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2021.01.27

夜の本気ダンス『PHYSICAL』インタビュー――心で感じる音楽、体で感じる音楽

夜の本気ダンス2021年第一弾リリースとなるミニアルバム『PHYSICAL』。コロナ禍以前の楽曲に、2020年の空気を反映した楽曲を織り交ぜた6曲からは、閃きに満ちた新章を感じさせる。と、同時に彼らにとって踊れる音楽は、今の世でどんな意味を持つのだろうか?

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――コロナ禍以降、いろんなミュージシャンに話を訊くと、自宅での制作に向かったという人も多いようですがですけど、夜の本気ダンスはどうでしょう?

米田貴紀「スタジオがあんまり使えない分、スタジオでのセッションというよりDTMとか使って、そこで曲を固めていく方向にちょっと変わってきた感じはあります。もともと僕はセッションから生み出すほうが多かったんですけど、そこはやっぱコロナの影響はめちゃめちゃ受けてますね」



――それは前向きなシフト?

米田「前向きと言うか、タイミングよかったなみたいな感じではあったと思います。ずーっとそのセッション方式でやってましたけど、それやと正直な話、限界もあったり。アイディアの出し方として、セッションだけでずっとやっていくのは有限な感じがして。そこにある油田がもう残り少ない感じがしてて。ちょっとそういうことを感じてる時期やったんで、そこでまた新しい、こっちのほうがまだまだたくさん石油はあるぞみたいな感じのものをDTMという手法に見つけたことで、さらに自分の表現したい物がもっと出せるようになったというか。新しい武器を持つ、一歩踏み出す感じになったので、コロナがポンと僕の背中を押したような感じで。だから悪い面ももちろんありましたけど、そういういい面もあった期間っていうんですかね」

――この間、メンバー各々がいろんなかたちで発信されてましたが。

鈴鹿秋斗「僕は音源作るのももちろん大事なんですけど、ライブのために音源作るという考え方でやってきて、そのいちばんメインの部分のライブができないから、モチベーションが一個失われたと言っても過言じゃないんですけど。でもお客さんも我慢してる立場やし。だからこっちもそんなん言うてられへんし、それこそバンドで配信ライブしたり、僕やったらゲームが好きなんで、そういう中でお客さんといっしょに絡んでやったり。日常の中では音楽以外の映画だったりアニメだったりを見る機会はすごい増えましたし、それはそれで、それに使われてる音楽だったりに触れて、“ああ、これちょっと聴いてみよう”だったり、他のカルチャーから、なんかまた音楽に戻ってくるみたいな楽しみ方というか、そういうのは結構してましたね」



――ちなみになにか発見したものってありました?

鈴鹿「ミュージカル系の映画を何本か見ました。“ああ、いいな”と思って」

――わかるような気がします。今回、ちょっと曲に出てますよね(笑)。

鈴鹿「あー!(笑)。僕が出したわけじゃないですけど、「SMILE SMILE」は、そういうステージというか、ショーみたいなんは似合う曲ですね」

――自分たちのライブができないこともそうだし、海外のアーティストも来日できなくて、でもいまはサブスクでどこの国の人とかあまり意識せずに自由に音楽をお聴けるじゃないですか。

米田「僕はめっちゃ聴けましたね。最近はもっぱらサブスクで聴いてるんですけど、適当にワード入れたり、アルファベットで何語かわからん単語入れて、出てきた曲聴いたりとか。なんせ時間があるから、そういう遠回りする時間があるわけですよね」

マイケル「リスナーとしての発見はちょっとわからないですけど、今まで聴いてへんかったものを聴くいいタイミングにはなりましたね。それもちょっとDTMをやり出したところと、若干リンクするところではあるんですけど。正直、EDMとか今まで聴いてこなかったんですけど、EDMの曲とかって、DTMで作ってはる人とか多いんで、DTMの勉強をしようと思って、YouTubeで曲の作り方を検索してたら、EDMの作り方みたいのに興味を持って、そっから聴いてみよってなって。たぶんそれってあの期間じゃないとできんかったんかなと思いますね」



――「SMILE SMILE」の中にはEDM要素もあるなと思いました。

マイケル「でも「SMILE SMILE」に関しては僕がEDMに興味を持つ前には出来上がってた曲なんで。そこはちょっと前後しちゃうんですけど。でもそういう影響もあって聴き出したっていうところもありますね」

――なるほど。西田さんは?

西田一紀「僕、最初の方、音楽、全然聴かんかったんですよ。ライブしたいけど全部軒並み無くなっていって、でもなんかやっぱ音楽とか聴いたらおっきい音鳴らしたいなと思って、しばらく聴いてなかったんですけど、やっぱ人間、一月もすれば割とそういう生活にも慣れてくるんで。またそっからいろいろ聴き始めて。時間があるから普段は聴かへんようなとこまでいろいろ聴いたりしてました。後はビートルズの曲解説みたいな本買って、ポール・マッカートニーのフレーズの感じの解説をしてて、読みながら聴いて、“ああ、こういう仕掛けがあったんや”とか、昔聴いてた曲を再発見するみたいなのはありました」



――時間があるからこそですね。

西田「後、インディーロックは好きやから、いろいろ聴いてたら、だんだんサブスクも僕の好みを把握し始めていろいろ薦めてくれて。そこで思ったんはヒップホップとかEDM系のやつとかが軒並みチャート賑わせてるけど、イギリスの方では10代の若いバンドとかがボコボコ、しっかり出てきてるなあと思って。まだまだ世の中の音楽って、いろいろ回っていきそうやなっていうのを去年1年で思ったりしましたね」

――まだまだ知らない動きがいっぱいありますよね。ところで「GIVE & TAKE」が先行リリースされましたが、ミニアルバムの全体像は当初考えてたことから変わっていきました?それとも面白い曲ができたら入れていこうと?

米田「でもわりかしそうですね。面白い曲できたら、それを入れようみたいな。何個かデモ作って、そこでトーナメントというか、自分の中で勝ち上がっていったものを入れた感じです」

――トータルなテーマというより、1曲ごとの個性が強いなっていう印象でした。

米田「そうですね。あんまり全体を通してコンセプトがあるというより、一曲一曲で楽しんでもらえるような感じがあったから。それもこの時代やからそういった方向に自分の考え方も変わってきたのかなというのもあります。というのも、さっき話したようにサブスクでみんな聴く時代なので、あんまりアルバム通して聴く人っていないじゃないですか。1曲目から10曲目に飛んだりとか。なので、そういったこともあまり考えなくていいのかな、その方が今の時代というか、自然な考え方と思ったので」

――どの曲もアレンジで遊んでますね。

米田「アレンジだったり音色だったり、どっから何が飛び出すかわからん感じっていうのはあったかも知れないですね。結構、枠に囚われず、既存の、「こういう曲調やったらこうするよね」とか、そういうのもあまり考えずにやったかな、という印象ですかね」

――「GIVE & TAKE」は全編、裏でループしてるギターが終わりのない現実みたいな感じがして。このアレンジはどう作っていったんですか?

米田「これはそれこそDTMで全部作りました。ループ貼っ付けて。あのギターのフレーズもセッションやったらできなかったなというフレーズで。というのも、あのリフが今はBPMが140やとすると、100とか遅く落としてゆっくり弾いて、そのフレーズを取り込んで、速度上げて今のになってるので、現実にあのBPMで弾くにはかなり難易度高いフレーズで。それってセッションやと弾こうと思わないじゃないですか。技術的なとこでも無理やったりするし。それもたまたまDTMでやってて、“ちょっと速度上げてみよう”って、ポンとやった瞬間に“あ、これ最高”ってなって、生み出されました」

――しかも夜ダンの面白いところは生で弾いてる西田さんの絡みがまた新しいなと。

米田「そうですね。肉体的なというか、生のバンドっぽさを殺さずに、打ち込み要素とのいいミクスチャー、お互いの良さだけを抽出するみたいな。お互いの弱みを捨てて良さだけを抽出する感じというか、なんかそこはできたかなと」

――コロナ以前からあったという「SMILE SMILE」なんですけど、今、このミニアルバムの中で聴くと、いちばん混沌としてる曲に聴こえるんですが。

米田「ははは!そうかも知んないですけど。曲調で言ったら、どうなんだろう……確かに明るいとはいえないですかね。結構、前向きな曲として作りましたけど」

――やりたいことが詰まってるという意味では前向きなのかも。

米田「確かにセクションによって、例えば<ANYTHING GOES>のくだりが別の曲を貼り付けたかのような感じというか、そこの感じは確かにカオス感は出てるかもしれない」

――「empty boy」はくぐもったサビがフェードインしてくるという不思議な始まりで。

米田「サビ始まりっていうのも今までなかったりもしたし、あのアレンジは最後の最後でくっつけたんですよ。なんか頭にインパクト欲しいなっていうので考えたんですけど、どんどん盛りに盛ってったみたいな。もともと完成したものにさらに調味料をガンガンかけてく感じというか、後乗せ要素がすごい多いかもしれないです、この作品は。元からそれを乗せようという考えはなかったのに、作って完成した後で見て乗せる、みたいな。即興性というか、ある意味、その場その場でやっていく感じがすごいあったなと思いますね」

――インスピレーションという意味で今回、達成感のある部分は?

鈴鹿「「SOMA」っていう曲のAメロの感じとかっていうのはちょっとマンチェスター感というのをドラムで――あまりそういう曲が今までなかったので――やりたいなと思ってたところをうまくできたなとか。ドラムと裏で鳴ってるタンバリンだったり、2Aのニシカズ(西田)のギターのフレーズは、すごいそういう部分がいい具合に出てて、すごい気に入ってますね。他は「GIVE & TAKE」のラスサビ前のちょっとハーフビートになるセクションはトラップっぽい感じをうまくドラムだったりまわりの雰囲気で表現できたのもありましたし、今までと違う持っていき方というか、聴かせ方をできたセクションはあったので、そういう部分もできて良かったなと思いますし。っていうのもDTMで作ったりした曲が多かったんで、人力でそういう打ち込みっぽいものってどうなんやろ?って、考えさせられる期間もあったんで、うまく生でかつミックスで完成に持っていけた感じがドラムとしては良かったかなとは思いますね」

西田「今までは楽曲の中でのギターが引っ張ってるシェアってあったと思うんですけど、「SMILE SMILE」だとホーンが主役というか、結構サウンドの中にいて、ギターがそれを支えてる役みたいなのもあって。「SMILE SMILE」がこのアルバムの中でいちばん最初にできて、その後、他の楽曲もできていったんですけど。あれを含めて今回はギターの立ち位置を探るというか、そういうのは考えて。今ってエレキギターが前でグイグイいる音楽っていうのが減ってきてるけど、そこで自分が引きすぎたら引きすぎたで、また僕がやることとしては違うやろっていうので、そこは今回考えたかもしれないですね」

――最後が「insomnia」=不眠症というタイトルの曲なのは聴いてる人に取ってはリアルな感じがすると思うんですよね。今、みんな割とこういう気持ちで生きてるなと。

米田「まだなんか、光が見えない感じというか。そのムードはめちゃめちゃあります」

――作り手としてはすごく前向きだったけれど、普通に生きてて今感じてることが素直に出てるのかなと。

米田「前向きな部分もありますけど、それって一回落ちたり波があっての前向きですね。制作の中でも浮き沈みあるんで。沈んだことを利用して、バネというか、しゃがんだ分でちゃんとするみたいな。そこは結構、僕は負のエネルギーというか、ネガティブなものをエネルギーにしてポーンと飛ぶ感じは昔からありますけど、そういう感じですかね。それが曲に関しても出てる。「insomnia」なんかも、Cメロというか新しい展開のところはポジティブなことを歌ってたりするんですけど、それもはなっからポジティブというよりは一回“カウンター食らったくらいで泣いてどうすんの”って歌詞あるじゃないですか。一回殴られてるんですよね。自分から先制攻撃でバッて行ってるんじゃなくて、一回食らっての、それから何くそ!で殴り返す。毎回そういう感じなんですよね、何かを作る時は。だからこの作品も全体的にそういう感じ。どの曲も根源的にはそういうところから生まれてる、っていうので一貫してるというか」

――米田さんの資質もあるけど、具体的にはコロナっていう予期してなかったカウンターですからね。

米田「そうなんですよね……うん、完全に不意を突かれた感じ」

――でも、楽しいから踊るだけじゃないっていうのがもともとあるんでしょうね。

米田「そうですね。僕はそこはすごいあると思う。単純になんなら一人で踊ってるタイプというか。一人で踊るっていうのは自分に対する鼓舞とか、自分の気持ちを昂めるために踊る。楽しい空間を共有するとかっていうより、己は己でぶちあげるみたいな。究極の自家発電的な、そこは昔からなんですけど」

――それが顕著になりますね。全人類が同じ体験をしてるから。

米田「なんか全員が僕みたいな形というか(笑)」

――ははは!自分を鼓舞するために“それでも踊るぞ”って人にはフィットするというか、ハマる作品だなと思います。

米田「僕はもともとそういう楽しみ方してるから。ライブも面白いですけど、みんなももっと全然、家で踊れるぜ?っていうのもあります」

――ところで『PHYSICAL』ってアルバムタイトルは先に決まってたんですか?曲が揃ってから決めたんですか?

米田「曲が揃ってから決めました」

――その意味するところというか、タイトルで伝えたいことって?

米田「CDとかレコードとかを指すフィジカル、そういった意味がひとつ。僕ら、平成生まれでCDで育ってきたし、音楽を聴くのはCDでっていう中で育ってきて。さっきも話しましたけど、自分自身もサブスクで聴くようになってたり、世界的にもそうなってる中で、CDに対する思い入れっていうか、愛着ですかね。ほぼなくなりつつあるじゃないですか。そこに対する愛着っていうのと、肉体という、なかなかライブもできない中ですけど、ライブで肉体で踊って、またライブしたいよねっていう、そこに対するフィジカル、肉体的なっていう両方の意味があるんですけど」

――なるほど。歌詞を追ってるとわりと脳の中身のこととか、ファンタジーな世界が描かれてるんですけど、その反対語的なね。

米田「そうなんですよ。だから肉体とはなんぞや?みたいな、そういった方向になるんで、ちょっとスピリチュアル的な方向になっちゃうかもしれないですけど(笑)。体で踊るといった行為と、心で感じる音楽とかいろいろあるじゃないですか。“心で感じてください”ってMCで言う人もいて。ざっくり分けると心で感じる音楽、体で感じる音楽があったとして、そこに優劣はないなと思うんですけど。個人的な感じでいうと、体を動かして楽しもうみたいな方がちょっと軽く見られてる感じもすんな、ってところもあって。いや全然そんなことはないよと。心で感じることも体で表現して踊ることも同等の大切さ、良さがあるんだよっていう思いをそこに込めてるっていうのはあります」

――約1年ぶりにワンマンの有観客ライブも予定されていますが、こういうご時世だとバンドがお客さんの前でライブをやることの意味を考えるんじゃないですか?

米田「考えますけど、考えすぎると変に感動しちゃうし、なんか泣きそうになったりとか……そういうの僕、弱いんであんまり考えたくなくて。排除したがるんですよね、そういうものを。でも一個一個、大切にはしなきゃいけないっていうのはわかります。相手にとってもその一個一個の感じが高まってるわけだから、昔と比べて。僕が例えば逆の立場で大好きなアーティストのライブに行ったとして、たぶん、登場見ただけですごい感動するだろうし。なんかそれはすごいわかりますけど」

――でも演者としてはエンターテイメントとしてやり遂げるぞと?

米田「そうですね。夜の本気ダンスに求められてるものって、やっぱ楽しく踊れるっていうところやと思うんで、そこをちゃんと届けることが僕らの使命だと思うんで、それを早くしたいですね」

(おわり)

取材・文/石角友香





■夜の本気ダンス RELEASE PARTY「PHYSICAL GRAFFITI」
2月27日(土)KBSホール(京都)
3月6日(土)USEN STUDIO COAST(東京)

夜の本気ダンス

※ライブ、イベントの内容は開催当日までに変更される場合があります。必ずアーティスト、レーベル、主催者、会場等のウェブサイトで最新情報をご確認ください









■SOUND PLANET「音ナ図鑑」の放送予定
第95頁/夜の本気ダンス――2021年2月1日(月)~2月7日(日)

■ What’s “音ナ図鑑” ?
「音ナ図鑑」はUSENのBGMサービス「SOUND PLANET」で放送中のトークプログラム。毎週、旬のアーティストをパーソナリティに迎えてお届けする“音の図鑑”です。



夜の本気ダンス
夜の本気ダンス『PHYSICAL』
2021年1月27日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD)/VIZL-1841/3,960円(税込)
通常盤(CD)/VICL-65463/1,980円(税込)
Getting Better




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