリア全体で来訪者の皆さんに楽しんでいただける場所を作るという考え方が大事なんだろうなと思います。今回のワーナー・ブラザースさんとのコラボは、横浜ランドマークタワー、MARK IS みなとみらい、スカイビルという弊社グループ3施設での取り組みなので足並みが揃いやすいですが、その他の周辺施設や横浜市の行政などとの地域連携では目線合わせというか、調整がすべてという面がありますし、むしろそれなくしてイベントの成功はないともいえます」
――みなとみらいエリア独特の一体感が感じられるエピソードですね。さて、クリスマスシーズンの横浜ランドマークタワーに話題を戻しましょう。先ほどご紹介いただいた映画音楽のBGMですが、クリスマスにあわせてアジャストするんですか。
秦野「はい。昨年は『ハリー・ポッター』、今年はワーナー・ブラザースさんとのコラボですが、そうしたタイアップのない例年のクリスマスは、洋楽のスタンダードナンバーからクリスマスソングをセレクトしています。今年はイベントに合わせた映画音楽を展開しましたが、BGMに限って言えば、クリスマスらしさがやや足りていないのでは?という点を社内で話し合いました。そこで、ワーナー・ブラザース作品の映画音楽をベースにしつつ、一定の間隔で洋楽のクリスマススタンダードを織り交ぜて馴染ませようと考えています」
住吉「いつもUSENさんには試聴用のサンプル音源を作っていただいて仕上がりをチェックしていますが、実際にお客様が往来している施設内でBGMを聴いて、その風景を見てみないとアジャストしきれない部分がありますから。クリスマス本番を前に大急ぎでプレイリストをアップデートしていただくことになりそうです」
――横浜ランドマークタワーのような商業施設としては気の抜けない時期ですね。
秦野「クリスマスが終わって翌26日には「ランドマークプラザ×マークイズみなとみらいW★SALE」がスタートしますし、年始は1月2日に獅子舞の練り歩き、3日には餅つきイベントも予定しています。少し先の話題ですが、2024年春には隣のMARK IS みなとみらいにシネマコンプレックスの開業が予定されていますので、また人の流れや街の風景が変化するかもしれませんね」
――創立100周年を迎えたワーナー・ブラザースとのコラボが実現し、間もなく近隣に新しく映画館がオープンする……とてもいい流れが生まれましたね。楽しみにしています。
(おわり)
取材協力/三菱地所プロパティマネジメント株式会社
取材・文/高橋 豊(encore)
写真/いのうえようへい
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PROFILE三菱地所プロパティマネジメント株式会社 横浜支店 参事 住吉琢磨氏 、同じく横浜支店 主査 秦野由喜子氏
「以前担当していた丸の内は、街全体としてとても一体感があり、オフィスビルの要素が強いエリアでしたが、横浜ランドマークタワーはオフィス機能を備えつつ、エンターテインメントの要素も求められます。オフィスワーカーの方々も、観光で来訪される方々も、海が近いみなとみらいならではの解放感を感じていただけるのでは」(秦野氏)
「YOKOHAMA MINATOMIRAI CHRISTMAS 2023 ワーナー・ブラザース 100th ANNIVERSARY ~Power of Story~」は2023年12月25日(月)まで開催。