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――丸本莉子さんの最新作『COVER SONGS』のリード曲「ツバサ」にちなんで、丸本さんとアンダーグラフの真戸原直人さんのスペシャル対談です。丸本さんが初めてアンダーグラフの音楽に触れたのはいつ頃でしたか?

丸本莉子「私が初めて「ツバサ」を聴いたのは中学2年生のときでしたね」

真戸原直人「そのとき僕は27でした」

丸本「私、いま27歳です(笑)。当時はTVでもラジオでも「ツバサ」がすごい流れていて、友だちとか同級生とか私のまわりに歌えない人っていなかったくらい。卒業式の季節もよく流れていたので、卒業ソングというイメージが強かったんですが、7年前に上京するときに聴きなおしてみたら応援ソングでもあるんだなと改めて感じさせられました。だから私の人生のターニングポイントに必ず聴いていた大切な曲ってイメージです」

真戸原「そう言ってもらえるとうれしいですね」

――丸本さんは、これまでもイルカ、松任谷由実、中島みゆき、小田和正といったアーティストのカバー曲を発表していますが、なぜいまカバーアルバムをリリースするのでしょう?

丸本「そうですね、いま名前を挙げていただいた方々の曲は、ミニアルバムに入れさせていただいたり、あとはラジオ番組の弾き語りコーナーでも歌わせていただいたりしているんですが、やっぱり、カバー曲ってとても勉強になりますし、私を新しくしてくれる大切な存在だなと思っていて。2017年に1stアルバム『ココロノコエ』をリリースしまして、私にとってこの作品はベスト盤的な意味合いもあったんですね。2018年になって、そこから新しいステップに進もうというタイミングでカバーアルバムからリスタートしてみようと」

――リード曲として「ツバサ」を選んだ理由は?

真戸原「それ、本人が目の前にいたら言いづらいじゃないですか(笑)」

丸本「ふふふ……もちろん大好きですし、いちばん思い入れのある曲ですから。真っ先にぱっと思い浮かんだのが「ツバサ」だったんですね。私がそうだったように、いまの中学生とか高校生くらいの人たちにも「ツバサ」を知ってもらいたいんです」

――なるほど。丸本さんのリスナーとしての原体験を新しい世代にも味わって欲しいということですね。ちなみに丸本さんはライブで「ツバサ」を歌ったことは?

丸本「以前、歌ったことはあるんですが、ギターが難しくて弾き語りできなかったんですよ。なので、ギタリストさんに弾いてもらって歌いましたね。「ツバサ」のギターって、難しいですよね?」

真戸原「正しい音を鳴らすのは難しいんです。あのジャジャジャ!って出だしのフレーズはあまりコードブックには載ってない押さえ方なんですよ。テンションだらけだし(笑)」

丸本「だから「ツバサ」を歌うときはボーカリストに徹しようかなと」

――僕は「ツバサ」リリース当時の、STUDIO COASTのリリースイベントの盛り上がりであるとか、もちろん長澤まさみさんのMV、Mステも憶えているんですが、丸本さんはどうでしたか?

丸本「TVでもよくお見かけしましたけど、耳から入ってきたというか、やっぱりラジオとかUSENでいつも流れていたなという印象が強いですね」

――オリジナルの「ツバサ」と丸本さんの「ツバサ」にはおもしろい共通項がありまして、どちらもUSENのリクエストとそれを聴いた人たちからの問い合わせ件数が多いということなんですね。

真戸原「僕らの「ツバサ」は全くのノンプロモーションだったので、口コミとかUSENのリクエストでじわじわ時間を掛けて売れていったんですよ」

丸本「そういえば、私の場合は、YouTubeにMVをアップした去年の12月くらいから“女の人の声の「ツバサ」って誰が歌ってるの?”ってツイートをよく見かけるようになりました」

――丸本さんの「ツバサ」は、原曲とはがらりと趣が変わってジャジーな雰囲気になりましたね。真戸原さんももうお聴きになりましたか?

真戸原「はい。アレンジャーが松岡モトキさんなんですよね。僕らも「心の瞳」というシングルを松岡さんにアレンジしてもらったことがあって。実は松岡さんから“今度丸本さんと「ツバサ」をカバーすることになってて、こんなアレンジにしようかと思ってるんだけどどう?”って連絡がありまして、“松岡さんにお任せしますので完成したら聴かせてください。楽しみにしてます”って言ったんですよ。で、丸本さんの「ツバサ」を聴いたら……これちょっとかっこよすぎるんちゃうかな!原曲を上回るのはやめて欲しいんですけどね(笑)」

丸本「いやいや!そんなことないですよ」

真戸原「いや、でもとてもよかったです。音質だけでわかりますよ。丸本さんも松岡さんもこの曲をすごく愛してくださっているんだなって伝わってきました」

丸本「男声曲のカバーということで、あえて女性らしさを出せるようにアレンジをしていただいたのですごく自分の声にあった曲になったし、レコーディングも楽しかったんですが、ボーカルの完成度はもうちょっとがんばりたかったなと思ってます。だからライブで歌うことでもっと進化させていきたいですね」

――『COVER SONGS』に限らず、丸本さんは男性ボーカルの曲を歌うということはあまり苦にしない印象があるんですが。

丸本「そうですね。いままでも男性ボーカルの曲をたくさん歌ってきましたから。でもアンダーグラフさんの「ツバサ」と私の「ツバサ」を並べて聴くと、まだまだ表現力が足りていないなと思いつつ、曲とか歌詞の世界観を伝える役割りみたいものは果たせているといいなって」

――逆に、いま聴き直してみると、オリジナルの真戸原さんの声はすごくやんちゃな感じがします。

真戸原「上京してきてから「ツバサ」を出したくらいまでは、食費が月3,000円みたいな生活だったので、声も痩せ細ってますよね(笑)。技術うんぬんというよりも、全部出し切ろうとしていて、叫ぶしかないって感じでしたから。だから僕の音源よりも、丸本さんの方が全然上手だと思いますよ」

――「ツバサ」は2004年のリリースから13年が経ちますが、いま、アンダーグラフとしてライブで演奏しているときはどう感じていますか?

真戸原「飽きるということはありませんけど……正直、ライブで歌うのが嫌な時期もありましたよ。お客さんもスタッフもそれを望んでいるのがわかってたんですけど、“いや、もっと他の曲もあるし!”って。デビューしてから5、6年目くらいからしばらくの間は本当に嫌でしたね。いまはもっと客観的に見られるようになって、まるで自分の曲じゃないような、みんなが知っている違う歌のように感じるようになって、フラットに向き合えるようになりましたけど。まあ、「ツバサ」って僕らの曲でもありますが、もはやファンのものですよ」

丸本「そうだったんですね。私はまだそういう感覚を味わったことはなくって。デビュー曲の「ココロ予報」は、上京したての頃に作ったのでわりと長く歌っている曲ではあるんですが、いつかそんな風に感じるときが来るんですかね。私、アンダーグラフさんの曲では「フォルム」も好きです」

真戸原「お、意外(笑)。すごいロックな曲じゃないですか」

丸本「そうですよね。なんとなく闘志を掻き立てられるというか……あとは同じアルバムの「パラドックス」も好きです。カントリーというか、ちょっと不思議な感じがしていて、あのアルバムの曲はみんな好きですね」

真戸原「僕もあの『やがて咲く花達へ』ってアルバムは気に入ってます。あの頃はケルティックな感じが気に入っていて、ケルトとロックを融合させようというコンセプトで作ったんです」

――さて、『COVER SONGS』のについてもう少し聞かせてください。キンモクセイの「二人のアカボシ」、ユニコーンの「デーゲーム」、コブクロ「風」、吉田拓郎「今日までそして明日から」とどれも名曲揃いですね。

丸本「私がデビュー前の青春時代からずっと聴いていた曲を中心に男性ボーカルを選びました」

――僕のイチオシはキリンジの「エイリアンズ」――いや、「ツバサ」は僕が推さなくてもみんな聴いてくれると思うんで(笑)――すごくしっとりした感じになりましたね。

丸本「実は、私、秦 基博さんのカバーで「エイリアンズ」を初めて聴いて、すごい歌詞だなって思って、キリンジさんを聴くようになったんですよ。「エイリアンズ」はいつかカバーしてみたいなってずっと思ってたんですが、キリンジさんの曲はキーが高いので、原曲のキーで歌うと裏声になっちゃうんですよ。だから今回は半音下げて歌ってるんですが、むしろそれがオリジナリティというか丸本莉子らしさになっているといいなと思います」

――いまの丸本さんの、カバーがきっかけでオリジナルを聴くようになったというエピソードが印象的ですね。「ツバサ」でも丸本さんバージョンを聴いてアンダーグラフを知ったという方も多いんじゃないでしょうか。

真戸原「きっとそうですよね。いや、本当にありがたいことです」

――丸本さん世代のアーティストは、洋楽に対して憧れとか、コンプレックスみたいな感情を持っていない、いわばJ-POPオリエンテッドな環境で育っているように思うんですが、真戸原さん世代はどうですか?

真戸原「どうでしょう……当時でいうと、少なくとも、もう海外レコーディングで箔を付けてって時代ではありませんでしたね。“何でロンドンまで行くんやろ?”って。まあ、そのときはせっかくなので行きましたけど(笑)。でも「ツバサ」なんて本当にワンルームくらいのちっちゃなスタジオで録りましたから。ちょうど過渡期というか、不思議な時代でしたね。僕らは好きなアーティストのルーツミュージックを探すと、洋楽に辿り着くって感じはありましたけど、ぼくらの次の世代とか丸本さんたちの世代はちょっと違うかもしれませんね」

丸本「私の場合は、小さなころから家で聴こえていた音楽が、日本の歌でしたし、そうやって耳から憶えた曲が『COVER SONGS』に入っていますね。でもやっぱり、耳から入ってきていますので、馴染みのある曲で路上ライブでもずっと歌ってきた曲なのに、いざレコーディングで譜面を見ると、ちょっとずつメロディが違っていたりして大変でしたね」

真戸原「僕もライブでは、はっぴぃえんどなんかはカバーしたことがありますけど、高校生くらいの頃に聴いていたMr.Childrenの曲なんかは、世代も近いですし照れくさくて歌えなかったり(笑)。だから今回丸本さんがカバーしてくださるって聞いて、“ああ、本当に時間が経ったんだな”って思いましたね。さっきも言いましたけど、僕は丸本さんの「ツバサ」にオリジナルを上回って欲しいと思ってますから。伊勢正三さんとイルカさんの「なごり雪」みたいな関係になってくれたらいいなと」

丸本「ありがとうございます。私、一昨年、アンダーグラフさんと対バンさせていただいたんですが、そのとき初めてライブで「ツバサ」を聴かせていただいたんです」

真戸原「そうですよね。お会いする機会はありませんでしたけど、お名前があったのは憶えています。確か、あのときの「ツバサ」はアコースティックバージョンですよね?」

丸本「そうです。会場も大合唱していて感動しました。やっぱり、聴くたびにがんばろうって思わされる歌だなと」

――アンダーグラフも対バンイベントに出演していたり、他のアーティストさんとの接点も多いと思いますが、真戸原さんが最近気になるアーティストってどのあたりですか?

真戸原「そうですね……アルカラが好きです。同世代のバンドですが、かっこいいなあと思いますし、ふつうにファンですね。あとはGLIM SPANKYかな。久々にCD買いました。すごいボーカルが出てきたな、女子にあの声で歌われたら勝てないなと(笑)。洋楽だとコールドプレイ、エド・シーランを聴いていますね」

――なんとなくボーカルがちゃんとしているというか、シグネチャーを感じさせるアーティストがお好きなんですね。

真戸原「僕も丸本さんも詞を書いて、曲を書いて、歌も歌って役回りですが、やっぱり歌がすごいアーティストは気になりますよね。丸本さんもきれいな声ですし」

丸本「ありがとうございます。でももっと表現力を磨かなくちゃと思いますね。結構感情を込めて、大袈裟に歌っても聴き流されちゃうんですよね」

真戸原「すごくなめらかだし、心地よく聴こえますよね。でももっと聴き手の気持ちに刺さって欲しいんだ?」

丸本「そうなんですよ。あの、今日は真戸原さんにお聞きしたいことがあって。以前、インタビューで歌詞に英語を使わないってお話されているのを読んだんですが――実は私もあまり英語を使わないんですが――それはなぜなんでしょう?」

真戸原「僕は大学で国際言語学部という学部にいて、英語を研究してたんですが、まあ、そこまで英語しゃべれないし、コンプレックスもあって。で、そのころ、音としていちばんきれいな言語はフランス語や日本語なんだという説を聞いて、日本語という言語に自信を持つようになったんですね。だから歌でも感動とか喜びを伝えられる言語って日本語なんじゃないかと思うようになったのがきっかけです。だから日本語詞でかっこいいものを作れたらいいなと。横文字で書いてあるものがなんとなくかっこいいみたいな風潮が嫌いで(笑)」

――『ゼロへの調和』のジャケットに書かれているタイトルやソングリストが縦書きなのもそういう理由から?

丸本「あ、本当だ……縦書きになってる。かっこいい!」

真戸原「そうそう(笑)。当時のデザイナーさんはすごく大変だったと思いますけど。丸本さんはなぜ日本語で詞を書くんですか?」

丸本「私は、英語が本当に苦手で。できればきちんと自分が理解できる言葉で歌いたいと思って日本語で曲を作ってます」

真戸原「聴き手側の意識で言うと、意味が伝わらなかったとしても、日本語自体の響きの美しさって海外の人たちにも伝わると思いますから」

――逆に真戸原さんから丸本さんへの質問はありますか?

真戸原「そうですね……取材、疲れませんか(笑)」

――何ということを!丸本さんに喜んでもらおうと思って憧れのアーティストを連れてきたのに(笑)

真戸原「いや、疲れてたら無理しないでくださいねって優しさからですよ(笑)。僕ら、それこそ「ツバサ」のときって、雑誌の取材がすごかったんで。いまってどうなんですか?音楽雑誌の数も減っちゃったのかな……」

丸本「最近はウェブ媒体の取材が多いですね。私はビクター内のAndRecというレーベルに所属していて、配信サービスやウェブ媒体に積極的にアプローチしようというコンセプトでやらせていただいているので」

真戸原「なるほどね」

丸本「真戸原さんは楽曲提供もされてるじゃないですか。曲作りのペースってどんな感じですか」

真戸原「僕、めっちゃ遅いんですよ。どっちかっていうと自然に生まれて来るものって少なくて、デビューしたころは鏡の前で何か浮かんでくるのを待つっていう武者修行みたいな曲作りをしてましたね。リリースが決まってから書くみたいな。最近は、本当に書きたいなというものがあれば書くし、人から“こんな曲書いてみませんか?”って言われてから書くっていう柔らかいスタンスになりました。もっと書けって言われるんですか?」

丸本「今年はそうでもないかな……去年まですごく言われてたんですけどね」

真戸原「いや、それだけ求められてるって幸せなことですよ。丸本さんもストリートでやってた時代があると思いますけど、誰も立ち止まってくれなかったあのときのことを思えばね。ストリート時代はどこでやってたんですか?」

丸本「上京する前は、広島市内の金座街っていうアーケードでやっていました」

真戸原「僕もデビュー前に青春18きっぷで広島行ってやってたことあるけど、ホステスさんが1万円札をばーんとギターケースに放り込んでくれて。“広島すげー街やな!”って(笑)。何てとこやったかな?夜のお店が多い通りで……」

丸本「夜のお店ってことは流川ですかね?」

真戸原「そこです!そこです!いや、学生時代なんで本当に自分探しの旅でしたね」

丸本「真戸原さんは大阪ですよね?」

真戸原「天王寺、梅田、心斎橋、神戸の三宮……大阪と東京の、知ってる地名の場所は全部やりましたね。大阪では怖いおっちゃんにお金持ってかれたり、うるさいって水ぶっかけられたりしまたけど、まあ青春の思い出ですね」

丸本「えー!そうなんですか。いや、広島はミュージシャンには優しい街でしたね。いまはストリートライブ用のコンパクトな機材もあったりしますし、女性でもストリートに出やすいですよね」

――なるほど、おふたりともストリート出身という共通項もあるわけですね。だからというわけではありませんが、これをきっかけに丸本さんと真戸原さん、あるいはアンダーグラフと共演の機会があったりはしないんですか?

真戸原「どうでしょう?呼んでくれたら僕らはいくらでもやりますよ(笑)」

丸本「いいんですか?そんな簡単に言っていただいて(笑)」

真戸原「もちろん。いいタイミングでやりましょうよ」

丸本「ありがとうございます!ぜひごいっしょさせてください。あと3月3日のタワレコ渋谷のインストアライブは松岡モトキさんといっしょに出演しますのでこちらもぜひ見に来てください」

(おわり)

取材・文/encore編集部
写真/柴田ひろあき



■丸本莉子『COVER SONGS』リリース記念インストアライブ
2018年3月3日(土)@タワーレコード渋谷店
2018年3月17日(土)@タワーレコード広島店
2018年3月18日(日)@フジグラン広島 2Fウッドコート

■丸本莉子「COVER SONGSと私 - 丸本莉子ワンマンライブ -」
2018年4月29日(日)@eplus LIVING ROOM CAFE&DINING

■アンダーグラフ「Acoustic Live~花天月地・蒼の時 full course~」
2018年3月18日(日)@下北沢440







丸本莉子『COVER SONGS』
2018年2月28日(水)発売
VICL-64917/2,593円(税別)
AndRec


丸本莉子「ツバサ」
2018年1月17日(水)発売 *配信限定
AndRec


アンダーグラフ「TSUNAGARU/鼓動」
2017年9月22日(金)発売 *U.G.TOWN
Acorn-3001/1,204円(税別)
Acorn Records






SMART USENの丸本莉子特集は4月25日までの期間限定です



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