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2020.12.23

シド「ほうき星」インタビュー――みんなに明るい未来を

シングル「ほうき星」をリリースするシド。収録曲すべての曲調が異なっていてバラエティに富んでいるのは彼ららしいところだが、全曲共通して、コロナの時代を生きる人達に強く、優しく寄り添ってくれる言葉が綴られている。マオとShinjiに、「ほうき星」について、シドのいまとこれからについて語ってもらった。

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──シングル「ほうき星」の制作に取り掛かったのはいつ頃だったんですか?

マオ「いつ頃だったっけ?」

Shinji「曲を作り出したのは9月とかだったと思う」

マオ「そんな前だったか。結構最近な気がしてた」

──確かに今年って1年が短かったような、長かったような複雑な感覚があるんですけど、振り返ってみるといかがですか?

Shinji「どうだろう……なんか、1日を短く感じるお年頃というか(笑)。学生の頃は1日が長かったですけどね。でも、家で曲を作っていたりもしたんですよ、今回の曲以外にも。そういうことをしていたら早かったですけどね」

──集中して楽曲制作に取り組めたと?

Shinji「そうですね。時間が結構できたので、締切に追われずにゆったりと楽しみながら、趣味みたいな感じで曲を作れた機会もあって。そういう時間を経てシドの楽曲を作る期間に入ったので、すっと作れましたね。あと、家から出られなかったから、だらけないようにいつも以上に時間割を考えたりはしてました。そうしないとダメになっちゃいそうだなと思ったので」

──そこは大事ですよね。マオさんはいかがでしょうか。この1年を振り返ってみると。

マオ「今年はやり方から何からすべてが新しくなったと思うんですけど、新しいことを始めるときって、やっぱり時間が経つのを早く感じると思うから、そういう意味ではちょっと早かったなっていう気はしますね。ただ、考えることが多かったというか。これができないのであればあれをやろうとか、この方法より今だったらこれだよねとか、考えることも考える時間もたくさんあったので、頭は常に回転してましたね。だから、回転させない時間を作らないと、人間だからやっぱり疲れてしまうので、どう休もうかなって考えながら暮らしてました」

──確かに状況がめまぐるしく変わっていく1年だったので、どこかで休ませないと破綻してしまいそうな感じもありますし。

マオ「そうなんですよね。うっすら考えているだけでもあんまりよくないじゃないですか。そういうところは気をつけてました」

──お話をシングルに戻しまして、今作に収録されている3曲は、すべて異なるタイプでありながらも、どの曲も今の時代──コロナウイルスが問題になってからのこと──を歌ったものになっていて。Shinjiさんは「ほうき星」の他にも曲を書いていたんですか。

Shinji「僕はわりと決め打ちでしたね。4人でこういう曲がほしいよねという話し合いをリモートでして、じゃあこの曲は僕がやろうかって。自分としては、明るい曲を久しく作っていなかったし、自分自身も希望に溢れた感じの曲を欲していたので、そういうものを届けたいなと思って作りました」

──出だしのちょっとエレクトリックな感じが、リモートでスクリーン越しに話をしてる感じもあっておもしろいなと思いました。

Shinji「最初はもっとストレートなアレンジだったんですよ。でも、ちょっとした新しさを持たせたいなと思って。今ってヘッドホンで音楽を聴く人も多いから、ああいうパン効果みたいなものをギミックとして入れてみようって、みんなで考えてみました」

──歌詞はすべてマオさんが書かれていますが、「ほうき星」の<戻れないなら ゼロを楽しもう また始めよう>というのは、今の時代にすごく大事な感覚ですよね。

マオ「もちろん“楽しかったあの頃に戻したいよね”という希望は捨てちゃダメだと思うんです。ただ、それはあくまでも希望であって、それを掲げるのはいいんだけど、すがるものではないと思うんですよ」

──確かに、同じ希望を持つことでも、それを掲げるのか、すがるのかで、意味がまったく違いますね。

マオ「そうなんですよね。そこって同じものにされてしまいがちではあるんですけど。すがることによって新しい一歩を踏み出せないのは、本当の意味でコロナに負けちゃったような気もするし、それだけは嫌だなって。そういった気持ちをファンのみんなと共有したいなと思って、こういう言葉を選びました」

──「ほうき星」はポジティブなエネルギーに満ちていますが、2曲目の「siren」はベースの明希さんが作曲されていて。一転してこちらはシリアスな空気が漂っているミディアムナンバーです。

Shinji「明希の得意とする洋楽的な雰囲気というか、どっしりとした印象があったので、余計な刻みとかを入れるよりも、全体的なサウンドをどうしていくのかを意識してました。あと、最近の洋楽ってギターソロが少なくなってきていますけど、そこは我々らしさといいますか。ギターソロを弾いている曲が多いので、そこで自分たちらしさも出してますね」

──ギターにしろシンセにしろ、リフがすごく耳に残りますね。

Shinji「あのリフみたいなものは、デモの時点でパン効果が使われていたんですよ。3連のリズムを左右交互で鳴らしていて。そこにこだわりを感じたから、加工すれば簡単にできるけど、あえて人力でやってみました。ただ、3連のひとつが抜けるだけで全然変わるし、そもそもそんなリズム弾いたことないから難しかったです(笑)」

──歌詞はかなり混沌としたものになってますね。

マオ「「ほうき星」は希望の曲だから、「siren」では現実を歌いたいなって。なんていうか、今っていろんな場所でサイレンが鳴っていると思うんですよ。たとえば、ニュースで流れてくる“今日の感染者は何人でした”というのもひとつの警告音だし、インターネットであれがよくないとかとか、これはダメとか、“でも、そうしないと生きていけないんだよ”とか、そういった声のひとつひとつがサイレンみたいに聴こえますし。そういったところから歌詞を書いていきました」

──そして、もう一曲の「声色」は、ドラムのゆうやさんが作曲されたスロウナンバーです。メロウな雰囲気もありつつ、ギターソロは結構ノイジーだったりして、感情の揺れみたいなものを表現されていておもしろいなと思いました。

Shinji「すごくゆうやらしいサビだなと思ったけど、AメロやBメロの複雑なコードとか、ギターソロもああいうノイジーなものがデモの段階から入っていたから、すごいな!と思って。普段の僕であれば、普通にメロウなギターソロを弾いていたと思うんですけど、そこはデモのイメージを大事にしていきました。あと、マオくんだったらこの辺は優しく歌うだろうなというのを想像しながら、指で優しく弾いてみたりとか。いろいろと起伏があっておもしろかったですね」

──歌詞は感傷的な印象もありつつ、優しさもありますね。

マオ「会いたくても会えない男女って、今もすごくたくさんいると思うから、そういう歌を歌いたいなっていうところから書き始めました。途中から僕らとファンのみんなの関係性みたいなものを織り交ぜながら書いていったんですけど、こういった“会えない状況”って、今はどこにでもあると思うんですよ。たとえば、実家に帰れない人とか。僕もちょっと帰りたかったんですけど、ずっと帰れていなかったりもしているので。だから、誰にでも思い当たることがあるような歌詞になったんじゃないかなと思います」

──そのシングルを発表された後、2021年1月14日に結成記念日ライブを開催されます。意外なことに、シドが結成記念日にライブヴをやるのは初めてなんですよね。

マオ「そうなんですよ。もしかしたらたまたまやっていたこともあるのかな……あったとしたらファンのみんなが教えてくれるか」

Shinji「うん」

マオ「というわけで、バンド初です(笑)」

──では初ということで(笑)。でも特に避けていたわけでもないでしょう?

マオ「うん、全然意識してなくて。周りを見るとみんな結成記念日に結構やってたりするから、逆になんでやってなかったんだろうっていう(笑)。あんまりそこに強いこだわりがなかったと思うんですよね。ただ、たまたま配信ライブヴをその辺りでやろうというのが決まったときに、じゃあこの日にやろうかって」

──そして、この日のライブはシド初の無観客配信の形になります。

マオ「今はたくさんの方々が配信ライブをされていますけど、僕らにとっては初めてなので、ほとんどが手探りになると思うし、怖さや不安も多少あるんですよ。ただ、手探りの楽しさは1回目にしか味わえないので、そこをいかに楽しみながらやれるのかが鍵なのかなっていう気がしてます」

Shinji「昔、お客さんが1人の状況でライブをしたことはあったけど(笑)、ゼロはないんですよ。だから、どうなるのかなとは思っていて。たとえばMCで何かを話したとしても、お客さんから何も返ってこないじゃないですか。画面の向こう側で見てくれてはいるけど。だから、極力自分たちで完結しなきゃいけないような気もしていて。いつも通りのシドらしいものにはしたいんですけど、やったことないのでドキドキはしますね。あとは間違えないようにしないと(笑)」

──アーカイブで残っちゃったりしますからね(笑)。ちなみに、無観客配信ライブは、今までのライブの延長線上にあるものとして捉えているのか、まったく違うものとして考えているのか、どちらだったりします?

マオ「やっぱりライブって、みんながいて、みんなの前でやるものだと思っているので、本心としてはやっぱりライブがしたいんですよ。だからまあ、別物ではありますね。ただ、これは本物のライブだって言い聞かせながらやるのは楽しくないから、“新しい形のライブハウスだよね”ぐらいの感じでやれたらいいかなと思っているし、“みんなやってるし、1回ぐらいやってみないとね”っていう感覚でやれるのがいちばんいいのかなって。楽しかったらコロナがなくなってもやるかもしれないし、みんながそう思わなかったらまた違う形を探してみるのもいいと思うし。1回目はとにかくやることに意味があると思うから、どんなことができるのか、それを探しに行こうかなと思ってます」

──あまり決めつけずに、とりあえず一度やってみようと?

マオ「うん。地方に住んでいたり、あまりライブに来られない子からしたら喜んでいるかもしれないですからね。そういう子たちに応えられる場として生き残っていく可能性もあると思うので、そこはちょっと視野に入れながら、柔軟にやっていけたらいいかなと思ってます」

Shinji「僕も別物として考えているし、そう考えないと成立しないような気がしてるんですよね。さっき話したお客さんとのやり取りも、あることを前提にやっていたら絶対に成功しないので。ただ、ライブパフォーマンスだけで言ったら、同じマインドでやりたいです。僕は結構汗かきなんですけど、いっぱい汗かいて、伝えられたら……というのは変わらないですね」

──そして5月には2020年に開催するはずだった「SID LIVE 2020 -Star Forest-」の振替公演も控えています。なんか、最近インタビューをしていて少し困ることがあって。未来のことを気軽に話しにくいんですよね。“2021年も良い年になるといいですね”という気持ちはもちろんあるんですけど……

マオ「確かに今ってみんなそうだと思うんですよね。この辺で落ち着くんじゃないかとか、まだ落ち着かないんじゃないかとか、不安を煽るようなものがあったりとかして。結局、1年間ずっと混乱していたし、落ち着かない限りは今の状況がしばらく続くと思うんですけど」

──そうですよね。

マオ「ただ、そういうときにこそ必要なのが、こういった音楽であったり、エンターテイメントの世界だと思うので。だから、僕らはブレずに、みんなに明るい未来を──ファンになってくれたみんなには特にですけど──一緒に幸せになっていくような未来を音楽で見せ続けていくのが役目だと思うので。そこに関してはブレていないのかなって思いますね。活動内容がコロコロ変わっていくのは、まあしょうがないかなって」

──いろんな物の形は変わっていくのかもしれないけれども、根底にある信念は変わっていないと?

マオ「そうですね。それに、今の時代はネットがあっただけラッキーですしね。これがなかったらもう本当の最悪が来ていたと思うし。そういったラッキーを探しながら一緒に楽しんでいきたいし、友達とかにもね、シドを応援するとすごく楽しい気持ちになれるよって言ってもらえるようなバンドになりたいなと思います」

──Shinjiさんは2021年、どんな年にしたいですか?

Shinji「う?ん……オリンピックってあるんですかね?」

──それも本当にどうなるんだ?って話ですよね。やると言ってはいるけれど。

Shinji「本当に確定しているものがないですもんね。でも、さっきマオくんも言ってましたけど、やっぱり音楽って必要な気がしているんですよ。ご飯みたいに食べなきゃ死んじゃうことはないけど、気持ち的なダメージはみんなあると思うんで。そういうときに、やっぱり人を勇気づけたいし、自分も勇気をもらいたいし」 Shinji「うーん……オリンピックってあるんですかね?」

──人を勇気づけたいという気持ちは、昔から変わらないものとしてあったりします?

Shinji「いや、なんか改めて強くなった気がしますね。昔はかっこよくいなきゃいけないとか、人を楽しませるのがプロだとか、そういう考え方だったんですけど。でも、こういう状況になったら、綺麗事っぽいかもしれないけど、やっぱり希望とか勇気とか、今はそういったものが欲しいし、与えられたらという思いもありますね」

(おわり)

取材・文/山口哲生

■SID LIVE 2021 ~結成記念日配信ライブ~ シド オフィシャルサイト
2021年1月14日(木) ニコニコ生放送、ローチケ LIVE STREAMING、イープラス Streaming+



majiko
シド「ほうき星」
2020年12月23日(水)発売
初回生産限定盤/KSCL-3285/3286/2,500円(税込)
通常盤/KSCL-3287/1,500円(税込)
Ki/oon Music Inc.




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