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──14年ぶり、5枚目のオリジナルアルバム『ジャパニーズポップス』もリリースされ、結成20周年を迎えることになりましたが、まずは活動再開のきっかけから教えてください。

伊藤俊吾「われわれは相模原の出身なんですけど、去年その相模原で開催されたイベントへの出演オファーがあったんです。最初は僕がソロで出演する予定だったんですけど、どうせならキンモクセイで出れたら面白そうだなと思って、5人でライブをやるかやらないかの会議というか、飲み会を開いたんですよ。そこで、本当に久しぶりに5人が揃ったんです。全員で集まったのは、2011年に東日本大震災の被災地支援のコンピレーションアルバム『HOPE nau!』に収録された「アシタ」のレコーディングで集まったのが最後でしたから」

白井雄介「本当にその1日だけだよね。しかも、その日も3年ぶりぐらいで。ただ、その時は第三者もいて、5人だけじゃなかったから。5人だけで集まったのは、10年ぶりぐらいかもしれない」

佐々木 良「僕はずっとキンモクセイの活動を再開したいと思っていて、それまでもメンバーにちょくちょく声をかけていたんですけど、どうしても白井だけスケジュールが合わなくて、集まることさえ断られ続けてたんです。本当にスケジュールが合わないときもあれば、空いてるのに合わないって言っていたときもあったかと思うんですけど(笑)。今回はやっと白井からもその日は空いてるって返事が来て。そこで初めて5人で集まれる日が決まって、またやるかやらないかは別にして、全員で話し合うことができたっていう」

白井「観念した感じはあったかもしれないですね。佐々木くんが、ずっと声をかけ続けてくれていたんで」

佐々木「とにかく声はかけ続けるよっていう宣言はしてたからね」

伊藤「白井は、ずっとキンモクセイを愛している人なので、軽い気持ちで集まろうよっていうのはあんまり好きじゃない。そこがなかなか5人で集まるっていう結果に結びつかなかった部分ではあると思うんですけど」

白井「会うまでが大変だったというか、なんか会いづらいなって引っかかりがあったり、会ってどうするんだろ、会って何かが動き出したら怖いなとか、いろんな感情が自分の中にあったと思います。でも、不思議なんですけど、5人揃ったら居心地が良くなるというか。その場でみんなの気持ちを感じて、全員がキンモクセイをやりたいならやろうっていうことになりました。やりたくない人が1人でもいたら、やる意味はないですから」

張替智広「逆に、自分1人がやりたいって言っても……ですよね。ただ、自分の中ではいつでもキンモクセイに戻る体勢は取ってたつもりです。人の気持ちはそう簡単に動かないですけど、いつキンモクセイが動いてもいいように準備はしておいて、とにかくみんながやろうって言うまで待って、全員の気持ちがひとつになった時はすぐに行きますみたいな」

白井「ハリーは、相手の気持ちを尊重する人なんでね」

張替「昔はそうじゃなかったんだけどね」

白井「でも、根本はそう。相手の気持ちに対して絶対にノーって言わず、1回認めるタイプ」

張替「しかも、歳を取ってだいぶまろやかになったと言いますか(笑)。より相手のことを考えて、尊重するようになって……うん、歳を取ったのはでかいですね」

佐々木「歳を取って、気遣いがあってこそだし(笑)」

白井「伊藤くんがひとり暮らしなんで、ちゃんと食べてるかなーとか(笑)」



キンモクセイ

伊藤俊吾(いとう しゅんご)

キンモクセイ

佐々木良(ささき りょう)



──やっぱり、5人だけで顔を突き合わせたことは大きかったですか?これが、5人のグループLINEでのやり取りだったらこうはならなかったというか。

白井「LINEじゃ絶対にこうなってないと思います。同じ空間で、5人だけで直接言葉を交わしたことが大きかったですね」

伊藤「場所が5人に所縁がある町田だったことも良かったと思います」

──お酒を飲みながら話したことも、後押しになった?

伊藤「カフェだったら、ちょっと違ってたでしょうね(笑)。ちなみに僕は、フル編成で飲んでました。ビールから始まって、日本酒に行って、ウイスキーを飲んで(笑)」

佐々木「僕も最初はビールで、次はハイボール、レモンサワーっていう感じだったかな」

張替「僕は、ビールからあったかい焼酎」

伊藤「後藤とは、日本酒をシェアしたような気がする」

白井「後藤は痛風なのに!」

佐々木「気をつけてるふりだけするよね(笑)」

──白井さんは何を飲まれてんですか?

白井「僕は、ウーロン茶。飲めないんで(笑)」

──そこから、14年ぶりの5thアルバム『ジャパニーズポップス』に繋がっていったということなんですね。

伊藤「相模原のイベントにキンモクセイとして5人で出演して、“活動を再開しまーす!”って高らかに声を上げてしまった以上、イベントに出るだけじゃなくて、自分たちから発信するワンマンライブをやる必要があるんじゃないかという話になりました。それで、10月15日に相模原市民会館を押さえて、まずはそこに向けてやっていくことになって、で、せっかくやるなら新曲も欲しいし、リリースも絡めてというところで話が進んでいったんですけど、最初はやっぱり不安もあったんです。でも、最初にできた新曲の「セレモニー」のレコーディングが始まったら、めっちゃ楽しくなって、不安が全部なくなって。今回のアルバムは、茨城でレコーディングしたんですけど、本当に今までにないぐらい好みの音で録れたんですよね」

白井「茨城は、離婚してひとり暮らしを始めた伊藤が引っ越した場所だったんです」

伊藤「離婚して、縁も所縁もない茨城に大型犬2頭を連れて引っ越したんですよね(笑)。敷地がすごく広い賃貸を格安で借りて、そこをスタジオに改装してほぼすべてのレコーディングをしました。入り口から出口まで、全部自分たちで作ったからこそ、本当に好みの音が録れたんだと思います」

白井「でも、茨城は遠かった!ひとりで車を運転しながら、“遠いなー!”って叫んだりもして(笑)」

伊藤「恥ずかしい話なんですけど、引っ越してから何日もしないうちに寂しくて泣きました(笑)。茨城には知り合いもいなかったし右も左もわからない土地に住むって、地に足がつかないし、こんなに不安になるんだなって。でも、その不安や寂しさから、音楽に賭けるぞっていう意気込みが生まれてきたんですけど。そういった生活の中で、メンバーが遊びに来てくれるとすっげーうれしいんですよね。そのうれしさが音楽を作る楽しさにも繋がって、いろんなものがすごくいい方向に流れたんじゃないかなと思いますね」

白井「いろんなものが揃わないと、やっぱりバンドってできないんですよ」

伊藤「結局、茨城には半年ぐらいしか住まなかったけどね」

白井「今となっては、今回のアルバムを作るために住んだみたいな(笑)」



キンモクセイ

白井雄介(しらい ゆうすけ)

キンモクセイ

張替智広(はりがえ ともひろ)



──そうして完成した『ジャパニーズポップス』ですが、タイトルどおり、はっぴいえんどから連なる日本語のポップスのエッセンスを、今の形で鳴らしているなと感じました。

伊藤「アルバム用にメンバーひとりあたり2曲づつ作って、10曲並べてみたんですよ。そしたら、意図していたわけではないのに、「ザ・ベストテン」を彷彿させるような感じがして。だから、最初はアルバムのタイトルも『ザ・ベストテン』でいいんじゃないかって思ったんです(笑)。でも、さすがにそれは……っていう話になって、白井とふたり、深夜のファミレスで“なんかいいアルバタイトルないかな”って話してたんですよ。それで『ジャパニーズポップス』ってタイトルを思いつきました。結果的にアルバムのコンセプトにフィットするタイトルになったんじゃないかと思っています」

──そのコンセプト的な部分を、もう少し言葉にしていただけますか?

伊藤「そうですね、今あえて日本の歌謡曲――それこそ「ザ・ベストテン」で披露されていたような曲――をやるのって、キンモクセイぐらいなんじゃないかなと思って。みんな、もっとおしゃれなところに行きたいというか、今ならもっとシティポップになるというか……でも、結成当初にキンモクセイというバンドをやって、われわれが日本のポップスって面白いなって感じたのは、一生懸命に洋楽のグルーヴやサウンドを取り入れようとするけど、消化しきれてない感じ、化学反応が始まったばかりの感じだったんです。そこに愛嬌を感じるというか。それを別の言葉に置き換えると“ダサさ”ということになるんですけど。でも、その“ダサさ”ってかわいいと思うし、その“ダサさ”の魅力に5人全員が気づけていることを僕は誇りに思うんです。そういう5人だからキンモクセイならではの感性が今回のアルバムで出せたのかなって」

──みなさんがそれぞれに感じている“ジャパニーズポップス”の魅力って?

張替「僕は英語詞で仮歌を書いたりするんですけど、英語の譜割りで書いた歌詞を日本語に変えるとすごく不思議なリズム感になったりするんですよね。例えば、80年代の日本のポップスって実験している最中だったと思うんですけど、リズムは16分なんだけど歌詞は4分音符とか8分音符になっているぎこちなさがある。そのごちゃ混ぜ感――交わりそうで交わらないまま結局は曲の最後まで続いていく感じ――が楽しいんだと思いますね」

白井「張替くんと全くいっしょなんですけど、やっぱり日本人なのでその違和感を歌詞の意味も理解しつつ共有して楽しめるのは魅力ですよね。しかも、突き詰めていくと誰が聴いてもいい曲、普遍性のある曲というところにたどり着くのが面白いなと思います。今は、そんな日本語のポップスが海外の音楽ファンにもちゃんと響いているし」

佐々木「日本にもいろんな音楽がありますけど、僕の中の“ジャパニーズポップス”って、いわゆる歌謡曲なんです。そのガラパゴス感が面白いというか、キャッチーさを求めて、Aメロ、Bメロ、サビ、大サビという作り方、本能的に欲しいメロディーが聴いていると次々に出てくる感じが良さかなと思います。特にしっくりくるのが90年代ぐらいまでの歌謡曲で、僕はそれが“ジャパニーズポップス”だなと思いますね」

伊藤「今回のアルバムに「あなた、フツウね」という曲があるんですけど、これは1990年代の工藤静香さんの曲の音圧を、当時の機材を使って再現しようとした曲なんです。あのころは、レコードとCDがクロスオーバーしている時代だと思うんですけど、レコーディングも当時の最新機材を使ってはいるんだけど、本来の使い方ができていないというか、していないからこそ生まれた音圧でもあって。そういう面も日本じゃなかったら生まれなかったポップスの面白さかなと」

──その『ジャパニーズポップス』からキンモクセイの第2章がスタートするわけですね。

伊藤「具体的にはまだ全然見えてないんですけど、レコーディングが本当に楽しかったので、この5人でキンモクセイにしかできない実験みたいなものは続けていきたいなと思っています。そこで作品がまとまったら、なんかまた出そうかという、そういう流れがいちばん健康的だし、理想的だなと思っています」





──今、紅白歌合戦で「二人のアカボシ」を披露したことや、あの時代を振り返ってみてどんな思いがよぎりますか?

伊藤「絶頂な感じでした(笑)。「二人のアカボシ」は、彼女に振られてしまって、その彼女を取り戻したくて作った曲なんですけど、当時はそんな説明はできなくてムズムズしてましたけど(笑)。でもまあ、きっかけはなんであれ、力を出しきれた曲でした。つらいこともあったけど、今となってはあの曲のおかげで食べていけている部分も大きいです。ひとりでアコースティックライブをしても、あの曲があったからちゃんとお客さんも来てくれるし、今はあの曲に感謝しかないですね」

張替「当時は、相当荒くれ者だったと思います(笑)。自分たちが置かれている立場についていくのが精一杯だったというか、急にテレビ出演が増えて、紅白出場も決まったりしていく中で、うれしさはあるけど、苛立ちも多かったです。でも、紅白なんて、今思うとめちゃくちゃいい親孝行ができたなって(笑)」

白井「僕は、あの頃の自分はちょっと真面目すぎたなあって思います。もうちょっと勢いに乗って、あの状況を楽しんじゃえば良かったかなって、今になって思いますね」

佐々木「いろんな人と関わる中で、うまく伝えられなかったこと、もっとこういうふうにしておけば良かったというくやしさは、たくさんあります。でも、今となってはそれもいい思い出だし、その心残りがあったからまたキンモクセイをやりたいとずっと思い続けていたのかもしれないです」





──今日は別仕事でインタビューは欠席していますが、後藤さんは当時と比べて変わりましたか?

伊藤「痛風になりました(笑)」

張替「せっかち度は増したんじゃない?」

白井「確かに、スタジオに入ってても、夜の8時半ぐらいになるとそわそわしちゃう。早くどっかに飲みに行きたいから(笑)」

佐々木「せっかちだけど、マイペースなんだよね(笑)」

──それにしても、所縁のある相模原のイベントへの出演オファーがきっかけになって、やはり所縁のある町田で10年ぶりに5人だけで集まって、さらに相模原で11年ぶりのワンマンライブ開催って、感慨深いですね。

伊藤「面白いですよね。今のこの状況に、よりありがたみを感じます」

(おわり)

取材・文/大久保和則
写真/桜井有里





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